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絵本作家ひろたあきらの 一冊ぐらい絵本を読んでみませんか?

絵本作家ひろたあきらの 一冊ぐらい絵本を読んでみませんか? vol.3『ポケモンのしま』

僕は今、絵本作家として絵本を作っています。ですが、元々はただの絵本好きでした。それは今でも変わっていません。

 

映画、音楽、漫画、小説、アニメ。大人が楽しめるカルチャーはたくさんあります。それと同じように、絵本だって大人が読んでも楽しめるのです。この連載は、そんな絵本の魅力を、普段絵本を読まない大人にも届けたいという思いで始まりました。

一冊ぐらい絵本を読んでみませんか。

大人になっても大切なまま

ポケモンで遊んだすべての人と、これからポケモンと友だちになるすべての人へ贈る、新感覚ポケモン絵本

ポケモンのしま

ある日、小舟に乗ってポケモンの島へやってきた男の子、ゆめたくん。

きょうは なにして あそぼうか?

ポケモンたちはゆめたくんとすぐに仲良くなって、毎日ポケモンの島じゅうをかけめぐって遊びます。空を飛び、穴を掘り、野原で昼寝し、カレーを食べて・・・・・・。

楽しい時間はあっという間に流れて、気づくとゆめたくんは大きくなり、ついに訪れるさよならの日。一緒に過ごした日々は忘れないと約束します。
そして、また長い月日がながれたある日・・・・・・。

ザ・キャビンカンパニーの二人が、絵本作りの原点となる子ども時代の感覚を呼び覚まし、ポケモンへの想いを込めて描き切りました。
特に151匹のポケモン達が総登場し、ゆめたくんを応援するシーンは圧巻!
楽しさとノスタルジーと希望を感じる絵本です。

今回紹介する、大人に読んでほしい絵本は『ポケモンのしま』です。皆さんご存知の、ポケットモンスターの絵本です。僕が生まれたのは、1989年。ゲームボーイと同い年です。そして1996年に、ポケモンの初代のゲーム『ポケットモンスター 赤・緑』が発売されました。当時の僕は6歳で、周りの子供たちと同じように、ポケモンに夢中な日々を送っていました。ちなみに僕は、赤を持っていました。学校が終わると、毎日友達と集まって、それぞれがポケモンのゲームで遊んでいました。赤の次は、ゲームボーイカラーで発売された『ポケットモンスター 金・銀』に夢中になりました。ちなみに僕は、銀を持っていました。ルギアを初めて見たとき、さすがにかっこ良すぎるだろと思ったのを、今でも鮮明に覚えています。

 

今これを書きながら、当時を思い出すだけで、胸が高鳴ります。子どもの頃に感じていた、あのキラキラした感覚は、大人になっても思い出すことができます。この絵本には、そんなキラキラした子ども時代の思い出が、いっぱい詰まっているのです。

表紙を見るだけで、顔がほころび、懐かしい気持ちで溢れます。イシツブテ、バタフリー、ナゾノクサ。久々に見てもすぐに名前が出てきます。今思い出しましたが、初めて買ったCDも、ポケモンのアニメの主題「めざせポケモンマスター」のCDでした。子どもの頃の記憶がどんどん蘇ります。

 

表紙をめくると、物語はこう始まります。「こっそり かおだす ぼくらは ポケモン。ずっと だれかを まっている。」絵では、島の至るところに、見慣れたポケモンたちが隠れている様子が描かれています。そして、このポケモンのしまに、一人の男の子が小舟に乗ってやってきます。男の子の名前は、ゆめたくん。ポケモンたちは「ぼくらは こどもが だいすきだ。あそぼう あそぼう ゆめたくん。」と言って、ゆめたくんを歓迎します。

