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未来の今日の一冊 ~今週はどんな1週間?~

【今週の今日の一冊】たくさんのはじめてを応援!!ドキドキの緊張や心配が軽くなる本特集

4月も2週目に突入! 今週は、いよいよ入園式や入学式が行われる時期ですね。4月から入園する子どもたちや親御さんは、園の慣らし保育も頑張っているころでしょうか。誰にでもさまざまな節目に訪れる「はじめて」のこと。「はじめて」に向かう時には、やっぱり不安でドキドキしたり、緊張したりするものですよね。そんなわが子を見守る親御さんだって大変な時期ではないかと思います。
そこで今週は、「はじめてを応援」をテーマに、最初の緊張や心配の気持ちが軽くなるような本をご紹介します。
 

4月7日~4月13日までの絵本「今日の一冊」をご紹介

4月7日 「ほっとけ ほっとけ ほっとけーきの……」

月曜日は『げんきだしていこう! のおまじない』

げんきだしていこう! のおまじない

自分を勇気づけたり元気になりたいとき、みなさんはどうするでしょうか?ゆっくり寝る、おいしいものを食べる、お笑い番組を見るなど、人によっていろいろありそうですが、実は「おまじない」という、ちょっといい方法があるんです。

「ほっとけ、ほっとけ、ほっとけーきのふとんが ふっとんだー」

このへんてこなおまじないは、ねこがあーちゃんに教えてくれたおまじない。大きな声で唱えれば、恥ずかしいのも、嫌な気分も、心配事も、みーんなどこかへふっとんでしまうのです。あーちゃんのお兄ちゃんが、野球の試合でヒットを打てるか心配しています。ねことあーちゃんはお兄ちゃんにこのおまじないを教えました。

『おばけかぞくのいちにち』(福音館書店)などが大人気の西平あかねさん。本作は、大人も楽しめる、ユーモアあふれる絵童話に仕上がっています。読めばほっこり、元気になれるおはなし。ポジティブな言葉は気持ちを明るくしてくれます。さあ、子どもも大人も、「げんきだしていこう!」ではありませんか。

(出合聡美  絵本ナビライター)

https://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=187428
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読者の声より

前向きなタイトルにひかれて、よんでみました。おまじないって、その場でできるからいいですよね。しかも、そのおまじないがおもしろい。ほっこりしていて、楽しい気分になれる素敵なおまじないだなあと。子どもだけでなく、大人にもよさそうです。
(あんじゅじゅさん 50代・その他の方)

4月8日 こたろうくん、がんばれ!

火曜日は『おむかえ』

おむかえ

あら、保育園の玄関で思いっきり泣いている子は誰でしょう。
こたろうくんです。
こたろうくんは、保育園に入ったばかり。朝、おかあさんとバイバイするのがつらいのです。
だって、おかあさんが大好きなんです。おかあさんじゃなきゃダメなんです。

こたろうくんの様子を見て、ドキンとしてしまう方もいるかもしれませんね。
自分の子も、保育園にあずけた後に泣いているかもしれない・・・。

でも、ゆきこ先生はこたろうくんの気持ちをちゃんとわかっています。
無理に泣き止めさせることはしません。
おもちゃでちょっかいを出してみると、ちょっと笑いかけたこたろうくん。
でも、顔をあげたらおかあさんじゃありません。
またまた泣き出してしまいます。

お昼寝の時間、こたろうくんはおかあさんの夢を見ました。
「こたろうくんはえらいね。おかあさんが仕事に行っている間、ちゃーんと待っていられるんだもの」
夢の中のおかあさんはたくさんほめてくれます。すると、こたろうくんは・・・。

昼間は元気に園庭で走り回っている子どもたちだって、
おむかえを待つ小さな子どもたちの心には、いつだってちょっぴり不安があります。
だけど、おかあさんが大好きだから頑張れるんですよね。

