vol.1 激辛絵本 『じごくのラーメンや』
許されるなら一日中おいしいものを食べ続けていたい。
可能ならば究極に辛いものをたらふく食べてみたい。
でも、胃腸が弱いのです。すぐにお腹をこわしてしまうのです。
「まるで血の池地獄のように真っ赤なスープの激辛ラーメン」
たまりませんね。本当に美味しいものって地獄と隣合わせなのかも!?
だからテレビで激辛料理を食べる人を見て楽しみます。
平気な顔をして食べる人、汗をだらだら流しながらでも美味しそうに食べる人。
絶対に無理している人を見ると、ああ後で大変な事になるんだろうなあ…と心配してみたり。
どうしてそんなに惹きつけられるのでしょう。(食べられないのに)
そんな事を考えていたら、地獄でラーメンやが繁盛しているという話が入ってきたのです。
なんでも、現状の不満を訴えた人間の声を聞きつけ、閻魔様が一念発起で開いたとか。
もちろん絵本の話です。
ぜんぶ食べたら天国へ行ける !?
真っ赤なスープの激辛ラーメンを見ると、なぜか「地獄」というキーワードが思い浮かびます。
あまりの辛さに悶絶するから?
スープの色が「血の池」を想像させるから?
…いやいや、実際に地獄ではラーメン屋が繁盛しているらしいですよ!?
「天国には美味しいお菓子がいっぱいあるのに、地獄にはなんにもない」
「地獄、大きらい!」
地獄にいる人間たちの不満を聞いた閻魔様。
「なんだとう。てんごくなんかに まけるもんか!」
口惜しがって一念発起。思いついたのが、閻魔様が大好きなラーメン屋。
研究の末に完成したのは、地獄にぴったりなからーいからーい「じごくめいぶつ・ちのいけラーメン」。
ところが、あまりに辛くて誰も食べられない。
そこで、完食できたらご褒美がもらえることになったのですが…?
大繁盛のラーメン屋「えんま軒」、ついには噂を聞きつけた天国からもお客がやってくる展開には驚きです。ラーメンを通じて始まる天国と地獄のやりとり。いったいどんな結末が待っているというのでしょう。
絵本『じごくのラーメンや』の背景に描かれているのは、針の山や火のくるま。恐ろしい鬼たちだってウロウロしています。だって、ここは地獄だから。だけど、どうしても笑ってしまうのはなぜでしょう。
子どもたちが大好きな、思いっきり笑える爆笑地獄絵本です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
強烈です。なにしろ、地獄にいる人間たちを相手に激辛らーめんが大繁盛しているのですから。
お店の後ろでは針の山や火のくるま、本物の血の池に入って苦しんでいる人たちがいます。
こんな苦しい日常を送る人たちでも、やっぱり美味しいものは食べたいのですね。
完食できないほどの激辛ラーメン。まさに地獄と紙一重のグルメを堪能中。
(実は完食したら“ごほうび”がもらえるからなのですが)
もっと驚くのは、天国からもわざわざ地獄のラーメンを食べにくる神様たち。
天国では何不自由なく暮らしているはず。美味しいものだっていくらでもあるはず。
そんな満たされた日常にもピリリと辛い「スパイス」が必要だってことなのでしょうか。
ということで、私と同じく「スパイス」を欲しながらも胃腸の弱い人には、こんな“激辛絵本”がおすすめですね。辛い…
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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