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絵本トレンドライターN田N昌の “大人だってもっと絵本読みたいの!”

ひょっとしてブーム? イマドキ“絵探し絵本”特集

最近、物語絵本だと思って手に取ってみたら、実は「絵さがし絵本」だったということが続いたので、ひょっとして絵探し絵本、なかでも新しいタイプの絵さがし絵本のブームが来ているのでは……(独断と偏見ではございますが……)。 と思いチェックしてみたら、面白いものがたくさんございましたので今回は、「イマドキの絵探し絵本」というテーマで、最近わたくしが気になった絵探し絵本をご紹介させていただきます。

そもそも「絵探し絵本」とは、グーグル(AI)さまによると、

「広範囲に描かれた絵の中から、特定のキャラクターや物を見つけ出す参加型の絵本です。子どもは好奇心を刺激され、絵をじっくり観察することで集中力、観察力、忍耐力が養われます。有名な「ウォーリーを探せ!」や「ミッケ!」シリーズなどが代表的です」

とのこと。まさに、その通りかと。

五味太郎さまの『きんぎょがにげた』(福音館書店)や安野光雅さまの「旅の絵本」シリーズ(福音館書店)も、そうでございます。さらに広げると、島田ゆかさまの「バムケロ」シリーズ(文溪堂)もそうではないかと…。ご存知の方も多いと存じますが、バムケロは主人公だけでなく、背景のキャラクターや小物もそれぞれ動きや物語を持っていて、そのキャラクターたちや小物を探すのもバムケロの楽しみ方のひとつでございます。「そういえば、これも絵探し絵本かも…」という絵本、案外多いかもでございます。

今回、わたくしがふつうの物語絵本だと思って読み始めたら、実は「絵探し絵本」だった絵本ですが……

充実のぎょうざライフ!

ぎょうざが となりに ひっこして きました

第17回 MOE絵本屋さん大賞2024新人賞第1位!
第8回  未来屋えほん大賞受賞!
第15回 リブロ絵本大賞入賞!
第15回 ようちえん絵本大賞受賞!
第16回 MOE絵本屋さん大賞2023新人賞第3位!

第43回講談社絵本新人賞受賞作で、新人賞の選考会でも絶賛された餃子愛に包まれた玉田美知子さんのデビュー作のシリーズ第二作目!

まずはこちら、『ぎょうざが となりに ひっこして きました』(講談社)でございます。作者の玉田美知子さまの前作である『ぎょうざが いなくなり さがしています』は大ヒット(第17回 MOE絵本屋さん大賞2024新人賞第1位を受賞)、こちらは、その続編でございます。

前作は餃子がいなくなるというユニークな設定でした。今回も、餃子が引っ越してくるというユニークな設定でございます。だだ、今回はある仕掛けがございまして、「あれ?あのとき(あのページに)、あの登場人物が出ていなかったっけ?」と、遡ってある登場人物をさがしたくなるのでございます。ネタバレになるので、これ以上書けませんが、是非一度、ご体験いただきたいのでございます。まさに、「こういう絵探し絵本もあるんだね」と思える絵本でございます。

お次がこちら。イラストレーターとしても人気の北澤平祐さまの新作絵本、『ゆかいようかいノート』(小学館)でございます。

総勢159体の妖怪が街を練り歩く!

ゆかいようかいノート

 

今日は妖怪まつりの日。ぼくと相棒で妖怪達を一人残らずノートに書き留めるぞ。妖怪列車でやってきた妖怪達は、街のいたる所を練り歩く。駅前をとことこ、商店街をどしどし、ショッピングモールをキョロキョロ。ユニークなオリジナル妖怪が次々と登場。会場に到着した総勢159体の妖怪が一堂に会した両観音開きのページは圧巻です。

主人公の男の子が、相棒と一緒に街に集まってきた妖怪(159人)の妖怪図鑑を作るというお話でございます。北澤さまの描く妖怪は、とてもチャーミングでございます。斬新だなと思ったのが、各ページの下の部分に、そのページに登場している妖怪の名前と性格(特徴)を描いている点でございます。その図鑑部分を参考にしながら、そのページのどこにその妖怪がいるのか?探しながら読み進めるユニークなスタイルの絵探し絵本でございます。図鑑でもあり絵探し絵本でもある新しいタイプの絵本かと。是非一度ご体験いただければと。

逃げ方、自由自在!

