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【絵本ナビ】 季節や行事、家族や好きなものテーマ別おすすめ絵本

ちょっと骨太!男の人にも読んでもらいたい絵本

もともと絵本が好きって人だけでなく、普段あまり触れる機会のない人にも読んでもらいたくなる「ちょっと骨太な内容」の絵本を選んでみました。
「絵本ってすごい!」そう思ってもらえたら嬉しいですよね。

 

贈り物に添えてみたら喜んでもらえるかも!?

「まるで1本の映画を見終ったよう」な気持ちになる絵本

リンドバーグ 空飛ぶネズミの大冒険

ハンブルクからニューヨークへ 
小さなネズミが、大西洋を飛んだ!! 

知りたがりやの小ネズミは、人間の本を読むのが大好き。天敵のネコやフクロウに狙われたり、数々の失敗をくりかえしながら、小さなパイロットは、海をこえてアメリカへと向かいます。

素晴らしいアドベンチャー

 

仲間のネズミがいなくなった町から、困難を乗り越えて海を渡り、仲間たちのいるニューヨークへの大飛行。
大西洋無着陸横断を初めて成し遂げたチャールズ・リンドバーグのネズミ版ですが、飛行機のきめ細かさに圧倒されます。
そして、襲い掛かってくるネコやフクロウからの、危機一髪での脱出など、スリリングでもあります。
夢いっぱいのアドベンチャー。
映画で見たいような内容です。

 

(ヒラP21さん 60代・パパ) 

時の推移と音の世界を絵で再現した美しい絵本

よあけ

音一つ聞こえない、静まりかえった夜明け前の湖。まだ暗い中、湖畔の木の下ではおじいさんと孫の少年が毛布にくるまり寝ています。空には月一つ。岩や木の葉に光を浴びせ、あたりを見守ります。静寂の湖に、やがてさざなみが立ち、もやがこもり、こうもり、蛙、鳥たちが目を覚ましました。おじいさんと孫は起き、ボートで湖に漕ぎ出します。そのとき、二人を包み込んだ光景は……。

 

自然の静寂さと雄大さが、作品の中で体感できる美しい絵本。水彩画で描かれた各ページからは、空気、音、風、光の微妙な変化が感じ取れ、1ページごとの余韻が心に染み入ってきます。言葉はほんのわずかで絵がすべてを語る分、五感すべてに訴えるインパクトを持ち合わせた作品とも言えます。 
 唐詩「漁翁」(詩人柳宗元作)をもとにしたというモチーフは、東洋の文芸・美術に造詣の深い作者の感性をいかんなく表現。夜明けを迎え、ほんの少しずつ表れる変化が静かに的確に描写され、湖での夜明けを体験したことのない人でもその素晴らしさが心で味わえることでしょう。唐詩「漁翁」は『わたしの唐詩選』(中野孝次著)で紹介されています。 

 

美しい

 

湖の畔、おじいさんと孫が、寝ています。
何も音が聞こえない。
生き物も風も音を立てない瞬間って、
確かにあるものです。
大自然の中、自分の息以外、何も聞こえないような体験を
今まで一度だけしたことがあります。
静まりかえったページを読みながら、そのときのことを思い出しました。
夜明け前、
風が水辺を揺らす音が聞こえてきます。
鳥が起きます。
だんだん朝が近くなる様子が伝わってきます。
おじいさんと孫はボートで湖に出ます。
そこで山から太陽が顔を出し、あたりを照らし、
はじめてページが明るくなります。
ページをめくった一瞬の、明るさの変化がとてもリアルで美しい。
絵本を読みながら、耳を澄ましたり緊張させたり、
光の変化に感動したり・・・、
他の絵本ではなかなかこんな感覚は得られないと思います。
小さい頃にも読んだ絵本を数十年ぶりに読んだのですが、
当時は気に入ったという記憶はありません。
大人向けの絵本なのかも。

 

(NARIGEさん 30代・パパ 女の子4歳、男の子1歳)

