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絵本トレンドライターN田N昌の “大人だってもっと絵本読みたいの!”

梅雨が楽しくなる!?“みずたまり”絵本特集

子どもは「水たまり」が大好きでございます。長靴だろうが普通の靴であろうが容赦ございません。バシャバシャが大好物なのでございます。「濡れるよ」と言っても気にもいたしません。そもそも「濡れる」=「悪」という認識がないのでございます。そもそも、「悪」という認識は大人の勝手な都合だったりもいたします。子どもの頃は「愛おしい」存在だったのが、大人になると「迷惑な」存在になってしまう。人間はあるタイミングから水たまりを避けて歩くようになるのでございます。

 

けれども、大人になっても水たまりをバシャバシャしたいという欲求はしっかりと残っているかと! そんな“みずたまり”を扱った絵本を今回ご紹介させていただきます。

みずたまり(おはなしプーカ 2008年9月号)

作・絵: 及川賢治・竹内繭子

出版社:Gakken

そもそも、みずたまり絵本を特集しようと思ったきっかけは、先日、絵本の専門店「トムズボックス」で出会った月刊絵本『みずたまり』でございます。学研の月刊絵本「おはなしプーカ」の2008年9月号でございます。作・絵 は、100%ORANGEでもお馴染み、及川賢治、竹内繭子コンビでございます。こちらは置いている図書館もほとんどないと思いますので、紹介するのは悩みましたが、及川賢治ファン100%ORANGEファンの方も多いと思いご紹介させて頂きました。独特のレイアウト、色使い、及川賢治ファンなら、たまらない一冊でございます。

大人もあの頃のバシャバシャを体感!

雨が待ち遠しくなるストーリー

みずたまり

雨が上がり外に出ると、大きなみずたまりがありました。水たまりは段々小さくなっていき、そしてお別れの時がやってきました。少し寂しくも、雨が待ち遠しくなるストーリー。

特集するにあたり一番に頭に浮かんだみずたまり絵本がこちらでございます。男の子が水たまりにバシャバシャと入るところから始まる男の子と水たまりの友情物語でございます。水たまりはこんな気持ちで地面から世界を見ているんだなぁと水たまりの気持ちを体感できる絵本でございます。作・絵を担当されている殿内真帆さまは絵だけ担当されている絵本も多いのですが、この絵本のように作絵を担当されているものも多く、私も含め大人のファンも多いような気がいたします。是非是非、パパママもご一緒にご体感くださいませ。

心に残る雨上がりのファンタジー

みずたまりぼっこ

雨上がりの公園で、かんちゃんは大きな水たまりを見つけました。青い空と白い雲が映っています。そこで、何かが動きました。くりっとした目がかんちゃんを見ています。「だれ?」「おれ、ぼっこ。みずたまりぼっこ」水の中からにょきっと出た手をひっぱると、水しぶきといっしょに男の子が飛び出してきました。

 

誰とでも、何とでも友達になれる幼児の姿を、擬音を用いたリズミカルな言葉と伸びやかなイラストで描いた心に残る絵本です。

お次は、『みずたまりぼっこ』でございます。こちらは男の子と水たまりから出てきた「ぼっこ」という名前の生き物(?)の友情物語でございます。こちらも、さきほどの『みずたまり』も、新しい友達との出会い、そしてあっという間の別れ、友達を作ること、友達ができることの素晴らしさを感じさせてくれる絵本ではないかと存じます。

水たまりを背負ってやってくるおじさん?!

水たまりおじさん

『スノーマン』『さむがりやのサンタ』など、数々の名作を世に送り出したレイモンド・ブリッグズの最新作。少年と、水たまりを背負ってやってくる水たまりおじさんとの不思議なひとときを、軽快に、ファンタスティックに描いたコマ割り絵本。子どもらしい想像の世界にのびのびとはばたく少年の姿に、心も軽やかになるような作品です。

お次は海外のみずたまり絵本でございます。『スノーマン』『さむがりやのサンタ』などのファンタジー絵本で数々の賞を受賞している人気絵本作家、レイモンド・ブリッグズさまの作品でございます。漫画家でもあるレイモンドさまは、コマ割り漫画手法が有名ですが、こちらもコマ割り絵本でございます。そして、設定がかなりシュールでございます。なんと水たまり(複数)を背負ったおじさんが登場いたします。それだけではございません。他の登場人物もおじさんに負けず不思議というかシュールなキャラクターでございます。ナンセンス絵本好きのパパママにはたまらない一冊かもしれません。

覗いてみると……?

みずたまりにやってきた

川原のでこぼこ道にできた「みずたまり」。ちょっと覗いてみると……カエルが来ているよ、種子も飛んで来た、アメンボもいるよ。あれっ、水面に夕焼け雲が映っている、星も映る、朝日も映る……そうか「みずたまり」にも時間が流れているんだ! 身近にありながら今まで気づかなかったものを発見したときの驚きや喜びと、そこから想像力を拡げていく楽しさを「みずたまり」を舞台に感性豊かに物語る写真絵本です。

最後は写真絵本でございます。月刊絵本「かがくのとも」の2004年9月号、『みずたまりにやってきた』でございます。こちらは、昼間、夕方、夜、カラカラに乾いたとき、さらに風や犬や〇〇がやってきたときなど、同じ水たまりの様々なタイミングでの姿が紹介されている写真絵本でございます。同じ場所にできる水たまりを24時間、1年を追いかけた水たまりのドキュメンタリー絵本といってもいいかもしれません。「コレ、見て見て!」と、子どもは興味津々、大人も「水たまりって、こうして見ると面白いなぁ」と思うこと間違いナッシングな一冊でございます。こちらは、図書館で借りられると思うので、是非是非ご体験くださいませ。

N田N昌

絵本トレンドライター・放送作家・絵本専門士
絵本の最新情報を発信&大人絵本文化、絵本プレゼント文化の普及活動に日々努めております。  

@NtaNmasa

 

(画像は、イラストレーター・作家の網代幸介さんによる著者肖像画)

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