そんな園児の心の変化を、ひがしちからさんが優しい眼差しで描き出します。
おかあさんやゆきこ先生の表情、楽しそうに過ごすまわりの子どもたち、賑やかな部屋、美味しそうなおやつ。そんな風景からも、こたろうくんを包み込む空気を感じて嬉しくなります。
(磯崎園子  絵本ナビ編集長)

https://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=106881
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読者の声より

もうすぐ3歳になる娘に読みました。

保育園に通っている娘、こたろうくんの気持ちがよくわかるようで、泣いているね、先生やさしいね、と場面場面の感想を言いながらずっと読んでいます。

こたろうくんの気持ちの変化、小さいながら頑張ろうとする気持ちがとてもよく表現されている絵本です。
保育園に預けているママが読んだら切なくなるんじゃないでしょうか。

娘はママがおむかえにくるシーンでは、ママきたーーーととてもうれしそうにしています。
それだけママの存在は大事ということに改めて気づかされた絵本でした。
(セナのママさん 30代・ママ 女の子2歳)

4月9日 すべての園児に送る応援歌

水曜日は『ようちえんいやや』

ようちえんいやや

「ようちえん いくの いやや、いやや、いややー」
とにかくみんな、よく泣いております。
たけしくんが、まなちゃんが、つばさくんが・・・朝から全身で「いややー!」。
よくある光景、とひとくくりにしてしまうのは簡単だけど、どうやらみんな、それぞれ立派な理由があるみたい。
イスのマークが気に入らなかったり、いちごが好きなのに「ももぐみ」なのがいやだったり。
すごく可愛らしいけど、本人たちにとっては深刻な問題。(とりあえず今日のところは、ね。)
「あぁ、わかるわかる」「私も一緒!」「うちの子が泣いているのも、もしかして?」
なんて、全ての世代の共感を得てしまうのは長谷川義史さんが子どもたちの気持ちを代弁してくれるから。油断していると、最後のページで泣かされてしまいますよ(笑)。
ユーモアと優しさにあふれたこの絵本、親子で元気をもらって、いってらっしゃーい!

(磯崎園子  絵本ナビ編集長)

読者の声より

表紙で泣いている男の子から伝わってくる、
ほとばしるようなエネルギーに呼ばれて、
卒園ほやほやの息子と一緒に読みました。

「ようちえんいくのいややー」と豪快に泣いている子ども。
「なんでいやなのかな・・・」
ページをめくると、園児さんならではのなるほど!な理由が次々と。
私の気にいったのは「まなちゃん」。
「いちごがすきやのに ももぐみだからいややー」
こだわりの強い2、3歳の頃が思い出されて、吹き出してしまいました。
あぁ、あの頃こんな風に笑い飛ばせる余裕があったら良かったな。

お兄ちゃんがいたおかげか、泣かずに幼稚園に通った息子ですが
がっつり入り込んで見ていました。
もしかしたら泣かずにいる子だって
いろんな思いを抱えて幼稚園に通っているのでしょうね。
この絵本に登場する子ども達は、集団の場で感じる不安、戸惑い、違和感を
見事に言葉にしてくれていて、なんだか心強い気さえしてきます。
そして「いややー」の一番の理由は・・・。
お母さんにはたまらないオチです。

最後のページがまた印象的。
そうそう、朝泣いていた子は、ずっと泣き続ける訳じゃなくて
しばらくすると、意外と楽しく過ごしているものですよね。

園児さんはもちろん、お母さんにおすすめです!
(ランタナさん 40代・ママ 男の子8歳、男の子6歳)

4月10日 不安を少しずつ乗り越えて……

木曜日は『がっこうのてんこちゃん はじめてばかりでどうしよう! の巻』

がっこうのてんこちゃん はじめてばかりでどうしよう! の巻

きょうから学校がはじまります。はじめてのことが苦手な、テンのてんこちゃんはドキドキしながら学校へいきます。クラスは全員で10ぴき。てんこちゃんは、自己紹介で緊張しすぎてしまい……。他に、お弁当や遠足のお話など全5話。はじめての学校で、誰もが経験する不安を少しずつ乗り越えていく姿を描いた本書は子どもたちの心に寄り添うことでしょう。ユーモラスな絵と文が一体化して読みやすく自分で読むファーストブックに!

