【ふわはね絵本のある時間】12月におすすめの本
絵本講師として10年以上ご活躍中のふわはねさん。絵本講座や絵本コンサル、絵本の読み聞かせ会などを年に200回以上こなしています。そんなふわはねさんに季節にあった絵本と読み聞かせ会の流れについて語ってもらいました。
- 1. 二十四節気(にじゅうしせっき)を意識してテーマを組み立てる
- 2. 読み聞かせのはじまりは「いつもの手遊び歌」から
- 3. まずは【季節の絵本】から
- 3.1. わらべうたから広がる世界『せんべせんべやけた』
- 3.2. 冬至の日に『ぽかぽかゆずおふろ』
- 4. 【新刊クリスマス絵本】
- 4.1. 唯一無二のクリスマス絵本『サンタさん』
- 5. 【行事の絵本】
- 6. 【昔話】
- 6.1. 大好きな人の声で聞く昔話『かさじぞう』
- 7. 【お話絵本】
- 7.1. 『まんげつのよるまでまちなさい』
- 8. 【アンケートに寄せられた質問にお答えします】
- 9. その他 12月の読み聞かせにおすすめの絵本
- 10. 絵本の読み聞かせについて思っていること
- 10.1. ふわはねプロフィール
二十四節気(にじゅうしせっき)を意識してテーマを組み立てる
二十四節気とは…一年を12か月さらにその半分、24個に分けた季節を表す名称です。
12月では…
大雪たいせつ(12月7日)陽は短くなり太陽の力はますます弱まる。冬が深まり雪がしっかりと降り始める頃。
冬至とうじ(12月21日)一年で一番陽が短い日。太陽の出ている時間が短く夜が長い日。
冬至にはかぼちゃを食べたり、柚子湯に入ったりと日本の伝統的な風習が残っています。
こちらの2点を意識しながら絵本のテーマを考えます。
親子読み聞かせ会<想定>
- 対象年齢:0歳~5歳
- 時間:30~40分程度
読み聞かせのはじまりは「いつもの手遊び歌」から
さぁ、絵本とお歌の「ふわはね絵本のある時間」。実際に「読み聞かせ」会をするイメージで流れをご紹介します。
始まりはいつも同じ手遊び歌を歌っています。
♪はじまるよったらはじまるよ はじまるよったらはじまるよ
いーちといーちでにんじゃだよ ドロン!
始まりと終わりの大切さを2月に書きました。
【ふわはね絵本のある時間】読み聞かせのはじまりは「いつもの手遊び歌」から
そして毎回初めに読む絵本もあります。
【ふわはね絵本のある時間】同じ絵本を読み続けるよさ『こんにちは』
さあ、今月も絵本の時間を始めましょう。
まずは【季節の絵本】から
わらべうたから広がる世界『せんべせんべやけた』
今月はこちらから。
小さな手を温めながら歌ったわらべ歌が絵本になりました。
この本を読み歌うとお母さんのお膝の上の子ども達は「はいどうぞ」を合図に走り寄ってきます。小さな手でそっと絵本の中の”せんべ”をつまみ、お口にぱくり。もぐもぐもぐ。
前に出たら順番順番。いつまでも食べているお友達には、「お母さんの所へ持って行ってあげて」の一言が魔法の言葉。そっとつまんで大好きなお母さんの所へ届けてくれます。
わらべうたの優しい音色とごっこ遊びの楽しさ。ルールやマナーも教えてくれる。
改めて絵本の力を教えてくれる一冊です。
<読み聞かせ時間目安 1分35秒>
「せんべ せんべ やけた どのせんべ やけた このせんべ やけた」 問いと答えを含んだこのわらべうたは、もとは、火鉢やストーブに手をかざしてうたったもの。
この絵本では、ままごと遊びの唄として展開してみました。小さな女の子が「ごっこ遊び」で焼いた煎餅やおだんごを、「はい どうぞ」とみんなにご馳走してあげます。巻末に解説と楽譜が付いています。
冬至の日に『ぽかぽかゆずおふろ』
12月21日は冬至(とうじ)です。一年で一番昼が短い日でこの日を境に昼が長くなっていきます。外国では太陽がよみがえる日と言われるとか。日本ではカボチャを食べたり柚子湯に入はいったり。そんな日本の伝統行事を子ども達と楽しめるこのシリーズ。
今回は庭になった柚子で柚子やさんをはじめたあっくんと動物たちのお話。
ほっこりと楽しみながら大切なことを知る絵本です。
<読み聞かせ時間目安 2分5秒>
あっくんは、おばあちゃんから、ゆずをたくさんもらいました。そこで、ゆずやさんを開くことにしました。冬至には、ゆず湯にはいって、「ん」のつくものを食べると病気をしないといわれています。日本の伝統行事を、2~3歳児の発達に合わせて、シンプルな物語絵本にしました。巻末には、ミニ解説がついています。
【新刊クリスマス絵本】
唯一無二のクリスマス絵本『サンタさん』
街はきらめき今年もこの季節がちゃんとやってきたことに安堵を覚えるのは私だけでしょうか。
今年も素敵なクリスマスの絵本に出会えました。
『サンタさん』
全編刺繍で描かれた長尾玲子さんの作品は唯一無二です。
そこにはたくさんの時間がかけられた分だけの愛情がつまっています。ずっと愛でていたくなるクリスマス絵本です。
【行事の絵本】
日本の伝統行事が色濃く残る年末年始を絵本と『もうすぐおしょうがつ』
クリスマスが終わるとあっという間に年末年始です。日本の伝統的な行事が色濃く残る時期だからこそ、丁寧に子ども達に伝えていきたい、見せていきたいと思うのですが毎年バタバタと過ぎていきます。そんな時こそ絵本の出番です。
