「学校」って何だろう? 日本と世界の学校を知る写真絵本
この春、はじめて入学を迎える子どもたち。学校ってどんなところ? わくわく楽しみでもあり、ちょっぴり不安もあるかもしれません。学校の様子を、ひと足先に親子でのぞいてみてはいかがでしょう。
ご紹介するのは、日本と世界の「学校」を写真で見られる絵本。教室や給食や授業……、それぞれの国の違うところ、同じところを比べてみてください。写真でみると、たくさんの発見や驚きがあります。そして、写真に写っている子どもたちは、どんな気持ちでいるのかな? 楽しくてしかたない顔、授業中のちょっと緊張している顔、ふざけっこしている顔、たくさんのいきいきした表情から想像してみてください。
学校がどんな場所で何のためにあるのか、入学する子どもたちはもちろん、進級する子どもたちにも、改めて考える機会になるのではないかと思います。
日本と世界の学校を見てみよう
日本の小学校
小学校って楽しいところ!
登校、朝の会、国語、算数、休み時間…と、小学校1年生のクラスの1日を追った画期的な絵本!
教室を定点で追う中で、忘れ物したり、いたずらしたり、と楽しいストーリーが展開。学校の1日が分かり、自分の学校とくらべてみても楽しめます
「ここは 1年1組の教室」
朝、子どもたちが登校してきてから教室の様子を、朝の会、1時間目の授業「国語」、2時間目の「生活」、と俯瞰の定点カメラで追っていきます。
子どもたちの会話が吹き出しで書かれていて、にぎやかなおしゃべりを聞いているみたい。眺めているだけで学校での過ごし方と楽しさが伝わってきます。一日中虫かごの虫を気にしている子がいたり、隣の男子の脱ぎ散らかした服をたたんであげている女子がいたり、小さなストーリーが見えてくるのも楽しいポイント。教室にあるものや、1カ月の給食が紹介されているページもあったり、年齢問わずじっくり楽しめて、読んだ後は会話も弾みそうな一冊です。
世界の学校
教室を比べてみよう
世界の教室風景満載
・目の運動は必須科目………シンペイ/ジーユイ(中国)
・朝ごはんも学校で配られます………マリア(ペルー)
・通学は、ヘリコプターで?!………アレクセイ(ロシア連邦)
・4歳の子も6歳の子もいっしょに新入生………マイケル(アイルランド)
・放課後にチェスを教えてくれる学校………イーティン(中国)
・答えは、紙に書かずに洗濯ばさみで………ファニー(ドイツ)などなど
学校のこと、家族のこと、夢中になっていること、
そして将来の夢まで語ってくれました。
世界31ヵ国、42人の子どもたちが、自分の学校生活を紹介してくれます! 校舎や教室も様々。どんな授業があるのか、休み時間の過ごし方も、たくさんの写真で見ることができます。比べてみるとびっくりする違いがあったり、意外な共通点があったり。
給食を比べてみよう
楽しい給食の時間も、のぞいてみるとお国柄がよく見えます。世界の子どもたちの暮らしを紹介する「世界のともだち」シリーズ(偕成社)でも、それぞれの国の学校の様子がたくさん登場していて、子どもたちがどんな風に過ごしているのかが見て取れます。
イギリスの子どもたちの暮らし
ロンドンから電車で40分。ヒッチンという落ちついた街に10才のブルーベルは暮らしています。テーラーで働くお父さん、手芸のとくいなお母さん、笑顔がすてきな弟のアーチーの4人家族。たいそうやかけっこ、ダンスが大好きなブルーベル。家でも外でも、いつもぴょんぴょんと跳びまわっています。 将来友だちになるかもしれない、だれかの毎日。世界36か国で写真家が撮り下ろした、「世界のともだち」シリーズの23巻目。
絵本の主人公ブルーベルが通う小学校のランチは、食堂でのビュッフェスタイル。パンやポテトなどのメニューのほかにも、クッキーやゼリーなどのデザートもあるのだそうです。
韓国の子どもたちの暮らし
韓国・ソウルのサッカースタジアムがある下町で暮らすピョンジュン。放課後は、友だちとの時間や数々の習い事を楽しんでいます。
韓国の下町で暮らすピョンジュンの小学校では、お昼は教室で食べる給食です。毎日出てくるのは、ごはんとキムチ。あとは様々な種類のスープやおかず、というのが基本的なメニューだそうです。
通学路だってこんなにちがう!
朝、「行ってきます」と出かける子どもたち。
その風景だって、実にさまざま!
世界各国の通学風景
世界のさまざまな地域に住む子どもたちは、どうやって学校に通っているのでしょう。
てくてく歩いて?
バスや車に乗って?
学校まで、とても遠い道のりを歩かなくてはならなかったり、
自分の机や、飲み水の入った重いたらいを、運んでいかなければならないこともあります。
自然災害や、川の急流、けわしい山道、高いがけにも負けず、毎日学校へとむかう世界中の子どもたちの写真が収められています。
未来に向かって学ぶ姿
アフガニスタンの山の小学校に通うアクバルくん
アフガニスタンで、山の中の学校に通うアクバルくんは、いつも鉛筆と一緒。
算数、国語…文字や勉強の内容など、違った発見もあるけれど、手をあげようかと悩んだりする姿は、みんな同じ。未来に向かって学ぶ力が伝わってきます。
アフガニスタンで、山の中の学校に通う、アクバルくん。1年生のアクバルくんは、いっしょうけんめい大事な鉛筆で文字や数字を書いています。「学校が大好き。知らないことを知るのが大好き!」というアクバルくんの瞳が写真家・長倉洋海さんのファインダー越しに、読者の心に飛びこんできます。
日本からやってきたランドセルは、宝物。
日本から、使い終わったランドセルをアフガニスタンの子どもたちに贈るプロジェクトがあります。この絵本は、10年以上アフガニスタンに通い、その活動を取材し続けているカメラマン・内堀タケシさんによる写真絵本です。
ランドセルは、学校へ通うときのカバンであることはもちろん、校舎のない野外の授業では机の代わりにもなります。日本から届いたランドセルを手に取った子どもたちの表情、嬉しそうに通学する姿に、「なぜ学校で学ぶのか?」改めて考えさせられます。
絵本の最後にある、内堀タケシさんの言葉を引用します。
学校は、未来へつながる希望だ。
勉強することで、文字を覚え、計算もできるようになる。
文字を読むことができれば、買ってきた薬をいつ、
どのくらい飲めばいいのかがわかる。
(中略)
ぼくが子どものころ、こんなに真剣に
家族や将来のこと、そして命のことを考えたことはなかった。
きみは、どうですか?
いかがでしたか? 学校にいる子どもたちの顔からは「学ぶ」楽しさが伝わってきます。新しいことを知るとうれしくて、失敗したらがっかりして。どこの国の子も同じですね。
子どもたちにとって、これから過ごす「学校」が楽しく実りの多い場所になりますように。
掛川 晶子(絵本ナビ副編集長)
撮影:所 靖子
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