気持ちが涼しくなる“猛暑に読みたい絵本”特集
「異例の暑さ」という言葉も、もうすっかり板について、あたりまえのように猛暑がやってきております。猛暑の線引きも5度くらい上がっているのではないかというくらい、梅雨前からモーレツに暑い日が続いております。
そんななか今回は、絵本の中だけでも涼しくなっていただこうと“気持ちが涼しくなる絵本”をご紹介させて頂きたいと存じます。
モーレツに暑い!! そんなとき読む絵本は……
暑さから一気に解放される!爽快感を味わえる絵本
まずは、暑い夏の新定番絵本と言っていいかもしれません。月刊絵本『こどものとも(年少版)』から2019年前に単行本化された絵本でございます。
読んでいると、「その気持ち、わかるーっ!」とその暑さがゴイスーに伝わってくる、暑さを共感(体感)できる絵本でございます。そして、その暑さから一気に解放される場面が出てまいりますが、そのシーンが秀逸なのでございます。まさに、暑さから解放された感覚を体感できるのでございます。是非、猛暑対策として読んで頂きたい一冊でございます。
こちらは、テキストは内田麟太郎さま、絵は村上康成さま、強力タッグの絵本でございます。実は、こちらも暑さ、そしてその暑さから一気に解放された感覚を存分に体感できる絵本でございます。ナンセンスでお馴染みの内田麟太郎さまでございますから、とんでもないモノまで暑さを感じております。さらに、最後のオチも内田節全開でございます、ゴイスーでございます。前述の『あつい あつい』と展開は似ているものの、全く違う作風でございます。両方、読み比べてみるのも楽しいかと、絵本の面白さ深さを体感していただけるのではないかと存じます。
そして、最近よく夏の定番絵本として書店に並んでいるのが、こちら。2018年に出版された一冊でございます。大人からの人気も高い韓国の絵本でございます。
こちらも、体感系でございます。巨大なスイカのプールで暑さをしのぐという、誰しもが(?)子どもの頃、憧れた夢を具現化してくれている、まさにスイカのプールが体感できる絵本でございます。「そんなスイカのプールなんて子どもが喜ぶだけでしょ」と思われている大人の方、是非、一度読んで頂きたい!!本当にスイカのプールにはいっている感覚を味わえるはずでございます。まさに絵本の醍醐味を味わえる絵本なのでございます。また、改めて日本・韓国両国の文化・習慣の近さを感じさせてくれる絵本でもございます。是非、一度ご体験くださいませ。
ソフトクリームの絵本で涼もう!
最後に、新刊絵本の中から2冊ご紹介させて頂きます。どちらも「ソフトクリーム」が登場する絵本でございます。ちなみに、タイトルに「アイスクリーム」がつく絵本はたくさんありますが、「ソフトクリーム」は少数派でございます。そんなソフトクリーム絵本が立て続けに登場しております。
巨大ソフトクリームが満足感たっぷり!
パンダのきょうだい、とんとんくんとらんらんちゃんはソフトクリームやさんです。ある日、くまくんと一緒にはちみつを取りに行きますが、はちの巣は木の高いところにあり届きません。そこで、木の下に運んだ丸太の上に、お店につないだ長いホースからクリームをぐるぐると出していきます。とんとんくんが大きなソフトクリームの山をかけのぼって、はちみつをかけていきますが……。満足感たっぷりの、ユーモラスな絵本です。
『あつい あつい』と同様、月刊絵本『こどものとも(年少版)』からの単行本化された絵本でございます。先ほどは巨大スイカが登場する絵本をご紹介しましたが、こちらは巨大なソフトクリームが登場いたします。同じ巨大な食べ物が登場する絵本でも、こちらは、年齢低めのお子さまが大喜びする絵本かと存じます。
主役はソフトクリームの紳士?!
ミスター・ソフティークリーミーは、ソフトクリームの紳士。じまんのステッキを片手に、てくてく街を歩くのが日課です。でも、夏の日ざしを浴びると溶けてしまうし、街のいたるところで一口舐めたがる妖怪“ヒトクチチョーダイヨン”に遭遇……。ミスター・ソフティークリーミーの運命やいかに? マンガやアニメーションの世界でも活躍する注目の絵本作家、くりはらたかしさんが贈る脱力系アドベンチャー絵本です。
もう一冊は、『ミスター・ソフティークリーミー まちをゆく』。大人ファンの多い注目の人気絵本作家、くりはらたかしさまの絵本でございます(クリハラタカシとして漫画家としても活躍されております)。
こちらは、これまでの夏(暑さ)を扱った絵本とは一線を画す絵本でございます。災害級と言われる、これまでとはフェーズの違う暑さ、猛暑ならではの新しい夏絵本かと。
物語は、脱力系の面白さなのでございますが、日ざしを浴びると溶けてしまうミスター・ソフティークリーミーを見ていると、“暑さ”が、これまで以上に怖い(危険な)存在として描かれているような気がいたします。
最初にご紹介した『あつい あつい』と同様、この絵本でも「影」がストーリーの重要なポイントとなっていますが、『あつい あつい』では影は入る存在で、こちらは出ることができない存在なのでございます。2冊の絵本の「影」の扱い方の違いから、そんなことを感じた次第でございます。その辺を踏まえて読み比べてみるのも一興かと存じます。
N田N昌
絵本トレンドライター・放送作家・絵本専門士
絵本の最新情報を発信&大人絵本文化、絵本プレゼント文化の普及活動に日々努めております。
(画像は、イラストレーター・作家の網代幸介さんによる著者肖像画)
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