【今週の今日の一冊】「母の日」に。おかあさんに届けたい絵本
2024年の「母の日」は5月12日。おかあさんに伝えたいのはどんな気持ち? どんなことば? おかあさんを描いた絵本には、子どもたちとおかあさんがお互いを大切に、大好きに思う気持ちが溢れています。また母という存在の大きさや温かさが伝わってくるものも。
今週は「母の日」に向けて、おかあさんに届けたい絵本を新刊を中心に集めてみました。「母の日」の贈り物にも、またおかあさんが自分自身のために読む本としてもおすすめします。
2024年5月6日から5月12日までの絵本「今日の一冊」をご紹介
5月6日 「5分だけゆっくりさせてね」
月曜日は『5ふんだけちょうだい』(2024年1月新刊)
ぞうママがちょっと寝坊して起きてみたら、やんちゃ盛りの3匹の子どもたちはやりたい放題、部屋の中はもうこんなありさま。ため息しか出ません。ぞうママは、気づかれないようにそーっと大好きなティーセットとトーストとケーキをおぼんに乗せ、おふろにいこうすると……
「あれ~、ママどこへいくの?」
「いっしょにいってもいい?」
おねえちゃんのラウラにすぐに見つかってしまいましたが、ぞうママの意思はかたいのです。
「だーめーよ!」
ひとりになったぞうママは、静かな部屋でおふろにゆったりつかり、いい香りのお茶を飲み、思わず目をとじます。
「あ~、なんて平和な時間でしょう」
ところが、子どもたちが次々にやってきて……。
たまにはひとりになりたいと思うママと、ママと一緒にいたい子どもたちによる大騒動!? いえいえ、これは日常の風景でよくみる可愛い光景ですよね。だって子どもたちはママが大好きで、ママはいつだってのんびりする時間を夢見ているのですから。読み終えれば、子どもも大人も、口をそろえて言ってしまうはず。
「これって、うちのこと?」
家族のあるあるが詰まったこのお話は、時代を超えて愛され続けているイギリスのロングセラー絵本です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
読者レビューより
かわいらしい色合いのイラストに惹かれ、手に取りました。
3人の小さな子を持つお母さんが、「5分だけでも自分の時間が欲しい」と願うおはなし。
まるで少し前の我が家のことのようで、うれしいような、懐かしい気持ちで読みました。
おかあさんの「もう勘弁してくれ」と言う表情がなんともおかしく、「わかるよわかる!」と声をかけてあげたくなるほどでした。
小さい子を持つお母さんもきっと共感するおはなしだと思います。
(クッチーナママさん 40代・ママ 女の子19歳、女の子16歳、男の子14歳)
5月7日 おかあさんの日常のエピソードを作文で発表します!
火曜日は『「ぼくのおかあさん」2ねん1くみ すぎしたげんき』(2024年4月新刊)
「きょうは じゅぎょうさんかんです。おかあさんについての さくぶんを よみます」まだ、学校に来ていないお母さんの特技やこわいところなどの日常のエピソードを作文で紹介します。ユーモラスであたたかいお話。
5月8日 「ははのひ? ないしょのプレゼントなの」
5月9日 いっしょにいてほしいとき いつもそばにいてくれた
木曜日は『おかあさんのおかげだよ』
いっしょに いてほしいとき
いつも そばにいてくれた
クマの親子のイラストがやさしく心を包み込む愛らしい絵本です。親子で読むのはもちろん、母の日やお誕生日など、大切な方への贈り物にもぴったりです。
《この本をお母さんに贈ります》
お母さんでいてくれて、ありがとう。お母さんがいつもつくりだしてくれる、かけがえのないものに感謝をこめて。どんなときも愛情と応援、やさしさで包んでくれることは、この世界すべてと同じか、それ以上の重みがあります。自分がここにいるのは、お母さんのおかげです。
読者レビューより
子どもにとって、お母さんがどれだけ大きな存在であるのか。
この絵本はそれを教えてくれました。
お母さんは、優しさや思いやり、愛することを教えてくれた。
新しい世界へ踏み出す勇気や、信じる心を教えてくれた。
お母さんと一緒だと毎日ワクワク、毎日が嬉しい。
そして、自分が自分でいれるのはお母さんがいたから。
お母さんは子どもにとって安全基地のようなもの。
お母さんがいるから、子どもは大きな未知の世界へ安心して羽ばたいていけるのですね。
私自身は立派な母親でもないけれど、どんなときでも、どんなことがあっても、我が子を信じ、愛してやれるお母さんでありたいと思いました。
反対に、私の母はもうこの世にはいません。
もっと感謝を伝えればよかった。
もっと大好きと言えばよかった。
自分が親となり、子どもを育てていく中で初めて知らされたことが一杯あります。
今、自分があるのはお母さんのおかげだよ。ありがとう。
(MYHOUSEさん 50代・ママ)
5月10日 「おかあさんは、いつまで ぼくのおかあさんなの?」
金曜日は『いつまでも ALWAYS』
森のなかで、こぐまのオリがおかあさんにたずねます。「おかあさんはいつまでぼくのおかあさんなの?」「いつまでもよ」と、おかあさんはこたえます。「いつまでも」がどんな感じなのかわからないオリに、おかあさんは優しく何度も説明します。それは「おおきな きが のびていく かんじ」「ほしの そらが つづくかんじ」と。親子でいることの温かさをかみしめられる幸せいっぱいな絵本。大人と読むなら2才から、一人で読むなら6才から。ことばの旅が、いつしか心の旅になっていく……訳しながら、何度も息子を抱きしめたくなりました。ー俵万智
5月11日 大好きなおかあさんにあげたいものは…?
