【今週の今日の一冊】9月のスタートに。心をやさしく整える「お守り絵本」特集
8月が終わり、暦はいよいよ9月へ。新学期や季節の変わり目は、そわそわしたり心が重くなったりと、気持ちが揺れ動きやすい時期でもありますね。今週は、そんな季節の節目にぴったりのお守りになってくれるような絵本を集めました。絵本と一緒に深呼吸してみたり、元気が出そうなおまじないを唱えてみたり、そっと背中を押してくれるような物語に触れてみたり……。心を落ち着かせてくれるやさしい絵本をそっと開いてみませんか。
2026年8月31日から9月6日までの絵本「今日の一冊」をご紹介
8月31日 鼻からすって、口からふー。ゆっくり深呼吸。
月曜日は『すーっとすってふー』
あらあら、ねずみさんがぷんぷん怒っていますよ。
そんな時は、鼻からすーっとすって、口からふー。
「ほわわわーん」
ほーら、にっこり。
えーんえーん泣いてるぞうさんも、はぁはぁ疲れた鳥さんも。ケンカしちゃっているねずみさんたちも。鼻からすーっとすって、口からふー。何回だって、鼻からすーっとすって、口からふー。ああ、いい気持ち!
子どもたちの日常は、泣いたり怒ったり、喜んだり、興奮したり。感情があっちこっち、とても忙しい。一緒にいるお母さんやお父さんだって同じです。そんな時こそ、ゆっくり深呼吸。すると、不思議。心も体も落ち着いて、きっといいこと起こるはず。
まさに子育て真っ最中の作者、松田奈那子さんの経験から生まれたというこの絵本。巻末には、小児科医の内海裕美先生による深呼吸の方法や、その効果についてのコメントも。
全身でしっかりすーっ、ふー。かわいい動物さんたちと一緒に、楽しみながら。深呼吸の方法が自然と身につくまでやってみてくださいね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
読者の声より
小さい子向けおはなし会用にセレクト。
自律神経を整える深呼吸の指南書、でしょうか。
鼻からゆっくり4秒吸って、2秒息を止め、口から息を6秒かけて吐く。
呼吸を意識することで、イライラ解消、不安の軽減、リラックス効果があるなんて、
これは親子ともに有益なスキルですね。
さあ、登場する動物たちとご一緒に。
吐息がカラーで視覚化されているのも素敵なイメージです。
もちろん、すっきり笑顔も心地良いです。
(レイラさん 60代・じいじ・ばあば 女の子2歳、女の子2歳、男の子0歳)
9月1日 いつものあさの、「あ」たらしい空。
火曜日は『いつもの あさの あいうえお』
いつものあさの、「あ」たらしい空。
いつものあさの、「い」ただきます。
いつも通りにやってくる朝の風景を、「あいうえお」の五十音の言葉で切りとっていくこの絵本。なんてことはない、でもそこにあると心が落ち着く、見慣れた場面の数々。
歌う声、絵本、おひさま、川の音、きらきら水面、草花……。ページをめくるたびに積み重ねられていく言葉に添えられているのは、水彩の淡い色彩で描かれた優しい絵。いつまでも続くようなその時間の、なんて豊かなことでしょう。絵本は途中で昼間に移り変わり、やがて夜へと続いていきます。
作者の植田真さんは言います。「小さな息子の生活には、『いつものこと』であふれていて、そして、それらは、とても美しいものに思えた。」(巻末の言葉より)
登場するのは、さりげないけれど、どこまでも丁寧な視線で描かれる愛おしい小物や小さな生き物、家の中や外、そしてその場所で過ごす小さな子ども。一日の終わりにこの絵本を開いてみれば、きっとそこが居心地のよい場所になってくれることでしょう。
