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絵本で伸ばそう!これからの子どもに求められる力

「グローバル力」、絵本でどう伸ばす? 

絵本には、子どもに働きかける様々な力が備わっています。絵本がきっかけで、新しいことにチャレンジする気持ちを持てたり、苦手なことに取り組もうと思えたりもします。子どもたちの世界を楽しく広げてくれる絵本は、子育て中のパパママにとっても、大きな味方になってくれること間違いなしです!

この連載では、とくに「これからの時代に必要とされる力」にフォーカスして、それぞれの力について「絵本でこんなふうにアプローチしてみては?」というご提案をしていきたいと思います。

「グローバル力」とは?

連載第9回のテーマは、「グローバル力=国際力」です。今の子どもたちが大人になるころには、日本だけではなく世界中で活躍する機会が増えていることでしょう。逆をいえば、日本だけではなく世界を見据えなければ活躍することは難しいともいえます。

ただ、国際力とは具体的にどういったものでしょうか? 

様々な意見がありますが、私は、こういったことが「グローバル力」につながるのではないかと考えています。

 

・多様性を受け止めることができる。

・自国(日本)について説明できる。

・世界に向けて発言する力(英語)を持っている。

 

今回はこれらに沿って、グローバル力を育んでいける絵本をご紹介しようと思います。

「世界」に興味を広げよう

まずは、世界全体への興味を育てる絵本からご紹介します。

家族みんなで見たい地図絵本

はじめてのせかいちずえほん

楽しい!かわいい!学べる!家族みんなで見たい地図絵本 見開きいっぱいの愉快でかわいいイラストとカラフルな色彩が、子どもの心を引きつける絵本。はじめて地図を見る子どもに、「地図っておもしろいね!」と興味を持たせるだけでなく、大人が読んでもためになる1冊です。本書前半は、日本の各地方・世界の各地域の特産、建造物、祭りなどを地図上に描き、一目で分かるようにビジュアル化しました。加えて日本版では、有名な山や川の大きさくらべ、動物の生息地、食物の生産地なども紹介。世界版では、食文化や主食の違い、各国のおもしろい乗り物、時差などを、楽しく、分かりやすく教えます。

 

小さな子から読める世界地図絵本です。

内容がとてもコンパクトにまとめてあり、「世界」を知る導入の絵本として非常に見やすくなっています。世界を地域別に地図で見せている画面もあれば、「せかいのいろんなことしらべてみた」というページでは、世界の食べ物や家、言葉など項目別に1画面で見せてくれるので、とても分かりやすくそれぞれの国のイメージを伝えてくれます。特に、「いま、なんじ?」や「いま、なんど?」というページがあるのですが、「時差」、や「気温の高さ」などイメージしづらいものを視覚化してくれているので、理解しやすい形になっています。

また、それぞれの国をもっとくわしく知ることのできる絵本としておすすめなのが、「世界のともだち」シリーズ(偕成社)です。

 

1か国1冊ごと、36か国が紹介されています。国ごとに子ども一人に密着して、その生活をリアルな写真で見せてくれます。子どもの目線で紹介し、特に学校生活が描かれているので、読み手の子どもたちもその国のことを身近に感じるようです。パパママが行ったことのある、あるいは縁がある国から手にとってみると、知っていることも盛り込めたり思い出話ができたり、「世界」について親子で対話するきっかけにもなりますよ。私も、行ったことのあるペルーの本から読みましたが、「家の中で暖房を使う習慣がない」と紹介されていて、「だからあんなに寒かったのか!」と気づき子どもと共に驚きました。それぞれの国に深く迫ることのできるシリーズです。

https://www.ehonnavi.net/specialcontents/contents.asp?id=104 編集者インタビュー&トークショーレポート

自分の生活とくらべてみよう

次は、世界の人々の生活をいろいろな角度から見て、私たちと比べることのできる絵本です。

世界各国の通学風景を収めた写真絵本

世界に生きる子どもたち すごいね!みんなの通学路

朝、「行ってきます」と元気よく出かける子どもたち。
その風景は実にさまざま!
世界各国の通学風景を収めた、勇気をもらえる写真絵本です。

世界のさまざまな地域に住む子どもたちは、どうやって学校に通っているのでしょう。
てくてく歩いて?
バスや車に乗って?
学校まで、とても遠い道のりを歩かなくてはならなかったり、
自分の机や、飲み水の入った重いたらいを、運んでいかなければならないこともあります。

