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未来の今日の一冊 ~今週はどんな1週間?~

【今週の今日の一冊】寒い冬とクリスマスには、子どもも大人も心温まる物語を

クリスマスに向けて、町はにぎやかに、気持ちもなんとなく浮き立ちながらも、季節は冬に向かい、肌に触れる空気がどんどん冷たくなっていきますね。そんな毎日にお届けしたいのは、心温まる物語。今週は、クリスマスのお話を中心に、心をほっこり温めてくれるような、優しさやユーモアがたっぷり詰まった物語をご紹介したいと思います。
 

2023年11月27日から12月3日までの絵本「今日の一冊」をご紹介

11月27日 パディントンと過ごすクリスマスは大さわぎ!

月曜日は『パディントンのクリスマス』

パディントンのクリスマス

ブラウンさん一家と共に過ごすパディントン。様々な大騒動を巻き起こしつつ、季節は夏から秋、そして冬へ向かいます。初めて雪を見たパディントンは大喜びですが、風邪をひいてしまい、介抱してもらいます。やがて一大行事のクリスマスを目前に準備にかかるブラウンさん一家。パディントンもバークリッジ(百貨店)に買い物へ同行するも、相変わらず騒動の渦中に……。パディントンが過ごした幸せなクリスマスのお話です。

読者の声より

大変なことをひきおこしてしまうけど、みんなに愛されるパディントン。
たしかに、愛さずにはいられない、かわいさです(笑)
なかでも、クリスマスのお話が一番いいなあ、と。特に、みんなを思って用意したパディントンのプレゼントにはあたたかい気持ちになりました。
(あんじゅじゅさん 40代・その他の方)
 

11月28日 大ピンチのサンタクロースを救ったのは!?

火曜日は『岩波少年文庫 夏のサンタクロース フィンランドのお話集』(2023年10月刊)

岩波少年文庫 夏のサンタクロース フィンランドのお話集

フィンランドの「童話の女王」アンニ・スヴァンの作品集。民話的なファンタジーと、現実の風景や暮らしを融合させた童話は、およそ百年前から人びとに親しまれてきました。春をむかえにいくお話、妖精や魔物の登場するお話、ドラマチックな愛のお語など、色とりどりの13編をえりすぐり、美しい挿絵とともに紹介します。

11月29日 動物を世話すること、命の大切さが伝わる温かな物語

水曜日は『子ぶたのトリュフ』

子ぶたのトリュフ

お母さんぶたのおっぱいもすえなかった赤ちゃんぶた……
―ジャスミンにいのちをすくわれた赤ちゃんぶたのトリュフは、元気な子ぶたに育ちました。
そして、クリスマスイブに、ある事件がおこります・・・
「おいで、トリュフ! いよいよ初仕事よ!」
農場を舞台に、少女ジャスミンと子ぶたのトリュフの心あたたまる物語です。

読者の声より

農場で生まれた未熟児の子ブタ。そのままでは死んでしまうので、こっそり連れてくる主人公。泥棒ではあるのだけど、翌日、親にばれて、農場主に譲ってもらえるよう頼みます。命を守る尊さを教えているように思います。
最後クリスマスプレゼントは、ある許可をもらえるのですが……。なかなかかわいい作品でした。おすすめです。字も大きく読みやすいです。
(えみりん12さん 40代・ママ 女の子10歳)

11月30日 ふたつの出会いが少女にもたらした希望とは……

木曜日は『ブラックバードの歌』(2023年10月刊)

ブラックバードの歌

フルートを生きがいにしていた少女アニーは、音楽学校に入学するための準備をしていたが、母親の起こした事故で手にけがを負ってしまう。リハビリをすれば、元通りフルートも吹けるはずと医者には言われているが、なかなかそんな気にもなれず、母親とも普通に接することができなくなっていた。沈んだ日々が続いていたある日のこと、アニーは、引っ越した先の空き地で、大空へと舞い上がるような軽やかな音楽を耳にする。そこにいたのは、ヤブに頭を突っ込んだ男の子と、つがいのブラックバードだった…。
さわやかな希望と再生の物語。

