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“母と娘でおもしろかった児童文庫について語り合ってみました”ーおしゃべり読書のすすめ

《長い物語をクリスマスプレゼントに贈ってみませんか》母と娘で語る福音館文庫 その4

名作「魔女の宅急便」シリーズを、母と中1娘でおしゃべりしました。

今やすっかりマンガや動画ばかりの中学生になった娘ですが、小学生の頃に繰り返し読んだ児童書のことを話すとき、その頃を思い出すのか、声色がワントーンあがります。
「母と娘でおもしろかった本について語り合ってみました」の連載企画、今回は角野栄子さんの人気シリーズ「魔女の宅急便」全6巻(福音館書店)をご紹介。主人公のキキが少女から大人になっていく長いおはなしは、何回読み返してもおもしろくて、小学3・4・5年生のお子さんへのプレゼントにもぴったりです。どんなポイントが魅力なのか、母と娘のおしゃべりをお楽しみください。

魔女の少女キキの成長を描く名作ファンタジー 6冊セット

文庫版 魔女の宅急便6冊セット

ひとり立ちするためにコリコの町で「宅急便屋さん」をはじめた魔女の少女キキは、さまざまな人びととの出会いの中で、よろこび、悩み、そして成長していきます。映画化、舞台化などでも世代をこえて人気を博しているファンタジー、6冊のシリーズ全巻を手軽なペーパーバック版でお届けします。化粧ケース入りです。

母:「魔女の宅急便」シリーズ、手にとったのは4年生くらいだっけ。ときどき読み直しているところを見かけるけど、今まで何回くらい読んだ?

娘:5回くらいかなあ。

母:そんなに!?

娘:うん、だって家だけじゃなく学校の図書館でも読んでたよ。「ちいさいモモちゃん」シリーズ(講談社)も低学年のときに何回も読んだけど、中高学年では同じくらい「魔女の宅急便」シリーズを読んだかもしれない。

母:1巻は宮崎駿監督の手でアニメーション化もされているけど、13歳になった魔女の少女キキが親元を離れ、ひとり立ちするために、よその町で「宅急便屋さん」をはじめたおはなし。お母さんは子どもの頃にこの1巻しか読んだことなかったんだよね。

福音館文庫 魔女の宅急便

ひとり立ちした魔女の子キキが、新しい町ではじめた商売は? 相棒の黒猫ジジと喜び悲しみを共にしながら、町の人たちに受け入れられるようになるまでの一年をさわやかに描いた物語。

母:でも、この間、初めて全巻読んだら、途中の3、4巻もよかったし、キキがとんぼさんと結婚して双子のお母さんになってからの6巻「それぞれの旅立ち」もすごくよかったなー。ニニとトトの双子の姉弟、周囲の大人たち、それぞれの気持ちの複雑さとか、それでも人生を歩んでいく喜びみたいなものを感じて……お母さんの心に沁みた。

娘:6巻は私も好き! どの巻も挿絵がたくさん入ってて楽しいよね。本当は1巻の挿絵が一番好きなんだけど……。2巻「キキと新しい魔法」は「ねぼすけスーザ」シリーズ(福音館書店)の人だよね。それも好きだけど……。

母:1巻の林明子さんの絵は小さなキキがかわいくて、おはなしにぴったりだなあとお母さんも思うよ。2巻は広野多珂子さん。挿絵が巻によって違うんだよね。でも3巻以降の佐竹美保さんの絵も、だんだん成長していくキキが素敵だと思うなあ。

福音館文庫 魔女の宅急便 その3 キキともうひとりの魔女

魔女のキキがコリコの町に住むようになって、4回目の春がめぐってきました。16歳になったキキのもとへ、12歳のケケという女の子が転がりこんできます。彼女にふりまわされるキキですが……。ふたりの自立していく姿がみずみずしく描かれています。

娘:私も好きなシーンの絵がいっぱいあるよ。たとえば3巻「キキともうひとりの魔女」の中の「大漁事件」で、海上の船に網を届けたキキが、船ごと網をかけちゃうシーン。魚も鳥も、人も船も、みーんないっしょに鳥かごみたいに網の中に入っちゃって、船頭さんがあごをさすりながら「いやー、まいったなあ」って言うの。「まあ、いいか。こうなったからには、魔女さーん、このままそろり、そろりと港まで引っぱっていってよ、たのみますよう」って。キキは「そんなあ、むりですよう」と返すけど、網から手を離したら魚が逃げちゃうし、結局そのまま港まで行くんだよね(笑)。

母:この巻は16歳のキキのところに、どこからか12歳の女の子ケケが転がり込んでくるのが印象的だったな。「大漁事件」のときもキキの代わりにケケがとんぼさんたちと遊びに行っちゃう。せっかくコリコの町でいっしょけんめい居場所を作ってきたキキなのに、ケケに居場所をうばわれるような気がしてモヤモヤする気持ち、わかるなあ。妹や弟がいる子も共感するかも。

