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絵本トレンドライターN田N昌の “大人だってもっと絵本読みたいの!”

大人の脳も刺激する! ナンセンス系オノマトペ絵本

オノマトペ(擬音語・擬態語)といえば赤ちゃん絵本のイメージが強いのではないかと存じます。代表作ともいえるのが、谷川俊太郎さま作、元永定正さま絵のロングセラー絵本『もこ もこもこ』(文研出版)でございます。他にも、オノマトペを扱った赤ちゃん絵本がたくさん出版されております。

今回は、赤ちゃんだけでなく、もっと上の年齢層のお子様も楽しめて、大人の脳も刺激する!話題のナンセンス系オノマトペ絵本を、ご紹介させていただきます。

パパママも楽しめるナンセンス系オノマトペ絵本

あの有名絵本作家さんのオノマトペ絵本!

最初に、パパママも一緒に楽しめる、五味太郎さまと長新太さまのオノマトペ絵本をご紹介いたします。

擬音語と擬態語だけで語られる機関車のお話

ぽぽぽぽぽ

ぽ・ぽ・ぽと煙をはきながら、蒸気機関車がやってきました。野原をすぎて山を登り、トンネルをくぐって?、おや1車両たりませんよ。機関車のお話を擬音語と擬態語だけで語ります。

まずは、五味太郎さまの『ぽぽぽぽぽ』(偕成社)でございます。オノマトペ(音遊び)の絵本でございます。絵本に出てくるのは「ぽぽぽぽぽ」、「るるるるる」、「よよよよよ」、「こここここ」など、五味さんオリジナルのオノマトペだけ。しかし、しっかりストーリーは展開しております。

ちなみに、この『ぽぽぽぽぽ』のあと、『どどどどど』、『ビビビビビ』、『ててててて』など、シリーズ化もされております。

斬新、奇抜、愉快なオノマトペ絵本

ごろごろ にゃーん

飛行機は猫で満席。ごろごろ言うのは飛行機。にゃーんにゃーん鳴くのは猫。ふたつあわせてごろごろにゃーん。斬新、奇抜、愉快が同居した長新太の快作!

そして、もうひとりは長新太さま。みなさまのなかには、『ごろごろ にゃーん』(福音館書店)を思い浮かべた方もいらっしゃるのでは…。たしかに、こちらの絵本のテキストは、ほぼ「ごろごろにゃーんごろごろにゃーんと、ひこうきはとんでいきます」の連続でございます。

長さまの絵本の多くは、独特のオノマトペがたくさん使われておりますが、オノマトペだけの絵本もございます。

それがこちら。

ちょっとコワイ空想の世界へ引き込まれる、ホラー系オノマトペ絵本?!

にゅーっ するするする

地面から手が「にゅーっ」と出てきて、自動車もネコも飛行機も「するするする」と土の中へ引き込んでゆきます。子どもたちを、ちょっとコワイ空想の世界へと案内します。

「にゅーっ」「するするする」というオノマトぺで全編展開しております(観ていただければお分かりになると思いますが、正確には一箇所だけ、オノマトペでないところがございます。そこも、この絵本の魅力のひとつなのですが…)。ストーリーは突然、地面から手がにゅーっと出てきて、様々なものを地面に引き込んでいくというもの。ナンセンス系でもあり、ホラー系オノマトペ絵本といってもよろしいかもしれません。

話題のニューフェイス! オノマトペ絵本

そして、最近話題のオノマトペ絵本でございます。

大人もニヤリと癒されるナンセンス系オノマトペ絵本

そそそそ

木にしがみつくコアラの親子。よく見ると子どもがたくさん! 大丈夫かなと思ったらコアラの足が突然にゅーん!
そそそそと歩き出したコアラの親子、そこに次から次へと動物が出てきて、にゅーんとどこかが伸びていきます。
『ぱんつさん』『ねこいる!』『すしん』に続く、誰も想像できないたなかひかるの「頭は良くならない絵本シリーズ」です。

まずは、先日出版されたばかりの『そそそそ』(ポプラ社)。作者は、お笑い芸人・ギャグ漫画家でもあるたなかひかるさまでございます。絵本デビュー作『ぱんつさん』(ポプラ社)は第25回日本絵本賞、『ねこいる!』(ポプラ社)でMOE絵本屋さん大賞2022第5位、『すしん』(ポプラ社)でリブロ絵本大賞で大賞を受賞。「注意:この本では頭がよくなりません」のキャッチフレーズでもお馴染み、注目の絵本作家さまでございます。

こちら、「にゅーん」といろんなところが伸びるコアラの親子(?)たちが様々な動物とすれ違っていくストーリー。出てくるのは「にゅーん」の他、「そそそそ」「きゅっ」「ぐにゃり」など全編オノマトペのみでございます。子どもたちは大喜び、大人もニヤリと癒されるナンセンス系オノマトペ絵本でございます。

オノマトペ全開!のナンセンス絵本

すしん

●リブロ絵本大賞受賞! 
受賞率100%の絵本作家(※1位はまだない)リブロ絵本大賞で初の1位獲得!