土曜日は『あきちののはらのおくりもの』(2024年2月新刊)
今日はふうこのお母さんの誕生日。
「おかあさんに かわいい プレゼントを かってあげるんだもん。」
いつものお店にお母さんと買い物にきたふうこ。お店の中にはお母さんの好きそうな素敵な品物がたくさん! ところが、どれもふうこのお小遣いでは足りません。がっかりしたふうこが、お店の隣にある空き地の野原をながめていると、そこに咲いている小さな花を見つけます。
「いい におい」
ふうこが目をつむって、花に顔を近づけると……?
大好きなお母さんに「すてき」なプレゼントをしたい。お母さんが喜ぶ顔が見たい。そう思うだけで体じゅうに嬉しさがあふれ、ワクワクするふうこのなんと愛らしいこと。野原の中に見つけたのは、小さな植物や虫たちが生き生きと動きまわり、きらきらと輝くような形や色にあふれた、ふうこにとっての「すてき」がつまっている場所。
「おかあさん おたんじょうび おめでとう!」
気持ちを共有できる贈り物。その喜びは、ふたりの笑顔を見ているだけで伝わってきますよね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
5月12日 おかあさんが生まれました。わたしといっしょに。
日曜日は『おかあさん観察図鑑』(2024年2月新刊)
第62回「韓国出版文化賞」受賞の話題作! 赤ちゃんから見た母のリアルで愛おしい姿
顔つき、体の構造と機能、食、睡眠……赤ちゃんが観察した母親の生態とは?
ユーモアあふれる視点で図鑑ふうにまとめられた日常の一コマは、子育て経験者なら思わず共感するシーンが満載!
そこに描かれているのは母の「リアル」な姿。いつも笑顔ではいられない、聖母なんかじゃない、でもその姿は限りなく愛おしい。それはきっと「おかあさんのがんばり、わたしはいつも見ているよ」という赤ちゃんからのメッセージ。
☆ヨンアさんも絶賛!
ぼさぼさの髪、疲れ切った顔、しゃれっけのない格好──
美化されていない母の姿が心に刺さりました。
「完璧でなくていいんだよ」と教えてくれた特別な一冊。
☆編集部より
子育てまっただ中の人には寄り添いとエールを、一段落した人には思い出とねぎらいを。
そして、すべての人に自分の母が経験してきた濃密な時間を知るきっかけを。親子をつなぐ一冊。
☆著者あとがきより
おかあさんは、赤ちゃんといっしょに生まれたあたらしい人類です。
新生児の成長についての本は積みあがっていますが、新生おかあさんについての研究はいまだに未知の領域として残っています。
なぜ、だれも生まれたばかりのおかあさんについては知りたいと思わないのでしょうか。
すべてのことがはじめての世界で、さびしく孤軍奮闘している生まれたてのおかあさんたちを思いながら、この本をつくりました。
☆構成
顔つき/体の構造と機能/体の変化/食/睡眠/トイレ/活動/反応速度/気分/好奇心の発達/ダンボール箱/かくれんぼ/研究/かばん/おかあさんのおかあさん
おかあさんクイズ
おかあさん観察日誌
読者レビューより
図書館の新着コーナーで見つけました。
とても気になるタイトルです。
赤ちゃんから見た、おかあさんの生態。赤ちゃんから見たリアルなおかあさんは、くたびれていて、必死で、いろいろと知りたがりで……。自分が子育て真っ最中の頃を、客観的にみている気分になりました。
「おかあさんは赤ちゃんと一緒に生まれた新しい人類」という一文に納得!
この本を読んだら、子育て奮闘中のお母さんたちも、ちょっと肩の力が抜けるかもなと思いました。
出産祝いのプレゼントにしても良さそうです。
(クッチーナママさん 40代・ママ 女の子19歳、女の子17歳、男の子14歳)
いかがでしたか。私自身、おかあさんを描いた絵本に触れると、身近な誰かに贈ってもらったわけでなくとも、その絵本が存在するだけで、日々の自分を励ましてもらったようで、贈り物を受け取ったような気持ちになります。今回ご紹介した絵本の中で気になるものがあったら、ぜひおかあさん自身でも読んでみてくださいね。きっと心に元気をもらえるはずです。
過去の「母の日」の記事も合わせてどうぞ♪
- 2020.05.04【今週の今日の1冊】母の日に。ママたちを応援する絵本
選書・文:秋山朋恵(絵本ナビ副編集長)
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