本書には、自然災害や、川の急流、けわしい山道、高いがけにも負けず、
毎日懸命に学校へとむかう世界中の子どもたちの写真を収めました。
「学ぶのは楽しい」「友達にも会える」「だから学校へ通うんだ」……
そんな彼らの気持ちが伝わってきます。
そのひたむきな姿は、私たちに勇気と元気を与えてくれます。
●巻頭にはノーベル平和賞受賞、マララさんの写真を収録。

子どもたちの学校への行き方=通学路について写真で見せてくれる絵本です。

日本では、「通学路といえば『道』でしょう?」とイメージするかもしれません。ですが、この絵本では、川を舟で渡ったりがけをはしごで登ったり岩山を動物に乗って通ったり、それこそ道なき道を進んで学校に通う子どもたちがいます。世界中の子どもたちが「通学する」姿が載っていますが、説明は多くありません。それだけに、子どもたちと様々なことを話し合えると思います。世界には、学校に通いたくても通えない子もいる、日本では学校に通うことは当たり前でも、そうではない場所もある、なぜここまでして学校に行くのだろう? など、世界と日本の子どもたちの「学校生活」について考えてみてください。子どもたちにとって、学校や教育がなぜ大切なのか?も深く考えることのできる一冊です。

乳歯が抜けたときの世界の風習

はがぬけたらどうするの?せかいのこどもたちのはなし

乳歯が抜けたとき、その歯をどうするのでしょう? 世界中の風習を楽しいイラストとともにつたえます。国際理解にも最適。

「歯が抜ける」、子どもが大人に向かっていく途中の大事なできごとですよね。大事だからこそ、世界中に「抜けた乳歯をどうするか」のいろいろな風習があります。本書は、その各国の風習を紹介してくれる、とってもおもしろい絵本です。比較的、「抜けた歯と交換でお金やプレゼントがもらえる」という習慣が多いようですが、個人的にはコスタリカの「抜けた歯に金メッキをしてイヤリングにする」というものが素敵だなと思いました。また、どの国でも、子どもが成長していくことは喜びである、と伝えてくれるのもすばらしい一冊です。

「日本」のこと、説明できる?

世界に興味をもち、いろいろな国の知識を得ると、ふりかえって「それでは日本ってどんなところ?」という疑問が出てくると思います。そんなとき具体的なイメージがわくでしょうか? 他の国の人から聞かれて答えられるでしょうか? まずは絵本で「日本ってどんな国かな?」と楽しくイメージしてみましょう。

日本の風習、風土を学ぼう

七ふくじんとなつまつり

七ふくじんが今度はなつまつりで大活躍!お祭りやおみこしはなぜあるの?教えて!七ふくじん!!

いろんな神社にまつられている七福神とはなにか、そして日本全国で行われているお祭りとはなにかが楽しくわかる絵本です。「春の祭りは豊作祈願、秋の祭りは収穫感謝、夏の祭りは無病息災、厄払い」といった違いもわかり、親にとっても改めて行事について考えるきっかけにもなります。日本に住んでいると、いたるところに神社があり、それを護る森があり、あらゆるところに神様がいらっしゃる、という思想がベースとなっている風習も多いです。そういった風土の基本を親子で楽しく知ることができる一冊です。

また、より詳しく日本の文化を知るには、「日本の伝統文化を学ぶ絵本」シリーズ(あすなろ書房)もおすすめです。図鑑のようにいろいろな知識を得られる形の本ですが、とても細かいところまで掲載されているので、大人でも非常に勉強になります。

