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絵本トレンドライターN田N昌の “大人だってもっと絵本読みたいの!”

“ナンセンス・ユーモア絵本界隈” 2024 総括!

気がつけば、史上最高に暑い夏も終わり年末でございます。夏が長くなった分、秋の存在感も薄れ一気に1年が終了……、そんな感じがいたします。

そうしたなか、今回は誠に勝手ながら、ナンセンス絵本推しのわたくしが、今年の“ナンセンス絵本界隈”について振り返えらせていただきます。
ナンセンス・ユーモア絵本がお好きな方、年末M-1を楽しみにしているお笑い好きの方には、是非是非、読んでいただければと存じます。

2024年のナンセンス絵本振り返り

知られざるくもの生活が今明らかに!

くもの日記ちょう

くもってどんな生活をしているか知ってる?
ゆきだるまを観察したり、ちょうになったり、気になるガールフレンドができたり、
にゅうどうぐもになったり、天気予報とたたかったり、山に行ってワライタケを食べたりなど
くもはやっぱりどこまでも自由。
これを読めば、知られざるくもの生活が明らかに!

まずは、ナンセンス絵本のレジェンド、長新太さまでございます。近年、毎年なにかしら復刊されている印象ですが、今年も4月に伝説の絵本が復刊いたしました。初版は2000年出版の『くもの日記ちょう』でございます。個人的にも大好きな作品でございます。長さまの作品には日記スタイルのものがいくつかございますが、そのなかの一つでございます。雲の日常が絵日記スタイルで表現されております。絵もテキストも規格外のナンセンス、長新太作品の真骨頂でございます。

https://www.ehonnavi.net/style/110/7/ 【長新太没後10年記念連載】第6回 トムズボックス 土井章史さんインタビュー

ほそいほそいいっぽんみちに立っているのは……?

ババーチョル

ほそいいっぽんみちに立っているのはいつも行く手をはばむババーチョル。
どんな道でも困難はつきもの。でも、いったいどこまでじゃまするの!?

こちらは、今年読んだ絵本で一番衝撃を受けた絵本でございます。「この作者は絶対に長新太ファンに間違いない!」と思った作品でございます。長新太ファンの方には是非、ご確認、ご体験いただきたい絵本でございます。

とにかく“ぶっ飛び度”がゴイスーなのでございます。主人公(?)の男の行く手を阻む得体の知れない生物“ババーチョル”。この存在感が半端ないのでございます。長新太さまの“ゴムあたまポンたろう”以来の衝撃のキャラクターでございます。われこそは、長新太ファン、ナンセンス絵本ファンという方は是非、ご体験いただければと存じます。ストーリーも、「そうくる?」(裏切り)の連続でございます。

お弁当絵本史上、電車絵本史上、1番へんてこな絵本

ひょいっひょーい

ガタンゴトン。ひょいっひょーい。窓の外を走るコレは何!?!お弁当絵本史上、電車絵本史上、1番へんてこ!!不気味なのに、なんだかクセになる!キミが乗る電車からも見えるかも?大人気『ねこいる!』『おばけのかわをむいたら』の作家の新境地!

そしてこちらは、過去の連載でも何度かご紹介させていただいたことのある人気ナンセンス絵本作家で長新太ファンでもある たなかひかるさんの最新作『ひょいっひょーい』(幻冬舎)でございます。今年こちらで3作目でございます。お笑い芸人、ギャグ漫画家としても活動されておりますが、絵本作家としてたくさんの賞を受賞されており、ナンセンス絵本界隈で大注目の作家さまでございます。たかな作品は、『そそそそ』(ポプラ社)など、オノマトペを上手く使った子どもも楽しめるナンセンス絵本が多いのですが、こちらの作品は、大人寄りというか、かなりシュールに振り切った作品かと……。毎年M‐1を欠かさず観ているようなお笑い好きの方には必読の絵本ではないかと存じます。

100%ORANGE・及川賢治が贈る、“なんとなく” すごい絵本!?

おはよう

「さんかく と しかく と まる が そろうと すごいことが なんとなく おこっているのです!」

夜、眠れない「ぼく」の前に現れたのは……

読みながら、だんだん頭がへんてこになる。へんになるのに、面白い。へんになるから、面白い!
新しさと懐かしさを同時に詰め込んだ、誰もがきっと経験のある、眠れない夜の不思議な体験。
おやすみ前の読み聞かせにもぴったりな、どこまでもユーモラスな一冊です。

絵本雑誌「さがるまーたVol.1」掲載作品を、厚みのある、格好いい装丁で単行本化!

最後は、人気絵本作家、及川賢治さまの『おはよう』(講談社)でございます。及川さまも長新太ファンでございます。

及川さまのナンセンス絵本もぶっ飛び度がゴイスーでございます。なんだかよく分からない、でもなんだか分かる気がする…、頭で読むのではなく体で感じる絵本でございます。まさに、及川賢治絵本の真骨頂ではないかと。是非、この不思議な感覚を体験していただきたい絵本でございます。

その他にも、長新太ファンとしても有名な人気絵本作家ヨシタケシンスケさまの『しばらくあかちゃんになりますので』(PHP研究所)など、紹介したいナンセンス絵本は他にもたくさんございますが、今回はこのくらいで終わらせていただきたいと存じます。それでは、良いクリスマスと良いお年をお迎えくださいませ。

N田N昌

絵本トレンドライター・放送作家・絵本専門士
絵本の最新情報を発信&大人絵本文化、絵本プレゼント文化の普及活動に日々努めております。  

@NtaNmasa

 

(画像は、イラストレーター・作家の網代幸介さんによる著者肖像画)

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