【今週の今日の一冊】小さいものたちが活躍する絵本。3月2日は「ミニの日」♪

2月24日~3月2日までの絵本「今日の一冊」をご紹介
今週は3月2日の「ミニの日」にちなんで、小さいものたちが活躍する世界がのぞける絵本をご紹介します。もし、私たちの知らないところで春がやってくる準備をしてくれていたり、困ったときにそっと助けてくれる小さいものたちがいたとしたら……。そんな楽しい想像を膨らませながら読んでみてくださいね。
2月24日 組み立てと見立てで展開するミニチュアの世界
月曜日は『くみたて』
なんだか見たことあるようなパーツ。
「さあ、くみたてはじめよう」
作業員たちがせっせと組み立てていくと、出来上がったのはやっぱり毎日使うあの日用品! ……のはずが、ちょっと様子が違うみたい。登場するのは巨大なせんたくばさみや歯ブラシ、メガネやセロテープまで。出来上がってみると、思いもよらない使われ方をしている。ブランコに街頭にプール!? だけど、不思議にしっくりきているし、住人たちも楽しそう。
「くみたて」と「みたて」で繰り広げられるミニチュアの世界。海外でも大人気のミニチュア写真家・見立て作家田中達也さんによる初めての絵本です。もちろん、小さいのは作業員たちの方。彼らの手にかかれば、見慣れた日用品の質感や形や感触が、新鮮でワクワクするものに見えてくる。この驚きが「見立て」のおもしろさ。さらに分解大好き、組み立て大好きな人たちもまとめて。びっくりしたり、真似してみたり、さらにアイデアを広げながら楽しんでみてくださいね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
読者レビューより
表紙から、巧妙なミニチュアに魅せられます。
題名にも暗示が。
「組み立て」と「見立て」ということのようですね。
日常用品の数々を組み立てる様子を、ミニチュアの人形たちが組み立てる様子のドキュメント。
モノづくりのワクワク感と達成感はもちろんのこと、
ミニチュアの世界ならではの、完成品の活用法が素敵です。
歯ブラシを作る際、二つ折りで植えていく、これも新鮮でしょう。
歯ブラシを街灯に「見立て」るなんて、すごいすごい。
もちろん、どんどんスケールは大きくなって。
究極は、この絵本!?
製本の工程も垣間見えるのも、醍醐味です。
子どもたちの想像力を刺激してくれますね。
(レイラさん 50代・ママ)
2月25日 いちごを色づかせる小さなおばあさんを知ってる?
火曜日は『いちごばたけのちいさなおばあさん』
いちご畑の土の中に住んでいる小さなおばあさんの仕事は、いちごに赤い色をつけることでした。ある年、春はまだなのに暖かくなって花が咲きはじめたので、おばあさんは大忙し。地中の奥深くから水を汲みあげてお日さまの光を混ぜ、石の粉を入れて赤い水を作ると、せっせといちごの実を染めていきましたが、雪が降ってきて……。身近な自然の不思議を感じさせるファンタジーです。
読者レビューより
この絵本。覚えています。私が子どもだった頃、読んだ記憶があります。あまりにもこの絵本の記憶が強いので”まだ苺赤くならないねぇ”という声を聞けば”あぁ、まだおばあさんが苺を赤く塗ってないからだ”と思うほどでした。絵本が引きつける力はとても大きいと思います。とにかく苺が好きなので見つけて嬉しくなりました。娘に読み聞かせをして中を見たとたん”あっ”と昔の記憶がよみがえり、またまた嬉しくなりました。娘も私と同様“苺を赤く塗るおばあさん”を大人になってからも思い出すのかな。と想像しました。イチゴを食べたくなりました。水彩画のタッチも好きです。
(なびころさん 20代・ママ 女の子 3ケ月)
2月26日 さあ、しごとだ。 しゅっぱーつ!
水曜日は『おたすけこびととおべんとう』
人気の定番ロングセラー
「おたすけこびと」シリーズ、第7巻!
