小学生の読書感想文におすすめ! ノンフィクション編10選
読書感想文の宿題を、面倒なものから楽しいものへ
読書感想文の宿題進んでいますか? 面倒だからとあとに回せば回すほど、やる気がなくなってくるのが感想文の宿題ですよね。この「読書感想文の宿題を、面倒なものから楽しいものへ」と考えを変えるには、「本選び」が重要です。題名と本の紹介を読んだだけで、読みたいという気持ちになれる本、普段から興味があるテーマなどから、感想文の本を探してみませんか。
今回は「ノンフィクション編」をお届けします。身近にある問題から、ニュースで見たり聞いたりしたことのある問題、初めて知る事実や誰かの活動についてなど、読みやすく、自分の世界を広げてくれる本を近年の話題作からピックアップしてみました。物語がちょっと苦手という子にはとくにおすすめですよ。どうか興味が持てる1冊が見つかりますように。
(※対象年齢は目安ですので、それぞれ自分に合った長さや内容の本を選んでみて下さいね)
今からでもすぐに読めちゃう、ノンフィクション絵本のおすすめ
『みえるとか みえないとか』
目が見える人がみている世界、見えない人がみている世界を考えてみる、というところから、自分とは違う人の世界を想像してみたり、または自分だけ他の人と違うという体験をしてみたりなど、さまざまな気づきの体験ができる1冊です。絵本なので読む時間はあまりかかりませんが、感想文の種がたくさんあります。
宇宙飛行士のぼくが降り立ったのは、なんと目が3つあるひとの星。普通にしているだけなのに、「後ろが見えないなんてかわいそう」とか「後ろが見えないのに歩けるなんてすごい」とか言われて、なんか変な感じ。ぼくはそこで、目の見えない人に話しかけてみる。目の見えない人が「見る」世界は、ぼくとは大きくちがっていた。
読者の声より
「目の見えない人は世界をどう見ているか」 伊藤亜紗さんの本をヒントにしてヨシタケさんが わかりやすく書かれた絵本です
この本は、ヨシタケシンスケさんが、『目の見えない人は世界をどう見ているのか』というのをきっかけに考えられたとのことですが、
読んでみると、目が見えない人、という対象だけでなく、
「自分」と「それ以外の人」の似ているところ、違うところについて書かれているのではないかと思いました。
自分と違う人と出逢った時に、どう考えるのか?
自分とは違う「当たり前」について、どう考えるのか?
とても可愛くて楽しいイラストとお話ですが、
あちこちに自分への問いかけが隠れています。
ただ何となく読み進めるのではなく、
ぜひ一つ一つを自分に重ねて読んでみて欲しいと思いました。
(hime59153さん 40代・ママ 男の子6歳)
『数字はわたしのことば ぜったいにあきらめなかった数学者ソフィー・ジェルマン』
女の子が勉強するなんて考えられなかったフランス革命の時代に、あらゆる差別や困難にも負けず、数学者になる夢をあきらめなかった女の子がいました。「数学者が数字をつかうのは、詩人がことばを使うのと同じだ」というソフィー。数学が苦手な子でも面白く読めるソフィーの伝記です。
ソフィーは、数学が大すきな女の子。
いつか、詩人がことばをつかうように、自分は数字をつかって
宇宙のなぞをときあかしたい、と思っていました。
ところがその時代、女の子が大学に行って数学を勉強するなんて、
とんでもないことだったのです――。
実在した数学者をモデルに、人気絵本作家バーバラ・マクリントックが想像力ゆたかな絵をえがきました。
読者の声より
中学生の読み聞かせ図書に決まったと告げられて、本を手にした私はおののきました。
中学生時代から私は数学が大の苦手。方程式が並んでいるだけでアレルギーを起こしそうな人間です。
他の絵本で好きな絵本作家のマクリントックとはいえ、溢れている数式にたじろぎながら、中に出てくる方程式を全く咀嚼しないままに下読みしていって、最後のマクリントックの言葉に救われました。
数学が苦手でも感動できる絵本だったのです。
フランス革命と言う世の中が荒れかえっている時代に、黙々と自分の世界を極めたソフィー。女性が蔑視されていた時代に、その性別を隠してまでも挑戦し続けたソフィー。重なるアカデミーの嫌がらせにも屈しなかったソフィー。
その意固地さが、自分の生き方の中でとても共感できるものでした。
読み返しているうちに、共感は確信に変わりました。
この本は生き方のテキストです。
だから、数学嫌いにもお薦めの絵本です。
(ヒラPさん 60代・パパ)
『せかいいち貧しい大統領』
刊行後、大きな話題となった南米ウルグアイのムヒカ大統領のスピーチの全容です。本当の豊かさとは? 幸せとは? 難しいテーマではありますが、この絵本を読むと視野が大きく広がり、さまざまな考えが浮かんでくるのではないかと思います。TVメディア等で聞いたことのある子もいるかもしれませんが、あらためて読んで感想文を書いてみませんか?
