vol.17 美味しそうな彼らのその先は……
外で食事をする時。
一番ワクワクするのは、もしかしたらお店の前のショーケースにずらっと並んだメニューを見る時なのかもしれません。
だって、どの料理も自分が一番美味しそうに見える色と形で並んでいるのです(サンプルですが)。まるで私に訴えかけてきているよう。
「チャームポイントはとろーりとかかったソースです」
「ねぎとたまごとナルトの組みあわせ、最高でしょ?」
「わたしは……ボリュームで勝負です!」
うんうん、そうだね。そうだね。
みんな、いいね。いいよ。美味しそうだよ。
デザートなんて、さらに熾烈なアピール合戦です。
「やっぱりあれでしょ? いちごでしょ?」
「いやいや、ケーキはいろどりよね。」
「見た目はシンプル。だけど、この身体の中の濃厚な味といったら」
……う、困る。そんなにごもっともな主張をされたら。
選べくなってしまうよ。
どの子も魅力的すぎるもの。
だけど。
こんなに魅力的なたべものたちを、にべもなく一刀両断してしまう大会があるのです。ドヤ顔でキラキラした顔で並ぶ彼らを判断するのは、その……なまえ!?
たべものやさん しりとりたいかい かいさいします
ずらりと並んだお店屋さん。「やお八」「もくもくベーカリー」「みなとずし」に「フルーツバスケット」……まだまだ続きます。どうやらみんな、たべもの屋さん。どうしてこんなに大集合をしているかと言えば、お手紙が届いたのです。
「たべものやさん しりとりたいかい かいさいします!」
ルールは簡単、みんなの名前でしりとりをながーーく続けるだけ。優勝チームには……なんでも欲しいものをプレゼント!!これは大変な大会です。
当日の朝、それぞれのお店から続々とたべものたちが集まってきます。どのチームの選手も目がキラキラ、熱気ムンムン、ホカホカでフレッシュ!ああ、これは豪華です。なんてワクワクする光景なのでしょう。なにしろ、まちじゅうのたべもの屋さんのメニューが実物で揃っちゃっているわけですから。
でも、見とれている場合ではありません。いよいよ「たべものやさん しりとりたいかい」の始まりです。
「さいしょは“あ”がつく たべものから はじめます!
どなたかいませんか?」
「はーい!」
出てきたのは……?
さて、この熱気のある大会の様子の続きは絵本でたっぷり楽しんでくださいね。結構、大変なことが起きちゃっているようですよ。
「たべもの」だけで「しりとり」をする。そんな“しばり”のあるテーマで大笑いできる絵本をつくってしまうのは、ご存知シゲタサヤカさん。表紙にもチラッと登場しているイクラくんを見て、すぐにピンときた方も多いかもしれませんね。ママになってから初めて手がけられたというこの作品、安心してください、ユーモアセンスはちっとも丸くなっていません。磨きがかかっています。親子で真剣に楽しんでくださいね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
いやあ、このショーケースの中の彼らの待っているその先の運命を思うと……おもしろくて仕方がありません。だってねえ、こんなにみんな美味しそうなのにねえ。この店の子たちはほとんどみんなねえ……。
新しい楽しみ方を見つけてしまいました。
ふふふ。
シゲタサヤカ「たべもの絵本の世界」
磯崎 園子(絵本ナビ編集長)
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