あたたかいは正義! 冬のあたため力!
絵本には、子どもに働きかける様々な力が備わっています。絵本がきっかけで、新しいことにチャレンジする気持ちを持てたり、苦手なことに取り組もうと思えたりもします。子どもたちの世界を楽しく広げてくれる絵本は、子育て中のパパママにとっても、大きな味方になってくれること間違いなしです!
この連載では、とくに「これからの時代に必要とされる力」にフォーカスして、それぞれの力について「絵本でこんなふうにアプローチしてみては?」というご提案をしていきたいと思います。
冬の自律神経に効く!? 心の底から「あったまる」絵本
秋っていつ終わったっけ?という間に、冬まっただ中ですね。体感的にはクリスマスが過ぎて年末を境に風の冷たさが段違いになる気がします。
寒さが苦手な人は大人も子どもも多いと思いますが、ご多分に漏れず私もそうです。「寒がりは弱さを見せる」ような気がしたり、「おしゃれは我慢」という若気の至りもありましたが、みなさま知っていましたか? 実は「寒い=ストレス」らしいんですよ。「寒い!」と感じた時点でストレス反応が出てしまい、しかも、寒さによる不快感が自律神経の働きを乱し、それがさらなる冷えを招く……という悪循環に陥ってしまうのだそう。 ですので、防寒は明るく楽しい生活における死活問題です。みなさま、積極的に“あたたかさ”を求めてまいりましょう!
ということで、今回は「寒いなんて想像することもいや」という私が、心の底からあったまる絵本をご紹介したいと思っております。
あったかいごはんで、ほかほかに
さむーいときの醍醐味は、やっぱりほっかほかのごはんではないでしょうか? 外から帰ってきて、ふーふーしながらあつあつごはんを食べる瞬間、生き返りますよね! まずは、そんなごはん特集の絵本を。
おなべさん おなべさん なにつくる?
お料理がテーマの低年齢児向けしかけえほん第2弾!
「ぐつぐつ ぐつぐつ パカッ」「じゅじゅじゅ じゅー」リズミカルな言葉にあわせ、しかけ扉をめくると、お鍋の中においしそうな料理が現れるしかけ絵本です。
お料理をして「はい、◯◯(料理名)」のやりとりで、読み聞かせ・はじめてのおままごと遊びにもおすすめです。
ホーローのおなべで、ぐつぐつことこと煮ると、はい、カレーのできあがり。土鍋でぐつぐつぐつぐつ煮ると、はい、よせなべ! 天ぷら鍋でじゅわじゅわじゅわーと揚げれば、みんな大好き、からあげのできあがり! などなど、家庭にあるたくさんのおなべに具材をぽんと放り込むと、どんなほかほかごはんができるかな? とわくわくしてしまう絵本です。
しかけ絵本となっていて、おなべに何を入れるのかな?と、パカッとめくると、それぞれのお鍋の具材がわかり、次のページでまたパカッとめくればできあがったおなべの中身がおいしそうに出てきます。
冬になると、「なべ料理」ってしみじみとおいしいですよね。しかも野菜も肉魚も全部摂れて、さらに締めで主食も摂れて、一回のおなべで完全栄養バランス食じゃないですか!? 忙しい時期にも大変ありがたく、我が家は12月入ってから毎日なべです。はい、大事なことなのでもう1回言います。毎日なべです! 具を変えて味変すれば、毎日おいしくヘルシー! この絵本も見ながら、「今日はなになべ~?」と選ぶ楽しみも味わえる絵本なのです。
「ゆげ」って、なんであんなに食欲をそそるんでしょうね? 寒くなると、あちこちに湯気が現れますが、おみそしるにも炊き立てご飯にもほわほわの湯気がたち、外に出ればラーメン屋さんでもうどん屋さん、にくまんにたこ焼きも湯気がたっておいしそう!
街もおうちも湯気でいっぱい。湯気が集まるところはなんだか楽しそうで、ホカホカ湯気が幸せ気分を誘う絵本です。
あったかーいごはんを、はふはふ食べる瞬間って、「しあわせ~」以外考えられない瞬間ですよね。あったかいごはんのすばらしさをじんわり想像させてくれる絵本たちです。
道具を使ってあたたまろう!