「あそこで綱渡りをしたい!」地上400mの高さで綱渡りをした男の実話

綱渡りの男

ニューヨークでストリート・パフォーマンスをしているフランス人の綱渡り師フィリップ・プティはマンハッタンに建設中の世界貿易センターのツインタワーを見つめていた。あそこで綱渡りをしたい! 今はない世界貿易センターの2棟のビルの間に綱を張り、地上400mの高さで綱渡りをした男の実話。2004年コールデコット賞受賞。

http://www.ehonnavi.net/ehon/8398/%E7%B6%B1%E6%B8%A1%E3%82%8A%E3%81%AE%E7%94%B7/

 

事実に圧倒されます

 

2004年のコールデコット賞受賞作品。
原題は、The Man Who Walked Between the Towers
あの今は無きツインタワーを綱渡りした男の話です。
作者は、同時多発テロでツインタワーが崩れ落ちたとき、フィリップの綱渡りを思い出し絵本制作したとのこと。
9.11事件の記憶覚めやらぬ時の発刊だから、絶賛されたのかと思いきや、さにあらずというのが第一印象です。

 

時は、1974年8月7日。
フランス人の綱渡り師フィリップ・プティは、世界貿易センターの2棟のビルの間に綱を張り、地上約400メートルの高さで綱渡りをしました。
この一部始終を絵本にしたものです。

 

主人公は、ニューヨークでストリート・パフォーマンスをしているフィリップ。
彼は、マンハッタンにそびえ立つ世界貿易センターのツインタワーを見つめ、その建物ではなく、その間にある空間に魅了されたのです。
ロープを張るには絶好の場所だ、あそこで綱渡りをしたいと思ったのです。
直ぐ実行するのが、フィリップの真骨頂であり、それが、この話のポイントの一つです。

 

ロープを張る課程も詳細に記載がありますが、ここら辺りは、小学校高学年でないと理解できないかも知れません。
何と言っても、綱渡りを始めるシーンが圧巻です。
開くと3ページに及ぶシーンは、はるか下に自動車、フェリーやビル群があり、フィリップの周りを旋回するカモメが祝福するかのようです。
別のページには、自由の女神が見えるシーンもありました。
下から市民が見上げるシーンも、開くと3ページになり、その高さに圧倒されること間違いありません。

 

これが事実だと知ると、誰しもが驚愕するに違いなく、純粋にその行為に想いをはせることで楽しむことができる絵本です。
事実に基づき忠実に描いていているので、理解するには小学生にならないと難しい箇所があると思います。
9.11事件に触れた記述はなく、綱渡りのことのみを描いた作品からは、ツインタワーの思い出として、人々を驚嘆させた綱渡りの記憶だけを残したい、という作者の気持ちがストレートに伝わってくる作品でした。

 

ジュンイチさん 40代・パパ 男の子12歳、男の子6歳

実在する中国の絵から着想を得た、迫力の大型絵本

この世でいちばん すばらしい馬

絵師ハン・ガンの描く馬は、あまりに生き生きしているため、絵から飛びだし、生きて動き出す、という噂があった。いくさが都にせまったとき、ひとりの武将がハン・ガンを訪ねて、馬の絵を頼むが…? 幼いころから絵の修業にはげみ、宮廷の絵師となった青年と、青年の絵から生まれて戦場を駆け、いくさの真実を目にした馬の、心にしみる物語。実在する中国の絵から着想を得た、迫力の大型絵本です。2005年ドイツ児童図書賞受賞作! 

