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現役学校司書が本でCheer Up! 中学生に読んでほしいオススメ本

新中学生に贈る本 ~本と迎えるごきげんな中学校生活~

寒い冬の毎日を経て、少しずつ春の兆しが感じられる頃となりました。

 

みなさんこんにちは、学校司書の山下ちどりです。 
 

小学6年生のみなさんはいよいよ4月から中学生。
制服や新しい教科など、これから始まる新しい環境に、大きな不安とワクワクを感じている人も多いことでしょう。

 

今回は、新しい生活が始まる新中学1年生のみなさんに向けた本をご紹介します。進級やクラス替えで新しい生活となる新中学2年生、3年生の先輩たちもぜひ読んでみてください。
「友だちができるかな?」「勉強についていけるかな?」と、不安な気持ちに安心感を与えてくれるような本や、「中学校に早く行ってみたい!」と思えるような小説などを集めました。


新中学1年生はもちろん、新中1を応援する保護者のみなさんやご親戚のみなさんにも、読んでいただけたら嬉しいです。卒業・入学や進級祝いに本を贈ってみませんか。きっと喜ばれるはずです。

新しい生活が始まる新中学1年生のみなさんへ

中学校ってどんなとこ?

今の中学生活を知るならまずはこの1冊

『まるっと中学校 知っておきたい中学生活のヒント』

黄色い表紙に明るいイラストが目印のこの本。中学校について知りたいことがタイトル通り「まるっと」収められています。中学校の1日や、授業の受け方、部活動のルール、先輩後輩との人間関係のコツまで、中学生活の「基本のキ」が詰まったガイドブックです。
「中学校に知り合いもいないし、なんだか不安」と思う人は、まず手に取ってみてください。中学校生活全般を扱っていて、大人の方から新中学生への贈り物としてもおすすめです。
後半は思春期の体や恋愛、ネットやスマホとの付き合い方についても載っています。面と向かっては伝えづらいことや、直接言うとけんかになりそうなことも、お子様を思う気持ちをこの本を介して伝えることができそうです。
中学生のみなさんの、分からないことによる不安が「あ、こうすればいいんだ!」という安心感に変わる本です。

中学入学を前に緊張しているあなたに

年上のきょうだいがいるなどして、ある程度中学校について知っている人、中学校になんとなくネガティブな気持ちを持っている人には、この本がおすすめ!
世界の6カ国の学校を経験した著者のナージャさんによる、「学校の各国比較」がこちらです。ものごとを広~い視野で俯瞰(鳥の目のように高いところから見ること)すると、新たな視点や安心が得られるかもしれません。例えば、カナダの中学校には「建築図面の描き方」「銀行」「木工作」などの科目があるそうです、おもしろそう! この本を読むと「当たり前」が国によって全然違うことに驚き、きゅうくつだった心が少しリラックスできると思います。特に読んでほしいのが第2章の「大人になったナージャの5つの発見」という部分です。ふつうであること、苦手との向き合い方、先生のとらえかた、などどの項目も新生活を迎えるみなさんへのエールに感じられます。ぜひ手に取ってみてください。「中学生に贈りたい本2022~2023」でもこの本を紹介していますので、よかったらこちらも読んでみてくださいね。

中学生活が疑似体験できちゃう本

『恋愛問題は止まらない』

入学前に、いきなり恋愛? と目を白黒させている大人がいらしたら、ご安心を。こちらは恋愛だけでなく、部活、友情など中学生の日常生活をそのまま切り取ったような青春小説です。大人の方は安心して新中1に手渡すことができ、中学生のみなさんは透明人間になって実在の中学校を体験しているようなリアルさにページをめくる手が止まらない、そんな本です。物語は、くしゅっとしたウェーブの髪の毛も麗しい野球部のエース、上里君が坊主の危機になるところから始まります。上里君のファンの由真は推しが坊主になるかもしれないことにショックを隠し切れません! 野球部の新入部員である由真の弟や野球部の面々、由真の推し友、野球部を応援する応援部の女子、坊主を指示した野球部の監督に生徒の悩みを聞く養護教諭の先生……中学生だけでなく学校に関係する大人たちや、他校の女子まで、登場人物それぞれの視点の小さなお話が34編集まっています。1つのお話は数分で読めるので、朝読書にもぴったりです!

