【夏フェア 課題図書】2019年課題図書、小学1年生、2年生の部! 選び方と感想文を書くヒント
今年も課題図書の季節がやってきました!
低学年の課題図書に選ばれたのはどんな作品? どの本で感想文を書こうかな? まずは選ばれた本について詳しく知りたいという親子の皆さんのために、課題図書に選ばれた4作品を詳しくご紹介していきます。また、感想文を書く時に大切なことや、本の読み方のコツ、また感想文の基本的な書き方についてもご紹介していきたいと思います。
小学1、2年生の皆さんは、はじめて読書感想文に挑戦するという子も多いことでしょう。どうか、少しでも読んでみたい、書いてみたいというやる気に繋がりますように。
読書感想文に取りかかる前に
読書感想文を書く時に一番重要なのは、なんといっても本選び! どんな本を選ぶか、選んだ本が面白いか、によって、本を読む楽しさや感想を書くやる気は大きく変わります。まずはここを慎重にじっくり取り組んでみて下さいね。
感想文の本の選び方
- 興味のあるテーマや設定の本を選ぼう!
- ひとくちに本といっても、物語の絵本、科学絵本、ちょっと長めの読み物などがあります。どのタイプの本が自分にとって読みやすくて感想文も書きやすそうか考えて選んでみよう。
- 最後まで読み通せそうな本を選ぼう!
- 読んでいて、共感したり、驚いたり、自分の気持ちがたくさん動く作品がおすすめです。
- 実際に読んでみて、途中であれ、ちょっと違うかも? とか思ったより面白くないかも、などと思ったら、思い切って違う本に変える勇気も大切です。
感想文を書く時の読み方のコツ
- メモを取ったり、印をつけながら読もう!
はじめに1回自由に読む。読み終わったら、その時の感想をまずメモしておく。次にもう1回、今度は、面白いと感じる場面や印象的な場面、人、言葉などに鉛筆か付箋などで印をつけながら読んでみよう。
⇒印をつけたところが感想文を書く時の肝になるよ。
- 登場人物の立場になって読もう!
感想文を書く時は、もし自分だったら、自分がそこにいたら、同じ状況になったら……? ということをいつも考えながら読んでいくと、感想が出やすくなるよ。
感想をどんどん引き出すためのコツ
たとえば読んだ本が面白かったと思っても、具体的にどう面白かったかをことばで説明するのは大人にだって難しいことですよね。そこで、どんな風にしたら、面白かったことを伝えられるのか、ポイントをいくつかご紹介します。お子さんがなかなかことばにできない時、また感想文が膨らまなくて困っていたら、こちらを参考に親御さんが問いかけてあげて下さいね。
- まずは誰かにどんなお話だったか、どこが面白かったかを口で話してみよう!
書くよりも感想がどんどん出てきたり、会話のやりとりの中で感想が深まることも。
⇒会話の中でとてもいいことばや表現が出てくるかもしれませんので、親御さんはメモのご用意を!
- 本の中で気になった部分に自分で「なぜ?」と問いかけてみよう!
「なぜ、この場面を自分は面白いと思ったのだろう?」
(はじめて知ったから?自分も似たような経験をしたことがあるから?)
「どんなところが面白かったのだろう?」
「この登場人物が気になったのはなぜなのだろう?」
(自分に似ているから?家族や友達に似ているから?それとも自分と違うから?こんな人になりたいと憧れるから?)