 

期待通りの作品

 

「ウェン王子とトラ」がつとに有名なチェン・ジャンホンの作品。
2004年の作品で2008年の邦訳ですから、実は「ウェン王子とトラ」の1年前の作品ということになります。
あの名作の作者の作品なので、期待をもって読みましが、結論からいくと期待通りです。

 

チェン・ジャンホンは、中国生まれでパリ在中。
今回の作品の主人公あるハン・ガンは、1200年前以上の中国に実在した画家ですが、この作品は、ハン・ガンと同じ手法で絹地に墨と絵の具でかいたものです。

 

ハン・ガンは素晴らしい馬の絵で知られていますが、この作品はそれを題材に創作したもの。
ハン・ガンの描く馬の絵は、あまりに生き生きしているんので、生きて絵から飛び出すという噂がありました。
1人の武将が、その噂を聞き、戦のためにこの世で一番、気性が激しく勇敢で力の強い馬を描いてくれと頼みます。
そして、何と馬は絵から飛び出し戦に臨むことになるのです。

 

絵から生きた馬が飛び出すという発想は、日本人に馴染むものなので、ここまでは予測できる内容です。
チェン・ジャンホンが凄いのは、ここから。
その馬が戦いの悲惨さを目の当たりにして、涙を流してからエンディングまでのストーリーは、心の琴線に触れるもの。
見開きで大きく描かれた馬が涙する絵は、圧倒的存在感があって、その悲しみの深さが手にとるように分かるものです。

 

良く構成されたストーリーに加えて、大型絵本の見開きのページを一面に使用した躍動感溢れる絵は、正に絵本の醍醐味と呼ぶに相応しいもの。
年長への読み聞かせ、あるいは、小学校低学年生が読んで欲しい一冊です。
こうした心に残る作品はなかなか出せないものだと思いますが、チェン・ジャンホンの次回作が本当に待ち遠しいです。

 

(ジュンイチさん 40代・パパ 男の子12歳、男の子6歳)

どこへ行っても仲間はいない、ひとりぼっちのおおかみですが…

やっぱりおおかみ

ひとりぼっちのおおかみは、仲間を求めて、ぶたの町、うさぎの町、とさまよいますが、どこへ行っても仲間はいません……。今までの絵本にはない、斬新なテーマに取りくんだ意欲作。

http://www.ehonnavi.net/ehon/2251/%E3%82%84%E3%81%A3%E3%81%B1%E3%82%8A%E3%81%8A%E3%81%8A%E3%81%8B%E3%81%BF/

 

おおかみなんて、もうどこにもいないとみんなは思っていませんか?
でも、本当はいっぴきだけ生き残っていたのです。

 

ひとりぽっちの子どものおおかみは、仲間を探してさまよいます。
うさぎの町、やぎの町、ぶたの町。
だけど、みんなが逃げていきます。
そんな時、おおかみの子は決まって言うのです。

 

「け」。

 

おれに似た子はいないかな、そしたら一緒に楽しく遊ぶのに。
・・・いないんだな。でも、やっぱり・・・。

 

誰もいない町に、一人堂々とたたずむおおかみの子。
真っ黒で表情も見えません。
怖い?それともかわいそう?
私は子どもながらに何だかとってもかっこよく見えたのです。
そして、今でもそれは変わりません。

 

1977年に発売された佐々木マキさんの代表作のひとつ『やっぱりおおかみ』は、年齢を問わず多くの人たちの心をひきつけます。
子どもたちの目にはおおかみはどううつるのでしょう。
「絵本って面白い!」改めてそんな風に思わせてくれた、きっかけの1冊です。

 

(磯崎園子  絵本ナビ編集長)

漫画でもコミックでもない、素晴らしいセンス・オブ・ワンダーに満ちた「文字のない本」

アライバル

世界各国多数の賞を受賞、世界中に衝撃を与えたグラフィック・ノヴェル、ついに刊行! 漫画でもコミックでもない、素晴らしいセンス・オブ・ワンダーに満ちた「文字のない本」。

 

衝撃的!

 

この本は、ちょっとした衝撃でした。
絵だけでこんなに深い表現ができるとは!
クオリティの高いサイレントムービーを観ているようです。
細部までつくり込んだ、創造性豊かな独特の世界観。
この作者のような人を本当のクリエーターというのだろうと思います。
文章が全く無いけれど・・・いえ、たぶん無いからこそ、子どもには難しいようです。
大人向け・・・中学生以上、くらいかな?
小学5年の息子は「意味わかんない」と言っていました。

 

(ふっちさん 40代・ママ 男の子10歳)

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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