【ランキング】2021年2月の児童書売上ランキングBEST10は?
今、絵本ナビで売れている児童書は? 話題になっているのはどんな本? なかなか見えづらい児童書の売れ傾向ですが、少しでも旬の情報をお伝えできるよう、1ケ月分のランキングを発表していきます。
さて、2021年2月のランキングにはどんな本が入ったのでしょう? ベスト10はやはりロングセラー作品が目立つようですが、少し入れ替わりもあったようです。今、展覧会開催中(2021年3月時点)の アーノルド・ローベルの作品がいくつか入ったのも目新しいところかもしれません。今回もランキングの後に、2月のおすすめ新刊もご紹介します! 旬の児童書情報をぜひチェックしてみて下さい。
2021年2月の児童書売上ランキングBEST10【2021/2/1~2/28】
第1位は、おなじみ「がまくんとかえるくん」シリーズから『ふたりはともだち』!
みどころ
仲良しのかえる、がまくんとかえるくん。ふたりの間で繰り広げられるのは、濃くて、可笑しくて、ちょっぴり切ない……様々な愛すべきエピソード。アーノルド・ローベルの「がまくんとかえるくん」シリーズは幼年童話の傑作として、子どもから大人まで、たくさんの人たちに40年以上も愛され続けています。
そのシリーズ第1作目が『ふたりはともだち』、5つのお話が収録されています。
春が来たからと大急ぎでがまくんの家に走っていき、「おきなよ!」と大きな声で呼びたてるかえるくん。お日さまがきらきらして、雪も溶け、新しい一年がはじまったかと思うと、いてもたってもいられないのです。ところが、がまくんは布団の中。もう少し寝ていたいのです。11月から眠っているがまくんは「5月半ば頃にまた起こしてくれたまえよ。」なんて言うのです。そこで、かえるくんは……?
がまくんを外に連れ出して遊ぶためなら頭の回転だって早くなるかえるくんと、カレンダーに合わせて簡単に5月だと思い込んでしまうがまくん。最初のお話「はるがきた」で、幼さと可笑しさがたっぷり詰まったふたりのキャラクターを存分に味わうことができます。
続く「おはなし」と「なくしたボタン」では、それぞれのやり方でお互いを思いやっている様子(大いに巻き込みながらね)を、「すいえい」ではちょっぴりブラックな面をのぞかせつつ、思いっきり笑えるエピソードを披露してくれます。
すっかりふたりの世界観に夢中になった頃、登場するのが最後の「おてがみ」です。
悲しそうな顔で玄関にすわっているがまくん。なんでも「もらったことのないお手紙を待つ時間」なんだと言うのです。それを聞いたかえるくんは、がまくんに内緒でお手紙を書くことにします。ところが、配達を頼んだのがかたつむりくんだったので……。
国語の教科書に採用されたことで、今では多くの子どもたちに知られているのがこのお話。いずれ届くことも、その内容までもわかっているお手紙をじっと待つがまくんとかえるくん。その幸せそうな様子に、「手紙」の持つ力を感じずにはいられませんよね。
シリーズ4冊。がまくんとかえるくんのキャラクターを知れば知るほど、どのお話も読み返したくなる珠玉のエピソードばかり。日本では三木卓さんの翻訳で楽しむことができます。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
クリアファイルがついた箱入り4冊セットもおすすめ。
絵の名場面に、楽しく生きるためのコツが添えられた新刊もぜひチェックを!