あたたまり方にもいろいろありますが、道具を使って直接的にあったまるのが一番近道ですよね。そんな、あたたかい道具の絵本です。
朝はまだ部屋があったまっていません。だからみんな速攻でこたつに入りこみます。冬のこたつの上はみんなが好き勝手なことをする場所。ご飯を食べて、お父さんは新聞を読んで、こうたくんはお絵描きに夢中。宿題から逃げて隠れるのもこたつの中ですし、お母さんのお手伝いをしたり家族でトランプをしたりするのもこたつの上。みんなが集まるあったかくて安心する場所なのです。
この絵本では大みそかの朝から夜までの1日をつづっていますが、こたつを上から俯瞰して描いているので、時間の経過とともに家族がこたつの上で何を楽しんでいるのかがわかりやすく、あたたかい場所にはみんなが自然と集まっていくのだな、と読み手もほんわかあたたかくなります。
お次は、最近人気が復活している“ゆたんぽ”をめぐる不思議なお話。
夜の間に足をあたためてくれる“ゆたんぽ”のことが私は大好きですが、ゆたんぽは私のことを好きじゃないかもしれません。なぜなら、私の冷たい足を嫌っていつも逃げるから。毎晩、ゆたんぽと争ってなんとか足で抑えこみますが、ある夜とうとう、ゆたんぽは逃げ出しました。私も逃がすものかと足を伸ばして追いかけます。ついに、ゆたんぽは宇宙のかなたの小さな惑星まで逃げました。そこには足の形をした人類たちが住んでいて、みんなでゆたんぽを取り囲みうっとりしています。そしてゆたんぽを抱えて走り出し、ゆたんぽは誘拐されてしまいました! いったいどうなるのでしょう?!
湯たんぽは電気を使わないので安全ですし、あたたかさも調節できるので、最近また人気となっていますよね。特に寝るときは足が冷たくて仕方がないので、私も愛用中です。
湯たんぽにとっては、毎晩足でがっちり抱え込まれるのはストレスかもしれませんが、こちらも安眠のためには必死なんですよ! そんな、冷たい足をどうにかしてくれる“湯たんぽ”を求めてやまない、私たちの深層心理が描かれるお話でした。
走って走って、ぽっかぽか
冬になりますと学校行事などで「持久走大会」があります。私の子ども時代にもありましたが、運動嫌いでしたので「すごくいやー!」な行事でした。
ところが令和の持久走大会は、スタート地点がバラバラで、一定時間内の周数を各自で記録。もちろん順位もなし、という形式(あくまで近所調べですが)なんです。それぞれ自分のペースで走ることができて、「これはいいかも!」と思えました。
走ることって地道ですが、ヘルシーにぽかぽかになれますしね。そんな「走ること」をテーマにした、ちょっとユーモラスな絵本がこちら。
家族でジョギングレースをするお話。参加メンバーは、おじいちゃん、おとうさん、おかあさん、小学生のぼく、妹、犬のタロウ。皆が次々と脱落していく中、折り返し地点の神社にたどりついたのはぼくだけ。でも気が付くとぼくが最後尾に・・・。そんなことって、ある?
ぼくがジョギングの用意をしていると、「みんなで はしろう」とおじいさんが言いました。お父さん、お母さん、妹と犬のタロウも参加して、往復2キロ。よーいどん!の合図でみんなスタートします。
しかし、300メートルもいかないうちにおじいさんがお隣さんと立ち話を始め、500メートルあたりでお父さんのお腹が痛くなり、800メートルいったところでお母さんがスーパーのバーゲンセールへ行ってしまい……と、次々にみんな走るのをやめてしまいます。
妹もタロウもどこかへ行ってしまい、最後はぼくだけがひたすら走ります。折り返し地点の神社までやってきて、「さあ、復路も走るぞ」と思いきや、あれあれ……思っていたジョギングとちょっと違う?となっていくお話です。
運動するのは面倒だけれど、やっぱり筋肉を使うと体はあたたまりますし、朝に運動して血流を上げると一日すこやか!
私も「家を出るまでにもう疲れる……」という中年あるあるな毎日ですが、子どもに「体を動かした方がいいよー」と言う前に、家族でこうしてジョギング大会をするのも、にぎやかで良いきっかけになりそうです。
がっちりやらなくても「ちょっと走ろうかー」と、このくらいゆるくても良いのかも、と思わせてくれる楽しい1冊です。
はあ~…即効であったまるのは?
