【季節の絵本選びとプログラム作り】2023年2月、節分と春の始まりに読みたい絵本
絵本講師として10年以上ご活躍中のふわはねさん。絵本講座や絵本コンサル、絵本の読み聞かせ会などを年に200回以上こなしています。そんなふわはねさんに季節にあった絵本と読み聞かせ会の流れについて語ってもらいました。
二十四節気(にじゅうしせっき)を感じる
二十四節気とは… 1年を12か月さらにその半分、24個に分けた季節を表す名称です。
2月では…
立春りっしゅん(2月4日)旧暦では新しい年の始まりとされていた立春。春の訪れとともにまた新たな一年の幕開け。
雨水うすい(2月19日)雪が雨に変わり氷が解けだす頃。農作業を始める日の目安ともなる。
2月のおはなし会
2月4日は立春。その前日の2月3日は「季節を分ける」と書いて「節分」の日です。
まだまだ寒い日が続きますが、季節は冬から春へと移ろいます。
昔の人たちは新しい季節へ向かう前に豆を投げ、多くの厄を払ったのでしょう。
手遊びやわらべうたも入れながら、伝統的な行事なども絵本と一緒に楽しめるといいなと思っています。
今月のおはなし会も楽しんでいきましょう。
【はじまりの絵本】
有名なあの歌の続きが?!『おにのパンツのそのあとは・・・』
さぁ、まずはこちら。
昨年末出たばかりの新刊!
『おにのパンツのそのあとは・・・』
タイトルに惹かれて手を取ったのですがこれは楽しい!!
この時期のお話し会の大人気になる予感。
それはこんな始まり
おにの パンツは いい パンツ
つよいぞ つよいぞ
とらの けがわで できている
つよいぞ つよいぞ
(本文引用p2-5)
はい! あの「おにのパンツ」のおうたです。
でも少し違うのはみんなでパンツを履いたあと、赤おにの子が山から滑り落ちてびりびりびりー!!!
破れたおにのパンツ。
お歌に乗っておにの子たちと一緒に、どうやらとらに毛皮をもらいに行くようです。
さぁ、おにの子のやぶれたパンツはどうなるのでしょう。
見返しには楽譜と、手遊びの振り付けイラストも。
楽しい歌絵本! 一緒に歌って始めましょ!
読み聞かせ時間目安<1分20秒>
とらの毛皮でできたおにのパンツって、どれだけ強いと思いますか? あの大人気の童謡には、実はこんな続きがあるのかもしれません。全編を音楽に乗せて読めるので、歌い読みにもぴったり。もちろん、音楽に乗せずにゆっくり読むのもおすすめです。簡単な伴奏の楽譜と、手遊びの振り付けイラストもついています。
【昔話】
節分にちなんだ昔話『だんだんのみ』
お次は節分にちなんだ昔話はいかがでしょう。
それはこんな始まり
あるひ、ととさは きゅうに はらが いたくなった。
「かかさ かかさ、どうしょばのう」
「ほんだのう、おてらに いって、おしゃうさんにきいてみなせ」
と かかさが いった。
そこで ととさは でかけていった。
(p2本文引用)
ここでのおしょうさんの一言が衝撃!でもここで驚いてたら最後まで身がもちません(笑)。
昔話らしい繰り返しからの広がりのある展開が面白く、テンポの良さにひきこまれて最後のオチまで片時も目が離せません。
版画の絵とお話がとてもよく合っていて、絵がお話を助けてくれる大好きな一冊。
節分が近づくと読みたくなる昔話をご一緒に。
読み聞かせ時間目安<4分00秒>
お腹が痛いととさんは、かえるをペロリとのみこんだ。
かえるが腹の中にいた虫をたべたけれど、今度はかえるがはねて苦しい。
ならばへびを、きじを、猟師を、鬼を――。豆まきへと展開するゆかいな版画絵本。
こちらの記事で前にご紹介した『かえるをのんだととさん』は、タイトル違いですが同じお話。
昔話にはこんなふうに違う地方で話されているものでも、すごく似ていたり、タイトルが違ったりするものもあって、面白いなぁと思います。
- 2020.02.12【ふわはね絵本のある時間】2月におすすめの本
【新刊絵本】
いないいないばぁ絵本の新定番『パッポー』
お次はみんなで掛け合いしながら楽しみましょう。
音とリズムが楽しい鳩時計の絵本が出ましたよー!
カッチコッチ
カッチコッチ
ポーン と時計が鳴ると…
「次は誰が出てくるの?」とドキドキワクワクしながら繰り返しを楽しめます。
どうやら振り子は出てくる子たちの好きなもの?!
