2020年5月に絵本ナビスタッフの娘(2歳1か月)が最も読んだ絵本は『いっさいはん』
親も子どもも試練の「休園期間」に読んだ絵本たち
こんにちは。絵本ナビスタイル編集部の坪井(アラフォー、本と映画好き)です。
娘は5月で2歳1か月になりました。このごろは「ものを並べる」ことがブームです。積み木やおもちゃはもちろん、台所から持ち出した缶詰もいつのまにか並べていますし、絵本がこうして(↑)並べられていることも。
全国の緊急事態宣言が解除され、娘の保育園も再開されました。新型コロナウイルスの感染状況に不安がないと言ったら嘘になりますが、それでも毎日家にいて、遊び相手は両親だけ…という娘の状況が大きく改善したことはとてもよかったです。
ということで2020年5月、保育園もお休みだった期間中に私が娘に読み聞かせた絵本をまとめました!
読み聞かせ回数6回、ダントツ1位の絵本
気になる部分だけ読むのも楽しい1冊
ママとパパの心をぎゅっとつかむ絵本が誕生しました!
その名も『いっさいはん』。
ぐんぐん成長し変化していく子どもの、“1歳半”という「一瞬」のような時期をとらえて図解。
といってもこの絵本、けっして大人のため「だけ」のものじゃありません。
ちょっとお姉ちゃんお兄ちゃんになってきた子どもがまちがいなく楽しめます。
くすくす笑って「え~」「おかしい」といいながら読みそうですが、きっとママやパパは「数年前のあなたよ!」と突っ込みたくなるにちがいありません。
「ぜんてんしたくて、おしりをおされるのをまっているポーズ」
「つねにごはんつぶまみれ」
「ちらかったものより、かたづいているものにきょうみがある」
「うつわにはなんでも、すなをまんたんにつめる」
どのページにも「あるある」がいっぱいです。
いっときも秩序が保てない1歳半の子どもとの暮らしは、経験しただれもがあまり思い出したくないくらいたいへんだった……かもしれません。
でも、忘れちゃいます。
この絵本を読むと思い出します!
そして愛らしさに胸がいっぱいになります。
もともとはminchi(みんち)さんがツイッターに描いていたイラストが反響を呼び、このたび絵本として出版されることになったそう。
子育て経験者は「ねえ、みてみて」と多くの人に教えてあげたくなる絵本です。
子育てが大変だと思っている、これから子どもを産むみなさんには、むしろ「このおもしろさ」を伝えたい!
お兄ちゃんお姉ちゃんになった子たちには、思いっきり愛情をこめて読んであげてくださいね。
そもそもは私が絵本ナビの「全ページためしよみ」で読んでみて、あまりにもおかしかったので自分のために購入した絵本です。
それがいつの間にか娘の絵本コーナーに移動して、リアルな絵がたくさん描いてある絵本を好む娘の一番のお気に入り絵本になりました。
娘はあるときから、おむつを替えようとすると「あばれだしゅ!」と言いながら満面の笑みで足をバタバタさせるようになりました。
「暴れ出す」なんて家ではほとんど使わないし、テレビでもほとんど聞かない言葉なのに一体どこで覚えたのだろう…と思っていたのですが、
おむつを かえようとすると あばれだす
という一節が「いっさいはん」にありました。この作品が好きすぎて何度も聞いている娘、足をバタバタさせる赤ちゃんのイラストを見て、自分でも真似していたようです。
絵本の読み聞かせが子どもの言葉を増やすって、本当なんですね…(娘に蹴られてアザができた腕をさすりながら)。
読み聞かせ回数4回の作品はこの2冊
こわいけどなんだか親しみやすい?おばけの絵本
時計が9時を指して鳴ります。ボン、ボン、ボン…。
「こんな じかんに おきてるのは だれだ?」
ふくろうにみみずく、どらねこ、それともどろぼう?
いえ、いえ、夜中に起きているのは……おばけ!
おばけの時間です。
あれあれ、こんな時間に起きている女の子がいましたよ。
夜中はおばけの時間のはず、いったいどうなっちゃうのでしょう?
ママやパパの子どもの頃からずっと読まれ続けている、せなけいこさんの描く「おばけ絵本」の最高傑作『ねないこだれだ』。大人になってから改めて読んでみると、意外な怖さに驚きます。だって、最後に女の子が連れていかれたのは…!? そのインパクトは強烈です。ずっと記憶に残っている、という方も多いことでしょう。
でも、記憶に残っているのは「怖い」だけではありません。なんといっても主人公となる「おばけ」です。いや、子どもたちにとってはこの「おばけ」会いたさに、繰り返し読んでもらっていたりするのです。一度見たら目が離せなくなる魅力。
「怖いけど、好き」
この感情こそ、絵本が永遠に愛され続けている最大のポイントなのかもしれません。
さあ、ドキドキのおやすみ時間。
今晩もパパやママと一緒に過ごしてから、すぐに目を瞑って寝ましょうね。
じゃないと、君もおばけのせかいに……!?
