【ふわはね絵本のある時間】7月におすすめの本
絵本講師として10年以上ご活躍中のふわはねさん。絵本講座や絵本コンサル、絵本の読み聞かせ会などを年に200回以上こなしています。そんなふわはねさんに季節にあった絵本と読み聞かせ会の流れについて語ってもらいました。
二十四節気(にじゅうしせっき)を意識してテーマを組み立てる
二十四節気とは…一年を12か月さらにその半分、24個に分けた季節を表す名称です。
7月では…
小暑しょうしょ(7月6日)小さく暑いと書いて小暑。本格的な夏のはじまり。梅雨明けを迎え夏本番を迎える頃。暑中見舞いはこの頃から。
大暑たいしょ (7月22日)一年で一番暑いころと言われます。太陽は容赦なく照り付け暑い暑い夏の真ん中。
こちらの2点を意識しながら絵本のテーマを考えます。
親子読み聞かせ会<想定>
- 対象年齢:0歳~5歳
- 時間:30~40分程度
読み聞かせのはじまりは「いつもの手遊び歌」から
さぁ、絵本とお歌の「ふわはね絵本のある時間」。実際に「読み聞かせ」会をするイメージで流れをご紹介します。
始まりはいつも同じ手遊び歌を歌っています。
♪はじまるよったらはじまるよ はじまるよったらはじまるよ
いーちといーちでにんじゃだよ ドロン!
始まりと終わりの大切さを2月に書きました。
【ふわはね絵本のある時間】読み聞かせのはじまりは「いつもの手遊び歌」から
そして毎回初めに読む絵本もあります。
【ふわはね絵本のある時間】同じ絵本を読み続けるよさ『こんにちは』
さあ、今月も絵本の時間を始めましょう。
まずは【季節の絵本】から
THE夏絵本『夏がきた』
7月6日は二十四節気の小暑(しょうしょ)です。
そう。まさに『なつがきた』私の中でのTHE夏絵本。五感で感じる夏がそこにある。
うるさいくらいのセミの声、麦茶の冷たさ、おひさまの力強い光、海辺のにおい、すいかの甘さみずみずしさ、雨の音、雨上がりのモワッとした空気、シャワーをあびてさっぱり、そして花火の火薬のにおい。
何十回と超えた夏がそこにある。
誰もが持つ目を閉じると見える感じる夏の記憶と重なる。
何があっても夏はもうすぐそこに。体感体験に勝るものはありません。
今年の夏はだれにとっても一生に一度の夏だから。
<読み聞かせ時間目安 1分10秒>
【行事の絵本】
はじめての行事えほん『みんなのおねがい』
小さな子ども達から楽しめる行事の絵本があるのをご存知でしょうか。
ほるぷ出版がだしているこの「はじめての行事えほん」お正月から始まり、節分、ひな祭り、こどもの日に、そしてこの七夕など
小さな子ども達が初めて行事に出会うのにぴったりのシリーズ。
お母さんと笹飾りを作ったうさぎのうーちゃん。
うーちゃんは、ねずみくん、くまくん、かえるちゃんのおうちにいって、おねがい、なーに?と聞いて回ります。
字の書けない子たちの絵の願い事がとてもよくて。
日本の伝統的な行事をひとつひとつ。絵本の力を借りながら大切にしていきたいですね。
<読み聞かせ時間目安 1分50秒>
昔話から知る行事の由来『天人女房』
幼い頃から何度も何度も書いた短冊への願い事。笹の葉に飾り、織姫様と彦星様今年は会えるかなと夜空を見上げました。
でも大人になりこのお話に出会ったときに、こんなお話だったのかと正直びっくりしました。
天女の羽衣の話もうっすらとは知っていたけれど、私の頭の中では七夕のお話しとは繋がっていませんでした。
大人になってから、点と点が線でつながり整理されると、その行事へより深く思いをはせることができます。だからこそ子ども達に行事の背景も一緒に絵本に助けてもらいながら楽しんでほしいと思います。
この絵本は10分以上ある大作ですが、昔話のパターンを踏んでいるとてもよくできたお話です。
小学校などでの七夕の行事の前にぜひ読んでほしい一冊です。
<読み聞かせ時間目安 10分55秒>
七夕ものがたり:鹿児島昔話
太田大八さんが描く重厚な七夕物語です。
奄美諸島近辺に伝承されたお話の再話となっています。
天女の水浴びを見かけた牛飼いは一目ぼれをして羽衣を隠してしまいます。
困った天女は牛飼いの妻となり、子どもにも恵まれます。
ところがある日、ひょんなことで羽衣のありかを知った天女は
子ども達と一緒に天へ・・・。
天への上り方、天上での不思議な出来事、
伝承で練られたおはなしの力強さが伝わってきます。
もちろん、親子・夫婦の愛もしっかりと語られます。
最近レシピを覚えたばかりの冬瓜も出てきて、
親近感を覚えました。
このような昔話は今作品のようにしっかりとした絵本で
伝えたいものです。
(レイラさん 40代・兵庫県川西市 男14歳、男11歳)
【手遊び歌絵本】
保育の現場で人気の手遊び歌が絵本に『かみなりどんがやってきた』
天の上には雷様も・・・。
幼稚園や保育園で人気の手遊びが絵本になりました。
原案は遊び歌作家の鈴木翼さんと熊木たかひとさん。YouTubeには大人の本気手遊び歌がアップされています。こちらも必見です。
”絵本が楽しい”は、”本を読む””人の話に耳を傾ける”のとっても大切な土台になると思います。
ぜひお子さんとご一緒に...
