【今週の今日の一冊】花の絵本

3月10日~3月16日までの絵本「今日の一冊」をご紹介
花を贈ったりもらったりが増える3月は、花が活躍する時期ですね。また、色とりどりの花が咲きほこる春の景色が待ち遠しい時期でもあります。花を贈るような気持ちで、美しい花が描かれた絵本を贈ってみたり、春を待ちながら花の絵本を眺めてみませんか。また今週は、3月11日に東日本大震災から14年目を迎えます。花の中でも、「ひまわり」は復興のシンボルともなり、震災の記憶を繋ぐ祈りが込められた絵本も出版されています。今週は、さまざまな思いを胸にめぐらせながら読みたい花の絵本をお届けします。
3月10日 チューリップが花を咲かせるまでの生命の営み
月曜日は『チューリップ』
チューリップの成長がわかる科学絵本
自然観察の絵本で評価の高い荒井真紀さんの新刊『チューリップ』。
チューリップは、小学校でも授業の一環で、球根を植えて自然観察をしますので、子どもたちにとても身近な植物です。
春かわいらしい花を咲かせているのを見て、植えようと思っても、遅すぎます。秋に球根を植えて、じーっと待たないと花を咲かせることはできません。では、球根は、地面の中で、どのように変化しているのでしょうか? どのように冬を越すのでしょうか? 土の中の出来事は、ほとんど見ることができませんが、細かに表現されたイラストでのぞいてみましょう。小さな目が成長するさまや、花が咲いた後の変化は、地上とは、違った生命の営みを感じられます。
お子さまといっしょに自然観察をする際にも、最適な一冊です。
読者レビューより
家の庭に、初めてチューリップを植えました。これまでは、咲いている花を買ってきて植え替えて…としていたのですが、秋に球根がたくさん売られているのをみて、挑戦してみようと思ってチューリップとヒヤシンスを植えました。芽が出るまでは本当に咲くかな?と思っていましたが、この本を読んで、寒さの中でも一生懸命成長していたんだなと感動しました。花好きな6歳娘は、今咲いてるチューリップから新しい球根をとりたい!とはりきっているので、それもまた挑戦してみたいと思いました。
(ままmamaママさん 30代・ママ 女の子10歳、女の子6歳、男の子4歳、女の子1歳)
3月11日 東日本大震災から14年。あの日をわすれない
火曜日は『ひまわりの おか』
6月のはじめ、
「おかの上の花だんに、ひまわりをうえようよ!」
そう言ったのは、愛ちゃんのお母さん。
愛ちゃんは2011年3月の東日本大震災による津波により命を落としてしまいました。
小学校6年生でした。
「ひまわりが咲いたら きっと喜ぶよ」
やがて、小石だらけの土から、小さな芽が顔をだして・・・
お母さんたちは、ひまわりの世話をしながら、子どもたちのことを話すのです。
宮城県石巻市立大川小学校は、74人の子どもたちと10人の先生の命が亡くなり行方不明となるという悲劇がおこりました。
ドキュメンタリーを撮るために現地へ行っていた作家・葉方丹さんは、新聞で大川小学校の児童のお母さんたちがひまわりを育てていることを知ります。そこでひまわりを丹念に世話をする姿を見ているうちに「絵本になればいいな」と思ったのだそうです。
葉方さんに託されたお母さんたちからの手紙には、子どもたちへの果てしない愛情が込められたメッセージが詰まっていました。松成真理子さんも現地へ赴き、お母さんがたの話に耳を傾け、絵本をつくりあげていったそうです。
もちろん涙で絵本が読めなくなることもあるけれど・・・
その愛らしい子どもたちは確かにそこで笑っています。優しいお母さんたちの心の中でずっと生きています。たくましく育ったひまわりの花はそんなお母さんたちの愛情を受けとった子どもたちのよう。
私たちはその子たち一人ひとりの事を想い、その子のお母さんのことを想います。
そうやって、みんながこの絵本を読みながら想うことで、子どもたちは絵本の中でずっと元気に遊んでいられるのかもしれません。
【この絵本の売り上げの一部は、被災地復興などのため寄付されるそうです。】
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
読者レビューより
2011年3月11日、津波により宮城県石巻市立大川小学校は、74人の子どもたちと10人の先生の命を奪うという悲劇がおこりました。ドキュメンタリーを撮るために現地へ行っていた作者は、ひまわりを育てている児童のお母さんたちに出会い、この絵本が誕生しました。
作者に託されたお母さんたちの手紙は、子どもたちへ果てしない愛情が込められたメッセージでした。絵者の松成真理子さんも現地へ赴いたとのことです。どのページにもまぶしいほどの笑顔の子どもたちが描かれていて、生前の子どもたちの様子や言葉が紹介されていています
そのすべてが前向きで希望に満ち溢れていて、熱い思いがこみ上げてくることを押さえることができません・・・
お母さんたちの心の中で、子どもたちがみんな生きているんだと感じます
尊い多くの命が失われた大震災を私たちは決して忘れてはいけないのです
日々その方々の分も一生懸命「生きる」ことをやめてはいけないのです
人生の応援歌のようにも聞こえてくる「ひまわりのような子どもの笑顔」が全国のお母さんたちに声援を贈っているようです
がんばれ!がんばれって・・・・
(風の秋桜さん 40代・その他の方)
3月12日 「たんぽぽのはら ぽかぽかのはら」
読者レビューより
たんぽぽがたくさん咲くのはらに、ミツバチやとかげ、すずめそしてよちよち歩きの赤ちゃんがやってきます。みつをすったり綿毛を飛ばしたり。それぞれがたんぽぽと上手に触れ合う様子がやさしく描かれます。
柔らかな色合いの版画絵で、とてもおしゃれです。
「あかちゃんのおさんぽえほん みじかないきもの」シリーズとして他にも何冊かあるようなので、そちらも読んでみたいです。
(クッチーナママさん 40代・ママ 女の子20歳、女の子17歳、男の子14歳)
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3月13日 きょうも森のみんなにえがおをとどけよう
木曜日は『もりのはなやさん』
「もりのえほん」シリーズ第4弾は、花のことばがわかる、おおかみさんの物語です。
おおかみさんは、花のことばがわかる森の花屋さん。毎日花たちと、森の動物たちに笑顔を届けたいねと話しています。そんなおおかみさんのお店には、たくさんの動物たちがやってきて、思い思いに花を買っていきます。ある日、おおかみさんは花の配達へ行きました。うさぎさんがパーティーのコサージュ用に黄色のチューリップを注文していたのです。ところがうさぎさんはケガをして、すっかり落ち込んでいました。そこでおおかみさんとチューリップは、あることを思いつきました。どんなことでしょう?
