【年始めのおはなし会プログラムにおすすめ!】1月に読みたい季節の絵本と新刊
絵本講師として10年以上ご活躍中のふわはねさん。絵本講座や絵本コンサル、絵本のおはなし会などを年に200回以上こなしています。そんなふわはねさんに1月のおはなし会プログラムに取り入れたい絵本や、新刊絵本のおすすめを教えていただきました。
二十四節気(にじゅうしせっき)を感じる
二十四節気とは… 1年を12か月さらにその半分、24個に分けた季節を表す名称です。
1月では…
小寒しょうかん(1月6日)小さく寒いと書いて小寒。本格的に寒さが厳しくなる。「 寒の入り」となり寒中見舞いが出される頃。
大寒だいかん(1月20日)大きく寒いと書いて大寒。一年で最も寒さの厳しい頃 二十四節気最後の節気。もう春はすぐそこに。
1月のおはなし会
今年もおはなし会を楽しんでいきたいと思います。
年齢の設定をしていないので、絵本のボリュームがばらばらとしていますが、
小さな子も大きな子も一緒に絵本の世界を楽しめるといいなと欲張っています。
おはなし会は、読み手だけのものではありません。
みんなで一緒につくりあげるものです。その場の雰囲気を感じながら、準備していても潔く読まない、というのも必要ですし、代わりの絵本も何冊か手元にあると助けになります。
一番大事なのは、読み手も楽しむこと。
外が寒いとなんだか心も体もかたくなるもの。まずはわらべうたでほぐしながらいきましょう。
今月のわらべうた
今年もまずはわらべうたから
お話会のはじまりに。親子で楽しめるものを。
今月はこちら
「おおさむ こさむ」
おおさむこさむ
やまから こぞうが とんできた
なんといって とんできた
さむいといって とんできた
おおさむ(大寒)こさむ(小寒)まさにこの季節にぴったりのわらべうた
親子さんは抱っこして立ってもらって、歌に合わせてゆーらゆら。最後はぐるんとひとまわり
少し大きな子ども達はみんなで足を上げて腕を振ってぐるっと歩いたり、押し合いっこをしたり…。
そのうち体がぽかぽかしてきて寒さも吹っ飛んでくれるかな。
だんだんとクールダウンしながらはじまるお話会もよし。
しっかり体を動かしてエネルギーを発散させてから、動から静へのお話会も、またよしですよ。
さぁ、今月も絵本の時間はじまりです。
最初の絵本はこちらから
【はじまりの絵本】わらべうたの絵本から
1冊目は出版から50年以上。長く愛されるわらべうたが13曲入った絵本から。
『わらべうた おおさむこさむ』
先ほど歌った「おおさむこさむ」も少し長いバージョンで掲載。
1ページ目には「しょうがつじじい」のうたも。
楽譜はありません。なんとなく声に出して節をとるもよし、検索してみるもよし。
みんなの好きなページを一緒に歌ってみるのもいいですね。
瀬川康男さんの味のある手書きの文字と絵が本当に素晴らしく、ぱらぱらと眺めているだけでも贅沢な気分になる一冊。
過去にご紹介したこちらもおすすめ
【新刊絵本】みかんと一緒に読みたくなる一冊
お次は、2023年に出たばかりの新刊絵本から、みんな大好きみかんの絵本です。
真珠まりこさんの描くみかんは、まるくて大きくておいしそう。
そう、まるでおひさまみたい!
ぴろ ぴろぴろと皮がむかれたその中にはみかんちゃん!