出版社からの内容紹介
Frog and Toadが誕生して50周年。ふたりの友情の言葉と知恵と、『ふたりはともだち』『ふたりはいっしょ』『ふたりはいつも』『ふたりはきょうも』の4冊の名場面を集めた本です。
第2位は同数で2タイトルが並びました。
何度読んでも面白い! 入学祝いにもおすすめのシリーズ
みどころ
9歳のネートは探偵です。
今日もネートの元に1本の電話が入りました。
仲良しの女の子アニーから、なくなった絵を探してほしいとの依頼です。
すぐにアニーのところへ駆けつけるネート。
まず、アニーの話をじっくり聞き、部屋の中をくまなく調べます。
次に、その絵を見た他の人たちー仲良しのロザモンド、弟のハリー、犬のファングについて丁寧に調査していきます。
はたしてネートは、アニーのなくなった絵を発見することができたのでしょうか。
一見、すぐに解けそうと思わせておきながら、意外になかなか解けないナゾの面白さと、ネートのツボを押さえた探偵ぶりに子どもも(大人も!)たちまち心を掴まれてしまいます。
また9歳という年齢でありながら、どんなナゾが来ても常に落ち着き、周りから頼りにされているネート。子どもたちは、自分と同じぐらいの年齢の子の活躍とカッコよさにたちまち憧れてしまうのではないでしょうか。一方でパンケーキが大好物で、気が付けばいつもパンケーキを食べているところには親しみを感じてしまいますね。
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全17巻のセットも好評販売中!
子どもがはじめて出会う、冒険物語の名作
みどころ
さあ、リュックサックに道具をつめて、エルマーと一緒に冒険の旅に出発しよう!
これは僕の父さん、エルマーが小さかった頃のある冒険のお話です。ある雨の夜、エルマーは、年取ったのらねこから、「どうぶつ島」に捕らえられているかわいそうなりゅうの話を聞きます。りゅうは、空の低いところに浮いていた雲から落っこちてきたちっちゃな子どものりゅうで、ジャングルの猛獣たちに捕まえられて、川を渡るために働かされているというのです。
エルマーは、すぐに助けに行こうと決心します。早速ねこにどうぶつ島のことや、持っていくものを教えてもらい、旅の準備に取り掛かります。エルマーがリュックサックにつめたのは、「チューインガム、ももいろのぼうつきキャンデー二ダース、わゴム一はこ、くろいゴムながぐつ、じしゃくが一つ、はブラシとチューブいりはみがき‥‥‥」などなどたくさんの道具。そして「どうぶつ島」へと繋がる「みかん島」行きの船に忍び込んだエルマーは、六日六晩たってようやく「みかん島」へ。ここで食料のみかんをリュックいっぱいに詰め込んで、夜の間に「どうぶつ島」へと渡ります。
「どうぶつ島」へ着くと、早速りゅうがつながれている川を探しに、気味の悪いジャングルの中を歩いていくエルマー。ジャングルでは、おかしな喋り方をするねずみや、うわさ好きのいのししに出くわしたり、とら、さい、ライオンなど恐ろしい猛獣たちにつぎつぎと出くわします。猛獣たちはたいていお腹をすかせていて、食べられそうになることもしばしば。さてエルマーは、どんな風に猛獣たちの危険をくぐり抜け、どうやってりゅうを助け出すのでしょうか?
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続けて読んでみよう! 新入学のお祝いに全巻セットもおすすめです。
第4位は、同数の売れで4タイトルが並びました。
第4位 『番ねずみのヤカちゃん』
とてつもなく声の大きなヤカちゃんが巻き起こす楽しい騒動!
みどころ
ドドさん夫婦の家の壁と壁のすき間に住む、おかあさんねずみと、四ひきの子ねずみ。そのうち四ひき目は、「やかましやのヤカちゃん」とよばれていました。
どうしてこんな名前がついたかって?
それはね…このヤカちゃん、とてつもなく声が大きかったからなんです。
たとえばこんな風。おかあさんねずみが、ドドさん夫婦に存在を気づかれないよう「けっして音をたててはいけない」と注意している時も「うん、わかったよ、おかあさん」と答える声のなんと大きいこと!他にもおかあさんねずみの注意に対して、全部うんと大きな声で答えるヤカちゃんのお返事の繰り返しが何とも愉快でたまりません。でもお返事のしかたから、ヤカちゃんがとっても素直でまっすぐで良い子だということが伝わってきて、どんどんヤカちゃんを応援したくなってしまいます。けれどもやっぱりその大きな声のせいで、ドドさん夫婦の家にねずみがいることがばれてしまって…。
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第4位 『モモ / 時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子のふしぎな物語』
大きな注目を集めた2020年から引き続き、まだまだ人気が続いています♪
みどころ
赤ちゃんからお年寄りまで、すべての人間が平等に持っている24時間。自分の時間を自由に使えるのは当たり前? でも、もし、あなたの時間が、知らないあいだに盗まれていたとしたら……?