冷たい風にあたって帰ってきたら、まずはお風呂で冷え切った身体をあたためたいですよね。疲れたときには入浴剤を選んだりして、お風呂は楽しく気持ちの良い習慣です。特に日本は豊かなお風呂文化がある国。そんな、数々のお風呂が楽しめる絵本がこちら。
日本にはいろいろなお風呂があって街の銭湯や露店風呂、田舎のおじいちゃんはドラム缶風呂に入っていたり、おばあちゃんは仲間で湯治にいったりします。むかーしむかしはローマにも公衆浴場がありましたし江戸時代も町の人たちは銭湯を楽しんでいました。現代のお風呂はピッとボタンを押すとすぐにお風呂がわいて便利になりました。冬至のときにはゆずを入れたり、楽しくあたたまる習慣を受け継ぎながら、日本では今もお風呂を楽しんでいるのです。
お風呂って、なんであんなに気持ちがいいんでしょうか。縮こまった身体もぐーっとほぐれますし、お湯の感触も楽しくて。子どもたちも、入る前は面倒がるのに、いったん入ると今度はなかなか出てきません。
日本にはお風呂の種類や楽しみ方がたくさんあり、古くから開かれている温泉も数多く存在します。「あー、日本っていいなー」としみじみ思える、ぽかぽかお風呂の絵本です。
火の安らぎ
最後に、物理的にも心理的にもあたたかさを伝えてくれる「火」の物語を。
あたたかな場所とゆるやかな時間
山の中で道に迷っていたぼく。雪も降ってきて寒くて、疲れきっています。すると、目の前に一本の大きな木が立っていて、ドアがついています。少し休ませてもらおうとドアをあけると、中はまっくら。
「さむいから ドアを しめて こっちに おいで」
と声が聞こえました。ぼくは、かたわらにあったろうそくに火をつけて歩いていくと、赤々と燃えるだんろがありました。まわりには、たくさんの動物たちがいます。
「つかれたら やすめばいいんだ、むりしないで じっと してれば げんきに なるさ」
と、うさぎが火を見つめながら言います。ぼくは、だんろの前で動物たちに囲まれながら目をつぶりました……。
あたたかさだけではなく、「火」が燃えるときのゆらぎが与える癒し効果も存分に描かれ、さらに心も体もあたたかさに充たされてこそ元気にまた外に出ていくことができるということも伝えてくれます。
だんろとろうそくの火のあたたかさ、動物たちのモフモフと、これでもかとあたたかさが詰めこまれた絵本です。
さいごに
冬至も過ぎ、冬真っ盛り。寒いだけでなく、日差しも弱く日が当たる時間も短くて、なんだか気持ちまで沈みそうですよね。寒さでストレスを受けるだけでなく、日照時間が短いと体内時計も乱れて「冬季うつ」という気持ちの落ち込みも起こりやすくなるそうです。
ですので、私もひたすら「防寒、防寒!」と毎日を過ごしております。うちの子も私に似たのか、「子どもは風の子なんて言葉は呪いだ……」とつぶやきながら、早々にユニクロのダウンを仕込んでおります。
だがしかし! 人の想像力は素晴らしいもので、たとえ寒くて気持ちが塞いでも、「今、あったかくて幸せ……」とあらゆる手段で妄想すれば、幸せホルモン・セロトニンが出て、短時間なら自分を騙せるようです!
もちろん、騙しっぱなしでは『マッチ売りの少女』のごとくなってしまうので、物理的にもしっかり温めてまいりましょう。私も妄想に励みつつ、外出時にはカイロを全身に貼り、「中高年になったら、階段があればありがたいと思え!」という格言をもとに、必死で階段を見つけては血流を上げています。
途中から中年の悲哀が出てしまいましたが、とにもかくにも大人も子どもも、「あったかーい」という感覚がストレスを退けます。冬は、いろんな「ほかほか」を身の回りに配置しつつ、あったか絵本で妄想しながら、ご一緒に寒さを乗り切りましょう!
徳永真紀(とくながまき)
児童書専門出版社にて絵本、読み物、紙芝居などの編集を行う。現在はフリーランスの児童書編集者。児童書制作グループ「らいおん」の一員として“らいおんbooks”という絵本レーベルの活動も行っている。7歳と5歳の男児の母。
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