【季節の絵本選びとプログラム作り】2023年4月、新しい季節、新しい生活を楽しむ絵本
絵本講師として10年以上ご活躍中のふわはねさん。絵本講座や絵本コンサル、絵本の読み聞かせ会などを年に200回以上こなしています。そんなふわはねさんに季節にあった絵本と読み聞かせ会の流れについて語ってもらいました。
二十四節気(にじゅうしせっき)を感じる
二十四節気とは… 1年を12か月さらにその半分、24個に分けた季節を表す名称です。
4月では…
清明せいめい(4月5日)全てのものが清らかで生き生きとする頃。草木は芽吹き花が咲く。
穀雨こくう(4月20日)種まきや田植えの時期に、あらゆる穀物を潤して育てる春の雨が降る頃。
4月のおはなし会
桜も満開に、本格的な春が始まります。
はじまりの4月。進学、進級など新しい生活が始まる人も多い季節。
頬にあたる優しい風にほっとするもの。
絵本と一緒に歌や草花も味方につけて、新しい一歩を楽しく踏み出してほしいなと思います。
【はじまりの絵本】
自己紹介もお歌でどうでしょう『はじめまして』
今月は始まりの季節にぴったりのお歌の絵本から
自己紹介の絵本です。
トップバッターは ねこやまたろうくん
それはこんな始まり
「はじめましての
ごあいさつ
ねこやまたろうと
もうします
おひげが ぴんぴん
はえています
どうぞ これから
よろしくね」(本文引用p2-4)
お歌に合わせて ぞうやまはなこさん に、くろかわぴあのちゃん。そして、いすやまかけおくん と続きます。
巻頭には楽譜が載っていて、よく最初の一冊としても歌い読みする大好きな絵本。
絵本と一緒に自己紹介してみませんか。「はじめまして」の季節にピッタリの絵本です。
読み聞かせ時間目安<2分30秒>
【おいしい絵本】
まずは腹ごしらえ『じゅうじゅうじゅう』
それはこんな始まり
たまごを パカッ
フライパンで じゅう じゅう じゅう
やけたやけた
(p1-3本文引用)
フライパンで次々と焼かれるソーセージやにんじん。そして最後はみんなの大好きな…。
子どもたちもおままごとを楽しむように絵本を楽しみます。
アルミ板をカッティングする技法で作品を制作するあずみ虫さん。
一見冷たそうな素材をこうも温かくおいしそうに描くあずみ虫さんは、これまた唯一無二の存在だなぁと思います。
絵本を閉じた後はじゅうじゅうしたくなる。そんな一冊です。
読み聞かせ時間目安<1分00秒>
卵をパカッ。「じゅう じゅう じゅう」とフライパンで焼いて、「やけた やけた」。目玉焼きのできあがり。ソーセージ、にんじんも「じゅう じゅう じゅう」と焼きます。次の場面では、「とろ とろ とろ」とボウルから何かがこぼれてきます。「これはなにかな?」。「じゅう じゅう じゅう」と焼いてできあがったのは、ホットケーキ! グラフィカルなフライパンの造形が魅力的な、おいしそうな食べ物絵本です。
【お話絵本】
小学校でも大人気『ふってきました』
季節の変わり目。雨が続きます。
二十四節気では「穀雨」という時期に入り、穀物を潤す雨としてこれも大切な自然の恵み。
次の絵本はあり得ない展開の繰り返しにみんなびっくり!
小学校の読み聞かせでも大人気だったこちらの絵本。
それはこんな始まり
いまにも ふってきそうな そらです。
つるこちゃんは おはなを つんでいました。
おかあさんに あげるのです。
(本文引用p1-3)
すると空から大きなわにが(!!)降ってきました。
わに?!!と驚くなかれ。この後ぞうに、ライオンにしまうまに、パンダまでふってきます。
子どもたちも「えーーー!!」「わーーーー!!」とびっくりしながら絵本を楽しんでくれます。
最後はほっこりと。ありえないことを全力で楽しめるのも絵本のよさですよね。
読み聞かせ時間目安<2分05秒>
【自然観察絵本】
自然と仲良くなれる『はるなつあきふゆのたからさがし』
草木が芽吹き、花が咲く。本格的な春がやってきました。
ぜひ身近な自然と仲良くなってほしい。
お次はこんな絵本はいかがでしょう。
お散歩の大好きな矢原由布子さんによる身近な草や木、花などを観察できる絵本。
それはこんな始まり
あたたかい はるが やってきました。
むくは 5さいの 女の子。
おかあさんが えかきです。
ふたりは さんぽが だいすき。
「むく、たからさがしに いくよー!」
「はーい!」
たからさがしって、なんだろう?