娘:4巻「キキの恋」で、17歳になったキキが魔女でいることに迷うところも好き。4巻の最後のほうで、大木が両側に並ぶ道のずっと奥、草原のお屋敷の庭で、ヨモギさんというおばあさんに会うでしょう。ヨモギさんはいなくなってしまうけど、庭をキキが畑として借りることになって、薬草の種を蒔く。満月の夜、虹の形の畑に……。畑が月あかりに照らされて光ってるような神聖な感じがした。くすりぐさの歌も大好き。

福音館文庫 魔女の宅急便 その4 キキの恋

キキ、十七歳。あわい恋心も、たしかな想いへと育ちはじめていた。離ればなれで、とんぼさんになかなか会えないことで落着かない気持になったキキは、暗い森に入りこみ……

母:「あかね ねのたね たねのつぶ つぶり めのつぶ つるのたね……」という歌ね。

娘:そうそう。魔女って、鍋にカエルやトカゲのしっぽを入れてあやしい薬を作るイメージはあったけど、薬草を畑で育てるイメージがなかったというか……。しかも「くしゃみのくすり」っていうのが(笑)。本の中にもしょっちゅうキキが誤解される話が出てくるけど、魔女ならば、ツノやキバがあって怖い薬だって作れそうなのに……「くしゃみのくすり」だもん。

母:ふーん。薬草を種から健全にせっせと育てるのが、逆に魔女っぽくないと思ったわけか。空を飛ぶこと以外は、キキがあまりにふつうの女の子だもんね。

娘:でもおはなしに出てくるのはみんな変わってる人たちばかり。個性豊かで、現実にはあまりいないような気がする。キキのほうがふつうに見えるくらい。

母:2巻目以降はコリコの町だけでなく、どんどん物語の地図が広がっていくよね。はるか南の星くず群島でウタウモノという不思議な動物を探す男の人や、北の山脈のふもとで川の滝の向こう側に住む女の人。 コリコから遠い、ナルナという町の学校へ行ったとんぼさん。とんぼさんが山ごもりしたナルナの町からさらに離れたところにある雨傘山……。

娘:ものすごい魔法が出てくるとかそういう設定じゃないのに、ファンタジーみたい。キキが「おとどけもの」として頼まれるものも、カバとか散歩とか、変わったものばかりだし。

母:なるほどねえ。成長していくキキや、6巻ではその子どもたちのトトやニニが悩む複雑な気持ちはすごくリアルなのに、軽やかに舞台に出てきたり引っ込んだりする人物たちや、起こる事件はどこかファンタジーみたいなんだね。そういうちょっと不思議なところが好きなのかな?

福音館文庫 魔女の宅急便 その6 それぞれの旅立ち

とんぼさんと結婚したキキは、いまや男女の双子のお母さん。その子らもそれぞれ冒険を経験し、旅立ちの日をむかえる――。「魔女の宅急便」シリーズ、文庫でもついに完結!

娘:なぜ好きかって、うまく言えないんだけど……。やっぱり海外の児童文学よりも読みやすくて、親しみやすくて、でもすごくおもしろいんだよね。好きなシーンに「大漁事件」を挙げたけど、最初はここのシーンもさらっと流して読んだかもしれない。最初はもっとキキとケケのこととか気になって読んだのかもしれないけど、何回か読むうちに「いやー、まいったなあ」って飄々と言う船頭さんがおもしろくて。くすりぐさの歌も、もともと好きだったけど、繰り返し読むうちにますます好きになったような気がする。

母:そうだね、読むごとに登場人物の印象がリアルに立ち上がったりするのかもしれない。「こんなシーンあったっけ」って思ったりね。1~5巻では、12歳から19歳のキキ。6巻ではお母さんになったキキ。キキの息子トトのひとり旅も素敵だったし、物語のいろんな要素を楽しめるね。

娘:うん。「魔女の宅急便」は、長い物語だからこそ、何度読んでも新しいところに気がついて、おもしろさを味わえるんじゃないかなあと思うよ。

いかがでしたか? 「母と娘でおもしろかった本について語り合ってみました」連載、今回は「魔女の宅急便」全6巻をご紹介しました。宮崎駿監督のアニメ映画「魔女の宅急便」の原作ともなっている児童文学ですが、アニメになったのは1巻のほんの一部。角野栄子さんが紡ぐ全6巻の物語は奥深く、軽やかで謎めいた魅力に満ちています。

このシリーズには単行本と文庫があって、化粧箱入りの単行本セットも素敵だし、文庫は持ち歩くにもお財布にもお手頃。クリスマスプレゼントや、春の新学期の贈り物におすすめです。

各巻は10~15話前後。キキがどんな「おとどけもの」を頼まれるかでひとつひとつのおはなしが進んでいくので、小学2、3年生のお子さんには読み聞かせもいいかもしれません。親子で交互に読みあいっこもいいですね。長い物語を読む楽しみをぜひ味わってくださいね!

文・構成:大和田佳世(絵本ナビライター)

編集:掛川晶子(絵本ナビ編集部)

https://www.ehonnavi.net/specialcontents/contents.asp?id=96 実写映画記念「魔女の宅急便」の魅力にせまる! 原作者角野栄子さんインタビュー
掲載されている情報は公開当時のものです。
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