- 本の中に出てくるような体験を自分もしたことがないか考えてみよう。あるいは、家族や友達などから似たような体験を聞いたことがあったら、それを思い出してみよう。
「本の中の主人公と似たような体験をしたことはある?」
- 読む前と読んだ後で本の印象はどう変わった?さらに、読む前と後で自分の考えが変わったことがあったら、それを書いてみよう。
「表紙を見た時、どんなお話だと思った?読んでみてどうだった?」
2019年課題図書 低学年の部ラインナップ紹介
それでは、2019年度課題図書低学年の部に選ばれた作品をご紹介します。課題図書1冊1冊がどんな本なのか、どんな子に特におすすめなのか、ということや、感想文を書くヒントをたっぷりお伝えします。
『魔女ののろいアメ』
このお話で感想文を書こうと思っている子は、本に出てくる登場人物の気持ちをどれだけ想像できるか、また自分だったらどうするか、どんな気持ちになるか、というところに着目することがポイントですよ。
こんなタイプの子におすすめ!
- 少し長めのお話で感想文に挑戦したい子に。
- 不思議なお話やちょっと怖いお話が好きな子に。
- 魔女が出てくるお話が好きな子に。
どんな本?
課題図書低学年の部に選ばれた4冊のうち、この本だけが絵本ではなく、縦書きで文字の多い読み物です。ページ数は79ページで低学年の子どもたちにとってはそこそこ読み応えがあります。読み終えた時に充実感があるでしょう。お話の展開が面白いことと、きょうだいへの思いがテーマとなっていて共感できるところもたくさんありそうな内容なので、読み始めたら続きが気になってどんどん読めてしまうでしょう。
課題図書に選ばれた理由(全国学校図書館協議会による選定理由)
登場人物の姉妹のつながりが大切に描かれて、低学年の児童にあっている。
『魔女ののろいアメ』の感想文を書く時のヒント
- 主人公のサキは、おねえちゃんの悪口を10個考えて、のろいアメを作っていきます。けれどもいくつでも言えそうだった悪口が途中で止まってしまって……。それはどうしてだったかな?
- 同じように、自分の兄弟姉妹について不満を持っていることを挙げてみたら、同時にいいところも思い浮かぶかも!?兄弟姉妹について考えたことを書いてみよう。
- おねえちゃんが「のろいアメ」を食べようとした時、サキはどんな気持ちだったか想像してみよう。自分だったらどう感じると思う?
- おねえちゃんに「のろいアメ」のことを打ち明けたサキ。悪口を10個も言われたと知ったおねえちゃんはどんな気持ちだっただろう?ちょっと難しいけれど、おねえちゃんの気持ちも想像してみよう。
- 最後に「のろいアメ」を食べることになった「ある人」(ここはネタバレになるので内緒にしておきます)苦くてすっぱくて気絶してしまうくらいまずいはずのアメがなぜかあまい味がしたようです。なぜあまい味がしたのだと思う?
もし「のろいアメ」を手に入れたとしたら、どうする? 使う? 使わない? 自分が出した答えについて理由を考えてみよう。
今回は「のろいアメ」だったけれど、どんなアメがあったら面白いかな? いろいろ考えてみよう。
『スタンリーとちいさな火星人』
主人公スタンリーの気持ちに強く共感して書くか、家族の温かさをどこまで汲み取れるか、
に感想文の鍵が……?
お母さんが泊りがけで仕事に出かけると、スタンリーは庭に出て宇宙船に乗り込み、火星へ向かった。しばらくすると火星からスタンリーそっくりな小さなカセイジンがやって来た。カセイジンは手を洗わない。歯を磨かない。お風呂にも入らない。学校ではケンカして校長室の前で反省させられる。
その夜お母さんが帰ってくると、小さなカセイジンは急いで宇宙船で火星に帰った。しばらくして、スタンリーがキッチンに駆け込んできた。「火星からもどってきたんだよ!」
こんなタイプの子におすすめ!
- 誰かの複雑な気持ちを、ああなんじゃないか、こうなんじゃないか、と自由に想像するのが好きな子に。
- 家族のことなら感想文が書けそう! という子に。
どんな本?
