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絵本作家ひろたあきらの 一冊ぐらい絵本を読んでみませんか?

絵本作家ひろたあきらの 一冊ぐらい絵本を読んでみませんか? vol.5『旅の絵本Ⅴ』

僕は今、絵本作家として絵本を作っています。ですが、元々はただの絵本好きでした。それは今でも変わっていません。

 

映画、音楽、漫画、小説、アニメ。大人が楽しめるカルチャーはたくさんあります。それと同じように、絵本だって大人が読んでも楽しめるのです。この連載は、そんな絵本の魅力を、普段絵本を読まない大人にも届けたいという思いで始まりました。

一冊ぐらい絵本を読んでみませんか。

最近旅をしましたか?

今回紹介する、大人に読んでほしい絵本は『旅の絵本Ⅴ』(福音館書店)です。

 

最近旅をしましたか? 僕は久しく旅をしていません。旅っぽいことであれば、わりと家から近く、いつでも行ける新大久保をうろうろしたぐらいです。韓国料理を食べ、韓国スーパーを見て、韓流アイドルショップを見ました。改めて新大久保をうろうろしてみると、見たことない食べ物が売っていたり、新たな発見があり、意外と旅気分を味わえました。

 

僕は引きこもりがちですが、たまには旅に出かけることも大切だなぁと思います。世界は知らないことで溢れています。忙しくてなかなか旅に出られない方は、まずはこの絵本をひらきましょう。

旅の絵本 5 スペイン編

世界中にブームを巻き起こし、絵本の新しいスタイルを確立した「旅の絵本」シリーズの5作目。今回は、旅人は古くて広い国スペインを旅します。町の賑わいや田舎の村ののどかなたたずまい、人々の暮らしぶり、遊び、お祭り、闘牛などスペインならではの風景が、繊細な筆致で克明に描かれ、遊び心いっぱいの隠し絵もたっぷり。旅する楽しさと発見する喜びがぎっしり詰まっています。

「旅の絵本」はシリーズで発売されていて、今回紹介する『旅の絵本Ⅴ』はスペイン編です。スペインの風景がページいっぱいに細かく描かれています。

 

この絵本には文章がないので、絵本の中の世界をじっくりと眺めることができ、より没入できます。最初のページを見ると、さっそくスペインの街並みと海の景色が広がります。赤い屋根の家が並ぶ綺麗な街並み。魚を運ぶ人々。キャンバスを持って歩く画家のような人。海から突き出す三角の小島。気がつくとすでにスペインに来ているような感覚になっています。

ページをめくっていくと、どんどんと街の方へやってきました。パレードをしている人々がいたり、自転車でレースをしている人々がいたり、とにかくページの至るところで何かが行われていて、スペインの暮らしや文化を垣間見ることができます。サクラダファミリアが登場したり、闘牛が登場したり、有名なものも見ることができ、より旅気分を味あえます。ページを巡りながら絵本の中のスペインを眺めていると、絵本の中で本当に旅をしている感覚になるのです。

https://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=83532

絵本を見ていると、ところどころに作者の遊び心を垣間見ることができます。家の屋根の上に大きな溶けている時計が描かれていたり、ピカソっぽい人がゲルニカっぽい絵を描いていたり、騙し絵のようになっていたり、様々なオマージュが登場します。

そして絵本を最後まで読むと、作者によるあとがきと解説も読むことができます。解説はページごとに書いてあるのでとてもわかりやすく、絵本を眺めるだけでは分からなかったスペインの歴史をより深く知ることができます。解説を読んでからもう一度絵本を見ると、答え合わせのような楽しみ方もできます。

この絵本は忙しい大人の方にとてもおすすめです。旅へ出かけたくても、時間がなくてなかなかできないですよね。海外へ行くのにもお金がかかります。でもこの絵本なら2,000円以下で10分もあれば旅をすることができてしまいます。頭を空っぽにしてただただ絵を眺めることができるので、ちょっとした瞑想状態になれ、絵本を読み終わると旅を終えた後のようなスッキリとした余韻に浸ることができます。

たまには絵本を片手にぼーっとしてみてはいかがでしょうか?

今回紹介したのはスペイン編でしたが、ヨーロッパ編、イタリア編、イギリス編などがあり、様々な国を旅することができますよ。

僕は学生時代に一度だけパリへ行ったことがあります。一週間ほど滞在して、毎日美術館やギャラリーや本屋を見て周りました。街も人もどこを見てもお洒落で、間違いなく人生で一番優雅な一週間でした。

 

そんなパリの旅を思い返して一番印象的なのは、帰りのパリの空港でボブ・サップに会ったことです。友達と一緒にボブサップへ駆け寄り、おそるおそる「Are you Bob Sapp?」と声をかけてみると、ものすごく低い声で「Yes.」と答えてくれました。そして握手をして写真を撮ってもらいました。とても優しくて、驚くほど手が分厚かったことを覚えています。

旅は何が起こるかわからないものですね。またいつかパリへ行きたいと思っています。

最近のこと

普段通らない道を通ってみたら、とても良い定食屋さんを見つけました。違う道を歩くのも小さな旅ですね。

 

 

今月の、推し「長新太絵本」!

長新太さんの絵本が大好き というひろたさんに、月に1冊、推し「長新太絵本」の魅力を動画で語ってもらうコーナー! 今月紹介してくれるのは……?

 

 

ひろた あきら

1989年愛知県額⽥郡幸⽥町⽣まれ。吉本興業所属の絵本作家。2019年2⽉に刊⾏したデ ビュー作『むれ』(KADOKAWA)が「第12回MOE絵本屋さん⼤賞2019」の新⼈賞第1位、「第7回 積⽂館グループ絵本⼤賞」第1位、「第3回未来屋えほん⼤賞」の第3位に選ばれるなど多くの絵 本賞を受賞。その後も第2作『いちにち』(KADOKAWA)、『ぐるぐるぴ』(講談社)、『にゃおにゃお にゃお』『ちんぽうがき』(ヨシモトブックス)など、精⼒的に活動を続けている。2021年、幸⽥町絵 本⼤使に就任。絵本を⽤いたワークショップや読み聞かせ会を積極的に⾏う。

もうすぐ! 5/16発売 へんてこ「どっち?」参加型絵本

どっち?

「だんごむしとかたつむり、うまれかわるならどっち?」「ぼうしとパンツ、かぶりたいのどっち?」「あかちゃんパンダとじゃがいも、だっこしたいのどっち?」参加型絵本。

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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