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未来の今日の一冊 ~今週はどんな1週間?~

【今週の今日の1冊】「戦争なんか大きらい!」平和を強く願う一週間

8月5日~8月11日までの絵本「今日の1冊」をご紹介

1年の中でも一番平和への祈りが強まる8月。今年も広島平和記念日(8月6日)と、長崎原爆忌(8月9日)がやってきますね。戦後74年にあたる今年は、4月に広島平和記念資料館の本館が28年ぶりに大改修され、リニューアルオープンしたという大きな節目の出来事がありました。まもなく被爆者がいなくなる時代に、という危惧に直面している近年、出版の世界でも毎年あらゆる形で戦争体験を引き継ぐメッセージが発信されています。

今週は平和を考える本のうち、昨年と今年に出版された新しい作品を中心にご紹介します。ご家庭や学校や図書館などさまざまな場所の本棚にあらたに加える本のご参考に、ぜひお役立て下さい。

8月5日 くらべてみると、みえてくる。

月曜日は『へいわとせんそう』

へいわとせんそう

くらべてみると、みえてくる。「へいわのボク」と「せんそうのボク」では、なにが変わるのだろう。同じ人や物や場所を見開きごとにくらべると、平和と戦争のちがいがみえてくる。これまでになかった平和絵本!

<本作に寄せて>

戦争が終わって平和になるんじゃない。
平和な毎日に戦争が侵入してくるんだ。  谷川 俊太郎

8月6日 受け継がれる戦争の記憶を一枚の絵に

火曜日は『平和のバトン』

平和のバトン

原爆が投下されてから、75年近くになろうとしています。やがて、被爆者がこの世からいなくなれば、記憶は失われていくでしょう。

「このままでは、原爆のことが忘れられてしまう」と、勇気を振りしぼって話しはじめた被爆者の声を、そして見た光景を、美術を学ぶ高校生が絵にして記録する「次世代と描く原爆の絵」プロジェクトが、2007年にスタートしました。

証言者と高校生が何度も会って、一年をかけて一枚の絵にしていきます。戦争も、原爆も、高校生にはまったく想像ができない状況であるがゆえ、証言者は絵にすることの難しさに何度も直面します。また、事実を正確に描くことが求められるので、高校生が勝手な想像で描くことができません。それでも高校生には知らないこと、わからないことだらけです。また証言者は、体験が衝撃的すぎたがゆえ、覚えていないこともたくさんあります。まさに二人三脚で、絵が描かれていくのです。

これまでに、40名の証言者の話を、111名の高校生が134点の絵にしてきました。この本では、その中から4組の証言者と高校生を取材しています。証言者と密に接することで、平和な広島で今を生きる高校生たちが戦争や原爆を見つめなおす姿は、まさにバトンが手渡された瞬間なのです。

8月7日 いのちを落とした、たくさんの家族のことを忘れない

水曜日は『ヒロシマ 消えたかぞく』

ヒロシマ 消えたかぞく

原爆投下前、戦争中であっても、広島の町には笑顔にあふれた家族の日々の暮らしがありました。散髪屋さんである鈴木六郎さん一家の6人家族も、少しの不安はあったかもしれませんが、毎日笑顔で楽しくくらしていました。お父さんの鈴木六郎さんは、カメラが趣味。たくさんの家族写真を撮りためていました。
あの日。1945年8月6日。
一発の原子爆弾がヒロシマのまちに落ちました。
六郎さん一家は全滅しました。
長男の英昭くん(12歳)と長女公子ちゃん(9歳)は、通っていた小学校で被爆。英昭くんは公子ちゃんをおんぶして、治療所があった御幸橋まで逃げました。衰弱した公子ちゃんを「あとで迎えに来るからね」と治療所にあずけ、英昭くんは親戚の家へ避難しましたが、高熱を出し、数日後に亡くなります。公子ちゃんの行方はわからなくなりました。次男まもるくん(3歳)と次女昭子ちゃん(1歳)は、六郎さんの散髪屋さんの焼け跡から白骨で見つかりました。お父さんの六郎さん(43歳)は、救護所でなくなりました。救護所の名簿には「重傷後死亡」と記録されていました。家族がみんな亡くなってしまったことを知ったお母さんのフジエさん(33歳)は、井戸に身を投げて亡くなりました。 
たった1発の原爆が、六郎さん一家を消し去ってしまいました。
この本を開くことで、原爆の残酷さ、戦争のむごさを、読む人の身に引き寄せて考えるきっかけとなったら、という願いを込めてつくりました。また、愛情あふれるすばらしい家族写真の数々から、幸せにくらす人間の何気ない日常こそが大事であることに気づかされます。それは、幸せな平和を作っていくのは、私たち自身であると訴えかけているようにも思えます。
家族で平和を考えるために、最適の写真絵本です。