絵本で文字が少なく、すぐ読める作品ですが、この絵本で感想文を書くのはなかなか難しいかも?と大人の私は感じました。けれども子どもの立場で読んだら、いろいろな気持ちが湧きあがってくるのかもしれません。4作品中、一番子どもたちの感想を読んでみたい作品ではあります。ユーモアたっぷりでくすっと笑え、家族の温かさにほっこりできる作品です。
課題図書に選ばれた理由(全国学校図書館協議会による選定理由)
火星人になって行動をするスタンリーを受け入れる家族のやさしさが描かれている。
『スタンリーと小さな火星人』の感想文を書く時のヒント
- かあさんがとまりで出かけた時、主人公の男の子スタンリーはどんな気持ちだったのだろう? 「うちゅうせん」に乗り込んで火星に向かった時の気持ちはどうだったかな?
- かあさんが出かけた時のスタンリーのような気持ちになったことはある? その時、自分はどうした?
- 「てをあらわない」「チキュウのたべものがすきじゃない」「すきなときにねていい」などの火星人のルールについてどう思った? 真似してみたい?
- かあさんが帰ってきた時、ことばが出てこなかった「ちいさなかせいじん」。どんな気持ちだったのだろう?
- スタンリーにとって、「うちゅうせん」に乗るというのは、どんな意味があるのだろう?(「うちゅうせん」に乗ると気持ちがどう変わるのか想像してみよう)
『心ってどこにあるのでしょう?』
本を読むというよりは、本とおしゃべりしているような感覚で読める作品です。本を読むのがちょっと苦手という子はこの絵本で感想文を書いてみては? また1つの疑問(テーマ)についてじっくり考えたい、という子に向いている1冊です。4冊の中では1番感想文が書きやすい作品ではないかと思います。
心はどこにあるのだろうか。女の子は、好きな人に会うとほっぺが赤くなるから、ほっぺにあるのかな?胸もどきどきするから胸にあるのかな?と考える。いろいろ考えると頭が痛くなるから頭にある、と思う男の子。
嫌なことがあったり、深く考えたり、嬉しい、悲しい、悔しいとき、体のどこがどんな感じになるのか思い起こして、たぬき、うさぎ、猫など動物たちもいっしょに、自分の考えを言い合う。心とは何か、どこにあるのか考える絵本。
こんなタイプの子に特におすすめ!
- 物事を深く考えるのが好きな子に。
- 「なぜ?」「どうして?」と疑問を持つことが多い子に。
- いもとようこさんの絵が好きな子に。
- 本を読むのがあまり得意でない子に。
どんな本?
絵本を読むというよりは、優しい問いかけと、出てくる女の子、男の子、動物たちと楽しくおしゃべりを楽しむという感覚で、読みやすい作品です。いもとようこさんの柔らかなタッチのほんわか温かな絵と、こんのひとみさんの丁寧な語り口の詩のような文章が優しい気持ちにさせてくれます。
課題図書に選ばれた理由(全国学校図書館協議会による選定理由)
「心」という難しい、哲学的なテーマを易しく考えさせている。
『心ってどこにあるのでしょう?』の感想文を書く時のヒント
- 絵本の中では、心がどこにあるのかいろいろな意見がありましたが、あなたはどう思いましたか? まずは自分の考えとその理由を書いてみましょう。例:「わたし(ぼく)は心は○○にあると思います。なぜなら~」ではじめるだけで、何か書けそうな気がしてきませんか?
- 絵本に出てくる子どもたちや動物たちの意見、どれに一番納得した? またはじめて知った考えはどれだった?
- 家族やお友達にも意見を聞いてみて、その答えや理由を感想文に入れていくのもおすすめです。他の人の意見に自分はどう思ったのかということも書いていくと感想文が膨らんでいくはず!
- 心がどこにあるか、という疑問と同じように、体のことで疑問に思ったことがあれば、それも書いてみよう。
『もぐらはすごい』
生き物には不思議がいっぱい。動物が好きな子、図鑑など知識を得る本が好きな子。物語ではない本で感想文が書きたい子はこちらをどうぞ。
こんなタイプの子に特におすすめ!