2012年、ブラジルのリオデジャネイロで開かれた国際会議。南米のウルグアイのムヒカ大統領はのちに世界の人々から絶賛されるスピーチをのこします。この絵本はその全容を紹介するものです。
読者の声より
小6の娘と読みました。
難しかったかな・・と思ったのですが
とてもよくわかったとのこと。
わかりやすい文章でつづられているので
子どもにもよく伝わるとおもいます。
偉くなればなるほど
様々なしがらみが増え
こんなにまっすぐに語ることが難しく、そして恥ずかしくなるような気がしますが
これをスピーチできるということに
この大統領のご両親の教育方法を知りたいっっと思いました。
(やこちんさん 40代・ママ 女の子11歳)
『かがくのとびらシリーズ ぼくたちは みんな 旅をする』
クジラや鳥、ゾウにチョウ、カメ……。動物たちが、想像を超える「移動」の話を自ら語り、教えてくれます。写真家で冒険家の石川直樹氏が訳を手がけられた科学絵本。優しく語りかけるようなことばで進むので、お子さんに読んであげるのもおすすめです。環境問題についても考えさせられます。
動物たちが語る、はるかなる旅の物語―。
この本に出てくることは、すべて本当のお話です。
海を越えて、陸を超えて、大移動する動物たちの旅のお話。
暖かい土地を求めて。食べ物を求めて。もしくは、子どもを育てるぴったりの場所を求めて。
もしあなたがふと空を見上げて、飛んでいる鳥をみつけたら、想像してみてください。
遠い地球の裏側から旅をしてきたかもしれません。
語りかけるような文章が読み聞かせにぴったり。やさしい科学絵本です。
ぼくたちは、オサガメ。
陸の上ではのろまだけど、海のなかではとてもながい距離を泳ぐんだ。
大好物のクラゲの群れを探して、1万キロも旅をするんだよ。
どんなに遠くへ泳いでいったって、自分が産まれた海岸へちゃんともどってくることができる。
そして、同じ場所で卵を産むのさ。
こんな旅、誰にもできないんじゃないかなあ。
わたしたちは、ホッキョクグマ。.
冬がくるのをじっと待っている。
海水が凍るのを、まだかまだかとまちかまえていた。
今なら旅ができる。氷の上をどこまでもどこまでも。
凍った北極海でえものをつかまえる。
子どもたちは、この寒くてまっしろな世界で
どうやって生きていくかをまなんでいく。
旅をしながら、りっぱに成長していくんだ。
しかし、このまま地球温暖化がすすめば
氷はとけてなくなってしまうだろう。
氷がなければ、えものもとれない。
あたたかく、しめった世界になってしまったら、
わたしたちはいったいどうやって生きればいいのだろうか・・・。
25種類もの動物たちの物語を一挙ご紹介します。
小学3年生ぐらいからおすすめのノンフィクション読み物
『大好き! おじさん文庫』
ある小学校での出来事が紹介されたお話なので、子どもたちはとても身近に感じるのではないでしょうか。
「毎月、本代を送ります。」25年もの長い間、名前を名乗らない、誰も知らないおじさんから、小学校に手紙とお金が届きます。どうしておじさんはお金を送ってくれるのだろう? いったいどんな人なのだろう? などいろいろな想像が膨らみますね。本を通して、人と人とが繋がっていったり、相手を思う気持ちが広がっていく様子を感じてみて下さいね。
小さな小学校に毎月見知らぬおじさんから、本を買ってくださいとお金が届きます。子どもたちは、そのお金で買った本が大好き。おじさんはどんな人だろう。
読者の声より
本当にあったおはなし!
