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絵本トレンドライターN田N昌の “大人だってもっと絵本読みたいの!”

大人もたまらない! N田オススメ”いちご絵本”

子どもだけが読むなんてもったいない。大人も楽しい絵本の世界を、絵本トレンドライター・N田N昌さんが、独自の視点と「ゴイスー」な語り口でご紹介! 
最近話題の新しい絵本、注目の作家さん、気になる絵本関連スポットなど、絵本のトレンド情報を大人に向けてお届けします。

大人がハマる「いちごの絵本」

季節は“いちご”でございます。コンビニや飲食店では数々のいちごスイーツが並んでおります。

いちごは、くだもの界のアイドル。いちごを扱った絵本もたくさんございます。書店によっては「いちご絵本」の特集をされているところもあるのではないかと存じます。

そんななか、今回は、子どもだけに見せるのはもったいない! N田オススメの、大人もたまらない“いちご絵本”をご紹介させて頂きます。

美しい細密画で描かれたいちご

いちご

いちごを育てると、どのように成長するかを美しい細密画で表現しました。イラスト科学絵本です。
いちごを食べると口の中でプチプチプチと音がします。何の音でしょう? いちごの苗を植えて育ててみましょう。どんな風に葉っぱは生えていますか? 絵本を見ながら自然観察をたのしめる一冊です。

自然観察絵本を代表するといっても過言ではない絵本でございます。絵がリアルなのはもちろんのこと、とにかく繊細で美しいのでございます。

作者の荒井さまはリアルな描写(細密画)で有名な絵本作家さまで、多くの自然観察絵本を描かれております。『たんぽぽ』(金の星社)は2017年度ブラティスラバ世界原画展金のりんご賞を受賞。『ひまわり』(金の星社)は夏の課題図書にも選ばれております。

いちごの実はもちろん、ヘタから茎、葉にいたるまで超リアルで、その瑞瑞しさが存分に伝わってまいります。断面図もわかりやすく、それでいて美しい!まさに図鑑であり画集でもある絵本でございます。絵本としてのストーリーもございます。いろいろ贅沢な絵本なのでございます。

いちごの生態やいちごがどのように育っていくのかを贅沢な描写と共に、ストーリ仕立てで楽しくご体験いただける一冊ではないかと存じます。

「風の彫刻家」新宮晋さんの描く”いちご”

いちご

世界的な造形作家が初めて世に問う、いちご賛歌の絵本です。「未知の世界の発見という、絵本本来の役割が鮮やかに成就した」今江祥智氏評。

細密画の次は、世界的な造形作家が描いたいちご絵本でございます。内容は前者の『いちご』とほぼ同じでございます。いちごが育っていく過程が描かれております。ただ、描かれている中身はまったく別世界になっております。

 

作者の新宮晋さまは、前述の通り世界的な造形作家でございます。風や水、重力など自然の力で動く立体作品で知られ、世界各地の公園や広場、公共ホールなどに作品が展示されております。同時に、絵本作家として何冊も絵本を描かれております。一番最初に手掛けたのが、この『いちご』でございます。

テキストは日本語だけでなく、英独仏伊の4カ国語が併記されております。1975年に出版後、版を重ねており、海外でも出版されております。

表紙からしてゴイスーな存在感でございますが、出版社の紹介文も重厚でございます。「世界的な造形作家が初めて世に問う、いちご賛歌の絵本です」と紹介されております。また、『優しさごっこ』『ぼんぼん』などの作品や、『すてきな三にんぐみ』『ぼちぼちいこか』の翻訳で知られる児童文学者の今江祥智さまも「未知の世界の発見という、絵本本来の役割が鮮やかに成就した」と評されております。

 

この絵本の魅力を一言で言わせて頂けるなら、絵本であると同時に哲学書でもありアートブックでもある、そんな一冊ではないかと……。圧倒的に大人から人気の高い絵本でございます。大人の本棚に飾って置きたい一冊でございます。

前述の荒井さまの『いちご』と是非読み比べて頂きたく存じます。

話題のイラストレーターによる魅惑の”いちご”ワールド

いちごになりました(こどものとも年中向き 2021年5月号)

作:鬼頭 祈
出版社: 福音館書店

こちらの作者は、アニメとのコラボや広告、絵本への作品提供など活躍の幅を広げている今話題のイラストレーター、鬼頭祈さまでございます。

小人や苺をモチーフにした現代的な絵画をたくさん制作されております。日本画技法に由来する鬼頭祈さん独自の“ゆるゆる感”というかPOPなタッチがゴイスーに魅力的でございます。

月刊『MOE』2021年12月号で、「MOEが注目する次世代の絵本作家」特集で紹介されるなど、絵本作家として今注目を集めておられます。こちらは、作絵を手がけられた2作目の絵本でございます。1作目の『こびとのおうち』も小人が登場いたしますが、こちらにも引き続き登場しております。内容は、いろんなモノがどんどん“いちご”になっていくというナンセンス絵本でございます。子どもも大人も楽しめるほのぼのナンセンスでございます。小人のキャラクターも含め、癒し感たっぷりの絵本になっております。ちなみに1作目の『こびとのおうち』も、出会うものを手当たりしだい“家”にしてしまうナンセンス絵本でございます。

鬼頭祈さんの絵本

大人にも届けたい、”いちご”をモチーフにした美しい寓話物語

せかいいちのいちご

ふえると、へる。増えると、減る。
いちごが増えて、減ったものとは?
子どもにも大人にも届けたい絵本。
好評の『二番目の悪者』につづく、
林木林と庄野ナホコによる絵本、待望の第二弾!

こちらの作者は、大人絵本ファンが多い人気絵本作家さまのコラボ作でございます。テキストは林木林さま、絵は庄野ナホコさまでございます。おはなしのテーマは「幸せの価値観」。いちごをモチーフに使うことで、お子様にも理解できるよう、楽しめるようになっております。お子様もパパママも「これ、わかるぅ〜」とゴイスーに共感できるお話でございます。大人の方は、より深く考えさせられるところもあるのではないかと……。絵もストーリーもメルヘンチックでございます。“いちごメルヘン”、是非ご体験くださいませ。

N田N昌

絵本トレンドライター・放送作家・絵本専門士
絵本の最新情報を発信&大人絵本文化、絵本プレゼント文化の普及活動に日々努めております。  

@NtaNmasa

 

(画像は、イラストレーター・作家の網代幸介さんによる著者肖像画)

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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