このすしは、生き物なのか、乗り物なのか、食べ物なのか……? 
謎のすし達が絵本のなかを「すしーん」と駆け抜ける! 
不思議な「すし語」もくせになる、こどもたち爆笑のナンセンス×食べ物絵本です。

作者は『ぱんつさん』で第25回日本絵本賞、『ねこいる!』でMOE絵本屋さん大賞2022第5位などを受賞した、たなかひかるさん。
シュールな世界が多くの読者のこころを掴んでいます。

本作でも独特の世界観をお楽しみください。

実はたなかさまが昨年出された前作の『すしん』(ポプラ社)もナンセンス系オノマトペ絵本でございます。「すしっ」「すしーん」「しゃりーん」「ねったーん」など、ダジャレも効いたオノマトペが全開でございます。ストーリーもお子様が大好きな「お寿司」と「乗りもの」が見事にコラボした展開になっております。まるでアクション映画を観ているような…、映画『トランスフォーマー』を彷彿させる絵本でございます。それでいて、オノマトペ全開のナンセンス絵本でございます。パパママも楽しめること間違いナッシングでございます。

連鎖していく擬音がおもしろい、ナンセンス絵本

おきにいりのしろいドレスをきてレストランにいきました

女の子がお気に入りの白いドレスを着て、レストランに行くと、
白いドレスにケチャップが、ぽとっ……。

「ががががーん」

それを見たママは「げげげげーん!」
ママを見たパパは「ぞぞぞぞーん!」
女の子のショックは赤ちゃんにも、ウェイターさんにも、
パンにもビンにもコーンにも伝わって、
町中のみんなを巻き込んでの大騒ぎに!

\ 子どもたちが大笑い /
第10回絵本テキスト大賞受賞作。
連鎖していく擬音がおもしろい、ナンセンス絵本。

そしてこちらは、昨年5月に出版された『おきにいりのしろいドレスをきてレストランにいきました』(童心社)でございます。第10回絵本テキスト大賞受賞作でございます。絵は数々の人気ナンセンス絵本を出されている高畠那生さまでございます。こちらも、最初の「あっ」という主人公の女の子の一言だけ。あとは、「ががががーん」、「ぞぞぞぞーん!」、「しゅしゅしゅしゅーん!」と、オノマトペだけでストーリーが展開していくナンセンス系オノマトペ絵本でございます。家族でレストランを訪れた少女に起こった小さな悲劇から大騒動に発展する物語でございます。

「ふんが」のみで語られるゴリラパパの奮闘記

ふんがふんが

最近、運動不足で太り気味のゴリラのパパ。
準備運動をしてジョギングを始めますが、後ろから恐ろしいヒョウが迫ってきて…。
「ふんが」の3文字のみで語られるゴリラパパの奮闘記。
想像力がわきおこる、そんな絵本の誕生です。
見て下さい、実感できますよ。

最後に、ご紹介するのは先日、シリーズ第二弾が出版された『ふんがふんが』

(絵本館)でございます。こちらも人気ナンセンス絵本をたくさん出されているおおなり修司 ・丸山誠司コンビによるナンセンス系オノマトペ絵本でございます。ゴリラのお父さんが主人公の物語で、出てくるのはゴリラの鳴き声「ふんが」(オノマトペ)のみでございます。全編、ふんがふんがで展開する絵本でございます。

月刊絵本でオノマトペ!

そして、私ごとで恐縮でございますが、今回、世界文化社から出版されている月刊絵本『ワンダーえほん』の最新刊(3月号)で、5見開き(10ページ)のおはなしのテキストを担当させていただきました。動物園を舞台にしたオノマトペ絵本でございます。絵は、数々の動物ものの絵本を描かれている人気絵本作家の高畠純さまでございます。高畠さまのとても素敵な動物たちの絵がぎっしりたっぷり楽しめます。ご興味のある方は是非是非、ご体験くださいませ。

ワンダーえほん 2023年3月号

    N田N昌

    絵本トレンドライター・放送作家・絵本専門士
    絵本の最新情報を発信&大人絵本文化、絵本プレゼント文化の普及活動に日々努めております。  

    @NtaNmasa

     

    (画像は、イラストレーター・作家の網代幸介さんによる著者肖像画)

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