それも、お隣の山形県です
そういえば・・・ニュースで聞いたような・・・
あら、なんと!
東日本大震災の時は、このおじさんは
仙台にいたようです
びっくり
とても身近に感じるおはなしです
知らない、名前を名乗らないおじさんが
25年という長い間
毎月、お金を小学校に送ってくださるのです
お手紙を添えて
それも、「本を買って、読んでください」と
4半世紀・・・長いですよね
続けることもすごいことですし
どうして?
とか
本当に居る人なの?
とか
いろいろ考える小学生の姿が
目に見えるようです
先生方もそのお手紙をまとめている作業や
こどもたちからの意見を取り入れて行事の企画とか
“生きた 教育”をしていると思いました
残念ながら、閉校ということになってしまうのですが
そのことで
おじさんが名乗りをあげるということになるとは・・・
絆
が、3・11震災、それ以後の天災の度に問われます
そんなことがなくても
気付いてほしい やさしさ、おもいやり、恩返し・・・
心が温かくなる
本当にあったおはなしでした
是非、小学校3,4年生に親子で
読んでほしい1冊です
(しいら☆さん 50代・その他の方 )
『家をせおって歩く』
「家をせおって歩く」ってどういうこと? そんなことできるの? しかし、この本の村上慧さんはそれを実際に行って、日本各地を移動しながら生活しているんです。もうそれだけで驚きですよね。子どもも大人も、当たり前だと思っている「家」や「暮らし」についての概念がくつがえされる刺激的な1冊です。
みなさんは、どんな家に住んでいますか? アパート? マンション? それとも一軒家? アーティストの村上慧さんは、発泡スチロールで作った小さな白い家をせおって歩いて、日本各地を移動しながら生活しています。さらに、このくらしをするために韓国やスウェーデンへも行きました。お風呂はどうするんだろう? トイレは? 食事は? どんな寝心地? 何だか大変そう、でも楽しそうな、小さな家とのくらしを紹介します。
読者の声より
「たくさんのふしぎ」の方で読みましたが、
ハードカバーのもあるんだ!
表紙を見たときは、「アハハハー、変な絵!」と笑い飛ばしていた
私ですが、本を開いてびっくり!
この家、ホンモノ!
そしてこの家と共に移動して生きて行っている作者さんの
生き様にまたびっくり!
うちにもし来たらどうしようって思わず考えちゃいました。
あと食べ物に野菜が少なくて栄養が足りてないんじゃないかと心配。
娘といろんなおしゃべりをしながら読めて本当に楽しい一冊でしたが、娘がこの家作りたいなんて言い出して、
さー困りました!
相当スキルがないとこの家は無理だ・・・!
(ムスカンさん 40代・ママ 男の子12歳、女の子7歳)
小学5年生ぐらいからおすすめのノンフィクション読み物
『髪がつなぐ物語』
2017年に刊行されたこちらの本やメディア・SNSなどで「ヘアドネーション」という活動をこれまで耳にしたことがある子も多いかもしれません。こちらの本は、「ヘアドネーション」の日本における活動を具体的に子どもたちにも分かりやすく紹介したはじめての本です。ボランティアとして参加する子どもたちの様子や気持ち、受け取る側の想いも綴られ、さまざまなことを考えさせられます。とくに男の子が「ヘアドネーション」に挑戦したエピソードにぐっときます。
読者の声より
ヘアドネーションとは、
病気などで髪が生えてこない子どものために、
31センチ以上の髪の毛を寄付する活動。
一人分のウィッグを作るのに、30人分の髪の毛が必要で、
今現在髪の毛が足りず、
ウィッグを待っている子供たちが全国にたくさんいるのです。
1年くらい前にネットでヘアドネーションの記事を読み、
私自身もヘアドネーションをしてみようと現在伸ばしています。
この本では、
ヘアドネーションを始めた美容師さんへの取材、
髪を寄付した人への取材、
そして髪を受け取ったあとのウィッグを作る過程や、
ウィッグを受け取った子への取材。
まさに髪がつなぐ物語が、丁寧に書かれています。
髪を伸ばして寄付した子のなかには、
小学生の男の子もいて、
彼の芯の強さには涙が出そうになりました。