8月8日 「戦争だけは絶対にはじめてはいけない」

木曜日は『焼けあとのちかい』

焼けあとのちかい

「戦争だけは絶対にはじめてはいけない」

日本の戦争に向き合い、戦争の過程を精緻に解明してきた半藤一利。その原点は中学2年で体験した東京大空襲だった。
開戦から日に日に苦しくなる下町の生活。そして3月10日。猛火を生きのびた半藤少年は焼けあとでちかった。
半藤一利の初の絵本を描くのは、大胆な画風で注目を集める絵本作家・塚本やすし!

小学校中学年以上向け。
小学校3年生以上の漢字にルビ。用語解説の注あり。

8月9日 1945年8月9日長崎で「本当にあったこと」

金曜日は『角川つばさ文庫 ナガサキの命 伝えたい、原爆のこと』

角川つばさ文庫 ナガサキの命 伝えたい、原爆のこと

長崎で「あの日」起こったおそろしいこと、それは──。

1945年8月9日、それはとても静かな、夏の日でした。
せみの声しか聞こえません。
──ピカッ グォーッ! 
とつぜん投下された一発の原子爆弾によって、
長崎の町は一瞬で廃墟となりました。
そしてたくさんの命が炎に焼かれました。
3歳で実際に原爆を体験した筒井茅乃さんのお話「娘よ、ここが長崎です」で語られる
突然の母との別れ、混乱する浦上の町のようす、救助に当たる父の姿……
これらはすべて「本当にあったこと」なのです。
この物語のほかに、原爆詩6編と手記2編も収録。
“核のない世界”を強く願う、吉永小百合の平和への思いあふれる一冊!

8月10日 61人の絵本作家たちの平和へのメッセージ画

土曜日は『戦争なんか大きらい!』

戦争なんか大きらい!

かこさとし、せなけいこ、和歌山静子ほか、誰もが知る絵本作家たちの平和へのメッセージ画を、憲法の条文とともに一冊に。

8月11日 向田邦子さん一家の実話が絵本に

日曜日は『字のないはがき』

字のないはがき

【教科書にも載っている実話を絵本化!】
このお話は・・・
脚本家、エッセイスト、直木賞作家である
故・向田邦子の作品の中でもとりわけ愛され続ける
名作「字のない葉書」(『眠る盃』所収、1979年講談社)が原作。

戦争中の、向田さん一家のちいさな妹と、
いつも怖いお父さんのエピソードを綴った感動の実話です。
向田邦子さんのちいさな妹・和子さんが主人公。
ぜひお子さまと語り合って欲しい作品です。

【あらすじ】
戦争時代、ちいさな妹が疎開するとき、お父さんはちいさな妹に、
「元気なときは大きな○を書くように」と、たくさんのはがきを渡しました。
しかし、大きな○がついたはがきは、すぐに小さな○になり、やがて×になり・・・。

【直木賞作家2人の夢の共演!】
当代人気作家の角田光代と西加奈子の最強コンビで
美しい絵本によみがえりました。
大の向田ファンで知られる角田光代の渾身の描写と
西加奈子の大胆な構図と色彩をぜひ堪能してください。

いかがでしたか。

絵本ナビでは、他にも戦争と平和についてあらゆる視点から考えたり、知ることのできる絵本や児童書をさまざまご紹介しています。親子で、またクラスで、その他あらゆる場において平和を考えるきっかけに、どうぞお役立て下さい。

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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