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未来の今日の一冊 ~今週はどんな1週間?~

【今週の今日の一冊】空を見上げたくなる絵本。9月20日は「空の日」

朝夕に吹く風は涼しく、どこかホッとするような秋の始まり。今週は22日に「秋分の日」がありますが、20日は「空の日」という記念日だそうです。秋の空は高く、透明感があり、一年のうちでも特に美しいと言われる時期。そんな秋の空を時にはゆっくり堪能してみませんか。

今週は、空を見上げたくなるようなさまざまな空の様相が描かれた絵本をお届けします。

2024年9月16日から9月22日までの絵本「今日の一冊」をご紹介

9月16日 誰かの願いも感情も思い出も。ゆっくり静かに……

月曜日は『ゆうやけにとけていく』

ゆうやけにとけていく

広い空の中で、だんだんと沈みゆく太陽。すべてのものを金色に染め、空気がひんやりとし、遠くで優しい音がする。

田んぼで、プールの中で、公園のジャングルジムで、買い物帰りにおかあさんと一緒に、部屋の中ひとりで。どんな子のところにも、そこここで生きる全ての人のところに、夕焼けはやってくる。

今日は一日何があったのかな。誰かと笑いあっていたのかな、それともひとりで静かに過ごしたのかな。楽しいことも、くやしいことも、悲しい涙やギラギラした汗までも。夕焼けがすべてを包みこみ、とけていく。そうしてやってくるのが、この静かな夜の空……。

一日が終わる前のほんのひととき。ページをめくるたびに時間は少しずつ過ぎていき、目に飛びこんでくるのは、初めて見るような、どこかで体験したことがあるような、美しくも懐かしい場面の数々。それらを順に眺めていると、不思議と心が落ち着いてくるのです。自分の中の「何か」も、絵本の中に一緒にとけこんでいくようです。今最も注目を集める絵本作家ザ・キャビンカンパニーの最新作。彼らは最後につぶやいてくれます。

「ゆっくり おやすみ。」

(磯崎園子  絵本ナビ編集長)

https://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=222620
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読者レビューより

私はこの本を読ませて頂いて、とても感動しました。これは素晴らしいの一言に尽きます!私は夕焼けが大好きです。過去を振り返れば、人生の様々なシーンで夕焼けを見つめてきたように思います。そして夕焼けを眺めながら綺麗だと思った時、生きていることの喜びを感じてきました。夕焼けを見て綺麗だと思うところに幸せの原型があると思います。この本はそんな思いを十分に満足させてくれます。ありがとうございました!
(水口栄一さん 60代・その他の方)

https://www.ehonnavi.net/specialcontents/contents.asp?id=2032 誰かの願いも感情も思い出も。ゆっくり静かに……『ゆうやけにとけていく』 【NEXTプラチナブック】

9月17日 満月の夜の忘れられない出来事とは…

火曜日は『うきわねこ』

うきわねこ

大きなうきわを持ったまま、じっとどこかを見つめて立っているこねこ。
その有無を言わさぬ可愛さと、タイトルの不思議な響きに引き寄せられ、
表紙を見てしまったらもう、通り過ぎるわけにはいかないのがこの作品なのです。

こねこの名前はえびお。えびおの誕生日におじいちゃんから送られてきたのは「うきわ」でした。
手紙には「次の満月の夜を楽しみにしていてください」と書いてあり、
えびおはその言葉を胸に、ひとり心待ちにするのです。
そしてとうとうその日がやって来て、忘れられない出来事が起こり・・・。

物語も、登場人物も、風景も、全てが驚くほど幻想的。
本当にありそうな、でもやっぱり絵本だからこその美しい世界。そして、優しい言葉の一つ一つがえびおやおじいちゃん、そして家族のキャラクターを浮かびあがらせていきます。
これぞ、子どもから大人まで楽しめる絵本。何度でも訪れ、その特別な体験を味わいたくなるのです。
詩人の蜂飼耳さんと画家の牧野千穂さんの出会いから生まれた物語、幸せな作品ですね。

