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miku42号 2015年秋号

子どもを育む“お手伝いあそび”のすすめ

生活力を培うには日々の家事を一緒に!

子どもにお手伝いをさせたい、して欲しいと思うママは少なくありません。でも実際は、どうやらせたらいいかわからない、お手伝いをさせる時間がとれない、逆にイライラするので家事に手を出させたくない、という悩みもあるようです。昭和女子大学の藤崎春代先生にポイントを教えていただきました。

藤崎春代先生


昭和女子大学人間社会学部心理学科教授。発達心理学が専門。幼児期の子どもの心や言葉の育ち、園生活への適応などについて臨床研究に取り組んでいる。著書は『「気になる」子どもの保育』(共著・ミネルヴァ書房)他。

家事に子どもを巻き込んで“お手伝い遊び”を楽しもう

幼児期の子どもにとって、日常生活のすべてが遊びであり、知的好奇心を高めていく学びの場です。歩けるようになった子どもに、おむつ換えの時、「おむつを持ってきて。お願いね」と伝えると、おむつを持ってきてくれるかも。「ありがとう。エライね」とママが喜んで褒めてくれたら、子どもは嬉しくてまたやってくれるでしょう。お手伝いの始まりは、このような“お手伝い遊び”からです。
 
親は1日の中で、家事の時間、子どもと遊ぶ時間、休息の時間と分けて考えがちですね。でも子どもはすべてが連動しています。お昼寝の間に家事を済ませるより、ママの仕事ぶりを子どもに見せましょう。

「お手伝いさせよう」と構えるとそれもママの仕事になってしまいます。炊事、洗濯、掃除、買い物など、家事の一部を “お手伝い遊び”の時間ととらえること。「子どもと一緒に遊ぼう」と発想を転換することがポイントです。

 

忙しい夕食の準備の時、そばに来ると危ないからと、子どもにテレビを見せていませんか?

 

キッチンは、子どもの知的好奇心を育てるネタの宝庫。有意義な“お手伝い遊び”の場ですから、子どもができることをやらせてみましょう。

食事のしたく、洗濯、買い物もお手伝い遊びの舞台として

できあがった料理を見るよりも、にんじんを渡したり、レタスをちぎったり……。素材の状態から関わり、調理によって変化するプロセスを見る方が、子どもはワクワクするはず。野菜の名前を覚えたり、食べたい気持ちも生まれます。野菜洗いは水遊びの延長で喜んでやりたがるでしょう。お皿やお箸をテーブルに運ぶことも、一度お手本を見せれば丁寧にやろうとします。

 

洗濯物を干す時に1枚ずつ渡してもらうことは、歩ける子ならできるかも。「パパのT シャツ大きいね」「このタオルはピンク色。四角いね」など、大きさ、色、形などを教えることができます。もう少し大きくなったら、広げてシワを伸ばす、ハンガーに通して干すことも、ママの見よう見まねでできるでしょう。

 

スーパーでの買い物では、始めに「ママのお買い物、手伝ってね」と伝えて、子ども用のカゴを持たせると、子どもはむやみに走り回ったりしないものです。

 

並んだ野菜を見ながら「これはレタスね。キャベツはどれかな?」「じゃがいも3つ、カゴに入れてね」など、会話しながら買い物しましょう。楽しい会話を通して、ボキャブラリー豊富になり、子どもの知力が磨かれていきます。

 

はじめは上手にできなくて当たり前。たとえ失敗してもやったことを評価し、「助かったよ。ありがとう」と伝えましょう。人の役に立てると誇らしい、喜んでもらえると嬉しいというように、 “お手伝い遊び”を通して自尊心や自己肯定感が育まれます。「できた!」という経験が増え、自信になります。

 

お手伝いに、時間がかかるのは当然のこと。辛抱強く待つことが大切です。でも、気持ちに余裕がないときは、じっくり向き合うことはできませんね。手間取る子どもにイライラしてしまうので、無理をしないことです。