「花には誰かを幸せにする力がある―」「誰かを幸せにすることが自分の幸せにも繋がっている―」そんなことを感じさせてくれる、ふくざわゆみこさんの心温まる物語。
*** 『もりのはやなやさん』の見どころ ***
■どの巻にもさり気なく同じ動物たちや場所が登場し、物語の世界がどんどん広がりを見せます。どこに誰が描かれているか探してみてくださいね。
■一筆一筆ていねいに描かれた動物たちや草花も、物語をふくよかなものにしています。
■ホテルで繰りひろげられる、森の動物たちのパーティーも見どころです。
読者の声より
素敵な世界観のふくざわゆみこさんが紡ぐもりのはなやさん、
店主がおおかみさんというのが新鮮です。
もちろん、とても素敵な心根のキャラクターで、
しかも、花のことばがわかるんですって。
花のことば、確かに新視点です。
そして、おおかみさん以外にはわからないようですが、
ほら、ちゃんと伝わっているのが素敵です。
チューリップが、「えがおって うつるんだよ」と語りつつ、
巧みにゼスチャー。
気落ちしていたうさぎさんも、笑顔に。
かくして、ダンスパーティー会場へ。
お、このもりのホテルって…。
花いっぱいの展開に、生花だけでない楽しみも。
落ち着いた店主ならではの展開に、拍手!
(レイラさん 50代・じいじ・ばあば 女の子1歳、女の子0歳)
3月14日 大好きなバラ、どうやって育てる?
金曜日は『レイチェルのバラ』
レイチェルの家に、おばあちゃんがあそびにきました。レイチェルへのプレゼントは、バラの花たばです。ママにいけかたをおしえてもらって、毎日大切に見守ります。ところがある朝、花びんがなくなっていて…。
読者の声より
おばあさんにプレゼントされたバラをとても気に入ったレイチェル。
でも切花ですから、当然枯れてしまいます。
それをとても悲しんだレイチェルのために、お母さんはバラの苗木を買ってくれました。
レイチェルはその苗木を窓の下に植え、とても大切に育てます。
へなちょこガーデナーの私は、手間のかかりそうなバラはずっと避けてきましたが、レイチェルのバラに対する思いや喜びに触れて、挑戦してみたい気持ちになってしまいました。
バーナデット・ワッツさんの絵がとても素敵で、バラ好きの方へのプレゼントにしたら喜ばれそうです。
(オパーサンさん 30代・ママ 女の子4歳、女の子2歳)
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3月15日 月が紫色にかがやく特別な夜に…
土曜日は『はるとスミレ』
はるちゃんは植物が大好き。毎日、庭で花や草木を眺めて過ごします。今日は1番好きなスミレの花を鉢に植え替えて、部屋に持ちかえりました。これでずっと一緒にいられます。
今夜は月が紫色にかがやく特別な夜。月の光が、部屋の中も紫色に照らしだします。すると……鉢に植えられていたスミレの花がむくむくと動きだし、「はるちゃん、遊びましょう」。
さあ、夜のお散歩のはじまりはじまり。
植物たちは根っこで対話している。身近な自然の中の不思議な営みを、ファンタジックな世界観で子どもたちに優しく伝えます。はるとスミレに誘われて読みすすめるうちに、気づけば植物たちの声に囲まれているような、そんな感覚を覚えます。
リソグラフの手法を用いて、瑞々しくグラフィカルに描かれた画面も魅力的です。
読者レビューより
はるは お花が大好きです 春に生まれたのでお母さん「はる」と名前を付けたのもいいね~
ちょうど 我が家にも スミレの花が咲いたので嬉しく思いました 私もスミレの花が大好きです とても可憐な優しい花です
はるちゃんは 満月の夜 スミレの花に誘われて散歩に出かけて 不思議な体験をしました
お花たちがお話するのを聞いたのです 土の中で根っこでおしゃべりするなんて
なんてロマンチックな体験をしたのでしょうね!
はだしで歩いて 土の上に寝っ転がって 花や草の声が聞けるなんて 牧野富太郎さんも そうして 話していたのでしょうね!
とても優しくステキなお話でした
(にぎりすしさん 60代・その他の方)
3月16日 春の庭にどんな花を咲かせる?
読者レビューより
前田 まゆみさんの絵本が好きで、「野の花えほん」も何度も読みました。
この「庭に咲く花えほん」も子どもたちがよく見る身近な花を紹介しているので、子どもたちも実物と結び付けやすかったと思います。
花の咲き方も様々な言い方があり、よく似た花との違いもあったり、知らないこともあり、勉強になりました。
時間があるとき、ふっと読めるのも癒されてよかったです。
(まことあつさん 30代・ママ 男の子6歳、男の子4歳)
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選書・文:秋山朋恵(絵本ナビ副編集長)
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