絵本ナビスタイル トップ  >  絵本・本・よみきかせ   >   現役学校司書が本でCheer Up! 中学生に読んでほしいオススメ本   >   中学生の読書感想文にオススメの本8選(2022年版)
現役学校司書が本でCheer Up! 中学生に読んでほしいオススメ本

中学生の読書感想文にオススメの本8選(2022年版)

みなさんこんにちは。
梅雨が明ければ、夏!
夏といえば?プール! Yeah!  花火! Yeah! そして…
読書感想文!
Yeeeeeeeeeah!
 

とは…ならない、ですよね。
もしかしたら、
読書感…想…文…orz
となっていたりして?
 

そんなあなたに、
「この本を読んでよかった!読書感想文、ばっちこーい!」
と思えるような、今年とってもホットな本たちをご紹介します!
 

今回は、日本の小説を4冊、海外の小説を2冊、ノンフィクションを2冊をピックアップしました。
昨年も「中学生の読書感想文にオススメの本9選~読書感想文が苦手なあなたに~
としてオススメ本を紹介していますので、よかったら参考にしてみてくださいね!

中学生の読書感想文、これがオススメ!~日本の小説~

キャラ立ちがハンパない愛すべきアビゲイル葉奈と、セカイの本質を考えたくなる小説

『セカイを科学せよ!』

今年度の「青少年読書感想文全国コンクール」中学校の部の課題図書になっているこの本。

私が過去1年間に読んだ本の中で、キャラ立ちランキングに入る愛すべき主人公、山口アビゲイル葉奈の虫偏愛小説です。転校生の葉奈は、ふわふわのカーリーヘアにコーヒー色の肌、ぽってりとした唇の女の子。黒人とハーフというけれど、日本生まれの日本育ちで英語力は人並み、ダンスが上手なわけでも特別な身体能力を持つわけでもない子です。
そんな葉奈が、科学部に入部し、たった一人、学校で昆虫を飼育し始めることに。科学部のロシア系のハーフである科学部のミハイルは、目立たないように過ごす術を身につけたこじらせ系。葉奈の自由奔放な行動が気になって仕方ありません。
ミハイルの心配をよそに、様々な虫を学校に持ち込んでは、虫嫌いな女子達とトラブルを起こす葉奈。それでも歯に衣着せぬ話しぶりと裏表のない真っ直ぐな性格に、周囲の人は少しずつ葉奈に馴染んでいくのでした。

この小説は、ナーバスな話題ゆえに実社会で扱いにくい「人種差別」「見た目の違い」をテーマにしています。葉奈の行動を偏見の目で話すクラスメイトの反応は人種差別そのもの、なのですが、たいていのことには動じない自由な葉奈の様子によって、陰湿さをそう感じさせない絶妙なバランスになっています。
読みやすく、テーマも明確なので読書感想文を難なく書けそうな本です。しかし! この特集を読まれたみなさんは、ちょっと変化球で葉奈以外のサブキャラに焦点を当てて書いてみるのもよいかもしれませんよ。例えば、ミハエルやそのお兄ちゃん、葉奈のお母さん、校長先生など、葉奈以外にも個性的なキャラクターがいます。彼らを人を切り口に感想文を書いてみると、独創性を発揮できます。

また、この本の目次の次のページにはアインシュタインの言葉が、ラストにはロシアのことわざが登場します。こうしたキーセンテンスとなる言葉を小説の中から見つけ出し、考えていくのもいいですね。
いずれにしても、とっても感想文が書きやすい本だと思います。そうそう、虫嫌いの人はちょっと苦しいかもしれませんが。感想文が書きやすい小説ナンバーワンです。

「名乗る/名を呼ばれる自由」を求めて決起する中1たち

『#マイネーム ハッシュタグ・マイネーム』

みなさんは学校で友達のことを、なんと呼んでいますか。
あだ名? それとも苗字+さん付けですか?
「SUNさん運動」(男子も女子も互いに苗字+さん付けで呼ぶルール)に従うようにと言われた、杜中1年1組。この大人が決めたルールに違和感を持って行動を起こす中学生を描いた小説です。主人公は中学校入学を機に苗字が変わった、坂上明音、改め戸松明音。明音とクラスメイト達による、自分を名乗ることや、名を呼ばれることをテーマにした異色の小説です。


まずこの作品、本のデザインがとってもステキなんです。セーラー服に身を包んだショートカットの少女がこちらを睨む挑発的な表紙は一度見たら忘れられません。裏表紙や見返しに描かれるクラスメイトたちも実に印象的!(読後必ずブックデザインを見直してくださいね!)。