ママとのお手伝い遊びの場面で遊びの種がインプットされる

最近は、ままごとで何をしていいかわからない子どもが多く、ごっこ遊びに広がりがありません。“ごっこ遊び”は見たり聞いたり体験したことを、振り返りながら再現する遊び。経験や、動きを観察できるモデルが必要です。料理をする姿を見せていない、パパは会社に行って帰ってくるだけでは、子どもが真似るモデルがありません。
 
ごっこ遊びはママやパパの真似っこが基本。トントンと包丁で切る様子、掃除機をかける様子、パパの仕事ぶりなど、大人の姿をモデルにして上手に演じるものです。

 

ママが家事を子どもと一緒に楽しもうと意識すると、その姿に興味を持って子どもが観察し、真似しはじめます。ママと同じようにできて嬉しいという気持ちとともに、“お手伝い遊び”を通して遊びの種が自分の中にインプットされます。その種がごっこ遊びdeeをした時に芽を出し、他の子どもと一緒に遊びを発展・創造させていくわけです。

声のかけ方、楽しませ方のポイント

お手伝い遊びは1歳前後からできるお子さんもいます。言われていることがわかる理解力、人のまねができる能力、周りの人が喜んでくれたり褒められると嬉しいという心が育ってくると、 “お手伝い遊び”が楽しめます。子どもが興味を持ったことを成長に合わせてやらせましょう。年齢があがるにつれてできることが増えてきます。個人差や、子どものそのときの気分もあります。たとえ失敗しても、叱らないのが基本。「ありがとう」「助かったわ」と感謝を伝え、できる方法を伝えましょう。

 

※個人差がありますので、年齢は目安です。

 

◎1~2歳の頃は、まだほとんどお話ができなくても、指示を理解して行動できます。言葉を吸収する時期なので、ものの名前、大きさの違い、色、形などを教えましょう。
◎この他にできるお手伝い…カーテンの開け閉め、植物の水やり など

 

◎ママのまねができると嬉しくて、いろいろなお手伝いをやりたがる時期。ハンガーの通し方、配膳の仕方など、はじめにお手本を見せてあげましょう。お手伝い遊びの時間はおしゃべりタイム。会話をふくらませてあげると、言葉のボキャブラリーが増えて知力を高めることにも繋がります。
◎この他にできるお手伝い…葉物野菜をちぎる、料理を混ぜる、新聞を持ってくる など

 

◎ものの関係性がわかってくる時期。いろいろな食材が調理によって美味しい料理に完成することを、買い物の段階から体験させましょう。料理や配膳は失敗を恐れずに、少しずつアドバイスしながらお手伝いしてもらいましょう。
◎この他にできるお手伝い…テーブルをふく、食器を洗う、ぞうきんがけ など

自立した大人に育てること。生活文化を伝えることは親の役割

お手伝いは、子どもが家族の一員としての役割を果たすことでもあります。長い目で見て、「自立した大人に育てる」「生活文化を伝える」という役割を担っています。
 
お手伝いの習慣が身につくと、自然に体が動きます。ティーンエイジャーになって、自分のことは自分でするのが当たり前になると、親としても細かい世話を焼かずに済んで助かるでしょう。
 
学校の勉強で知識や教養は身についても、生活をマネジメントする力はつきません。自分で身の回りの環境を整える、衣類を洗って収納する、健康のために食べるものを選択するなど、生きる上で必要最低限のことは家庭生活の中で培われます。

 

将来一人暮らしする時に、自らの健康管理ができ、快適で健康的な生活を送る知恵と術をきちんと身につけさせることは親の役割。基本的なことができれば、自分で応用し、自らの知恵で生き抜いていくことができるでしょう。
 
我が子にどのような大人になって欲しいのか、何を伝えていきたいかを考え、ママやパパ自身も暮らし方や家事全般を見直してみましょう。

 

イラスト/サカモトアキコ 取材・文/中野洋子

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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