「セーフ!イエス!」
<読み聞かせ時間目安 2分30秒>
【おやすみ絵本】
おやすみなさい絵本の新定番『しきぶとんさんかけぶとんさんまくらさん』
さあさあ、おなかを出して寝ていたら雷さまにおへそをとられてしまいますよ。
そんなときはこの絵本『しきぶとんさんかけぶとんさんまくらさん』
漫画家の高野文子さんの手がける初めての絵本。
しきぶとんさん
かけぶとんさん
まくらさん
あさまで よろしくおねがいします。
あれこれ いろいろ たのみます。
男の子のお願いに・・・
まかせろ まかせろ おれに まかせろ
なんと頼もしい。
テンポ良い言葉が並び読んでいても、もちろん聞いていても心地よくリズミカルで楽しい。
そしてこの独特な描写。
小さなお子さんは音のリズムが心地よく、幼稚園小学生の子ども達はププッと笑え、大人は何だかシュールな感じが癖になる。
おやすみなさい絵本の新定番。大好きな一冊です。
<読み聞かせ時間目安 1分55秒>
「しきぶとんさん、かけぶとんさん、まくらさん。あさまで よろしくおねがいします」夜、眠りにつく前のひととき。男の子は「おしっこがでたがりませんように」「おっかないゆめをみませんように」……と、しきぶとん、かけぶとん、まくらたちに、そっとお願いをします。すると彼らは「まかせろ、まかせろ」と男の子を優しく、暖かく、包み込んでくれるのでした。
【仕掛け絵本】
ひらいてびっくり!大胆な仕掛けが楽しい『のりもののりもの』
やっと、少しそろーりと日常が戻りつつあるのでしょうか。
今年は夏休みはあるのかな。
おじいちゃんおばあちゃんには会えるかな。
そんな期待も込めてこちらの絵本を。
姉弟が初めて二人だけでおばあちゃんのおうちに。バスに船に電車に乗り換え珍道中。
ダイナミックな仕掛けに中垣さんらしく絵がいろいろな物語を語ります。
乗り物好きさんはもちろん、仕掛けならではの面白さぜひ体感してください。
<読み聞かせ時間目安 3分30秒>
しっかりもののゆうちゃんと、のんびりやのおとうと、こうちゃん。
はじめてふたりだけで、おばあちゃんちに行くことになりました。
おばあちゃんちは町のむこう。いろいろなのりものに乗ってむかいます。
こうちゃんのだいすきな電車にも乗れるかな?
大きく開くしかけで大迫力! おはなしもしかけも楽しいのりもの絵本。
【科学絵本】
加古里子さんからの最後の贈り物『みずとはなんじゃ』
水と仲良くなれる季節がやってきました。
水はとても不思議です。流れているときはつかむことも出来ず。色もなく。
温度によりその姿は変化し、そして何より私たちが生きていく上でなくてはならいものです。
「みずってなに?」とこどもに聞かれても私は答えることができません。
だから私は絵本の力をお借りします。
加古里子さんが小さな人たちのために、これからの未来のためにつくられた絵本。
それを鈴木まもるさんが引き継ぎ完成したこの絵本を心をこめてしっかりと繋げて行きたいと思います。
<読み聞かせ時間目安 9分10秒>
【アンケートに寄せられた質問にお答えします】
寝かしつけで絵本を読ませると、「次」「次」と言ってきて寝てくれないがどうしたらよいでしょうか。
絵本を読むといつの間にやら寝てしまって・・・。なんていうお子さんの方が少ないと思います。
絵本を読んだから寝るというわけではありません。
インスタグラムで「絵本を読むと寝ますか?」とアンケートを取ってみたところ、
88%の方が寝ないと答えてくださいました。(705人回答)
一日のルーティーンの中に「絵本を読んで寝る」という習慣が出来るとまだまだ時間軸が整っていない子ども達には寝る前の心の準備が出来るのではないでしょうか。
ただ気をつけたいポイントもあります。
私が思っているのは・・・
寝室に本棚を置かない。
読む絵本を決めて持っていく(または本棚のある部屋で読んでから寝室へいく)
(僕1冊、弟1冊、お母さん1冊、おやすみなさいの絵本最後の定番1冊など。)
そしてこれらの絵本を読んだら、電気を消し手元の明かりだけをつけて、子ども達には「おめめつぶって聞いててね。もう寝ていいよ。」と話しお母さんがお歌がたくさん入った絵本の中から歌ってあげたり、もう少し大きくなったら語りの昔話の絵本を読んだりとするのがいいのかなぁと思っています。
それでもこてっと寝るわけではありませんが、環境の大切さやお約束をすることもひとつの方法かと思います。
そうこうしているうちにいつのまにやらスヤスヤなんてしてくれたらいいですね。
ご質問ありがとうございました。
ご感想ご質問募集しています。末尾のアンケートよりぜひお待ちしております。
ご感想も嬉しく読ませていただいています。ありがとうございます。
その他 7月の読み聞かせにおすすめの絵本
絵本の読み聞かせについて思っていること
絵本はコミュニケーションツールです。 絵本は子ども達の歩みを助け、その成長を促してくれるかもしれません。 しかしそこには読んでくれる人の温もりを通した生きた声が不可欠です。 人と人とが向かい合い、片手間にはできない読み聞かせだからこそ愛情が注がれるのです。 子どもの持つその心のコップを絵本を使って愛情で満たしてあげてください。大好きな人の声で温もりの中聞く美しく豊かなお話。それはあっという間の子育ての濃密な時間を助け、後にその子どもたちの長い人生の心の支えとなるでしょう。
ふわはね(内田 祐子)
大学で児童文学を学ぶ。2005年絵本講師1期生として絵本講師資格取得。関西を中心に企業での定期教室をはじめ、
【ふわはね絵本のある時間】では、読者のみなさんからの感想や質問を募集しております。アンケートよりご意見をお寄せください。
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