ひとふさずつ起こしていきます。
おうちのみかんと一緒にお口に入れながら読みたくなる一冊。
最後はあの形に向きたくなりますよ
読み聞かせ時間目安<1分15秒>
【十二支の絵本】「はじめての行事えほん」から
今年は辰年です。
十二支の中で一番イメージがしにくい動物かもしれません。
そんな時こそ絵本の出番。
次の絵本は、ほるぷ出版が手がけている「はじめての行事えほん」シリーズから『じゅうにしどこいくの?』を。
十二支の絵本というと、どうしてこの12頭の動物になったのか、などいわれのものが多い気がしますが、
これは新年初日の出に向かって十二支が走っていくというシンプルなもの。
でもちゃんと、ね うし とら う たつ み…と順番にほいほいと並びます。
巻末には詳しい十二支についての解説があり、そのいわれもちゃんと載っています。
十二支は子どもにとっても実はなんだか身近な存在。
兄弟や家族の干支を覚えるのが楽しかったり。
絵本を通して干支をもっと好きになってくれるといいなと思っています。
読み聞かせ時間目安<1分30秒>
『じゅうにしどこいくの?」
まよなかです。ね、うし、とら、う……と十二支たちは、山をのぼりはじめました。どんどんのぼって、まにあいました! 十二支たちは、ならんで初日の出に祈ります。
日本の伝統行事を、2~3歳児の発達に合わせて、シンプルな物語絵本にしました。巻末には、ミニ解説がついています。
【季節のお話の絵本】一緒にドキドキと心を揺さぶって
お話の絵本も読んでいきましょう。
大人気「きつねのきっこ」シリーズから。
それはこんなお話。
きつねの「きっこ」と、いたちの「ちい」と「にい」に、おおばあちゃんがマントを作ってくれました。
きっこたちは大喜びで早速そりあそびに出かけようとしますが、おおばあちゃんはこんな雪の日には「ゆきぼうず」がでるからと止めます。
それでも新しいマントをはおって遊びにいきたい、きっこたち。
おおばあちゃんはやれやれと立ち上がり、ゆきぼうずにあっても決して寒いと言わないこと。
寒いというとこちこちに凍らされてしまうからねといい、熱いお茶を入れた魔法瓶を持たせてくれました。
きっこたちが元気に遊んでいると…。
さぁ、きっこたちはどうなるのでしょう。
6分半もある長い絵本ですが、子ども達は一緒にドキドキハラハラしながら聞いてくれます。
最後はほっと安堵とともに、おしまいと絵本は閉じられます。
お話の中で自分を重ね合わせ、心を動かし心を育てる子ども達。
少し集中の必要な絵本はおしりの方へ持ってきました。
読み聞かせ時間目安<6分30秒>
【季節の絵本】かがくいひろしさんのデビュー作
1月15日は小正月(こしょうがつ)
小豆粥を食べ、一年の健康を祈願する風習があります。
また関西では、この日が鏡開きとされ、正月の間年神様にお供えした鏡餅をおろし、木槌で割り、おしるこなどにして食べます。
さぁ、そんな鏡餅様のお話を最後に読んで終わりにしましょう。
それはこんな始まり
たごさくさんちの おもちつきです。
ペッタン ペッタン、ペッタン ペッタン
きが つくと、わたくし なんども あたまを たたかれて おりました。
(p2-3 本文引用)
絵本はこの絵本の主役、かがみもちの視点で進みます。
のしぼうで伸ばされたり、プチンとちぎられる兄弟たち。
その上、あんこやきなこをつけられたり、大根のおろしづけになったり、ひどい場合は納豆に混ぜられてねばねばに。
その上ペロリと人間に食べられてしまうではありませんか。
今は床の間に飾られ大事にされているかがみもちが、いつなんどき食べられるやもしれぬことを案じ、逃げ出すことに!
さぁ、かがみもちは無事逃げ切ることができるのでしょうか。
かがくいひろしワールド炸裂の絵本。スピード感絶やさず、思い切って大胆に楽しんで読みましょう。
今年の笑い初めはこちらで決まり!
読み聞かせ時間目安<2分>
おもちの絵本を読んだ後には、このわらべうたで終わりたい!
さよなら あんころもち またきなこ
「またきなこ」は「また来なよ」と掛け合わされているそうです。
両手であんころもちをにぎるふりをして、最後にばいばいとしてもよし
お子さんとお母さんが両手を前に出して握り合い、腕を振って最後ぎゅーしてもよし
動くのが大変でなければ、みんなで輪になって手を握って、腕を振りながら最後にさようならで終わるもよし
会の終わりに楽しめるわらべうたです。
【その他 1月の読み聞かせにおすすめの絵本】
新連載のお知らせ
絵本ナビスタイルにて、新たに「絵本講師ふわはねが案内する展覧会レポート」の連載が始まりました。この連載では、絵本にまつわる展覧会や原画展にふわはねが出かけて、その様子をご案内するものです。レポートを読んだ後、気になった展覧会があったら実際に足を運んでいただけるよう、会期中に記事をお届けしていく予定でおります。
来年もまたいろいろな絵本屋さんや美術館に行けるといいなあ……!
絵本の読み聞かせについて思っていること
絵本はコミュニケーションツールです。 絵本は子ども達の歩みを助け、その成長を促してくれるかもしれません。 しかしそこには読んでくれる人の温もりを通した生きた声が不可欠です。 人と人とが向かい合い、片手間にはできない読み聞かせだからこそ愛情が注がれるのです。 子どもの持つその心のコップを絵本を使って愛情で満たしてあげてください。大好きな人の声で温もりの中聞く美しく豊かなお話。それはあっという間の子育ての濃密な時間を助け、後にその子どもたちの長い人生の心の支えとなるでしょう。
ふわはねプロフィール
ふわはね(内田 祐子)
大学で児童文学を学ぶ。2005年絵本講師1期生として絵本講師資格取得。関西を中心に企業での定期教室をはじめ、
絵本のつなぎてとして、絵本の作り手と読み手を。親と子を。人と人を繋いでいる。
子育てアドバイザー・JPIC読書アドバイザー
大学3回生と高校3年生の娘をもつ。インスタグラム @fuwahane
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