何事も知ることが大事。
知ったときに、自分には何ができるのかなと行動に移す人が増えていくことを願います。
小学校高学年くらいから読めます。
(Tamiさん 40代・ママ 男の子9歳)
『星空を届けたい 出張プラネタリウム、はじめました!』
目が見えない人や、長期入院で外出が困難な子どもたちにも星空を届けようと始まった、移動プラネタリウムの活動を追った物語。さまざまな活動を知る楽しさとともに、著者の高橋真理子さんの「好きなことを仕事に」という章の「みんなが幸せにくらすには、一人ひとりが「気持ちをこめた仕事」をすることが、とても大事だと思うのです」というメッセージが響きます。写真やイラストや図表、歌などがたくさん入っている本の作りが楽しく、文章を読むのが苦手という子でも読みやすい1冊です。
「本物の星空を見られない人に、星を届けたい!」科学館のプラネタリウムの仕事を通じて、多くの人に星や宇宙の魅力を伝えようと精力的に活動してきた髙橋真理子さん。けれども娘の入院を機に、入院中の子どもたちや、外出できない人たちのことが気になりはじめます。やがて「科学館に来られない人に、星空を届けたい」という気持ちが大きくなり、科学館を辞めて、自分でプラネタリウムを持って小児病棟や被災地を投影を行う、新しい仕事をはじめました。
全国で8000人が体験した、〈病院がプラネタリウム〉の誕生物語。
『竜之介先生、走る!熊本地震で人とペットを救った動物病院』
「ペットには飼い主を癒すだけでなく、人を支え、つなげる力もある」と語る「竜之介動物病院」の院長・徳田竜之介先生の活動と半生を、熊本地震を起点として、臨場感たっぷりにつたえるノンフィクション。10年間にわたって熊本の動物愛護についての取材を続けてきた作家・片野ゆかさんが書き上げられました。東日本大震災や熊本地震を経験する中で浮かびあがってきた「ペット防災」という課題について、考えてみませんか。
大災害がおこったら、
ペットと一緒に、どうやって生きのびる!?
熊本地震のとき、「ペット同伴避難所」を開いて
のべ1500組の動物と飼い主さんを救った獣医師の、
汗と勇気のリアルストーリー!
『クジラのおなかからプラスチック』
このショッキングな題名は、2018年6月にタイの海岸で打ちあげられたゴンドウクジラのおなかから80枚以上のプラスチック袋が出てきたというニュースに由来しているのだそう。私たちが何気なく置き忘れたペットボトル、ストロー、レジ袋。それが川や海に漂ってプラスチックごみになってしまうと…。今世界的に問題となっている「海洋プラスチックごみ問題」について詳しく知るとともに、私たちひとりひとりが出来ることについて考えてみませんか?
このままでは2050年に海の魚の重量を超えるといわれるプラスチックごみ。
地球温暖化にならぶ環境問題として、いま世界が注目しています。
クジラや海ガメといった海洋生物がエサと間違えて飲みこんで死亡するなど、
プラスチックごみの生態系への影響は年々深刻さを増しています。
また、小さくなったプラスチックの破片「マイクロプラスチック」を、
魚がプランクトンと間違えて食べることで、
私たちも食物連鎖の中でプラスチックをとり込み、その影響が心配されています。
世界でも、とくにプラスチックごみが集まりやすいとされる日本の海。
その実態は? 人体への影響は? 世界は、日本はどう動いているのか?
海洋プラスチックごみ問題の最前線を取材しました。
いかがでしたか? あらゆる社会の問題に向けて提起している本や、誰かのために自分の何かを役立てようと奔走している人たち、ノンフィクション作品はたくさんの気づきと勇気を与えてくれるように思います。感想文の種になることはもちろんのこと、日常生活においても、考えを深めたり、身近で起こっている問題やニュース等で目にする問題への見方を養うために、ぜひ子どもたちに薦めていきたいですね。同時に大人も一緒に読んで考えるきっかけにしていただけたらと思います。
秋山朋恵(絵本ナビ 児童書担当)
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