【今週の今日の一冊】「世界子どもの日」に読みたい、子どもの気持ちに気づく絵本
今週11月20日(木)の「世界子どもの日」は、子どもたちの権利や幸福について考える日です。そこで今週は、子どもの気持ちに寄り添う視点に気づかせてくれる、子どもの気持ちを丁寧に描いた絵本や、子どもの権利について子どもも大人も一緒に学べる絵本を集めました。
絵本を通して、いつもそばにいる子どもたちの気持ちに、もう一歩近づいてみませんか。
2025年11月17日から11月23日までの絵本「今日の一冊」をご紹介
11月17日 子どもたちの心の声に寄り添うには…?
月曜日は『いまの きもちは どんないろ?』
色とりどりのシャボン玉が浮かぶ、その中で「いまの きぶんに ちかいいろは どれ?」「おとに したら どんな かんじ?」 とやわらかい言葉と色彩で問いかけます。
「やったー!」ってスキップしたくなるくらい心が動いたことは? くやしい、かなしい。のどの奥がぎゅーっとしたことは? 問われた子どもたちは内心うなずいたり、首をかしげたり、「そうかな……?」と考えたりしながら、不思議な心の中を探ってみるはず。
幼い子は、感情をうまく表現できなくて当たり前。泣いて、怒って、「どうしたの?」とたずねられて……。だんだん表現の仕方を覚えていきます。園や学校でも、言葉にするのが得意な子、なかなか口に出せない子、色々な子がいるでしょう。忙しい大人に遠慮し、どう言ったらいいかわからなくて面倒で不機嫌になっちゃう子もいるかも……。絵本を通じて、心の声に少しでも耳を傾けられたらいいですよね。
本書は、保育士や学校教諭、スクールカウンセラーなど現場の方から“子どもの気持ちを引き出す本”として好評だそう。人気作家えがしらみちこさんのみずみずしい水彩画は、眺めているだけで心がほどけます。えがしらさんは、『ようこそ こどものけんりのほん』(文 子どもの権利・きもちプロジェクト/白泉社)も手がけていますよ。
子どもたちの未来のために、広く存在を知ってほしい一冊です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
読者の声より
小さなお子さんたちにとって自分の気持ちを表すことは、とても大変なことだと思います。
そんな時、色や音で表現すればいいと教えてもらえたら、ほっとするかもしれませんね。
そして、一つの物事に対しても感じ方は人それぞれなんだと分かったら、一歩前に進めるのかもしれません。
小さなお子さんに最適な絵本だと思います。
(めむたんさん 40代・ママ 男の子21歳)
11月18日 ぼくがチューリップを見て描きたかったのは?
火曜日は『チューリップさいた』
11月19日 子どもの声を聴くことの大切さに気付くために…
水曜日は『 きかせてあなたのきもち 子どもの権利ってしってる?』
子どもには、どんなときも、
休む権利や、遊ぶ権利があります。
子どもには、どんなときも、
一人ひとり大切にされる権利があります。
あなたはいま、どんな気持ち?
非常時に後回しにされがちな子どもの気持ちにより添い、
子どもの権利を考える絵本。
「気持ちと権利はつながっている」という新しい着眼点にも注目。
11月20日 子どもと大人が「子どもの権利」を知る第一歩に…
木曜日は『ようこそ こどものけんりのほん』
今、注目を集める「子どもの権利」を、えがしらみちこさんのあたたかいイラストがやさしく紹介してくれます。
権利というと、一見難しいイメージがありますが、子どもたちと子どもに関わる大人を守る大切なもの。
子どもの権利のはじめの一歩を親子で学べる絵本です。
カバー裏には子どもの権利条約ポスターを印刷。
11月21日 いつもおこられている「ぼく」の本当の気持ちは…
金曜日は『おこだでませんように』
「ぼくは いつも おこられる。」
妹を泣かせて怒られて、女の子を驚かせて怒られて、友達に先に手を出して怒られて・・・。
お母さんや先生にいつも大目玉をくらっているこんな男の子、いるいる。
ついつい「何で怒られるような事ばかりするんだろう?」、「どうして何も言わないの?」
なんて思ってしまう事も。
でも、この絵本を読んではっとさせられたのです。こんな風に思っていたなんて。
怒られても言い返さない訳が、おかあさんや先生の笑顔が見たいからだなんて・・・。
悔しさをぐっとこらえる横顔が途端にたくましく、愛おしく見えてくるのです。
感情のコントロールが下手な子、ついつい怒ってしまうおかあさん、男の子が理解できない女の子の為に。
子ども達の気持ちを代弁してくれるこんな絵本の大切さを痛感します。
最後に素直に喜ぶ「ぼく」の姿をみて思うのは・・・男の子ってやっぱり可愛い、という結論!