  

https://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=180968
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4月11日 ちょっとドキドキの、あたたかな1日。

金曜日は『ぞうくんはいちねんせい』

ぞうくんはいちねんせい

「いってきまーす!」

ぞうくんは、今日から小学一年生。初めての学校へ元気に向かう……はずだったのに。ともだちできるかな、先生ってこわいのかな、勉強ってむずかしいのかな。明日も学校行くのかな。不安な気持ちでいっぱいです。

教室には色々な子がいます。隣の席は、コトコちゃん。人間の女の子です。緊張したぞうくんは、挨拶に失敗したり、ペンギンの先生に「おかあさん」と呼んでしまったり、忘れものをしちゃったり。ドキドキの連続です。でも、休み時間にコトコちゃんやみんなと一緒に遊んだあとは、ゾウくんもすっかり元気。長かった一日も終わりです。

「さようなら。みんな またあした ね!」

ながしまひろみさんがこの絵本で描いているのは、日常のふとしたやり取りや、ちょっとおかしな出来事。なんでもないような愛らしい場面ばかりだけれど、なにしろ今日は、みんなにとっても初めてだらけの日。ちょっぴり硬い表情も、声を出したり、体を動かしたり、誰かと会話をするうちに、だんだんとリラックスしていく様子が伝わってきます。この微笑ましくも大切な一日を、コマ割りの画面や見開きいっぱいのにぎやかな画面で、何度でも味わってくださいね。

(磯崎園子  絵本ナビ編集長)

https://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=248467
https://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=248467
https://www.ehonnavi.net/specialcontents/contents.asp?id=2400 ちょっとドキドキの、あたたかな1日。『ぞうくんはいちねんせい』【NEXTプラチナブック】

読者の声より

初めて学校に行くぞうくんのおはなし。
隣の子はどんな子かな?とちょっと不安になったり、先生を「おかあさん」と間違えて呼んでしまったり、忘れ物をしたり。どれも身に覚えのあることなので、共感できました。
ながしまひろみさんのお洒落でかわいらしいイラストが和みます。ほっこりするおはなしでした。
(クッチーナママさん 40代・ママ 女の子19歳、女の子16歳、男の子14歳)

4月12日 はじめて出会う人に、自分をよく見せたいけれど……

土曜日は『やまねこのこんにちは』

やまねこのこんにちは

 

はじめて出会う人に自分のことをよく見せたい。そんな風に思ったことはありませんか?

「なんといっても さいしょが かんじん。」
森の奥の小さな家に引っ越してきたやまねこは、ご近所さんにかける最初のあいさつを考えながら野原へ続く道を歩いていきます。すると近くに住む動物たちが、あきちに集まっていました。「よし、こんにちはって いうぞ」と思ったその時、みんなが自分のうわさ話をしていることに気づきます。

「ひっこしてきたのが おしゃれな こ だったら いいな。」それを聞いたやまねこはあわてて家に帰り、特別立派な上着に着替えます。そしていざ挨拶をしに出て行こうとすると今度は、「おしゃれも いいけど、ものしりな こだと いいなあ。」という声が。外見はなんとかなっても急にものしりになるのは大変ですよね。やまねこはどうしたのでしょう。その後も次々と動物たちが話す自分への期待に応えようと頑張り、なかなか挨拶できないやまねこ。そのうちちょっとした事件が起きて……。

やまねこは無事にみんなと仲良くなれたのでしょうか。お友達になるまでは、お互いにどんな子なんだろう?なんて気になってドキドキの連続。けれども、いざ話してしまえば緊張していたことなんて吹っ飛んでしまうぐらいにすぐに打ち解けてしまうのは、子どもたちの友達づくりによくある優しい風景のように感じます。

2018年の課題図書にも選ばれた『きみ、なにがすき?』の世界とつづいているこちらのお話。前回と同じ動物たちが登場するのを発見したり、また今回のお話の絵をよく見ていくと、前回のお話に通じている場面もあったり、合わせて読むと楽しみがいっぱい。小学1、2年生からおすすめしたい、誰かと出会う時のドキドキの気持ちをそっと応援してくれるような優しい絵童話です。

(秋山朋恵  絵本ナビ編集部)

4月13日 ドキドキ、ざわざわを味方につける方法とは?