どこからともなくやって来て、町の円形劇場の廃墟に住みついたモモ。みすぼらしい服装に、ぼさぼさの巻き毛をした小さな女の子モモは、豊かな想像力と、特別な力を持っていました。モモに話を聞いてもらうと、ふしぎなことに悩みがたちどころに解決してしまうのです。
ある日、町に灰色の男たちが現われてから、すべてが変わりはじめます。「時間貯蓄銀行」からやって来た彼らの目的は、人間の時間を盗むこと。人々は時間を節約するため、せかせかと生活をするようになり、人生を楽しむことを忘れてしまいます。節約した時間は盗まれているとも知らず……。異変に気づいたモモは、みんなに注意をしようとしますが、灰色の男たちに狙われるはめになります。
不気味で恐ろしい灰色の男たちに、たったひとりで立ち向かうモモ。彼女をひとりぼっちにしようとする時間泥棒たちのずるがしこい作戦の数々! いったいどうなっちゃうの?
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文庫版やギフトにおすすめの愛蔵版も♪
第4位 『ネコのタクシー』
足の速さが自慢のネコが足で走るタクシーってどんなタクシー?
みどころ
ネコ専門動物病院の、キャットドクター!?
異色の経歴を持つ著者が描くのは、タクシードライバーになったネコの物語。
黒くてピカピカのタクシー。
1ポンド硬貨の乗車賃。
ランチのフィッシュ・アンド・チップス。
そう、舞台はイギリス!
主人公のトムは、足の速いのが取り柄のネコ。
港の倉庫で生まれましたが、今ではタクシー運転手であるランスさんの飼いネコです。
ある朝、うっかり階段から落っこちて、ランスさんが足の骨を折ってしまいます。
とてもタクシーを運転することはできません。
そこで、トムはランスさんにこう提案します。
「ぼくにも運転できるタクシーを作ってください。小さなネコのタクシーを。そうすれば、ぼく、仕事をしますから」
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第4位 『ふくろうくん』
アーノルド・ローベルの『ふくろうくん』もベスト10入りしました!
出版社からの内容紹介
おひとよしで、ちょっぴりまがぬけていて、善意あふれるふくろうくんの物語。見事な絵と語り口の、いぶし銀のような絵本です。読みきかせに最適。
第8位 『ふしぎ駄菓子屋銭天堂』
4/上には15巻が発売に! ますます目が離せないドキドキハラハラのシリーズ。
みどころ
「いらっしゃい。ここは銭天堂。幸運をもとめる幸運な人だけが、見つけられる店でござんす。幸運なお客さんのおのぞみは、この紅子さんが、きっとかなえてさしあげましょ」
うたうような節回しでそう申すのは、古銭の柄の入った濃い赤紫色の着物を着て、どっしりと太り、真っ白な髪を結い上げた紅子さん。そう、この本の表紙でこちらをみてほほえんでいる存在感たっぷりの女性が紅子さんです。
心に悩みや望みをもつ6人の主人公たちが、それぞれ銭天堂で手に入れたのは、「型ぬき人魚グミ」「猛獣ビスケット」「ホーンテッドアイス」「釣り鯛焼き」「カリスマボンボン」「クッキングツリー」。その駄菓子を食べた時に主人公たちに起こる何とも奇妙で不思議な体験が、このお話の面白さ。毎回ドキドキハラハラさせられてしまうのは、みんな、説明書をちゃんと読まずに駄菓子を食べてしまうから。
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一気に読みたい!という子どもたちに、12巻セットも好評です。
一軒の駄菓子屋。この店にくる客は、その駄菓子に魅せられ、とりこになり、彼らの運命は、大きく変わることになる。さまざまな欲望をすくいとり、駄菓子に翻弄される人たちを描いて、子どもだけでなく、大人も夢中にさせるシリーズ。
第9位 『とうさんおはなしして』
アーノルド・ローベルのお話がもうひとつランクイン!