中学校では勉強が得意になりたい!

学ぶ意味や楽しさだけでなく自己肯定感も得られます

『いろんな人に聞いてみた「なんで勉強しなきゃいけないの?」』

小学校と中学校では、勉強の内容もとらえ方も大きな変化があります。中学校では定期テストがあり、成績が明確に数字で出るようになり、卒業後の進路実現に向けた受験を意識するようになります。そこでみなさんに質問です「なんで勉強しなきゃいけないの?」。みなさんは答えられますか? ぜひ周りの大人の方にも質問してみてください。即答できる大人のほうが少ないかもしれません。かくいう私も……(この本紹介の最後に私の答えを書きますね)。この本はそんな「永遠の難問」に、各界の大人たちが本音と本気で答えている興味深い本です。数学者、気象予報士、脳科学者といった、勉強がいかにも得意そうな大人から、料理愛好家やモデル、陸上競技者といった何かを創造したり、体を使う人たちまで、実にバラエティに富んでいます。どの大人も「勉強なんてやりたきゃやればいい」、「外に出て生の体験をしよう」とアドバイスしていて、タイトルから想像される「勉強しなさい!」というスタンスからかけ離れているのが、この本の面白いところです。
学生のみなさんがこれからも続く勉強の道のりの中で、少しずつ自分が学ぶ意味をつかめるといいな、と思ってこの本を選びました。
ちなみに、私の「なんで勉強しなきゃいけないの?」への、今現在の答えは「楽しいから!」です。中高生の間は、ほとんどの勉強を楽しくないと思っていた私ですが、「あなたはこれからは勉強するより働いてくださいね」という社会人になったとたん、勉強が楽しく感じられるようになりました。とってもあまのじゃくですよね!

中学生の困りごとや不安には

あの勉強系YouTuberによるお悩み相談

中学校の入学に向けて、不安や困りごとがある人にはこちらを。中高生に絶大な人気を誇る教育系YouTuberの葉一さんによる本です。サブタイトルに「勉強・人間関係・進路の不安に効く57の方法」とある通り、勉強以外のことにも誠実に答えてくださっています。中学の入学前って、わからないことばかりで不安を持つ人も多いはず。環境を変えるというよりは、「自分」の内面と対話して感じ方や対応方法を模索していくスタイルなので、入学後にどんな状況となっても、この本が指針となってくれることと思います。ラジオのお悩み相談のような質問に、冒頭でズバッと一言指針を示してくれて、その後ろに解説が続きます。葉一さんがパーソナルコーチのように伴走してくれるような安心感で「中学生のお守り」的存在です。新中1はもちろん、高校生までずっと使える一冊です。

中学校でのルールや決まりについて、不安があるあなたへ

学校の決まりだけでなく、地域や家庭などでの納得いかない決まりごとに、モヤッとした経験がある人はいませんか? 理不尽な校則をめぐって、文芸部のメンバーたちが生活指導の怖~い三崎先生を相手に立ち上がる痛快小説です。主人公の朝比奈知里はきょうだいからの頼まれごとがあり、学校帰りにスマホを使っていたら三崎先生に没収されてしまいました。その対応にもやもやしていた知里は、地毛証明書を要求された外国にルーツのある友樹など、文芸部の仲間たちと協力しながら、「中学生の主張コンクール」で自分の思いを訴えることに! 校則や暗黙の了解に翻弄される中学生たちが自分たちの思いを表明していく姿を描いた物語です。 単に反抗するのではなく、なぜそのルールが理不尽なのか、決まりの意味を考え、自分たちの手で居心地のいい場所を作ろうと奮闘する彼らに、勇気をもらえるはずです!