表紙は、まるで朝の光をキラキラとまとったような美しいデザイン。子どもから大人まで、そして大事な方への贈り物としても。持っておきたくなる一冊です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
読者の声より
読んでみるとシンプルな本なのになんだかとっても心地よい感じがして、普段の忙しい生活の中に、毎日の生活をふと振り返ってみる時間をこの絵本がくれたような気がします。毎日の何気ない行動、音、周りにある物事が、すべて心地よく思えてきます。忙しいあの人へ、子供たちへ、読んだ後になんだかホッとするこの絵本、おすすめします。
(ピンクちゃんさん 50代・ママ 女の子15歳、男の子8歳)
9月2日 心が落ち着く、ほっとするおまじない集
水曜日は『つるかめ つるかめ』
雷がゴロゴロ鳴っている。地震がきてぐらぐら揺れている。
風がびゅうびゅう吹いてきて……。
ああ、どうしよう。
自分たちの力ではどうにもならないことが起きた時。
とっても怖いし、とっても不安。
私は臆病だから。
でもね、あなただけじゃないよ。
大人だって不安だし、昔の人だってずっと怖いと思ってきた。
あたりまえだよね。
だからこそ、こんなおまじないが伝わっているんだって。
「くわばら くわばら」
「まじゃらく まじゃらく」
「とーしー とーしー」
なんだか不思議な言葉。どんな意味があるんだろう。じゃあ、今みたいに病気になるのが怖かったり、説明できないけど嫌な事があったときには、どんなおまじないがあるの……?
表面上はわからなかったとしても、子どもたちをじわじわと苦しめるのは「不安な心」、そして「臆病で怖がりな心」。これを克服するのは難しい。だって、驚くことに大人になってもその心はなくならないのですから。この絵本の作者中脇初枝さんも、絵を描かれているあずみ虫さんもそう。そんなお二人が子どもたちの心に寄り添い、はげましてくれる絵本をつくってくれました。
心が落ち着くおまじない。
「つるかめ つるかめ」
繰り返し声に出して読んでおけば、いつか助けになってくれる日があるかもしれない。勇気をもらえるかもしれない。そんな願いをこめて読んでくださいね。巻末にはおまじないの意味や由来も収められていますよ。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
読者の声より
日本には、心を軽くするおまじないがたくさんあるのですね。
「くわばら」や「つるかめ」は馴染みがありますが、「まじゃらく」や「とーしー」、「そみんしょうらいのしそんなり」等は知りませんでした。
生きていると、様々な困難に出会います。
上手くいっている時でも、ふと将来に不安を抱いたりします。
そんな時にこれらのおまじないを唱えれば、いくぶん安心しますね。
今は特に不安の多い時代ですから、私も唱えて安心しようと思います。
(めむたんさん 40代・ママ 男の子19歳)
9月3日 少しでも心地よく過ごすための、心を緩める発想法
木曜日は『あつかったら ぬげばいい』
「ヘトヘトにつかれたら」
「ふとっちゃったら」
「だれもわかってくれなかったら」
「せかいがかわってしまったら」…。
2コマごとに展開する老若男女の疑問に、ユーモラスで痛快な答えが待っている。
大人も子どもも楽しめる、ヨシタケ式心を緩める絵本が登場!