実はそれほど寝つきが悪くもなく、「寝ないとおばけになっちゃうぞ」という脅しもさして必要ではない娘。
我が家においては寝かしつけに欠かせない絵本というわけではないのですが、このおばけに親しんでおいてくれると、この先おばけのTシャツなどを買ったときに喜んでくれるのでは…という私の勝手な下心によって読み聞かせられています。
1つ1つのフレーズが短く、覚えやすいので何度か読むうちに娘も一緒に暗唱するようになりました。
あるとき、絵本が手元にない状態で娘がこの作品のフレーズを言い出したので私も一緒に暗唱したのですが、「ふくろうに…何だっけ?」と、途中でわからなくなってしまったら、「『みみずく』だよ!」と即座に教えてくれました。
独特な貼り絵の雰囲気と、そこに使用されている紙の模様も気になるようで、特に「どろぼう」が出てくるとツイードっぽい彼の服の模様を指しては「これなーに?」と言います。
意外と楽しんでくれた「ちいさなかがくのとも」
4回読んだ絵本のもう1作品は「ちいさなかがくのとも」2020年5月号の「ふくろうのこ おっこちた」。
当時、保育園にあるふくろうのぬいぐるみが大のお気に入りだった娘のため、まだちょっと難しいかなとは思いつつ、購入してみました。
最初こそ少し長めのストーリーに途中で飽きてしまいましたが、4回目を読み聞かせる頃には最後まで全部聞いていられるようになりました。その後も「ふくろ、どこ?」と自分からこの絵本を探したりと、けっこう気に入った様子です。
読み聞かせ回数3回の作品2冊
お友達との関わり方のお手本になる絵本
思っていることや気持ちを相手に伝えることって大事。はじめて会うお友達と早く仲良くなりたいな。そのシーンごとに何てお話したらいいかを考え覚える絵本。「みせて」「よかったね」など。
おうちに初対面のお友達が遊びに来たとき、なんて言ったら仲良くなれるかな?と教えてくれる絵本です。
保育園が休園になって2か月目、公園で年頃の近い子の姿を見かけると一緒に遊びたそうに近づいていってしまう娘は、この絵本に登場する子がうらやましかったのかもしれません。5月下旬の数日間に繰り返し読んだ作品でした。
「おなまえは?」
「みせて」
など、この絵本に出てくるようなやりとりができるようになってきたものの、実際にそのやりとりをできるお友達が身近にいない環境では、寂しいしつまらなかっただろうな、と思います。
女の子が二人描かれたページを、絵本に入ってしまうのではと思うほどの熱心さで見つめていました。
パパに読み聞かせてほしい絵本、No.1!
3回読んだ絵本のもう1冊は「こどものとも年中向き」2018年8月号のこの作品。2018年生まれの娘には早すぎるかもと思いつつ、絵本ナビオフィスの近くにある書店のフェアで、ヨシタケシンスケさんが推薦文を書いていたのと、きれいな色の絵、そして何より“男の子心”をつかみそうな内容に惹かれて買ってみました。
絵本ナビスタイルの連載「絵本トレンドライターN田N昌の “大人だってもっと絵本読みたいの!”」の第1回でも「子どもよりパパが夢中!? 今、大人男子に人気の絵本作家“くりはらたかし”とは」と、紹介されていたくりはらたかしさんの作品です。
N田さんの記事には「ぱたぱた するする がしーん」は登場しませんが、この作品もまさしくパパに読み聞かせてほしい絵本です。兄や弟のいない環境で育ち、ロボットアニメなども特に見たことのなかった私には、この作品のタイトルの「がしーん」を、どんなトーンで読めばいいのかまったくわかりませんでした。
しかし絵本を買って帰り、夫に渡して当時生後半年ほどだった娘に読み聞かせてもらったところ、夫の口からは年季の入った「がしーん!」が。なるほど、機械同士がくっつく音の「がしーん」はこうやって発音すればいいのか…と感心したことを覚えています。
それ以来、親の気が向いたときに読み聞かせたり、ときには娘が自分で「よんで」と持ってきたりと長い付き合いの絵本になりました。
最初は何が何だかわかっていない様子だった娘も、今では「するする」が物が上につり上げられていく様子だとわかっているし、父親仕込みの「がしーん!」を自ら言ったりもしています。
「いっさいはん」とはタッチの違うイラストですが、こちらの作品もやはり一つひとつの物がリアルに描かれているので、その点でも娘の心をつかんでいるようです。シンプルな作品なだけに娘が成長してからも楽しめそうなので、いつかハードカバーの絵本として販売されたらいいなと思っています。
おわりに
2020年5月に我が家の娘、2歳1か月が繰り返して聞きたがったのはご紹介した作品でした。
この記事のため、毎日どんな絵本を読んだのかをメモしているうちに、娘のブームが2週間サイクルで変わっていることに気がつきました。月の前半と後半では、繰り返し読む作品が変わっています。
「好みの作品」はあっても、常にその作品ばかり読みたがるわけではないところも興味深いです。
よかったら、読者の皆さんのお子さんが繰り返し聞きたがる・読みたがる「鉄板」絵本も教えてくださいね。
アンケートも引き続き募集中です!
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