【今週の今日の一冊】絵本で過ごすひとときの森林浴。5月20日は「森林の日」

新緑の美しい季節。5月20日の「森林の日」を前に、絵本のページをめくってひとときの森林浴をしてみませんか。今週は、森のひんやりとした空気、目に飛び込んでくる緑、樹木の香り、音……など森を五感で感じられるような、森の魅力がたっぷり詰まった絵本をご紹介します。
2025年5月19日から5月25日までの絵本「今日の一冊」をご紹介
5月19日 だれもいないあさのもりで想像を膨らませて…
月曜日は『もりのあさ』
女の子は、朝もやが残るころにカゴを持って森へと出かけていきます。
まだ目覚めたばかりの森。クモの巣には宝石のような朝露が光り、鳥たちは遠慮がちにおしゃべりをはじめ、やがてリスたちも枝の上に姿を見せます。目の前にある森は、夜になるといったいどんな様子をしているのでしょう? 鳥たちはどこで眠りについて、リスたちの赤いしっぽはどんな色に見えるのでしょう? いつものベリーを摘むお気に入りの場所で、女の子は目をつぶって夜の森のことを想像しはじめます。咲いているはずの花や、空の上の方に見える月、飛んでいるものたちや、足音を忍ばせて歩くものたちのことを。まだ今は、自分の周りの小さな世界のことしか見ることができないけれど、女の子はまるで森と共鳴しているように、静かで優しい夜の森をありありと思い浮かべることができるのでした。みずみずしい朝の森と、密やかな夜の森が絵本の中に広がります。
読者の声より
表紙の絵にひかれて手に取った絵本です。
前ページ美しくて、心があらわれるようでした。
森の中の静けさや美しさが、絵からあふれでていて
読んでいると癒されます。
持っているだけでも、嬉しくなる絵本でした。
同じ作家さんの本を調べてみようと思います!!
(スケボウさん 40代・ママ 女の子14歳)
5月20日 ここは本当にいいところ…今日は「森林の日」
読者の声より
表紙の鳥、カケスっていうんですね。ジェーッ、グェッって鳴くんですね。カケスくんがキャンプに来た家族を見て、つぶやくんです、森のいろいろなことを教えてくれます。
私も今年初めて家族でキャンプに行ったのですが、テント張りにも一苦労。もたもたしていたところを、かけすくんのような森のリーダーが見張っていたかもしれませんね。そんなに木の枝や土をいじめないで~なんてつぶやいてたかも…なんて、この本を読みながら考えてしまいました。
森に入れば、人間はとっても無知な存在なんですね。森のことを熟知しているのは、鳥や動物といった森の住人であることを、この本は教えてくれました。
(けいご!さん 30代・ママ 女の子8歳、男の子4歳)
5月21日 みみをすませばほら、いのちのいきづかいが…
読者の声より
読み聞かせ講座の小学校高学年以上のリストの中にありました。
森の光景にそっと文章が添えられた写真絵本。
的確なカメラワークに、森を五感で感じることができます。
その森の中で長い時間をかけて営まれる様々な命。
その、本物の姿にとても深い感動を覚えます。
じっくりと味わってみたい絵本ですね。
とにかく、森の写真がとても清々しい絵本です。
(レイラさん 40代・ママ 男の子13歳、男の子11歳)
5月22日 このもりで、なにをしてあそぼうか。
読者の声より
保育士をしています。個人的に大好きなクラッセンの絵本、保育園の2歳児クラスで子ども達と一緒に読みました。
森の中に木や岩以外の不思議な存在が現れます。子ども達もそれが気になって仕方がない様子。最後、きれいにオチもついて大盛り上がりでした。
子ども達も森の中に心を引き込まれたようですが、大人が読んでも心癒される絵本です。まるで森の中で静かにソロキャンプしているような。焚き火や、日が暮れていく様子を眺めているような、静かな気持ちになれる絵本でした。
(Suzyえほんさん 40代・その他の方)
5月23日 緑の香り、風と光、鳥の声、水の音……。
金曜日は『もりへおいで』
絵本をひらくと、そこに森が広がる。思わず、深く息を吸い込む。気持ちがいい。
一歩一歩、森のなかを進んでいく主人公の二人。小川を渡り、霧の中を歩き、緑の香り、風と光、鳥の声、水の音……。ゆっくりと森の奥に進んだ二人はやがて、ある命の神秘に出会う。
森は、二人を優しく包み込み、様々なことを教えてくれる。自然の恵み、生命の神秘、そして成長の喜び。森の中で過ごす時間は、きっと二人にとってかけがえのないものに。
『しずかな みずうみ』『また きっと さこう』など、自然への畏敬と愛しいまなざしにあふれる絵本を描く作者の最新作は、四季折々の森の風景を、細やかに生き生きと表現する。美しい情景描写と温かな言葉は、子どもたちの心に自然への愛と好奇心を育み、子どもたちの成長をそっと見守ります。
大人もまた、忙しい日々の中で忘れかけていた自然とのつながりを取り戻し、自然の中に身を置くことの大切さや、心のやすらぎを感じる
5月24日 くんちゃんが森で出会ったのは?