さて、この本『#マイネーム ハッシュタグ・マイネーム』のテーマについて、お父さんお母さん世代は、昔ゴダイゴというグループが歌っていた「ビューティフル・ネーム」という曲を思い出すかもしれません。実は「いじめの原因になりかねないあだ名を廃して、さん付けで統一する」ルールは、実際の学校で、いまちょっと話題になっています。みなさんは、どう考えますか? 望まないあだ名で呼ばれると、悲しい。でも誰もが「さん付け」はちょっとよそよそしい。そう思う人もいれば、さん付けでもまったくOK! という人もいることでしょう。

私は、この本を読んで「青年期の自我同一性(アイデンティティ)獲得」という概念を思い出しました。エリクソンという心理学者によれば、みなさんたちはまさに青年期にあり、社会の中で「自分とはなにか」ということを悩み、試行錯誤しながら獲得していく時期なのだそうです。

「自分は何者か」ということを考えるときに、一番わかりやすいシンボルが、「名前」なのかもしれません。この本では、SUNさん運動に違和感を覚える生徒たちが、SNSのトークルームに集まり、大人に与えられたルールではなく、自ら決めた名を名乗り始めます。集まって行動をするけれど、自分の名への思いは登場人物それぞれに異なります。親の離婚や、障害、国籍などさまざまな要因がある、彼らそれぞれの気持ちを考えながら、自分の名前と、名乗ること/名を呼ぶことについてこの夏じっくり考えてみませんか?

優等生の主人公が、中学卒業を目前に大人たちの矛盾に気づく!

『あの子のことは、なにも知らない』

この作品は高校受験を終え、卒業式前日に行われる卒業祝賀会の実行委員を務める中学3年生たちを扱った小説です。
主人公の秋山美咲は、学校のルールを守り、先生達からの信頼も厚い優等生。今回も実行委員長として祝賀会を成功させるべく、奮闘しています。地域の伝統となっている卒業祝賀会は、卒業生の写真をつないで作るスライドショーと、親への感謝の気持ちを手紙にして渡すセレモニーがメインです。美咲は学年主任である前田先生の期待を背負いながら、奮闘します。給食だけは必ず食べに来る転校生の和也を含め、手紙も写真もまだ出していない生徒にやきもきする美咲ですが、毅然とした態度でそつなくまとめ上げようとします。
クラスの実行委員と作業を進めていく中で、和也にはどうやら家庭に事情がありそうだということがわかり、これまで揺るぎなかったリーダーとしての美咲の心が揺れはじめます。
和也の存在を消し、大人の期待どおりに何事もなかったのかのように祝賀会を成功させるのか、それとも……。
今まで憧れていた大人たちの、見てみぬふりをして切り捨てる態度に美咲は悩みます。そして美咲がとった行動は……?
 
中学卒業を目前に今まで大人の期待通りのいい子であった美咲が、大人への見方が変わることで立ち止まる。『#マイネーム ハッシュタグ・マイネーム』は中学1年生ですが、2年分の成長が見られるような中3の悩みを感じることができる小説です。「反抗期」とひとくくりにはできない、中学生の複雑な心境と、成長によって視野が広くなり抽象的なことへの想像力が広がっていくさまが、見事に描かれた作品です。主人公の美咲の気持ちはもちろん、貧困と虐待を経験した和也の環境や、支援について感想文を展開するのも一案です。

夏にピッタリの純愛ラブストーリーが読みたいあなたに

「感想文はともかく、夏にピッタリのラブストーリーを読みたい!」という人にオススメの1冊です。
 

今年は沖縄本土復帰50年の記念すべき年ですね。沖縄の潮風と、のんびりとした風土をまるっと感じられるようなこの作品、実は第1回ラブストーリー大賞の受賞作であり、押しも押されぬ人気作家である原田マハさんのデビュー作なんです。


沖縄の離島を舞台に、よろずやを一人で営む、いい大人のそしてだいぶ縁遠い明青の純愛ラブストーリーです。ちなみに、タイトルのカフーは明青の飼い犬(いい知らせ、幸せを意味する果報から名付けられた)の名です。
旅先で冗談半分に書いた絵馬を見て、ある日明青のもとにでーじ、美らさん(とっても美人)な幸というお嫁さん!? が転がり込んできて……。昼はたっぷり中休みを取る沖縄ののんびりした時の流れと、おばあが話すウチナーグチ(沖縄方言)に美味しそうな沖縄料理。作品を読むうちに、自分の周りが沖縄の風に吹かれているような心地になります。島は明青の幼馴染が持ってきたリゾート開発の話で、ざわついていますが、明青は断固として反対の意思を示します。それなのに、恋愛については肝心なときにめちゃめちゃシャイになってしまう明青。のびのびしたナイチャー(沖縄の外の本土の人)である幸に好意を持つものの、行動できない姿に、やきもきしながらページをめくる手が止まりません! 明青が思慕する幼い頃に行方不明になったお母さんや、島の開発の行方など、作品内に散らばる伏線がラストに回収されていく様子はさすがです。どんでん返しにハラハラしながら、ラストはじーんとこみ上げてくる、そんなすてきな作品です。

