【今週の今日の一冊】おじいちゃん おばあちゃんと過ごす楽しい時間 ~「敬老の日」に読みたい絵本~

「敬老の日」は、普段なかなか伝えられない「ありがとう」の気持ちを届ける日。絵本のページをめくりながら、大好きなおじいちゃんやおばあちゃんとの思い出を重ねてみませんか。
今週は、心あたたまる時間を描いた、「敬老の日」に向けて読みたい絵本をご紹介します。
2025年9月8日から9月14日までの絵本「今日の一冊」をご紹介
9月8日 おばあちゃんは、いつから「おばあちゃん」に?
月曜日は『おばあちゃんがおばあちゃんになった日』
「おぎゃあ おぎゃあ!」
あかちゃんが生まれて、おかあさんは大忙し。
さあ、おばあちゃんの出番だよ。
おばあちゃんはおたすけマン。まごのためなら、エンヤーコラ!
お姉ちゃんになったあこちゃんのお迎えはおばあちゃん。
おばあちゃんはみちくさ名人、帰り道ものんびりで楽しいことがいっぱい。
おかあさんは「はやくはやく」って言うもんね。
だけど、あかちゃんがおかあさんひとりじめ。いいなあ。
ところで、おばあちゃんはいつから「おばあちゃん」になったのでしょう。
「おばあちゃんも あかちゃんだったんだよ」
えっ、ほんとう? びっくり!
歳をとれば、だれでもだんだんおばあちゃんになる。でも、あこちゃんのおばあちゃんになったのは・・・?
新しい家族を迎えて、みんながニコニコ、にぎやかであたたかな家庭を描きます。
やさしいおばあちゃん、怖そうなおばあちゃん、おしゃれなおばあちゃん、「おばあちゃん」と呼ばせないおばあちゃん・・・ご近所の色々なおばあちゃんも登場して、見ているだけで元気になれるおばあちゃん応援絵本です。
『おかあさんがおかあさんになった日』から22年、『おとうさんがおとうさんになった日』から13年。そして、とうとう『おばあちゃんがおばあちゃんになった日』が発売となりました。
すっかりおばあちゃんとして大活躍されている長野ヒデ子さんの、幸せパワーが伝わってきて、なんだかおばあちゃんになるのが楽しみになってきます。
まごのためなら、エンヤーコーラ。やっぱりおばあちゃん、すごいね!
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
読者の声より
私は「おばあちゃん」です。
3人の子育て経験もあります。
長女には二人の子供がいて、
私にとっては可愛い孫たちです。
我が家への里帰り出産だったので、
絵本の内容とは ちょっとちがうのですが、
私自身も元気で
家事などを手伝えたこと、
それは貴重な体験で
とても幸せなことと思っています。
そのことを思い出せた絵本です。
主人公が「おばあちゃん」ということで、
それに当てはまる、共感できる読み手は
少ないかもしれませんが、
私も孫の成長を見守る
元気なおばあちゃんでいたいと
パワーをもらう1冊でした。
(koyokaさん 50代・じいじ・ばあば)
9月9日 孫の背中を見つめる目には「じいじ愛」がたっぷり!
火曜日は『じいじ、じーっ』(2025年9月刊)
9月10日 おばあちゃんの庭は、自然のままですてき。
水曜日は『おばあちゃんのにわ』
主人公のわたしは、おばあちゃんの にわ であそぶうちに、生き物や草花の中で過ごす楽しみを覚えます。
やがて「わたし」は、にわ といっしょに成長しますが、おばあちゃんにも、時の流れはめぐって・・・・・・。
にわ とともに、大きな命のめぐりをえがくストーリー。
9月11日 せかいいちすごいくしゃみってどんなくしゃみ?
木曜日は『おじいちゃんのくしゃみ』
いつも大迷惑なおじいちゃんの大きなくしゃみ。けれども、じつは、すごいことができるくしゃみなんです。くしゃみの勢いで、木の上のりんごを落とせるし、猛獣を追い払えるし、なんと空を飛んでどこにでも行けるのだそう。女の子は信じませんが、おじいちゃんは大きなくしゃみをしたかと思うと、空高くどこかへ飛んでいってしまいました。おじいちゃんは、いったいどこへ? おじいちゃんと孫娘の微笑ましい交流を描いた、ユーモアあふれるお話です。
読者の声より
とにかく豪快なおじいちゃんのくしゃみのおはなし。
この絵本に出会う前に街中で激しいくしゃみを何度してもとまらないおじいちゃんがいて、子供にはダメだと言っても笑ってしまって…。。その後も親がくしゃみをすると「この前(そういう)おじいちゃんいたよね」と言うほど印象的だったよう。
絵本の中ではくしゃみをすることで孫に嫌われてしまうおじいちゃんですが、読んでいる私たちからするとコミカルで孫思いの愛おしさすら感じるおじいちゃんです。
子供におもしろい本を読んであげたいなという方にオススメです。パパが読んであげるのも良さそうです。
(みいつけたさん 30代・ママ 女の子3歳)
9月12日 おばあちゃんの住む街は大都会!