大切な人への贈り物や、お守りのように側に置きたい1冊です。
読者の声より
「あつかったらぬげばいい」・・・その通りだ!と思いました。無理しないで思ったとおりに動いてみるのも一つの手。地味に生活様式がちょうど合っていて納得できる場面が多かったです。本もコンパクトサイズなのでちょうどいい。机にそっと置いて、たまにめくって「あー、そうだよなぁ」と思って癒されています。
ヨシタケシンスケさんのこの本は発想の転換次第で人の行動やこれからの生き方を変えることができるのかもと思いました。
(えなびぃさん 40代・ママ 女の子3歳)
9月4日 「ほっとけ、ほっとけ、ほっとけーきの……」
金曜日は『げんきだしていこう! のおまじない』
自分を勇気づけたり元気になりたいとき、みなさんはどうするでしょうか?ゆっくり寝る、おいしいものを食べる、お笑い番組を見るなど、人によっていろいろありそうですが、実は「おまじない」という、ちょっといい方法があるんです。
「ほっとけ、ほっとけ、ほっとけーきのふとんが ふっとんだー」
このへんてこなおまじないは、ねこがあーちゃんに教えてくれたおまじない。大きな声で唱えれば、恥ずかしいのも、嫌な気分も、心配事も、みーんなどこかへふっとんでしまうのです。あーちゃんのお兄ちゃんが、野球の試合でヒットを打てるか心配しています。ねことあーちゃんはお兄ちゃんにこのおまじないを教えました。
『おばけかぞくのいちにち』(福音館書店)などが大人気の西平あかねさん。本作は、大人も楽しめる、ユーモアあふれる絵童話に仕上がっています。読めばほっこり、元気になれるおはなし。ポジティブな言葉は気持ちを明るくしてくれます。さあ、子どもも大人も、「げんきだしていこう!」ではありませんか。
(出合聡美 絵本ナビライター)
読者の声より
前向きなタイトルにひかれて、よんでみました。おまじないって、その場でできるからいいですよね。しかも、そのおまじないがおもしろい。ほっこりしていて、楽しい気分になれる素敵なおまじないだなあと。子どもだけでなく、大人にもよさそうです。
(あんじゅじゅさん 50代・その他の方)
9月5日 はっぴぃさん どうぞ ねがいを きいてください
土曜日は『はっぴぃさん』
読者の声より
はっぴぃさん、はっぴぃさん。
あわてものの女の子、のんびりやさんの男の子。
二人は各々の性格を気に病んで、願いをきいてもらうため
はっぴぃさんに会いに行きます。
はっぴぃさんとは何者で、二人は会えるのでしょうか、
二人の性格は変わるのでしょうか。
ああ、これでいいんだな。
前向きになれる絵本です。
はっぴぃさん、はっぴぃさん、
自分もそう呼びかけた分だけ
気分が良くなるような
何かに近づいているような気になります。
荒井さんの絵からも強い祈りを感じます。
幸せの黄色い絵本、
ぜひ手に取ってほしい、大好きな一冊です。
(ととくろさん 30代・ママ 女の子5歳、女の子1歳)
9月6日 わたしのなかにはだれもしらないふしぎがある
日曜日は『これが わたし』
キャンプに出かけ、夜空を見上げながら月に問いかけ、海の上でひかる波を数え、野原で風に揺れる花の気持ちになってみる。その輝きや明るさ、にぎやかさの中に「わたし」を見つける少女。
それからもみの木や雨つぶ、カミナリの音を聞きながら、強さと優しさときらめきを。さらに、どこまでも流れる川のような勇敢さも。
「でも、それだけじゃない。
まだ わたしの ぜんぶじゃない」
自分なりのやり方で、どっしり立ち、自分の道をゆく冒険家となり、みんなにひかりを届けるの。「わたし」の中には誰も知らない不思議がある。大きく育つ未来のための種がある。だからわたしは……。
目の前に広がる壮大な自然を背景に、詩のような美しい響きの言葉で語られるのは、「わたし」が感じる自分の中の無限の可能性。自分の足で歩き、直接地面に触れ、風や光を感じながら、そこかしこから自分らしさを見つけていく少女のしなやかな感性といったら!
細い線や繊細な色彩で描かれる小さな生き物たち。ダイナミックな構図でまぶしいばかりの光を放つ月や太陽。そして、自由でのびやかな線と元気の出る印象的なオレンジを使って描かれる少女。それらが画面の中で交錯し、見る人の心を静かに力強く刺激するのです。
新しい一歩を踏み出したい時に。気持ちが弱くなっている時に。自分を信じたい時にも。声に出して読むことで、自分に魔法をかけてくれる。そんな強さのある一冊です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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新学期が始まって、ちょっと緊張気味の子どもたちにも、ぜひ読んであげてくださいね。
選書・文:秋山 朋恵(絵本ナビ副編集長)
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