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
11月22日 周りからじゃわからない、あの子のこの子の心模様
土曜日は『カラフルなひとりごと』
まちの片隅のあちこちで見かけるあの子も、この子も。
心の中では、きっと色々なおしゃべりをしているはず。
ちょっとのぞいてみると……?
夏の落ち葉を発見!
「やわらかいんだ~」
この子の心の色は、若葉のみどり。
おやつを上手に食べられなくて、こぼしてばかり。
「どうしよう、みつかっちゃった」
彼女の心の中は、とまどいと不安な色。
あれあれ、お母さんに怒られて泣いていると思ったこの子の心は意外にも? お誕生日プレゼントをもらった女の子の心は? 歯が抜けた! 冷たくて気持ちいい~。
周りからじゃわからない、あの子のこの子の心模様。ささやかな出来事だけれど、そこにはあるのは「発見」や「喜び」そして「不安」や「ひみつ」。彼らだけの大切な特別の瞬間。
すぐにでも忘れてしまいそうな小さな気持ちの数々を、丁寧に、そしてカラフルに描きだすのは種村有希子さん。今の私の気持ちを色であらわすとしたら……? そんな事を考えるのって、とっても豊かな時間ですよね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
読者の声より
子どもたちの何気ない一コマと、心の中の気持ちを、そっと書き留めてある作品です。
その気持ちをカラフルに描いてあり、大切な個性として愛おしく表現してあるところが素敵です。
服と同じ色の線で描いてあるのも、いい塩梅です。
そして、次々とカメラが回るように、隣の風景の子どもへと場面が変わります。
まさに、「あのこも このこも」。
きっとどこかに、共感できるシーンがあると思います。
最後の俯瞰図では、みんな登場。
ちょっとしたサイドストーリーですね。
裏表紙にそっと描かれた作者の既刊本『ふぶきのみちは ふしぎのみち』も
同じような世界観ですよね。
幼稚園児くらいからでしょうか。
(レイラさん 50代・ママ)
11月23日 いつも「いそいで!」と急かされてばかりだけど…
日曜日は『ちょっとだけ のんびりするひ』
家でも学校でも、いつも「いそいで!」と急かされてばかりのティシャ。学校からの帰り道、ママと一緒にちょっとだけのんびりすることに決めました。黄色い車やカモメを数えたり、外でピクニックをして、サンドイッチをゆっくり味わったり…。すると、なんだか世界の見え方まで変わってくるようです。あわただしい日々のなか、たまには「ちょっとだけのんびり」してみませんか?
読者の声より
絵にひかれて読んでみました。日常、つい、あわただしさでで、この女の子の目線を忘れてしまっていることに気づきました。はっとします。そして、絵が素敵! のんびりする心地よさが伝わってくる、なんとも魅力的な絵でした。
(あんじゅじゅさん 50代・その他の方)
- 2023.03.27【今週の今日の一冊】子どもの権利について考えてみよう。

「子どもの権利条約」とは……
子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)は、
世界中すべての子どもたちがもつ人権(権利)を定めた条約です。
1989年11月20日、国連総会において採択されました。この条約を守ることを約束している「締約国・地域」の数は196。世界で最も広く受け入れられている人権条約です。
子どもの権利条約は、子ども(18歳未満の人)が守られる対象であるだけでなく、権利をもつ主体であることを明確にしました。子どもがおとなと同じように、ひとりの人間としてもつ様々な権利を認めるとともに、成長の過程にあって保護や配慮が必要な、子どもならではの権利も定めています。
生きる権利や成長する権利、暴力から守られる権利、教育を受ける権利、遊ぶ権利、参加する権利など、世界のどこで生まれても子どもたちがもっている様々な権利が定められた、この条約が採択されてから、世界中で、多くの子どもたちの状況の改善につながってきました。
ユニセフ「子どもの権利条約」HPより抜粋
選書・文:秋山 朋恵(絵本ナビ副編集長)
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