中学校が舞台、中学生が主人公の物語

自分のことを「消極的」「ちょっと不器用」と思う人に

『なないろレインボウ』

中学校の入学式の日から始まるこの小説は、新中学1年生のみなさんにぴったりの本です。6年生の時に仲がよかった友達と、一人だけクラスが離れてしまい、ゆううつな気持ちで入学式を迎える主人公の七海。教室の外に見えた虹の話題をきっかけに、いろはと知り合って仲良くなります。子どもだけで行くショッピングモール&プリクラに、仮入部、定期テスト……とひとつひとつ「はじめて」を体験していく七海といろは。運動会や合唱コンクールなど、中1の1年間を一足先に体験できる小説です。キラキラ系とは程遠い、ちょっと不器用な七海の成長をページをめくりながら体験できます。読後は穏やかな温かさが心に広がる物語です。

たくさんの作家さんと出会いたいあなたに

中高生向けの物語を書く作家さんたちが各物語を担当する、夢のような連作短編集です。全部で8つの物語の主人公は小学6年生、中学生(そのうち中1は2つです!)、高校生とそれぞれですが、お話の最初には人物関係の相関図が書かれていて、すべてのお話に共通する「ある存在」が登場します。タイトルの「ひみつの相関図」は、各お話の最初に書かれた相関図とは別の「裏相関図」がお話を読むと見えてくることからきています。ぜひ読んで確かめてくださいね。「え!そうくる?」というような意表を突くエンディングや、ちょっと不思議なお話など、マカロンの詰め合わせのような色とりどり、個性ゆたかなラインナップに、一気読み間違いなし!

手紙を添えて贈りたくなる、プレゼントにぴったりの本

『ユニコーンレターストーリー』

1983年3月3日に同じ産院で生まれたハルカ(女の子)とミチオ(男の子)。小学校6年生の夏から19歳の春までの8年間に交わされた二人の手紙で構成されている、新感覚の物語です。どこが新感覚かというと、左側にイラスト、右側に手紙という、絵本でも小説でもない、独創的なスタイルの本なのです。日頃アニメや漫画に親しんでいる人や、字ばかりの本は苦手という人にぴったりのこの本。まだ自分ひとりでは人生を変えられないもどかしさや、進路の悩み、8年の歳月の中で経験する喜怒哀楽……一緒に時を過ごしながらハルカとミチオが伝えてくれることがたくさんあります。中学生はもちろん、中学生のお父さんお母さん世代のハートも撃ちぬくこと間違いなし。ハルカとミチオは2026年3月の執筆現在で43歳のお誕生日を迎えることになります。そう、2人は中学生の保護者世代にあたるんです。アメリカで暮らすミチオはハルカへの手紙の最後に洋楽ナンバーを書くのですが、バンド名(oasisもPet Shop Boysもレッチリも登場します)とタイトルを文字で見ただけで「懐かしい~!」と叫んでしまう方もおられるはず! 洋楽のほかにも電子メールを初めて使ってみた時のことや、20世紀末(ミレニアム) のお祭り騒ぎなど、本を贈った人と受け取った中学生の間で会話が弾みそうな話題がいっぱいです。著者北澤平祐さんのイラストは、物語内のハルカのイラストの世界観につながり、温かくてちょっと切なくて、本当にすてきです。飲み物やお菓子のイラストなど、細かいところまで要チェックです!

ちょっと前に中学生だった大人から中学生へのエールの書

『中学へ旅立つ君へ 13歳からの一番大切なこと』

教育ジャーナリストとしてたくさんの中高生や学校を取材してきたおおたとしまささんによる、中学生へのアドバイスが詰まった一冊です。保護者の方や先生など、身近な大人から中学生へのアドバイスって、なかなかうまく伝わりにくいですよね。大人への階段をのぼる途中で大人の定義が揺らいでくる中学生に、「大人ってそんなに強くないし、大人だって結構間違えるよ。大事なのは弱さを認めて、他者と助け合えることだよ」とおおたさんは伝えています。勉強編、学校編、家庭編、将来編と本書の大半を占める第2部の見出しは 『「助けて」という勇気』というタイトルになっています。アドバイスは、具体的かつ現実的です。ちょっと早めに成長期(またの名を反抗期)に突入した人には、何も言わずに机の上に置いてあげたい、そんな一冊です。2026年2月に出版されたばかりの新刊です。