沖縄がぐっと身近になって、純愛の尊さも味わえるこの作品。夏の暑さを味わいながら読んでみませんか。

中学生の読書感想文、これがオススメ!~海外の小説~

血が繋がらなくても、大切な姉妹。話題の「シスターフッド」小説を読んでみない?

みなさんシスターフッドという言葉をご存知ですか?

シスターフッドとは血縁関係の有無に関わらず、姉妹のように連帯したり、助け合ったりする関係性のこと。今年は私、どういうわけかシスターフッドをテーマにした小説に遭遇することが何度もあるんです。「シスターフッド小説の名手」と私が勝手に呼んでいるのは、作家の柚木麻子さん。最近では明治の女子教育者、河井道の生涯を描いた『らんたん』、『ついでにジェントルメン』の6作品目の短編「あしみじおじさん」が印象的でした。

今回は海外小説から、中学生の読書感想文にぴったりな『赤い糸でむすばれた姉妹』をご紹介します。女の子が、女の子を助けようとする小説ではありますが、男の子も十分に楽しめる小説です。ぜひ読んでくださいね。

この本は、中国の児童養護施設で過ごすウェンにアメリカの養父母が決まり、旅立つところから始まります。ウェンは新しい家族に対する不安と、児童養護施設でお姉さんのような存在だったシューリンのことが気がかりです。シューリンは優しくて、赤ちゃんの面倒をよく見て、絵が上手い女の子。片足が不自由で、施設で年長者になってもまだ養父母が決まりません。ウェンは旅立ちの時、必ずアメリカで里親を探すとシューリンに約束します。
アメリカに着いたウェンは優しい両親と、そして中国から同じように養子になった妹に歓迎され、あたたかく迎えられます。でもウェンはなかなか彼らに心を開くことができません。いつか中国に送り返されるのではないか、自分は不要な子として放り出されてしまうのではないか、と気が気ではないのです。そしてもう一つ、シューリンが幸せになるまで、自分は幸せになってはいけない、そんな気持ちを心に抱いています。

作品内では、アメリカでの恵まれた暮らしに、中国の児童養護施設での厳しい暮らしが影を指すように織り交ぜられています。その対比から、中学生のみなさんはウェンの複雑な心境を感じ取ることができるでしょう。また、新しい娘が心を開かず寂しそうなアメリカのお母さんの気持ちも、きっと感じられるでしょう。
アメリカでシューリンの里親になってくれる人を見つけたい! そう願うウェンは、言葉や文化に慣れないまま、行動を起こします。養子縁組のタイムリミットが迫る中、ウェンは無事シューリンの里親を探すことができるのか、後半はハラハラドキドキの展開です。
おそらくみなさんの世界とはかなりかけ離れたお話です。けれども、中国の一人っ子政策や、国際的な養子縁組など、様々な社会問題を知るきっかけになる本です。

この本のタイトルにもなっている「赤い糸で結ばれる」は、日本では恋愛のパートナーに対して使われることが多いですよね。元々は中国の言い伝えのようです。みなさんの「赤い糸」はどこで、誰と繋がっているのでしょうか。
ウェンとシューリンが育った環境は、恵まれたあたたかなものではありませんでしたが、姉妹のような絆とそれを互いに思いやる関係性は、経済的な豊かさ以上に尊いものなのではないかな、と思わせてくれる小説です。

少女が蒔いたマメから始まった、貧困地域に起きた奇跡の物語

この本は「人種のるつぼ」と言われるアメリカの、工業地帯であるクリーブランドを舞台にした小説です。不法投棄で荒れ果てゴミの山となっている空き地に、一人の女の子が記憶のないお父さんを想って豆をそっと植えました。その行動がやがて他の人々の行動を促し、空き地は奇跡のような場所へと変化していきます。


この小説は全部で13人の老若男女が、それぞれの視点から空き地を語ることで紡がれていきます。13人の人々の出身はベトナム、グアテマラ、ハイチ、韓国、メキシコ、インド、ポーランドとさまざまで、年齢も、性別も、肌の色も、実に多種多様です。
登場人物の性格はもちろん、抱えている悩みも、空き地に込める想いも異なる彼らですが、たった1つの共通点「空き地」を軸に、彼らのバラバラな動きが一つの大きなうねりへと緩やかにつながっていきます。