日曜日は『かいじゅうたちは こうやってピンチをのりきった』

かいじゅうたちは こうやってピンチをのりきった

高いところが大の苦手。注射が大嫌い。みんなの前で話そうとすると、逃げ出したくなる。暗いところが怖い。彼らはかいじゅうなのに、それぞれ怖いものがある。彼らなりにピンチを乗り切ってきた。でもそれって……。

「ただ逃げちゃっただけじゃない?」

彼らは考える。どうして僕たちは、他のみんなが怖がらないことが怖いのだろう。共通しているのは、怖くなると、ゾワゾワしたやつが来るってこと。そうやって、怖がると生まれてくるのが、この小さなゾワゾワちゃんたちなのだ。この子たちさえいなければ!

自身も怖がりだという絵本作家・新井洋行さんと、ドクターがタッグを組んで生まれたこの絵本。不安や恐怖に揺れる気持ち、そしてその気持ちとどう向き合っていけばいいのか、共存していく方法はあるのか。そうした模索や考え方を、一つ一つ丁寧にわかりやすく、ユーモアたっぷりに描き出してくれています。

「ゾワゾワちゃんと仲良くする方法を教えてあげる」

本当にそんな方法があるならば、大人だって知りたい。だからこそ、大人にも子どもにも、この絵本の内容とじっくり向き合ってもらいたいのです。世の中には、こんなにたくさんの種類の「怖い」があって、こんなに色々な「怖がりさん」がいるのです。弱い自分を無理に追い出すのではなく、そのままの自分を大事にしてくださいね。絵本が優しく語りかけてくれます。

(磯崎園子  絵本ナビ編集長)

https://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=168274
https://www.ehonnavi.net/specialcontents/contents.asp?id=2442 新井洋行さんの絵本『かいじゅうたちは こうやってピンチをのりきった』 恐怖や不安とうまく付き合うヒントに<from好書好日>
https://www.ehonnavi.net/specialcontents/contents.asp?id=944 この世は、こわいことだらけ!? 『かいじゅうたちは こうやってピンチをのりきった』【NEXTプラチナブック】

読者の声より

かいじゅうだから、子どもたちを怖がらせるのが当たりまえ。
かいじゅうたちのピンチって?いったいどんな必殺技が繰り出すの?

なんて、読み聞かせている子どもたちの、そんな期待と不安をあおるだけ煽って、いざページをめくると・・・ただただ身体をカチカチにして回避してるかいじゅうの姿…さて、つぎのかいじゅうのお話

これ、どこまで続くんだ?と思ってるうちに怖がりのかいじゅう達はみんなで顔を寄せ合って相談します。

「怖い」って「不安」ってなんなんだ?
もしかして・・・その正体を突き止めたぞ!!

大人でも子供でも不安や恐怖はあります。
その得体の知れなさに、呼び名をつけてその子の話を聞いてあげる。その気持ちの存在を認めてみる。なんなら仲良くなる。

かいじゅうたちを通して大人の生活にもつながる1つの方法が描かれていました。新井洋行さんのいつもの愛らしさにシルバーで描かれた非現実的なのに親近感の湧くかいじゅうたち。

自分のために買ったつもりが5歳児にも何か引っかかってくれたようで嬉しいです。
(朝枝ナオさん 30代・ママ 男の子5歳、男の子2歳)

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いかがでしたか。

入園・入学時期のドキドキや不安に寄り添ってくれる絵本、親子のお守りに手に取ってみてくださいね。

選書・文:秋山朋恵(絵本ナビ副編集長)

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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