【ふわはね絵本のある時間】10月におすすめの本
絵本講師として10年以上ご活躍中のふわはねさん。絵本講座や絵本コンサル、絵本の読み聞かせ会などを年に200回以上こなしています。そんなふわはねさんに季節にあった絵本と読み聞かせ会の流れについて語ってもらいました。
- 1. 二十四節気(にじゅうしせっき)を意識してテーマを組み立てる
- 2. 読み聞かせのはじまりは「いつもの手遊び歌」から
- 3. まずは【季節の絵本】から
- 4. 【参加型絵本】
- 4.1. 知っている喜び『オレ・ダレ』
- 5. 【行事の絵本】
- 5.1. 仮体験と実体験『さつまのおいも』
- 6. 【昔話】
- 6.1. インドの昔話『1つぶのおこめ』
- 7. 【新刊絵本】
- 7.1. 『あつかったらぬげばいい』
- 8. 【アンケートに寄せられた質問にお答えします】
- 8.1. 幼稚園で同じ絵本ばかり借りてくる
- 9. その他 10月の読み聞かせにおすすめの絵本
- 10. 絵本の読み聞かせについて思っていること
- 10.1. ふわはねプロフィール
二十四節気(にじゅうしせっき)を意識してテーマを組み立てる
二十四節気とは…一年を12か月さらにその半分、24個に分けた季節を表す名称です。
10月では…
寒露かんろ (10月8日)秋分を越え秋が深まり朝晩の冷え込みを肌で感じるようになる頃。
霜降そうこう(10月23日)朝晩の冷え込みがさらに増し朝露が霜に変わる頃。
冬の足音が近づいてきます。
こちらの2点を意識しながら絵本のテーマを考えます。
親子読み聞かせ会<想定>
- 対象年齢:0歳~5歳
- 時間:30~40分程度
読み聞かせのはじまりは「いつもの手遊び歌」から
さぁ、絵本とお歌の「ふわはね絵本のある時間」。実際に「読み聞かせ」会をするイメージで流れをご紹介します。
始まりはいつも同じ手遊び歌を歌っています。
♪はじまるよったらはじまるよ はじまるよったらはじまるよ
いーちといーちでにんじゃだよ ドロン!
始まりと終わりの大切さを2月に書きました。
【ふわはね絵本のある時間】読み聞かせのはじまりは「いつもの手遊び歌」から
そして毎回初めに読む絵本もあります。
【ふわはね絵本のある時間】同じ絵本を読み続けるよさ『こんにちは』
さあ、今月も絵本の時間を始めましょう。
まずは【季節の絵本】から
ふしぎの種まき『おつきさまこっちむいて』
今年の中秋の名月は10月1日です。月は一番身近な宇宙です。
「おつきさまこっちむいて」と月に話しかける男の子。
月は少しずつ少しずつ姿を変えながら見上げればいつもそこに。
この絵本は福音館書店さんから出ている「ふしぎなたねシリーズ」
子ども達の心に蒔く小さな種。その芽が開くのが楽しみです。
<読み聞かせ時間目安 1分33秒>
おつきさま、こっちむいて! いろんな形の月といろんなところで出会います。
あっちをむいていた三日月がだんだん姿をかえ、やがてまんまるの満月になりました。
好奇心は科学の進歩の第一歩『月へいきたい』
知らないことを知りたいという欲求は人間の根源的欲求とも言います。
それは好奇心へとつながり考え調べ学び聞き読みという知的活動へとつながる。
お月さまへの興味をもつ男の子はこんなことを考えます。
遠い月までどうやっていこう?
月を目指して船をこぐ?
山に登る?
塔を作り雲を乗りつぎ空を飛ぶ?
夢のような話からだんだんと現実的にその日数が描かれる。
らせん階段をゆっくりのぼっていけば100年。
ジェットコースターのスピードで3か月。
新幹線なら55日!面白い~!!
地球から月に行く条件とは?
どんな時代も人間の好奇心が科学への進歩をもたらしていると思うのです。
そしてその一歩はこういう絵本なのではないでしょうか。
【参加型絵本】
知っている喜び『オレ・ダレ』
ではその逆に。知っていることの嬉しさというのも子ども達にとってはとても大きいのではないでしょうか。
暗闇に浮かぶシルエット。誰かがこちらへやってきます。
オレ、ダレ?
自分の持っている知識と経験を総動員して考える子ども達。
知ってる!わかった!あたった!やっぱり!ほら!そうだと思った!
そんな小さなわかった知ってるの喜び、
成功体験が日々小さな階段を登る子ども達の力となるのではないでしょうか。
少し年齢の大きな子たちには絵本の絵を見せないで文章だけを読んで当てっこしてもらうのも楽しいですよ。
<読み聞かせ時間目安 2分35秒>
【行事の絵本】
仮体験と実体験『さつまのおいも』
実りの秋。お芋ほりを体験する子ども達も多いのではないでしょうか。
ぜひ実体験の前の仮体験(前体験)にはこちらの絵本『さつまのおいも』を。
我が子にはもちろんたくさんの子ども達に愛されもうぼろぼろの古株ちゃん。
「うんとこしょうんとこしょ」おいものはたけで綱引きです。
実体験に勝るものはないと思っています。土のにおい、掘ったら出てくる虫たち、大きなお芋が抜けたときに思わずついた尻餅・・・。
そんな体験がまた絵本を読んだときに思い出され、その経験はより深いものとなると思います。
ピーマン村の絵本たちのこのシリーズは保育園や幼稚園での行事が中心に描かれるので来春入園が決まった子ども達にもオススメです。
<読み聞かせ時間目安 1分35秒>
さつまのおいも
家族でさつまいも掘りに出かけました!