前回の特集は「中学生にオススメしたい「緑」の本」で、植物と人に関するたくさんの本を紹介しました。
今回紹介する『種をまく人』からも、植物が人に与える大きな力を感じ取ることができます。植物は動かないし、話せないし、劇的な変化は起こりません。けれどもそんな植物が人々にもたらすものは、私たちが思っているよりとても大きなものなのかもしれません。
この本を読んで感想文を書く人は、自分の思いに近い登場人物だけではなく、考え方の異なる人や反発を覚える人を思い浮かべて、その人の気持ちの背景を考えてみるとよいかもしれません。

また、登場人物たちの出身国で、気になった国を調べてみるのも面白そうです。調べたことをふまえて、再びストーリーを読むと違った印象が立ち上ってくるかもしれません。この物語の「その後」を想像してみるのもおすすめですよ。

中学生の読書感想文、これがオススメ!~ノンフィクション~

湯船から戦争を考える斬新なルポルタージュ!

ロシアがウクライナを侵攻して戦争が始まり、5ヶ月近くが経ちました。
2022年、「歴史上の出来事と思っていた戦争が、実際に起こる」ことや、ゲームやCGの中でなく、道路や建物が本当に破壊され人が亡くなるということを映像で見て、驚きを隠せなかった人も多いことでしょう。


この本は「戦争と銭湯」(なんだか音が似ていますね)という、斬新で、かつとてもよい本です。以前音声配信でも紹介していますので、よかったらそちらも聴いてくださいね。


本書はタイ、沖縄、韓国、寒川、大久野島の5つの地域を男女の著者二人がめぐる5章仕立てです。それぞれ、銭湯で出会った人との交流を通じて、その地域の戦争の爪痕をルポルタージュ(記録)しています。
人が心と体を解きほぐす場所、お風呂。そこから、戦争を考察するというのは何と素晴らしい企画でしょう。心も体もオープンにならざるを得ない銭湯で語り合うとは、「お風呂グラフィー」と名付けたくなるような斬新な手法です!


2022年の夏、私は中学生のみなさんに沖縄の章をぜひ読んでほしいなと思います。
『カフーを待ちわびて』でも書きましたが、今年は沖縄本土復帰50年の記念すべき年。『戦争とバスタオル』に登場する中乃湯は1960年に開業したので、アメリカ世(アメリカ統治時代)を知っている、沖縄唯一の銭湯(ユーフルヤー)なのです。中乃湯に来るお客さんたちは、沖縄戦、サンフランシスコ講和条約によって日本から切り離され米ドルが通貨になっていたことや、米軍の街コザでの暴動、基地問題など、教科書に文字で見る言葉たちが、生きた経験として語られます。米軍内での人種差別や沖縄の結婚、高齢化などの文化事情も柔らかい温泉の湯のように、私達の心にすっと入ってきます。この章で語られることはあまりにも多いですが、さまざまな問題を含んで存在し続ける沖縄の銭湯から、社会の複雑さと、ゆんたくで交流する沖縄の人々の様子(『カフーを待ちわびて』でも明青のお店の前で似た光景が描かれています)と、そしてなぜだか希望を感じられる本です。


今回は沖縄本土復帰50年にちなんで沖縄の章を紹介しましたが、他の章でもその地域にまつわる戦争を知ることができます。
感想文では、気になった地域について更に他の本で調べてみたり、地元の銭湯でフィールドワークをしてみるなど、自分なりの視点を加えて書いてみるといいですよ!

これからの生き方「人生100年時代」を100年前の職人から学ぼう!

日本の技術力は戦後の高度経済成長期に世界で高く評価され、現在は精密機器などの他、伝統工芸品や美術品も高く評価されています。
ものづくりの国ニッポン、そして手先の器用な日本人という評価を裏付けるような本が、この『田中久重と技術』です。田中久重は江戸の後期に生まれ、幕末を経て明治時代まで技術者として活躍した人です。そしてこの本は、史実に著者の想像力を織り交ぜ、田中久重自身が自分の生涯を語るというスタイルの創作小説です。

主人公、田中久重を簡単にご紹介しましょう。彼は九州のべっ甲細工の職人の家に生まれ、手先が器用で頼まれてからくり人形の製作に関わります。その手先の器用さと技術力の高さは、地元の藩主にも認められるほど。その後、大阪に出て時計の修理技術者から日本初の和暦による万年時計を製作し、晩年は蒸気船の開発や、日本初の実用電信機など、日本の近代技術の礎を築いた人です。
手先の器用さは人それぞれで、向き不向きがあるかもしれません。ですから「みんなも久重を真似をしよう!」というわけではないのです。