12月1日 少年とスノーマンのすばらしい夜のぼうけん

金曜日は『スノーマン クリスマスのお話』

スノーマン クリスマスのお話

ジェームズは、お父さん、お母さん、牧羊犬のバーディと一緒にいなかの農家で暮らす男の子。毎年クリスマスにはおばあちゃんがやってきて、大好きな『スノーマン』の絵本を読んでくれます。クリスマスイブが明日に迫った日、いつものように絵本を読んでもらったジェームズは、ベッドの中で『スノーマン』のお話のことを考え、雪が降って『スノーマン』のお話のようにならないかなあ、と考えます。でもいくら窓の外をながめても雪は見えません。

しかし眠っているうちにいつの間にか雪が降りはじめて、目が覚めた時には、外は真っ白。ほんとうの雪が降ったのです。ジェームズも犬のバーディも、こんなに積もった雪を見るのははじめてでした。雪でたくさん遊んだ後、ジェームズは庭の中で一番好きな「ナラノキ畑」にスノーマンを作りはじめます。はじめは小さかった雪の玉はだんだん大きくなって雪の体となり、頭部分ははしごを使わないと届かないほど大きなスノーマンに。耳にはリンゴ、鼻にはミカン‥‥‥。さらにうれしそうな笑顔になるようにあるものを加えるとスノーマンが完成しました。

「ぼくは、このうれしそうなスノーマンがなによりも大すき!」
そしてその晩ジェームズに起きたある奇跡とは!?

子どもにとっての願いや幸せがたくさん詰まっている、やさしくて温かな物語。うまくできたスノーマンを家族が見に来て褒めてくれる場面、『スノーマン』の絵本をいつも読んでくれるおばあちゃんと共有したある体験、クリスマスプレゼントに欲しいものが届くかどうかを心配する気持ち。欲しいものの理由に隠れたジェームズの一番の切なる願い‥‥‥。

1978年に発表されて以来、世界中で愛されているレイモンド・ブリッグズの絵本『スノーマン』が、絵本の雰囲気そのままに、『スノーマン』の世界に憧れる男の子の物語としても誕生しました。お話をつけたのは、イギリスを代表する児童文学作家マイケル・モーパーゴ。さらに、アニメ『スノーマン』を担当したロビン・ショーによるたくさんのイラストが満載の豪華な一冊です。なぜ、文字のない絵本に敢えて物語をつけたのか? について、マイケル・モーパーゴの思いがつづられたあとがきも必見です。さらに巻末には、「世界のクリスマス」を紹介するページや、「かんぺきなスノーマンをつくるには」というスノーマンの作り方が紹介されているとびきり嬉しいページも! このお話を読んだ後、もし雪が降ったら、スノーマンづくりに挑戦してみませんか。

子ども時代に『スノーマン』のお話と出会ったならば、想像の世界が心の中に作られて、大人になっても「スノーマン」と耳にするだけで、きっとその場所のことを思い出せるはず。そんな貴重な場所が作られることを願って、ぜひ小学生に届けたいお話です。

(秋山朋恵  絵本ナビ編集部)

https://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=177473
https://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=177473

読者の声より

モーパーゴの作品を追いかけていますが、すでにイメージがある作品の物語化は初めて読みます。
モーパーゴの描き続けている、平和や夢、希望の物語の延長線上には、子どもたちに託す夢があると思うのですが、このスノーマンでは、気づいたら治っていたジェームズの吃音があるのでしょうか。ジェームズが作ったスノーマンが、彼をスノーマンの世界、サンタクロースの住む場所に誘います。クリスマスにピッタリの物語です。
レイモンド・ブリッグスの絵本のイメージ、アニメーションの映像イメージを壊さず、モーパーゴの世界で描かれた物語です。
(ヒラP21さん 70代以上・その他の方)

12月2日 読み継がれる、愛情のこもった新聞記者の回答

土曜日は『サンタクロースっているんでしょうか?』

サンタクロースっているんでしょうか?