(磯崎園子  絵本ナビ編集長)

https://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=77639

読者レビューより

子猫のえびおのもとに届いた誕生日プレゼント。おじいちゃんからの贈り物は浮き輪でした。お手紙には満月の夜まで大事にしまっておくように書いてあります。満月の夜の、優しくて美しくて儚い、空飛ぶ時間。一度きりの体験は誰にも秘密の冒険でした。
上質な絵画を見ているかのような素敵な絵は、ページをめくるたびに贅沢な気持ちになります。大切に繰り返し読みたくなる一冊です。
(ouchijikanさん 40代・ママ)

https://www.ehonnavi.net/specialcontents/interview/20110921/ 蜂飼 耳さん、牧野千穂さん、『うきわねこ』インタビューはこちら

9月18日 こんな虹、見たことある?

水曜日は『にじ』

にじ

なぜにじはみえるのかな?
そのしくみをやさしく説明した写真絵本。
めずらしいにじの写真もたくさん。

巻末ではさらにくわしい解説付き。虹色が見える空の現象についても。

9月19日 空をぐんぐん上がって宇宙まで飛び出す旅をしよう

木曜日は『空の上には、何があるの?』

空の上には、何があるの?

空の上には、いったいなにがあって、どんなことが起こっているの? 一緒に空をぐんぐん上がって宇宙まで飛び出す旅をしようよ! 世界中で大人気の2.5メートルのびるながーい絵本で大迫力!

9月20日 今日は「空の日」。空を見上げてみませんか。

金曜日は『空の絵本』

空の絵本

絵本を開くと、何でもない自然の景色がそこにあって。
でも、何でもないはずの雨や風、嵐の後に現れる、大きく広がった空を眺めているうちに、自分の心の中で込み上げてくるものを感じて・・・思わずつぶやいてしまうのです。
「ああ、明るい空だ。」
何度開いても、絵本の中の一日を同じ気持ちで味わうことができる、こんな体験のできる絵本には、そう出会うことはできないのではと思うのです。そして、その後に登場する、水晶の様なしずくや宝箱の様な夜空をじっくり眺めながら余韻にひたりつつ、幸せな時間をかみしめます。
「だん だだん だんだん 雨はつよくなり・・・」
長田さんの詩にひきこまれるのか、荒井さんの絵の迫力にのみこまれているのか。
理由を分析する必要はないけれど、私にとって、「絵本」が存在する事の意味を感じられる、とても大切な一冊になりそうです。

(磯崎園子  絵本ナビ編集長)

https://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=81725

読者レビューより
一日を通して徐々に移り変わる空の表情を、美しく鮮やかに描いた作品。

夜が明けて陽が昇り、やがて夕暮れを迎え夜が来る。
その時間の流れは決して変わることのない普遍的なものだけれども、一日として同じ空はない。

この作品を読むと、普段から当たり前のことのように感じている自然の変化や、目の前に広がる風景は、決して当たり前などではなく、どれもかけがえのない奇跡的なものなのだということに、改めて気付かされます。

空の一日は何ておおらかでゆったりとしているんだろう。
元来スローペースな性格、育児と主婦業、自己実現の両立は思いの外難しく、上手くいかないことも多々あるのですが、この絵本の「だんだんと」のリズムには、とても励まされる思いです。

疲れた時には、娘と一緒に空を眺め、ゆっくりとした時間の流れに身を任せてみるのもいいなぁ。

読むたびに、心に栄養を与えてくれる一冊です。
(まどかめさん 30代・ママ 女の子2歳)

https://www.ehonnavi.net/specialcontents/interview/20120118/ 荒井良二さん『空の絵本』インタビュー

9月21日 やまは おおきくて そらは ひろいんだ

土曜日は『やまをとぶ』

やまをとぶ

ぼくのうちはね、山にかこまれてる。まわりには、色んないきものがすんでるよ。ほら、伝書ばとも風みたいに飛んでいる。いいなあ、ぼくもかけっこしたら風みたいになれるんだ。