ところで「人生100年時代」という言葉を聞いたことがありますか?
少し難しい本ですが、ビジネス書のベストセラーになった『LIFE SHIFT』という本には、これからの人生100年時代には、学校時代に得た知識だけで一生を過ごすことは難しく、時代の変化に合わせて柔軟にキャリアを変えながら生きることの大切さが書かれています。
新卒で勤めた仕事を定年まで勤め上げて退職、という従来のキャリアではなく、変化の激しい時代とライフスタイルに合わせ、キャリアを何度か変えていく時代になっていくというのです。

そこで本書に戻りますが、人生50年と言われた頃、50歳近くになって子どもほど若い師匠から蘭学を学び、自分の得意なことで日本の近代化に貢献した田中久重の生き方こそ、まさに近未来の「人生100年時代の働き方」。未来を生きるみなさんに、日本に生きた実在の人を紹介したくてこの本を選びました。


田中久重のモチベーションは「人を驚かせ、喜ばせるものづくり」だったそうです。読むと、学ぶことにタイムリミットや制限はないのだなと思います。得意なことと、好きなことを追い求め、江戸時代の職人から近代の技術者へとキャリアチェンジをした久重の、柔軟な思考と目的意識には私も驚くばかりです。

この本がみなさんの進路やキャリアを考える助けになってくれたら嬉しいです。

今回のスペシャルコンテンツ

最後に、今回も絵本ナビスタイルの読者さん限定の音声スペシャルコンテンツを用意しています。
「学校図書館ラジオ」を配信しているstand.fm で「夏休みを計画的に過ごすためのとっておきの本」を聴くことができます♪
下のQRコードからのみ、聴くことができる限定配信です。

QRコードを読み取っていただくか、URLをクリックして聴いてみて下さいね♪

おわりに

いかがでしたか。
たくさんの本を紹介しましたが、まだまだ紹介したい本があるんです。
みなさんが読書感想文に選んだ本をよかったら教えて下さいね!アンケートからご感想をいただければ嬉しいです。
次回の特集は7月下旬を予定しています。お楽しみに!

連載【現役学校司書が本でCheer Up! 中学生に読んでほしいオススメ本】では、読者のみなさんからの感想や質問を募集しております。アンケートよりご意見をお寄せください。

Q1. お名前またはニックネーム(記事でのご紹介が可能かどうかもご記入下さい)

Q2. 属性(可能な範囲で)例:小学生、中学生、高校生、保護者、学校関係、図書館関係、その他等

Q3. 質問やご感想をお寄せください。

アンケートのご回答へのコメントです♪

前回の記事「中学生にオススメしたい「緑」の本」に感想をお寄せいただいた皆さま、ありがとうございました。

ひーちゃんさん

アンケートにお答えくださり、ありがとうございました。
ひーちゃんさんの息子さんは、ゲーム好き男子くんなのですね。それは世の中の中2の主流ともいえましょう。
昔は「本を作る人になりたい」と仰っていた息子さんとひーちゃんさんが一緒に楽しめそうな2冊を選びました。

《古代エジプト・サバイバル》』ミイラの地下墓地から大脱出 生死を決める130の分かれ道
ひーちゃんさんは、「ゲームブック」というジャンルを覚えておられますか? テレビゲームの隆盛によって廃れた、あのジャンルです。この本は、古代ミステリーをテーマにした今年発売のゲームブックです。
ひーちゃんさんは懐かしさに胸をつまらせながら、息子さんはアナログゲームに新鮮味を覚えてくれるかな? ぜひ二人で楽しんでみてください。


この本は、ちょっと易しすぎという声もあるのでより難解なゲームにトライしたければこちらを。
津村記久子『サキの忘れ物』に収められている「真夜中をさまようゲームブック」です。著者が最初に但し書きを書いている通り、主人公がわりと簡単に死ぬw難しさです。ゲームブックをきっかけに、同じ本に収められている津村記久子さんの短編を読んで、小説の味わい深さ、奥深さを息子さんが感じてくれたら嬉しいです。

山下ちどり
 

現役学校司書。
音声メディアstand.fm「学校図書館ラジオ〜本とともにごきげんな毎日」のパーソナリティ。
比較的新刊のお気に入り本や、学校図書館、出版周辺のトピックスなどを配信している。Twitter @nagisalib

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
この記事の関連キーワード
Don`t copy text!