この絵本は姿は動物ながらも日本の師走の風景が細かく描かれています。これがまた人間じゃないところがいいんです。どこかせわしない追い込まれた感のある年末の風景がくすっと笑いながら楽しめる。ずっと見ていたくなるような楽しさそして懐かしさ。大好きな年末の絵本です。
<読み聞かせ時間目安 7分50秒>
冬休み、おじいさん、おばあさんの家でお正月を迎える、ある家族のおはなしです。
久しぶりに訪れた、おじいさん、おばあさんの家で、家族はお正月を迎える準備を手伝います。まずは、ガラス磨きに、障子張り、大掃除と大忙しです。翌日はおじさん、おばさん、いとこもやってきて、みんなでお餅つきをします。つきたてのお餅のおいしいこと! 大晦日は、朝から市場へ買い出しにでかけます。お正月料理の材料や、お正月ならではのおもちゃも売っていて、市場は大賑わいです。家に帰ってからも、お餅をお供えしたり、しめかざりを飾ったり・・・・・・。終い湯に入ってからは、年越しそばを食べて、お寺におまいりに出かけます。
お正月を迎える前の、日本ならではの年末のせわしない様子、こまごまとした準備の様子、新しい年を心待ちにしている家族の様子が楽しく描かれた絵本です。絵本に書いてある文章以外のドラマもいっぱい。絵の隅々までじっくり見て、楽しんでもらいたい一冊です。
【昔話】
大好きな人の声で聞く昔話『かさじぞう』
小学校の教科書にも載るこの有名なお話が、大晦日の日のお話というのを覚えてますか。
雪の中、 傘を売り歩くおじいさん。賑やかな年越しの市では魚や米は飛ぶように売れるのに、おじいさんの笠は見向きもされない。
仕方なく売れ残った笠をもって帰る途中・・・。昔話にはたくさんの日本人の姿が描かれます。もちろん強欲で意地悪なじいさんやばあさんもいますが、慎ましく控えめで心豊かな優しい人たちもたくさんいます。
教科書に載るお話しには学習における意味や到達したい解釈などあるかもしれませんが、出来れば、教科書で出会う前に大好きな人の温もりの中で「良かったね」と楽しんで欲しいと思います。
<読み聞かせ時間目安4分20秒>
【お話絵本】
『まんげつのよるまでまちなさい』
今年最後の絵本の紹介です。満を持してこちらを。
『まんげつのよるまでまちなさい』
今年は見えないウィルスとの戦いで皆たくさんの我慢を強いられました。
絵本は子どもだけでなく大人にもたくさんの大切なことを教えてくれます。
この絵本は待つということ、時が満ちることの大事さ。
訳をされた松岡享子さんのあとがきが素晴らしいです。
子ども達には子ども達なりの絵本の楽しみ方があります。
知識を得、経験を積んだからこそ見えてくる大人になったからこそ感じる絵本の力。
また来年も皆様との絵本との出会いを繋がせてください。
<読み聞かせ時間目安 7分25秒>
満月の夜って・・
「よるをみたい」「よるってどのくらい大きいの」
「よるってどんないろ?」…まだ夜をみたことのないあなぐまぼうやは、おかあさんにたずねます。
でもおかあさんは「まんげつのよるまでまちなさい」って言うばかり。ぼうやはその時をじっと待ちます…。 ぱあっと広がるイメージの最後のページがとてもいいです。とっても楽しそう!じっと待って待って、やっとその時を迎えたぼうやの気持ちの全てが開放されるみたいです。ページをめくるたび、少しづつ成長しているぼうやの姿もかわいくていいですね。
( ななみやさん 20代・大阪府大阪市 女2歳 )
【アンケートに寄せられた質問にお答えします】
絵本を読むときに気をつけることはありますか?
絵本はいつ、だれに、どこで読むかによって、その選書も読み方も変わってくると思っています。
ご家庭で読むときはぜひあまり気になさらず、そのまま読んであげてください。
言葉を言い換えることなく、補足をするでもなく、はしょるでもなくそのまんまを。
出来れば読み手と聞き手がどこかくっついて。
温もりを感じながら大好きな人の声を通って届く言葉は、より豊かに温かく心の深いところに小さな種をまきます。
気負うことなくそのまんま。ぜひ読んであげてください。絵本を楽しんでください。
ご質問ありがとうございました。
またご感想やご質問もお待ちしております。
最後までお読みくださりありがとうございました。
その他 12月の読み聞かせにおすすめの絵本
絵本の読み聞かせについて思っていること
絵本はコミュニケーションツールです。 絵本は子ども達の歩みを助け、その成長を促してくれるかもしれません。 しかしそこには読んでくれる人の温もりを通した生きた声が不可欠です。 人と人とが向かい合い、片手間にはできない読み聞かせだからこそ愛情が注がれるのです。 子どもの持つその心のコップを絵本を使って愛情で満たしてあげてください。大好きな人の声で温もりの中聞く美しく豊かなお話。それはあっという間の子育ての濃密な時間を助け、後にその子どもたちの長い人生の心の支えとなるでしょう。
ふわはねプロフィール
ふわはね(内田 祐子)
大学で児童文学を学ぶ。2005年絵本講師1期生として絵本講師資格取得。関西を中心に企業での定期教室をはじめ、
【ふわはね絵本のある時間】では、読者のみなさんからの感想や質問を募集しております。アンケートよりご意見をお寄せください。
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