vol.5 勇気ある絵本『ごはん』
「地球が最後の日、何が食べたい?」
そう聞かれたら、お茶漬けと答えます。
ほかほかの白いごはんもいいなあ……。
そんな風に答える「ごはんLOVE」な方は結構多いのではないでしょうか。
なにしろ日本人の主食は「お米」ですからね。
でも、ひとくちに「ごはん好き」と言っても、そのこだわりは様々です。
身近なところでいくと、私はお漬物や梅干しなど、何を乗せるかでワクワクするタイプ。
旦那さんは、「白いまま」が好きなタイプ。納豆もおかずも、別皿です。
息子にいたっては、ごはんを適当によそうと、
「ちょっと違うんだよなあ。
上に乗せる納豆に対してちょうどいい量っていうものがあるんだよ。」
なんて生意気な事を言ってくるほど「納豆ごはん」を愛してやまないタイプです。
このまま他の100人に聞けば、100通りの答えが返ってきそうです。
食べ方にこだわる人もいれば、炊き方にこだわる人もいるでしょうし、料理方法に凝る人だっているでしょう。そのくらい、「ごはん」って美味しいのです。
では、「みんなが美味しそう!って言うごはんの絵を描いて」と言われたら…これは難題です。それぞれの嗜好を乗り越えていかなくてはいけません。
でもあるのです。
『ごはん』というタイトルの、真向勝負の勇気ある絵本が。
ごはん
美味しそうな絵本は数あれど。
この絵本のタイトルは「ごはん」。
日本人の主食、お米が主人公です。
思わず手に取りたくなるに決まっています。
みんなお米が好きですからね。
でも、だからこそ。
表現するのは難しいはずです。
なにしろ、絵本を読む殆どの人がその美味しさを実際に体験済みなのですから。
ずらりと並んだ炊き込みご飯やお茶漬け(どちらも13種類!)の絵を、さて読者はどんな風に楽しむのでしょう。ごはん好き代表として、試しに読んでみると…。
これはもう無意識なのですが、絵を順番に見ながら、その味を、脳の中や舌の上で再現しようとします。それを13回ずつ繰り返すのです。「さつまいもごはん!」「…ああ、鯛茶漬け」「てんちゃ、ってなんだっけ?」あまり想像できなかった味は、今度自分で作って再現してみようと思うのです。
これだけ言えば、もう絵本を読まないわけにはいかなくなってくるでしょう。それはそれは美味しそうに描けています。存分に味わえます。カレーや炒飯などの外国ごはんも、おむすびやおすしなどのアレンジごはんも次々に登場します。
最後の解説文もお気に入り。
「おむすびの可能性は無限大」「大きめのお茶碗でワシワシ食べたい」「いっきにさいごまで食べすすめたい、力みなぎるごはん」等々……。
この方、本当にわかってらっしゃるのです。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
あ、でも。
地球が最後の日だったら、うどんも捨てがたいなあ…。
食欲なんて、そんなものです。
目の前にした時に気持ちが盛り上がるかどうか。
それが一番大事ですよね。
「ごはんLOVE」な絵本
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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