「日本とはなにか」というと非常に広く難しいですが、自分にとって日本ってどういった場所なのか、この機会に親子でお話ししてみるとよいと思います。

より深く、その国の歴史や文化を知ってみよう

世界の多様な人々、文化を受け止めるためには、それぞれの国の背景をより深く知る機会が多いとさらによいと思います。

アメリカの300年の歴史

300年まえから伝わる  とびきりおいしいデザート

フルーツに生クリーム、そして砂糖があれば、だれでも簡単にできるデザート、フルーツ・フール。その起源は古く16世紀、ヨーロッパ最古のデザートといわれており、現在にいたるまで、世界のあちこちで作られ続けています。
本書は、4つの時代、4つの場所にスポットをあて、それぞれのおいしいブラックベリー・フールの作り方を紹介していきます。
環境や技術、材料の入手方法、食事の様子や家族の在り方は変わっていっても、ボウルをなめたくなる気持ちは、どの時代もいっしょ。
身近なデザートひとつから、いろいろなことが学べる楽しい絵本です。

ブラックベリー・フールというデザートがどう作られてきたかを説明しながら、アメリカが、1710年から2010年までの300年間で、どう移り変わっていったかの歴史を鮮やかに見せてくれる絵本です。ブラックベリー・フールは、泡立てた生クリームにブラックベリーのしぼり汁と砂糖を入れて冷やし固めたデザート。まず、300年の間に作るための道具が手から電動に変わっていったのも変化のひとつです。ただ、描かれているのはそれだけではありません。まず、1710年から1910年まで、料理やデザートを作るのはその家の女性に限定されていました。2010年の家庭でようやくお父さんが料理する姿が描かれます。また、1810年の家庭では黒人の親子が食事係として登場します。奴隷制は現在のアメリカ社会につながる重大な歴史です。2010年の家庭では、様々な人種、文化の人々が一つの食卓を囲む姿が描かれています。文章での細かな説明はありませんが、当時のアメリカの姿が忠実に描れており、絵をたどるだけでもアメリカの300年間の大きな変化を知ることができます。物語を楽しみながら重要な歴史をたどることができる、とても素晴らしい絵本です。

いろんな国を舞台にした絵本がたくさんありますが、興味をもった国の絵本を読みたいときには『多文化にであうブックガイド』(読書工房)というすばらしいガイドブックがあるので、ぜひ参考にしてみてください。

「英語力」をつけるには

世界に足を踏み出す時に重要なツールとなるのはやはり「英語」だと思います。小学校でも英語が必修となり中学受験も英語が課される学校がふえました。世界に飛び出していくためには身につけることが必須です。私も親として「苦手意識が生まれる前に身につけさせた方がよいのでは?」とあたふたした時期がありました。そのような中で「これはありがたかった! おもしろかった!」と実際に思った絵本をご紹介します。

Can You do it?

英語でもよめる できるかな? あたまからつまさきまで

ペンギン、きりん、さる、わに。絵本の中の動物たちの動きに合わせて、いっしょに体をのばしたり、手をたたいたり、足をふみならしたり……。
ゆかいなまねっこ遊びの絵本が、英語と日本語で楽しめる2か国語版になりました。動物名や体の部位、まげる・ゆする・たたく・けるなどの動作をあらわす基本的な英単語、「できるかな?」「できるよ」の会話などがしぜんに身につきます。絵本を見ながら体を動かせるので、小さな子どもも大人も、室内でも屋外でも、楽しめます!
『はらぺこあおむし』でおなじみのエリック・カール作。

もともと日本語訳で出ていたエリック・カールさんの体遊びの絵本に英語がついて二か国語版に。まずは、日本語で体遊びをして楽しめます。つぎは英語でやってみると、同じ内容を英語だとどう表現するのかがすんなり学べますよ。そして、英語では同じ「Can You do it?」も、日本語では「あなたはできるかしら?」「きみはできる?」などいろんな表現になります。そうした言語感覚、表現の違いも伝えてくれる、とてもありがたい絵本です。

好きなものを、英語で言ってみよう!

0さい~4さい こどもずかん くるまとでんしゃ 英語つき

大好評「こどもずかん」の第4弾。家のまわりや町で見かける車から、工事現場の車、サイレンカー、電車、特急、新幹線まで、種類別にイラストでずらり紹介します。英語の呼び方も並記。発音の参考になる、読みがなとアクセント表示つきです。