(本文引用p1-3)
いつもの道も毎日違う。
色とりどりの草や花や木。身近な散歩道の約200種の季節ごとの変化を観察できる絵本です。
監修は植物観察家の鈴木純さん。図鑑のような要素も持ち合わせながらも、むくちゃんとお母さんの会話も楽しく読めます。
これ一冊あれば自然と仲良しになれること間違いない。
巻末にはおさんぽの持ち物や植物に関するQ&Aが載っていて、より植物が身近に感じられるでしょう。
知ると見えてくる世界があります。ぜひお子さんとご一緒に、絵本を片手にお散歩しませんか。
おさんぽが大好きな絵本作家、矢原由布子さんが描く、身近な草・木・花の季節ごとの変化を観察できる絵本。監修は植物観察家の鈴木純さん。みどころやおもしろい不思議をたくさん発見できます。いつもの町も、植物と一緒だとスペシャルになります!
【滑舌を鍛える音読絵本】
ライブでも盛り上がりました『ニュースで勤トレことば サ行編 新種さんしょううお発見!』
最後はこちら
日本テレビアナウンサーの杉上佐智枝さんが提案した滑舌を鍛える音読絵本
『ニュースで筋トレことば』
それはこんなお話。
ある日「KEROKERO NEWS」のスタジオに新種のさんしょううおが発見されたというニュースがと飛び込んできました。
新種さんしょううおを捕まえようとする笹原さん。佐々木さんに佐々三郎さん。
衝撃の展開となんとも読みづらい文章。でもその裏にはサ行の滑舌を鍛えるという、口の筋肉トレーニングが隠されているのです。
新入学、進級など新しい生活が始まる4月。マスクの下で少し緩んだ口元。
ぜひこの『新種さんしょううお、発見!』でさ行を集中トレーニングしませんか。
(こちらの絵本は絵本ナビ「絵本アプリ」内にて読むことができます)
先日、絵本ナビのインスタグラムで読み聞かせライブ配信をさせていただきました。
絵本ナビスタイルのインスタグラム内にて期間限定でアーカイブがありますので、よければぜひご覧ください。
読み聞かせ時間目安<3分>
『ニュースで勤トレことば サ行編 新種さんしょううお発見!』
【滑舌を鍛える音読絵本】シリーズ1作目。
舌や唇、その周りの筋肉のトレーニングにつながる言葉を“筋トレことば”と命名し、言いづらい「さ」行の“筋トレことば”をたくさん盛り込んだ絵本。
“筋トレことば”を提案したのは、絵本専門士としても活躍中の、日本テレビアナウンサー杉上佐智枝さん。
アナウンサーが、滑舌のトレーニングとして職場で実際に使用している言葉も盛り込まれました。
繰り返し読むことにより滑舌を鍛えることにつながり、人前で話す事に苦手意識を持っているお子さんにもおすすめです。
また、お年寄りにとっては口周りの筋力を強化することで誤嚥予防につながるとも言われており、
家族で楽しみながら滑舌を鍛えることができます。
【おはなし】
ある日「KEROKERO NEWS」のスタジオに、新種のさんしょううおが発見されたというニュースが舞い込んできました。
新種さんしょううおを捕まえようとする笹原さん・佐々木さん・佐々三郎さん。逃げる新種さんしょううお。
ドタバタの逃亡劇の様子を、カエルのアナウンサー"かつぜつがえる”が伝えます。
【その他 4月の読み聞かせにおすすめの絵本】
絵本の読み聞かせについて思っていること
絵本はコミュニケーションツールです。 絵本は子ども達の歩みを助け、その成長を促してくれるかもしれません。 しかしそこには読んでくれる人の温もりを通した生きた声が不可欠です。 人と人とが向かい合い、片手間にはできない読み聞かせだからこそ愛情が注がれるのです。 子どもの持つその心のコップを絵本を使って愛情で満たしてあげてください。大好きな人の声で温もりの中聞く美しく豊かなお話。それはあっという間の子育ての濃密な時間を助け、後にその子どもたちの長い人生の心の支えとなるでしょう。
ふわはねプロフィール
ふわはね(内田 祐子)
大学で児童文学を学ぶ。2005年絵本講師1期生として絵本講師資格取得。関西を中心に企業での定期教室をはじめ、
絵本のつなぎてとして、絵本の作り手と読み手を。親と子を。人と人を繋いでいる。
子育てアドバイザー・JPIC読書アドバイザー
大学3回生と高校3年生の娘をもつ。インスタグラム @fuwahane
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