みんなで当てっこしながら進みます。
どんどん増える仲間たち。
時間もちゃーんと進んでて。
そして最後には!!!
北村人さんの描く愛嬌のあるかわいい絵と耳に心地よい言葉で進むリズムのいい絵本。
読み聞かせにもでも大人気になること間違いなし!
読み聞かせ時間目安<1分20秒>
【季節のお話】
100年以上前に出版されたドイツ古典絵本の傑作『ねっこぼっこ』
まだまだ寒い日が続きますが、暦の上では立春を迎え春になろうとしています。
お次はこんな絵本はいかがでしょう。
『ねっこぼっこ』
それはこんな始まり
「さあ おきなさい こどもたち
もうすぐ 春が やってくる」
ねっこぼっこは うーんと せのび
くしゃくしゃの かみ なでつける
(p2本文引用)
100年以上前に出版され、ドイツ古典絵本の傑作といわれた絵本。
ねっこぼっこは土の中、大地のかあさんに起こされて、春の準備を始めます。
冬の間地面の中で過ごすねっこぼっこ。
まずは自分で縫うよ。春の服。
虫たちの体を洗い、ブラシをかけて色を塗り、さぁ、外の世界へ喜び勇んで繰り出します。
夏の間、草たち虫たちとともに、遊びおどるねっこぼっこ。
そして木枯らしの吹く秋が来る。
みんなを大地の母さんのおうちへふきもどす。
そして眠る。また新しい春が来るまで。
オルファースの美しい絵とリズムよく紡がれた言葉が、春の訪れをうたう。
蕾のふくらみや花の開花、虫との再会を果たすと「ねっこぼっこが出てきたね」と幼かった娘たちと話していたことを思い出します。
読み聞かせ時間目安<2分15秒>
100年もの読み次がれているオルファースの絵本。貴族の生まれの作者、上品で可愛らしく自然が生き生きと美しく描かれている作品ばかりです。
「ねっこぼっこ」は野の花やちいさな虫たち。「さあおきなさい、もうすぐ春がやってくる」大地のかあさんの声で土の中の「ねっこぼっこ」は目覚めます。
【季節行事の絵本】
カレンダーをめくるように飾っておくのもオススメ『おふくさんの12かげつ』
最後はこの方達のお顔をみるとほっこり元気になる大好きなシリーズ。
新刊は季節や行事が楽しめるものが出ましたよ。
『おふくさんの12かげつ』
それはこんな始まり
おふくさんたちは
きょうも ふくふく にこにこ なかよく くらしています。
そこへー
(p1本文引用)
ただいま〜!と帰ってきたのはみなづきさんとながつきさん。
これで12人勢揃い。
それぞれ月にちなんだ名前をもっています。
1月はむつきさん。むつきは1月のこと。
睦月の名前の由来と、その月の行事がおふくさんたちの楽しい1日の絵とともに描かれます。
カレンダーのように毎月めくりながら楽しめる一冊。季節の行事とともにおふくさんが一緒にいればなんだか福がやってきそうです。
その月のページを開いて飾るのもオススメです!
読み聞かせ時間目安(お話のみ)<3分30秒>
むつきさん・きさらぎさん・やよいちゃんからしわすちゃんまで、12か月の名前が付いたおふくさんたちが、定番の行事や風物詩・旧暦の由来などを紹介します!絵本を読みながら、12か月の色々なことが楽しめる行事絵本です
【その他 2月の読み聞かせにおすすめの絵本】
かえるをのんだととさん
絵本の読み聞かせについて思っていること
絵本はコミュニケーションツールです。 絵本は子ども達の歩みを助け、その成長を促してくれるかもしれません。 しかしそこには読んでくれる人の温もりを通した生きた声が不可欠です。 人と人とが向かい合い、片手間にはできない読み聞かせだからこそ愛情が注がれるのです。 子どもの持つその心のコップを絵本を使って愛情で満たしてあげてください。大好きな人の声で温もりの中聞く美しく豊かなお話。それはあっという間の子育ての濃密な時間を助け、後にその子どもたちの長い人生の心の支えとなるでしょう。
ふわはねプロフィール
ふわはね(内田 祐子)
大学で児童文学を学ぶ。2005年絵本講師1期生として絵本講師資格取得。関西を中心に企業での定期教室をはじめ、
絵本のつなぎてとして、絵本の作り手と読み手を。親と子を。人と人を繋いでいる。
子育てアドバイザー・JPIC読書アドバイザー
大学2回生と高校2年生の娘をもつ。インスタグラム @fuwahane
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