- 生き物に興味がある子や好きな子に。
- 物語よりも科学絵本や図鑑が好きな子に。
- 何かを詳しく調べることが好きな子に。
- とにかくびっくり!したい子に。
どんな本?
絵本としては少しページ数が多めですが、文字が少なめで、絵がとても楽しいので、どんどん読める1冊です。たっぷり登場するモグラの姿や表情は愛嬌たっぷり。身近にいるようででも実は全然知らないモグラの生態に発見がいっぱいあるでしょう。今年2019年の日本絵本賞大賞にも選ばれた注目作品です。
http://www.dokusyokansoubun.jp/ehon/prize.html
課題図書に選ばれた理由(全国学校図書館協議会による選定理由)
「もぐら」は身近な存在であるが、知らないことも多く、興味深く読める内容である。
『もぐらはすごい』の感想文を書く時のヒント
- もぐらの生態で、はじめて知ったこと、驚いたことは何だった?
- この本の中で面白いと思ったのはどこだった?
- おかあさんの巣から出て、自分だけのすみかを探すこどものもぐらたち。頑張るもぐらを見てどう感じた?
- 本の最後に、この本を監修したモグラ博士:川田伸一郎さんのもぐらについてのさらに詳しい調査結果が載っています。文字にふりがなも振ってあるので、読める子はこちらも頑張って読んで、感想に含めてみて下さいね!
読書感想文の書き方
さて、感想文を書く本が決まったら、次は書き方です。
読書感想文の書き方の本を参考に、感想文の組み立て方の例を2つほどご紹介します。
※低学年の部の文字数は、本文800字以内です。
感想文の書き方例 その1
はじめ、なか、おわりの三つのまとまりで書く
はじめ
本の説明やその本を読んだ理由を書く(どんなお話なのか、自分が読んだ本のことを人に教えてあげるつもりで)
- 題名を説明する
- どんなお話かを説明する
- 主人公や出てくるものを説明する
- 表紙を説明する
- 本を読んだ理由を書く
なか
心にのこった場面の説明とその場面で自分が思ったことを書く
- ふせんをはったところから感想文に書くところを二つ選ぶ。
- えらんだ二つのうち、どちらを先に書くか決める(先に出てくる方から?それとも強く心に残っている方から?)
- ふせんをはったところを文章にする(ふせんをはったところの説明と、ふせんをはったところを読んだときに思ったことを組み合わせて書く)
おわり
本を最後まで読んで、いちばん強く思ったことを書くまとまり
- 強く思ったこと
- 主人公と自分をくらべて考えたこと
- これからしたいこと など
参考図書:『読書感想文がスラスラ書ける本 小学1・2年生』(上條晴夫/企画・監修、永岡書店)より
感想文の書き方例 その2
- 原稿用紙を赤いペンで3行ずつ四角く囲んで、低学年の場合は、13~14ブロックに分ける。
- 最初のブロックに、感想文の題名と名前を書く。
- 2番目と3番目のブロックには動機(本を選んだ理由)を書く。
- 4番目のブロックには場面設定(あらすじ)を書く
- 5番目のブロックには、4番目に書いたことへの感想を書く。
- 4と5の「あらすじを書いてそれについての感想を書く」を何回か繰り返す。
- 本の話と自分の体験を比べて書く
- 結論を書く。
参考図書:『お父さんが教える読書感想文の書きかた』(赤木かん子/著、自由国民社)より
読書感想文に役立つ本のおすすめ
いかがでしたか?
課題図書のラインナップの中から読みたい本は見つかったでしょうか?
なんとなく読書感想文が書けそうな気がしてきましたか?
今年の読書感想文は、読むのも書くのも、ぜひ楽しんでみて下さいね!!
秋山朋恵(絵本ナビ 児童書担当)
この記事が気に入ったらいいね!しよう ※最近の情報をお届けします |