子どもたちがだいすきな車と電車を英語でいうとどうなるかな?と、すきな物から英語へと興味を引き付けてくれる絵本です。英語のフリガナも「オートバイ=motorcycleモウダ―サイクル」と、本格的発音がついているので、パパママも発音を気にせず自信をもって読んであげられるのもポイントが高いです。もちろん、もっとしっかり実際の発音を教えてあげたい、もしくは、一人でちょっと読んでいて欲しいというときにはWebページがあるので、そこでネイティブの発音を聞かせてあげることもできます。シリーズとなっていますので、くるまやでんしゃ以外に子どもの興味のあるジャンルから選ぶことができますよ。

聴いて歌って「英語が好き!」になる

しまじろうのえいごのうた

しまじろうといっしょに楽しく歌って、英語ならではの音とリズムにふれられる絵本。
<こどもちゃれんじ>が厳選した20曲を収録。手遊び歌や季節の歌、挨拶、アルファベットや曜日が学べる歌など、英語圏の子どもたちが大好きな歌ばかりだから、歌を通して楽しく英語に親しむことができます。
絵本部分には、歌ごとにステキなイラストを掲載。歌詞と歌や遊び、学びののメモ、英語の歌の意味も載っているから、親子のコミュニケーションが深まります。

子どもに英語に触れていて欲しい、でも手取り足取りやってあげる余裕がない……というパパママにありがたい、ボタン一つで英語の童謡が流れる絵本です。子どもたちにおなじみの「きらきらぼし」や「おおきなくりのきのしたで」などの歌が英語で流れ、子どもたちも自然と口ずさむことができます。童謡と侮ることなかれで、ぼやーっとしていると大人でも「あっ、舌が回らなかった!」ということもあったり、なかなか鍛えられます。子どもが自由にボタンを押して、親も寝転がりながらいっしょに歌う、なんてこともできる、ありがたーい一冊です。

もう少し大きくなってアルファベットが大体理解できているくらいの年齢の子には、こちらの2冊もオススメです。

このご時世、「英語は早めに覚えた方が!」というプレッシャーがありますが、まずは、子どもの興味の持ち方を見ながら、英語の絵本やDVDなどを使って“英語が身近にある環境”を作ることから始めてみてはいかがでしょうか?

さいごに

国際感覚を持った大人に育ってほしい、国際的に活躍してほしい、多くのパパママが子どもたちにそういった願いをもっていると思います。そのために親は何ができるか、私も試行錯誤の日々です。

私が子どもだった頃に比べて、今は世界との距離は確実に縮まってきていると感じます。我が子の通う幼稚園はごく普通の幼稚園ですが外国籍の子も多く通っていますし、子どもたちはiPadでグーグルアースから世界の国々の位置関係も覚え始めています。私の子は恐竜男子なので、アメリカにある恐竜で有名な自然史博物館、スミソニアン博物館のデジタルコレクションを見ては興奮しています。そういったことから見ても、子どもたちは屈託なく世界と交流し始めているんだなあと思います。

私自身、英語はできた方がいい、早いうちに身につけておくにこしたことはない、という考え方ではありますが、親がどこまで介入していくべきかはまだまだ研究中です。

ただ、子どもの日常生活を見てみると、どこにいっても英語の案内板があり、youtubeを観れば自然に英語のフレーズ(ヒカキン動画の「You got a Moon.」など!)を口にしたり、「今日はケーキfiveね」などとまぜこぜで話したりしています。暇だからとゲーム代わりに英単語アプリをいじることもあり、英語もずいぶん身近な存在になったなあと実感します。恐竜が好きなので、世界の恐竜博物館をめぐるために英語は必要らしいと自覚もでてきたようです。英語が自然にある環境を作りながら頃合いを見て、英語の学習を進めていこうかなと考えています。

世界に飛び出していきたい、英語を身につけたい、そういった気持ちは突き詰めれば世界中の人々とコミュニケーションを取りたいという思いが根本に必要なのではないかと思います。子どもたちが世界の人々とコミュニケーションをとる時に垣根を作らないように、世界にはたくさんのさまざまな文化を持つ人がいて、いろいろな考え方をもっているということを絵本でも知っていってもらいたいなと思います。

徳永真紀(とくながまき)


児童書専門出版社にて絵本、読み物、紙芝居などの編集を行う。現在はフリーランスの児童書編集者。児童書制作グループ「らいおん」の一員として“らいおんbooks”という絵本レーベルの活動も行っている。6歳と3歳の男児の母。

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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