こびとたちが、働く車をつかって、
人間にたのまれた仕事をみごとにはたします。
累計32万部、ヨーロッパやアジアでも、
人気のシリーズです。
あさ、お父さんがおたすけこびとに
電話をかけました。
「たんぽぽ島」にピクニックにいった子どもに、
おべんとうをとどけてほしい、というのです。
こびとたちは、おべんとうと、働く車を
フェリーにつみこんで、
島をめざして、船出しました。
ところが……?
読者レビューより
エプロン姿でお弁当を作ったと思しきパパの姿に私は釘付けでしたが笑、寝ても覚めても「はたらくくるまラブ」の2歳児は、先を読み進めたくて「はやく!つぎ!」と、大興奮の絵本でした。
遠足にお弁当を忘れるなんて、一大事!
でも、こんなふうに、こびとさんたちに、こっそり(?)お届けしてもらえたら、クラスのスターになれそうな気もします。
草ぼうぼうの道を切り開きながら進む重機に息子は釘付け。草むらを旋回するトンボも、息子には「へりぽくたー!(ヘリコプター)」に見えていたようで、そうか、そのトンボサイズの重機が懸命に働いているのか、と私も妙に感動してしまいました。
ロードローラーや、ショベルカーなど、名前の分かる車に混ざって、先がハサミのようになっている謎の重機がちょいちょい現れて、「おかあしゃん!これはなに!!!」と指さし詰問してくる息子に私もたじたじ(調べました)。
徹底的に緻密に描かれている重機と、その一方で愛らしく働くこびとさんのキュートな姿とのギャップがすごい。なるほど重機好きキッズのハートをこのように射貫くのね、とその専門性に圧倒されながら、楽しく読みました。
おたすけこびとシリーズ、息子の愛読書になる予感です。
(カオリンゴカモシレナイさん 40代・ママ 男の子8歳、男の子2歳)
「おたすけこびと」シリーズ
2月27日 妖精がつなぐママと男の子の心の交流
木曜日は『真夜中のちいさなようせい』
ある真夏の日、熱を出して寝ている男の子。そばではママがつきっきりで看病をしています。ママが疲れてうとうとしはじめたその時、男の子の枕元から聞こえてくる小さな声に、目を覚まします。
「ん? マ……マ……」
ところが、そこにいるのは小さな小さな妖精たち。手のひらに乗るほどの彼女たちが、ママの代わりに看病をしてくれているのです。そして、隣で寝入っているママを見つけて、
「しばらく あわないうちに すっかり ママらしくなって」
なんて言うのです。ママのことを知ってるの? すると妖精たちは、ママが小さかった頃に一緒に遊んだ思い出を話してくれて……。
ママと男の子の心の交流を、妖精を通してあたたかく描き出すこの絵本。まずなんと言っても最初に目を引くのは、可愛らしい小花模様のチマチョゴリに身を包んだ女の子が描かれた表紙の絵。作者は伝統的な技法を現代的にアレンジしながら、デザイン的に優れた作品を発表し韓国で高い人気をほこる画家、シン・ソンミさん。美しく気品あふれる画面と、ファンタジー要素たっぷりに描かれる妖精たちとの組み合わせは、一度見たら忘れられないほど魅力的。独特の世界観を生み出しています。
妖精たちの姿というのは、子どもにしか見えないのでしょうか。大人になると、その存在すら忘れてしまうのでしょうか。また再び出会うことができれば……。小さな花のゆびわをきっかけに、妖精たちのことを思い出したママの様子を見ながら、そんな希望をほのかに抱いてしまうのです。
妖精たちの前では、ママも息子もおんなじ子ども。親子それぞれの記憶に残っていきそうなこの一冊。思い出した時に、またそっと開きたくなるのでしょうね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
読者レビューより
熱をだした男の子と、看病するお母さんがいます。
疲れて眠ってしまったお母さんと、現れた小さな妖精たち。
東洋画を学んだという、著者の写実的で日本画を思い起こすような世界に魅了されてしまいました。
母と子の関係が、男の子と同年代に若がえった姉と弟載っているくらいが関係に変わって、一緒に遊ぶ、不思議なシーンに、ノスタルジックなファンタジーを感じました。
(ヒラP21さん 70代以上・その他の方)