犬のくろと庭に出れば、実を食べにやってくるつぐみやめじろと出会い、散歩をすれば、たぬきの親子や大空を飛びまわるとびを見かけ、一緒に空想を広げる。ぼくとくろが暮らす里山には、仲間がたくさん、小さな喜びもいっぱい! 山は大きくて、空は広いんだ。

絵本作家のきくちちきさんが、〈岩波の子どもの本〉として描かれたのは、家族で住んでいる里山を舞台にしたお話。登場するのは、息子さんと愛犬のくろ。二人の毎日が、どれだけ出会いや空想にあふれた豊かなものなのか、生き生きとかけまわる様子や嬉しそうな表情、そしてみんなで寄りそういきものたちの愛らしい姿から、まっすぐに伝わってきます。

「やまをとぶ」

そのタイトルの通り、読んでいるだけで心がふわっと広い空の上を飛び立っていけるような気持ちになれる絵本です。

(磯崎園子  絵本ナビ編集長)

https://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=241377

読者レビューより

きくちちきさんの伸びやかで味のある絵が大好きです。
「岩波の子どもの本」というと、ロングセラーの昔の本というイメージだったので、新刊で出版されたことにびっくりしました。
カラーのページとモノクロのページが交互に描かれていたり、画面を縦にして読むページがあったりと、絵本全体にリズムを感じる作品です。
自然とともに生きるというメッセージが、優しくも力強く描かれていて、素敵だなと思いました。
クライマックスの「そらはひろいんだ」というセリフが気に入りました。
(クッチーナママさん 40代・ママ 女の子19歳、女の子16歳、男の子14歳)

https://www.ehonnavi.net/specialcontents/contents.asp?id=2283 里山には、小さな喜びがいっぱい!『やまをとぶ』【NEXTプラチナブック】

9月22日 雲とのくらしには、決まりがいろいろ

日曜日は『リジーと雲』

リジーと雲

おかあさんとおとうさんとおさんぽに出かけた公園で、リジーがまっすぐにかけよったのは、雲うりのおじさんのところ。まるくてほわほわだったり、オウムやウサギ、ゾウのかたちをした雲もありましたが、リジーが選んだのは、ふつうのかたちの雲。

雲とのくらしには、決まりが色々あります。リジーは名前をミロとつけ、毎日ていねいに水をかけ、お天気が良い日にはおさんぽに連れていき、いっしょうけんめいお世話をしました。季節はめぐり、もくもく、もくもく、ミロはどんどん大きくなっていきます。そして、とうとうリジーの部屋の天井をすっぽりと覆いつくすまでになり……。

ミロは大きいわけでも、おしゃれなわけでもない、ふつうの雲。でも、リジーにとっては最高のすてきな雲。その愛情のかけかたを見ていると、なんだかミロがとっても可愛く見えてくるから不思議です。どんな時でも一緒のリジーとミロ。だからこそ、リジーが好きなことも、機嫌が悪い理由もわかるのです。その手を離さなくてはならないタイミングも。

テリー・ファン&エリック・ファン兄弟が、雲をながめる人たちに贈る、ささやかで愛らしいファンタジー絵本。空を見上げるリジーの思い、きっと届いているはずですよね。曇りの日が好きになりそうです。

(磯崎園子  絵本ナビ編集長)

https://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=194510
https://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=194510

読者レビューより

とても発想がユニークなお話です。
空に浮かぶ雲を自分で育てられたらと想像したらの、楽しさ以上に大変さが思い浮かびます。
注意書きにあるように、雲は広さを求めるのかも知れません。
でも、空に浮かぶ雲が自分のものだと言えたら、それはそれで楽しいように感じます。
(ヒラPさん21 70代以上・その他の方)

https://www.ehonnavi.net/specialcontents/contents.asp?id=1879 大好きだからこそ、その手を『リジーと雲』【NEXTプラチナブック】

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選書・文:秋山朋恵(絵本ナビ副編集長)

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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