土曜日は『くんちゃんのもりのキャンプ』
ある夏の日、こぐまのくんちゃんは、いとこのアレックに誘われて、二人でキャンプに出かけました。森を歩く道々くんちゃんは、こまどりの巣作り、アヒルの泳ぎ、かわせみの魚とりの場面に出会います。その後 キャンプをする湖のほとりに着き、くんちゃんは こまどりのように寝床を作り、アヒルのように泳ぎ、かわせみのように魚をとろうとしますが皆失敗ばかり。アレックに「くま式のやりかた」を教えてもらいます。キャンプのやり方では失敗ばかりでしたが、家への帰り道をちゃんと覚えていたのは、来る途中で鳥たちとあいさつを交わしていた、くんちゃんでした。
読者の声より
ドロシー・マリノさんのくんちゃんシリーズが好きなのでこの絵本を選びました。緑溢れる森を悠々と散歩する主人公はとてもかっこ良かったです。色々なことに興味を持ち、疑問を持つ好奇心旺盛な主人公が愛らしかったです。疑問を一つ一つ解決してゆく姿に感動しました。緑と黒のみを使って描いているのも潔くてかっこ良かったです。樹木の筋の描写が特に気に入りました。
(なびころさん 30代・ママ 女の子2歳4ヶ月)
5月25日 みんなのいのちをまもるのがぼくたちのやくめ
日曜日は『もりへぞろぞろ』
ぞろぞろぞろぞろ もりへぞろぞろ
何やらちょっと怪しげな響きです。
実は、病気になってしまったいのししを助けるために、
やまじゅうの動物達があつまって、森を目指しているのです。
「病気が治る」と古くから伝えられているその森は、山のずっと奥の方にあって、昼でも暗くて怖いものがいっぱいいるという。「みんなで行けば怖くない」と意気込むものの、やはり森へ入った途端にひんやり、真っ暗。確実に何かいる!!
冷たくて美味しい水を飲んで落ち着いてくると、その“何か”達がとても気持ちのよい風や空気をおくってくれて、だんだん元気になってくるのを感じるのです。それはずっと昔から動かずにそこにいる木々なのでしょうか、それとも森の精霊達なのでしょうか。わかるのは、いつだって命を守る役目を果たしているということ。おおらかな大地の恵みを存分に感じることができるのです。
この絵本がスゴイのは、森に恐る恐る近づく躍動感あふれる動物達、大きくて深い闇を内包する森の木々、そしてその間に気配を感じる精霊のようなものたち・・・それらが全て同画面で同等に描かれているということ!
動物達が森と仲良くなる瞬間、見えるような見えないような、それらの気配たちと楽しんでいる場面の静かな迫力といったら・・・!!とにかくとにかく不思議な場面の連続、こんな作品を見るのは初めてです。
何が起こっているのか、はっきりと説明できないし、動物たちが元気になっていく様子がわかるけど、やっぱりなんか怖い。その「なんか怖い」存在がある絵本。子どもたちが読めば、もっともっと心の奥深くにささっていくに違いありません。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
読者の声より
表紙の絵からして、ちょっとおどろおどろしく、何が起こるのかな?
といった感じでしたので、娘は最初はおっかなびっくり聴いていました。
森にいる何か(かみさまかな?)も、ぼやあっとした不思議な感じでしたが
物語が進んでいったら、怖がることもなく、むしろ大喜びでした♪
動物達それぞれのおしゃべりもとっても楽しかったようです。
ひとつひとつ読んでくれというので、私は大変でした。
なにせ字が小さくて(笑)。
やっと読み終えたーと思ったら「もいっかい!」(笑)。
森はいいよね。私も、森、大好きです。日本の山では森ではなく
林って感じかもしれないけれど。
絶対かみさまいるって思うもの!ひんやりしていて、いい香りがして
森に行けば、病気もきっとよくなるよねって絵本を読みながら共感
しました。
(ぽこさんママさん 40代・ママ 女の子6歳)
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いかがでしたか。どの絵本からも森の心地よさが伝わってきて気持ちがいいですね。
忙しい毎日の合間のリフレッシュに、ふと時間ができたら開いてみてくださいね。
選書・文:秋山朋恵(絵本ナビ副編集長)
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