2月28日 出会うもの、なんでもおうちにしちゃいます
読者レビューより
こびととりすが旅をしながらおうちを作っていきます。どのおうちもかわいくて楽しそうです。娘はページをめくりながらも何度も前に戻って絵を確認したりしながら読み進めていました。じっくりと絵を楽しむ絵本だなと感じました。ミニチュアやお人形遊びが好きな子は好きな世界だと思います。
(ouchijikanさん 40代・ママ 女の子8歳)
3月1日 「よし、ここに たねを うえよう」
土曜日は『じっちょりんのあるくみち』
なんだかすごくおもしろい絵本を見つけてしまいました。
なんたって最初の場面で主人公達は見つけることのできない位の小ささで登場するのです。
その主人公とは団地のすみに住んでいる「じっちょりん」の家族です。じっちょりんは花びらや葉っぱを食べるけど、種だけは食べないでとっておきます。なんと、コンクリートの隙間や電信柱の根本などにせっせと植えに行くのです!ああ、散歩の途中、あんなところに、こんなところにそっと咲いていた雑草を楽しめるのはじっちょりんのおかげだったのですね。
作者のかとうあじゅさんはこの作品がデビュー作なのだそうですが、ユーモラスなじっちょりん一家の可愛らしさと、あっと驚くスケール感、そして愛にあふれた植物描写などなどに、すでにじっちょりんワールドのとりことなってしまいました。今度のお散歩は細かく細かく色んなところを覗いてしまうに違いありません。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
読者レビューより
「じっちょりん」という聞き慣れない言葉(名前?)に、
思わず惹き付けられてしまいました。
じっちょりんとは、花びらや葉っぱ、花粉や蜜を食べて生きている
小さな生き物のようです。でも、種だけは食べないんですね。
種を集めて、いろんな場所に種まきをしている姿に、思わず
ほっこりとしてしまいました。時々、「なんでこんなところに!?」
というような場所に植物が植わっていることがあるのですが、
なるほど、「じっちょりん」の仕業だったんだと思ったら、
納得してしまうのは私だけではないはず(笑)
じっちょりんを見たことがないのは、きっと彼らが隠れるのが得意だからなんでしょう。
彼らが植えているのは、ハルジオンやカタバミといった、いわゆる雑草と
呼ばれるような植物の種なのですが、決してメインにはなれないけれど、
たとえ誰も目に留めないような場所であっても、心をほっこりさせてくれる
小さな花を咲かせてくれているんですよね。
私は道ばたに咲いているそんな雑草が大好きなのですが、こんな風に雑草に
着目してくれたこの絵本に感謝、感謝です。
描かれた雑草の名前もちゃんと明記されているのが嬉しいですね。
じっちょりんは、本当に存在しているんじゃないかって思わせてくれる、
想像力をかき立てられるような、素敵な一冊だと思います。
(どんぐりぼうやさん 30代・ママ 男の子9歳)
「じっちょりん」シリーズ
3月2日 色紙で作ったおひなさまが、風にとばされて…
日曜日は『のはらのひなまつり-桃の節句-』
色紙で作ったともこのおひなさまが、風にとばされてたんぽぽのはらの動物たちのところへ。人間も動物もひとつになれる幼児の遊びの世界で、ひなまつりの楽しい情景をいきいきと伝えます。たんぽぽびなの作り方付。
読者レビューより
ともこちゃんがつくったお内裏様とお雛様が、自然界と人間とを結ぶ橋渡しとなり、自然と人とが融合する。たんぽぽ雛がとても愛らしい。春の訪れを感じさせてくれたり、春を待ち侘びる心タンポポの花を心の中にポッと咲かせてくれる絵本です。ひなまつりとタンポポの時季が合致すれば最高なのですが、なかなか現実的には厳しいので、せめて絵本の中でひなまつりと春の訪れを楽しんでいます。
(ぼんぬさん 40代・ママ 女の子2歳)
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選書・文:秋山朋恵(絵本ナビ副編集長)
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