金曜日は『おばあちゃんのあかいマント』
「おばあちゃん、ぼく、とまりに きたよ!」
出迎えたおばあちゃんは、黄色のコート、赤いブーツに赤いカバン。
帽子もメガネもコーディネートされていて、とってもおしゃれです。
大きな街に住むおばあちゃんのところへ遊びに来た男の子は、街が好きになれません。
人がたくさんいるし、大きな音がするし……。
不安そうな「ぼく」のために、おばあちゃんは一晩のうちに赤いマントを編んでくれます。
翌朝、マントをはおってみたら「ぼく」は勇気が湧いてきました!
「よーし、どんなところか、みてやるぞ。」
さあ、マントを羽織って、おばあちゃんといっしょに出かけた街は、人の多さも、大きな音も相変わらず。
でも、秋の公園で思い思いにくつろぐ人たちや、道ばたで演奏する人、踊る人……。
大きな街にだんだん「ぼく」は魅せられていきます。
おばあちゃんのさりげない心づかいが、不安で縮こまっていた男の子を、だんだんのびのびさせていきます。
子どもは、知らない場所へ行って、初めて自分の知らない世界があることに気づきます。
最初はおっかなびっくり。
でも大好きなおばあちゃんのマントが守ってくれるから、新しい場所もきっと大丈夫。
小さなきっかけで世界の見え方は変わるんですね。
本作品は2015年のコルデコット賞オナーブック。
くっきりと力強い線で描かれる人物や建物とは対照的に、背景の繊細な色づかいが魅力的です。
作者のローレン・カスティーヨは絵本に登場する“おばあちゃん”と同じく、都会に住み、時に赤いマントをはおりながらせっせと仕事をしているそうです。
同じくローレン・カスティーヨの描く『アルフィーのいえで』も、本書と同じく男の子の内面の成長が描かれ、あたたかい家族のようすが伝わってくる作品です。こちらもぜひ手にとってみてください。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
読者の声より
田舎にすむおばあちゃんの物語は数あれど、都会を好んですむおばあちゃんをえがいた物語は新鮮に感じがしました。
田舎もいいけれど、大きな町を楽しんで暮らしているおばあちゃんもかっこいいです!
物語の鍵となる赤いマント、とっても印象的でした。
(あんじゅじゅさん 40代・その他の方 )
9月13日 おじいちゃんと僕のふたりで出かける温泉旅行
読者の声より
同じ作者さんの作品『こたつ』や『なつやすみ』がだいすきなので、こちらも読むのが楽しみでした。
こうたくんとおじいちゃんが旅行に出かけます。電車に乗り、バスを乗り継いて到着したのは「渡鳥温泉旅館」。とっても渋くて眺めも良いお宿のようです。
露天風呂やアイスの自販機に卓球台。そしてやっぱり食事のシーン。どこを切り取っても素晴らしいです。楽しい貼り絵のイラストをいつまでも見て痛くなります。
細かく描きこまれたお土産屋のシーンも圧巻。裏表紙までおしゃれで、こちらも大好きな絵本になりました。
(クッチーナママさん 50代・ママ 女の子21歳、女の子18歳、男の子15歳)
9月14日 5世代にわたって手渡されてきた素敵な贈り物とは?
日曜日は『ひとつぶのおくりもの』
あるところに とても ひろい くさはらが ありました。そこにすむ おとこのこは おばあちゃんが だいすきで、おばあちゃんも おとこのこが だいすきでした。おばあちゃんは おとこのこに たくさんの おくりものを くれました。あたたかなだっこ、おいしいパンケーキ、かわいいぼうしをかぶった ぴかぴかのどんぐり、それから てには もてない おくりもの……。
ひいひいおばあちゃん、おじいちゃん、おかあさん、ぼくと、5世代にわたって手渡されてきた素敵な贈り物は、周りの人たちにも広がって、優しさにあふれた“わたしたちの場所”になりました。
『エイドリアンはぜったいウソをついている』のM・キャンベルと『ひみつのビクビク』の画家F・サンナが描く、やさしさにあふれた “わたしたちの場所”
読者の声より
『The More You Give』が原題。
とても広い草原に暮らす家族に、面々と紡がれるおくりもの。
それは、幸せな関係性とともに、木を育てる長い長い営み。
どんぐりから芽が出て、育てて。
辛抱強くという言葉が、本当に長い時間を要します。
その中で人の寿命が先に来てしまいますが、
その夢は代々受け継がれ。
繰り返される営みが何度も何度も。
その時間の流れに圧倒されます。
そして、裏表紙の素敵な光景へ。
壮大なストーリーに、拍手!
(レイラさん 50代・ママ 男の子30歳、男の子28歳)
いかがでしたか。
2025年の「敬老の日」は、9月15日。おじいちゃんおばあちゃんと楽しい時間を過ごしたり、楽しい思い出を思い起こしたり……。あたたかな気持ちに包まれるいい一日となりますように。
選書・文:秋山朋恵(絵本ナビ副編集長)
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