すいかのたね

「すいかのたね」どこどこ?あんなところや、こんなところにかくれているよ。みつけるたのしみがつまった、絵さがし絵本。

そして、『すいかのたね』(ブロンズ新社)。こちらは絵本の帯に「新感覚の絵探し絵本。鮮度ばつぐん!とびきりジューシーなすいか さぁ、めしあがれ」と記されておりました。まさに、そのとおりの絵本でございます。

たしかに、これまでの絵探し絵本と違い、とてもグラフィカルで、大人が楽しめるアートブック的な絵探し絵本でございます。

 

 

 

エマちゃんのようかいにっき

108匹のようかいを見つけて、ここにつれてこい! ようかい魔王のパパにそう言われたエマちゃんは、ようかいさがしの旅にでます。温泉、お花見、ビーチ、夜の学校…。日本のいろんな風景に紛れこんでいるようかいをきみは何匹見つけられるかな? のっぺらぼう、かさお化け、こなきじじい…。絵本の中のようかいをさがして楽しむようかい絵本。

また今回、絵探し絵本を特集しようと思って一番に頭に浮かんだのが、人気絵本作家でイラストレーターの中垣ゆたかさまでございます。中垣さんの描く絵本といえば、余白が少なく、細かいキャラクターやモチーフがたくさん登場するのが特長でございます。ともかく緻密で画面ぎっしり描かれているのでございます。

どの絵本でも絵探しが楽しめるのではないかと…。そう思い、本屋さんに行って本棚を見ておりましたら、目に入ってきたのが、こちら、『エマちゃんのようかいにっき』(小峰書店)でございます。

 

なんと、タイトルでお分かりのように、妖怪の絵探し絵本でございます。夏ということもありますが、『ゆかいようかいノート』と、まさかの妖怪探し絵本かぶりでございます(どちらも今年7月出版でございます)。

こちらは、主人公の妖怪の女の子が108匹の妖怪を探しに旅にでる設定でございます。各ページの下に探すべき妖怪がいくつか描かれていて、その妖怪をその妖怪を主人公と一緒に探すのを楽しむという絵本でございます。中垣さんの緻密に描かれている絵も存分に楽しめるかと存じます。

 

最後に、最近(この夏)ではないですが、ユニークでわたくしが大好きな絵本でございます。

絵探しも楽しい「ことば遊び絵本」

まちがいまちに ようこそ

ああ、なんていい天気。きょうはお引っこしです。おとうさんと、おかあさん、犬のころと、ぼく。これからすむ、あたらしいまちは「まちがいまち」っていうんだって! 斉藤倫×及川賢治が贈ることば遊び絵本。

こちらは、テキストが斉藤倫・うきまるさま、絵が及川賢治さまという人気絵本作家コンビの絵本でございます。こちらも少し変わった絵探し絵本でございます。ストーリーは、主人公の男の子が家族と一緒に引っ越し先である「まちがいまち」に引っ越します。するとその街は間違いだらけというお話でございます。テキストを読むと微妙な間違い(言葉遊び)が、あちらこちらにでてまいります。例えば、新居を見つけたシーンでは「みてごらん あの やねの りっぱな えんぴつを」「わあ けむりじゃなく けずりかすが でているぞ」と…。本来、「えんとつ」と書かれるべき部分が「えんぴつ」になっております。間違っているのでございます。こういった間違え(言葉遊び)が全ページにわたって展開しております。もちろん、テキストだけでなく、絵もそのテキスト同様間違っております。「あっ、えんとつがエンピツになってる!」と親子で楽しめる絵本になっております。

他にも、ユニークな絵探し絵本、たくさんございます。この機会に是非、いろいろご体験いただければと存じます。

N田N昌

絵本トレンドライターとして絵本の最新情報を発信。
放送作家、絵本作家、絵本専門士としても活動中でございます。

@NtaNmasa

 

(画像は、イラストレーター・作家の網代幸介さんによる著者肖像画)

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