おわりに

新中学1年生のみなさんは、小学校の卒業と中学校への入学という2つの大イベントを前に、ワクワクとともに不安もいっぱいのことと思います。

 

環境が大きく変化して新しい生活が始まると、自分自身を見失いそうになることがあるかもしれません。最後に紹介した『中学へ旅立つ君へ: 13歳からの一番大切なこと』に、「人生って、割と楽しいですよ」とあります。私も同感です。失敗することも、いやな気分になることもあるけれど、ワクワクする自分の感覚を大切に、中学生活を楽しむ気持ちを忘れずにいてくださいね。

 

中学生としての3年間は、あなたが「自分らしさ」の種を育てる大切な時間です。すぐに芽が出なくても、途中で伸び悩んでも大丈夫。本はいつでも、あなたのそばであなたのことを静かに待っています。

 

学校図書館もまた、あなたの味方です。この春、あなたを支えてくれる一冊に出会えますように。

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アンケートへの質問をありがとうございました!

小学生のゆめさんへ

読書と国語のテストとの関係についての質問を書いてくださり、ありがとうございました。ご質問、とてもうれしかったです。私なりの答えを書きますね。
国語と読書が関係するか、ということについてですが、結論からいうと大いに関係があると思います。
最後まで読んでくださるとうれしいです。


読書が国語の学習に有利になると思うのは、
1.読書の習慣がある人は、物語や文章を読まない人より、読むことに慣れている。
2.物語を読んで登場人物の気持ちや動きをたくさん知ると、想像力や表現力が豊かになる。そのため、初めて読む文章でも、登場人物や筆者の思いを理解しやすかったり、問いの指示に上手に答えられたりできるようになる。
こういう理由が考えられると思います。


1は、読書によって鍛えられるものですが、2は読書だけでなく、漫画やドラマや友達との会話などから身に着けることもできそうです。そのため、国語ができるようになるには、読書をしなくてはならない、と簡単に決めてしまうのは、ちょっと違うように思います。

 

ゆめさんが、国語ができるようになるには、どうしたらいいかな?と思っていたら
A 読書によって国語で扱う文章に慣れておく
ということのほかに、
B 知りたい、理解したいという気持ちを大切に、よく考えたり想像してみること
も意識してみてください。

考えたり想像したりする方法の一つとして、いつでも読めて、手軽に様々な世界を知ることができる「本」はすごくおすすめです!

 

Bについては、すでにゆめさんはスペシャル上級者ではないかと私は思います。どうしたらいいのかな? と考えて、ここに質問してみる、という行動ができるのですもの。学ぶということに意欲的に、問いを立てて、行動しているゆめさんを、応援しています。

この特集で紹介している『いろんな人に聞いてみた「なんで勉強しなきゃいけないの?」』も、読んで参考にしてみてくださいね。
ご質問ありがとうございました!

アンケート募集のお知らせ♪

連載【現役学校司書が本でCheer Up! 中学生に読んでほしいオススメ本】では、読者のみなさんからの感想や質問を募集しております。アンケートよりご意見をお寄せください。

Q1. お名前またはニックネーム(記事でのご紹介が可能かどうかもご記入下さい)

Q2. 属性(可能な範囲で)例:小学生、中学生、高校生、保護者、学校関係、図書館関係、その他等

Q3. 質問やご感想をお寄せください。

山下ちどり
 

現役学校司書。
音声メディアstand.fm「学校図書館ラジオ〜本とともにごきげんな毎日」のパーソナリティ。
比較的新刊のお気に入り本や、学校図書館、出版周辺のトピックスなどを配信している。Twitter @nagisalib

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