https://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=135569

当時、ポケモンたちと遊びに、ゲームの世界へ入り込んでいた自分と、ゆめたくんが重なります。ゆめたくんは、それから毎日小舟に乗って、ポケモンの島へ遊びにやってきました。ピジョットやオニスズメと一緒に、空を飛んで遊んだり。カビゴンのお腹の上で、メタモンやピッピと一緒にお昼寝したり。様々なポケモンたちと一緒に、毎日毎日楽しそうに遊んでいます。しかし、月日が流れると、ゆめたくんはすっかり大きくなりました。いつも乗っていた小舟に乗るのも、もう限界です。絵本の後半で、ポケモンたちとゆめたくんの関係がどうなっていくのか、是非絵本を手に取って読んでみて下さい。

https://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=135569

子どもの頃に大切だったものって、大人になっても大切なままの気がします。さっき思い出したポケモンのCDも、もしもまだ捨てずに残っていたら、本当に感動すると思うし、宝物にします。たぶん捨ててしまってるけど、今ポケモンのCDのことを思い出せただけで、温かくて幸せな気持ちになりました。この『ポケモンのしま』を読むと、忘れていた子どもの頃の大切な気持ちを、次々に思い出すことができます。

この絵本を描かれたキャビンカンパニーのお二人も、なんと僕と同じ、1989年生まれだそうです。まさに、ポケモンと共に育ったお二人だからこそ生まれた、ポケモンたちとの思い出と、子どもの頃の大切な気持ちが、いっぱい詰まった絵本です。キャビンカンパニーさんが描いたポケモンたちも、みんな楽しげで、可愛らしくて、最高です。キャビンカンパニーさんの絵は、いつも芸術的で素晴らしいのに、子どもが描いたような無邪気さも感じられて、何回見ても目がわくわくします。僕も、大人の生活が疲れたときは、この絵本をペラペラめくって、ポケモンたちに遊んでもらおうと思います。あなたも、疲れたときはポケモンのしまへ、遊びに行ってみてはいかがでしょうか。

©2020 Pokémon.

©1995-2020 Nintendo/Creatures Inc./GAME FREAK inc.

ポケットモンスター・ポケモン・Pokémonは、任天堂・クリーチャーズ・ゲームフリークの登録商標です。

最近のこと

近所に住んでる友達と、近所のお店でおでんを食べました。
友達とおでんを食べ始めたら、もう若くない証拠ですね。
ちなみに友達が一番好きなおでんは、餅巾着らしいです。

 

 

今月の、推し「長新太絵本」!

長新太さんの絵本が大好き というひろたさんに、月に1冊、推し「長新太絵本」の魅力を動画で語ってもらうコーナーもスタートしてみました! 今月紹介してくれるのは……?

 

 

ひろた あきら

1989年愛知県額⽥郡幸⽥町⽣まれ。吉本興業所属の絵本作家。2019年2⽉に刊⾏したデ ビュー作『むれ』(KADOKAWA)が「第12回MOE絵本屋さん⼤賞2019」の新⼈賞第1位、「第7回 積⽂館グループ絵本⼤賞」第1位、「第3回未来屋えほん⼤賞」の第3位に選ばれるなど多くの絵 本賞を受賞。その後も第2作『いちにち』(KADOKAWA)、『ぐるぐるぴ』(講談社)、『にゃおにゃお にゃお』『ちんぽうがき』(ヨシモトブックス)など、精⼒的に活動を続けている。2021年、幸⽥町絵 本⼤使に就任。絵本を⽤いたワークショップや読み聞かせ会を積極的に⾏う。

ひろたあきらさんの新作は「うんこ絵本」!

ぷり

2019年『むれ』の衝撃のデビューから話題作を立て続けに発表する、ひろたあきらさんの新作が登場。テーマは「うんこ」!? 本書は小さな動物から、想像上の生き物、神様(!)まで、あらゆる命の個性豊かで尊い排泄姿とうんこが描かれます。この作品は「生きとし生けるものはすべてうんこをする」という「生命賛歌」の物語です。

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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