保育園の秋の遠足は、年中、年長の子たちの芋掘りですが、3歳の娘は近くの公園でした。“さつまのおいも”のお話を通してさつまいもをひっぱる!ということに興味をもっていたので、その気持ちを大切にしたくて、家族でさつまいも掘りにでかけました。実際のさつまいも畑は、緑の葉っぱは刈られつるだけで、絵本のように“うんとこしょ”とひっぱることはできませんでしたが、大満足でした。畑で手にしたさつまいもが“負けでごあす”と言っているように私にも思えたり、、、親子でかなり影響されています。また、娘は“さつまいも”ではなく“さつまのおいも”と大切そうに呼び、さつまのおいもの顔、気持ちに特別の親しみを感じています。さつまいも掘りの遠足の前には是非読んでみてください。
(ユリとさっこさん 30代・東京都江東区 女3歳 )
【昔話】
インドの昔話『1つぶのおこめ』
副題はさんすうのむかしばなし。
農民の作ったお米を全部取り上げてしまった王様。
飢饉の時に配るためと言いながら、飢饉がきても自分の身を案じ農民には分け与えない。
ある日宮殿で宴会がひらかれた。象に乗せられたお米の袋から米粒が落ちていてく。
それをスカートで受けとめ正直に王さまに返した村の娘ラーニ。
褒美をもらうことに。その褒美とは・・・。
賢いラーニが人々を救う。
こんな算数なら楽しんで学べそうですね。
左右にひらかれるパノラマのページは圧巻で。恥ずかしいお年頃の子供たちも「わぁー」と思わず声がもれる。
最後はみんなで倍々の算数ゲーム。小学校五年生の子ども達と楽しみました。
どんどん桁が増えるので下読みをもちろんしていても、あれ?と。結局いちじゅうひゃくせんまんじゅうまん・・・と読みながら(笑)
小学校読み聞かせオススメです。
おうちで読むなら低学年さん、数字好きの幼稚園さんでも楽しめると思います。
<読み聞かせ時間目安 9分05秒>
【新刊絵本】
疲れた大人にも『あつかったらぬげばいい』
ヨシタケシンスケさんの新刊がでました。
その名もずばり『あつかったらぬげばいい』
やっぱり好きだ。ヨシタケシンスケさんの世界。
あつかったらぬげばいい
さむかったらきればいい
うん。ただそれだけのこと。
もっとシンプルに。あらためて気づかせてくれる。
大きく頷きじわっと涙しクスッと笑える絵本です。
「ヘトヘトにつかれたら」
「ふとっちゃったら」
「だれもわかってくれなかったら」
「せかいがかわってしまったら」…。
2コマごとに展開する老若男女の疑問に、ユーモラスで痛快な答えが待っている。
大人も子どもも楽しめる、ヨシタケ式心を緩める絵本が登場!
大切な人への贈り物や、お守りのように側に置きたい1冊です。
2020年8月刊
【アンケートに寄せられた質問にお答えします】
幼稚園で同じ絵本ばかり借りてくる
4歳7か月の息子は、幼稚園で同じ絵本を何度も借りてきます。
いろいろな絵本を読んでほしいと思うのですが、その様子に戸惑い、こだわりの強い子なのかと心配にもなります。
このまま飽きるまで見守るのでいいでしょうか。
ご質問ありがとうございます。
毎回同じ絵本しか借りてこない4歳7か月の息子さん。
こんなにたくさんの絵本があるのにいつもそれ?と不思議な気持ちになりますよね。
しかし幼稚園での絵本の貸し出しは、もしかすると初めて誰の目も気にせず本当に自分一人で選ぶという体験なのかもしれません。
たくさんの絵本の中から1冊を選ぶことは大人でも難しい。
ましてや字がスラスラ読めて内容を理解し、この一冊に決めたという年齢でもないかもしれません。
たくさんある中から、知っている一冊というのは、その不安な気持ちをやわらげてくれる友のような存在になっているのかもしれませんね。
もちろんとても気に入ってその本が大好きだからなのかもしれませんが。
そんなに大好きならとその絵本を買ってあげ、また次の友達探しの旅にだすのもいいですが、絵本屋さんや図書館などでたくさんの出会いをする中でシリーズ物や同じ作家さんの別の作品など何か橋渡しをしてあげるのもいいかもしれませんね。
その他 10月の読み聞かせにおすすめの絵本
絵本の読み聞かせについて思っていること
絵本はコミュニケーションツールです。 絵本は子ども達の歩みを助け、その成長を促してくれるかもしれません。 しかしそこには読んでくれる人の温もりを通した生きた声が不可欠です。 人と人とが向かい合い、片手間にはできない読み聞かせだからこそ愛情が注がれるのです。 子どもの持つその心のコップを絵本を使って愛情で満たしてあげてください。大好きな人の声で温もりの中聞く美しく豊かなお話。それはあっという間の子育ての濃密な時間を助け、後にその子どもたちの長い人生の心の支えとなるでしょう。
ふわはねプロフィール
ふわはね(内田 祐子)
大学で児童文学を学ぶ。2005年絵本講師1期生として絵本講師資格取得。関西を中心に企業での定期教室をはじめ、
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