出版社からの内容紹介
ねむりたくない子ねずみのために、とうさんは七つのお話をきかせます。ほら話、寓話と内容は多彩で、おおらかなユーモアにあふれています。
第10位 『くもとり山のイノシシびょういん』
かこさとしさんが描く、愉快で頼もしいイノシシ先生のお話
みどころ
絵本作家、かこさとしさんの幼年童話が存在していたなんて!
この本の存在を知った時には、とびきりの宝物が届いたような気持ちでたまらなく嬉しくなりました。
きっと私と同じように感じるかこさんファンの方がたくさんいることでしょう。
くもとり山で小さな病院を営む、ぼうぼうかみの毛のイノシシ先生。
山のけものや鳥たちは、具合が悪くなるとみんな、イノシシ先生のところにやってきます。
まず最初は、たぬきのポンたくんが、お腹が痛いと言って母さんたぬきに連れられてやってきましたよ。
「ふんふん、ポンポがいたかったの。で、夕ごはんは、どんなもの、たべましたか?」
外見はこわめのイノシシ先生ですが、しゃべるととっても優しいお医者さんです。
はじめの質問から食べたものが原因ではなさそうだと分かると、
「きのうは、なにか、うんどうをやったかね?」
「ほう、がくげい会では、なにをしたんだい?」
「ほほう。どんなうた?」
と次々に質問を編み出して、お腹が痛い原因を突きとめてゆきます。
イノシシ先生の素敵なところは、動物たちの話を丁寧にじっくりと聞いていくところや、動物たちの様子をじっくりと観察するところでしょうか。何気ない話をしているようでありながら、ちゃんとつらい症状の原因に繋がっていったり、具合が悪そうなところをあらたに見つけてくれたり。時にはどこか科学のような治療法も出てきて、かこさんらしさが感じられる場面も。
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他、話題となってよく動いた作品(新刊や話題作)もご紹介します。
小学生と、体・心・性について学ぶ頼もしい1冊!
出版社からの内容紹介
小学生のうちに、みんなと考えたい、体・心・性のこと。
知れば知るほど、自分とだれかを守るパワーになる!
本書は、思春期の入り口にいる男の子・女の子が、お互いの体・心・性について、サイエンスの視点から学べる本です。
産婦人科医のサッコ先生こと高橋幸子先生が、科学に裏打ちされ、国際基準に照らした「性」の知識を、わかりやすく教えてくれます。
「いつから教えはじめればいいの?」「なにから教えたらいいの?」と悩んでいる大人のみなさんへ……巻末に、サッコ先生による「大人の方へ」のお手紙も載せています。
◎体と心、性について学ぶ時間は、自分やまわりの人を守る「防犯」と、自分の体を好きな気持ちを育むこと、2つの意味で大切です。
◎思春期の入り口にいる子どもたちへ、そばにいる大人がまず読んで、渡してあげてください!
親子でいっしょに読んでも、子どもがひとりの時間にじっくり読んでも、たのしくポジティブに「性」のことを学べます。
第58回 野間児童文芸賞(2020年11月決定)を受賞した話題作。
出版社からの内容紹介
兄の朔(さく)が1年ぶりに家へと帰ってきた。朔と弟の新(あき)は、一昨年の大晦日、父親の故郷で正月を迎えるために高速バスで仙台に向かい、バスが横転する事故に巻き込まれた。朔は視力を失い、盲学校での生活を送っていたのだ。大晦日に帰省することになったのは、新が母親と衝突したことが原因だった。本来の予定より一日遅れでバスに乗ったのが、運命を変えたのだ。
中学時代、新は長距離走者として注目を浴びていたが、ランナーとしての未来を自ら閉ざし、高校に進学した後も走ることをやめた。
そんな新に、突然、朔が願いを伝える。
「伴走者になってもらいたいんだ、オレの」
激しく抵抗する新だったが、バスの事故に巻き込まれたことへの自責の念もあり、その願いを断ることはできなかった。かくして兄と弟は、1本のロープをにぎり、コースへと踏み出してゆく――。
最後に2021年2月の新刊の中から、おすすめの作品をご紹介します。
2021年2月のおすすめ新刊情報(小学生から中高生向けの新刊です)
秋山朋恵(絵本ナビ 児童書担当)
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