「サンタクロースってほんとうにいるの?」小学2年生ぐらいになるとそんな疑問を持って、パパやママにたずねる子も多いかもしれません。そんな時、大人はどんな風に答えるのが良いのでしょう。この子どもたちの質問に愛情のこもった素敵な返事をくれた人がいました。その人はアメリカの新聞記者で、そのお返事はアメリカの『ニューヨーク・サン』新聞の社説になりました。それがなんと1897年のこと! 今から100年以上も前から、小さな子どもたちが心に抱く問いが変わらないことにも驚きますが、その新聞記者の答えが子どもにも大人にも胸を打つものとして読み継がれていることにも驚きを感じます。
表紙に優しそうなサンタクロースと妖精たちが描かれたクリーム色の本は、8歳のバージニアという少女が新聞社に出した1通の手紙と、その手紙へのお返事を記録した本です。日本では1977年の初版以来、何度も版を重ね、多くの親子に読み継がれています。

(秋山朋恵  絵本ナビ編集部)

読者の声より

小学校3年生の娘はちょうど、サンタクロースの存在を信じていると言いながらも、じつはパパなんじゃないかと疑いはじめた年頃。
そんな時期にこの本の存在を知ることができた私はほんとうにラッキーでした。

目に見えるものだけを信じる人生なんてなんてつまらない人生なんだろう。愛やまごころや夢物語を信じる心があるからこそ人生は豊かで楽しいのだ。この本はそんな大切なことをサンタクロースの力を借りて私に語りかけてくれました。

サンタクロースを見た人がいないのは、サンタクロースがいないことの証明にはならないってこんな簡単なことに今まで気がつかなかった私こそが、サンタクロースを信じない、ちっぽけでつまらない大人でした。

世界中の子どもたちが、これからもずっとずっとサンタクロースがいるって信じられる世の中であって欲しいし、この本を読めば誰もがサンタクロースはいるって自信を持ってこたえられると思います。
(YUKKEさん 30代・ママ 女の子9歳、女の子2歳)

12月3日 三人の幽霊が主人公のところへやってきた目的とは?

日曜日は『愛蔵版 クリスマス・キャロル』

愛蔵版 クリスマス・キャロル

クリスマスイブの夜、けちで頑固で冷酷なスクルージは、甥からの食事の誘いも冷たく断り、募金を求める紳士も追い払い、いつもと変わらないわびしい食事をして家に帰ります。心の底からクリスマスなんてくだらないと思っていたのです。
そんなスクルージの前に、事務所の元共同経営者で、7年前に亡くなったマーレイの幽霊が現れます。マーレイは、生きている間に何も良いことをしなかったために、亡くなった後で重い鎖に縛られさまよい続けているといい、スクルージに同じ運命をたどらせないためにと現れたのです。そして同じ道をたどらないためには三人の幽霊の訪問を受けるようにと助言します。
そうして順番にやってきたのが、第一の幽霊、第二の幽霊、第三の幽霊。三人の幽霊は、毎晩スクルージにさまざまな風景を見せます。第一の幽霊は「過去」を、第二の幽霊は「現在」を、そして第三の幽霊は「未来」を。幽霊とともに、いろんな時代の「自分」と「自分」を取り巻く人たちの暮らしやスクルージに対する気持ちを目にするうちに、スクルージにどんどん変化が訪れます。
19世紀のイギリスの作家、チャールズ・ディケンズによるこれぞ王道! のクリスマスの名作。クリスマスらしい、慈悲の心、親切の心、感謝の心をもつことの大切さを、ゆかいな方法で教えてくれる本書は、世界じゅうで読み継がれています。
(秋山朋恵  絵本ナビ編集部)

いかがでしたか? 

他にもクリスマスに起きるちょっとした奇跡のお話や、クリスマスってやっぱり特別な日なのだと嬉しく感じられるような物語がたくさんあります。テーマや他の記事でも集めて紹介していますので、お気に入りを見つけてみてくださいね。

 

選書・文:秋山朋恵(絵本ナビ副編集長)

 

https://www.ehonnavi.net/pages/xmas/
掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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