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miku21号 2010年夏号

きちんと受けよう!予防接種

子どもの命を守り、重症化を防ぐために・・・

子どもが重い病気にかかるのを防ぐ最も安全で有効な方法がワクチン接種。
「スケジュールを組むのが大変」と思ったり、「任意接種は受けるべきなの?」という疑問を感じている方もいらっしゃるでしょう。
小児科医の薗部友良先生に、予防接種の必要性について伺いました。

薗部友良先生


日本赤十字社医療センター小児科顧問。VPD に対する一般の理解が薄く、予防接種を受けないために健康を損ない命を落とす子どもたちが多いという現実を改善しようと「VPDを知って、子どもを守ろう。」の会を発足。
http://www.know-vpd.jp/

このスケジュールは「VPDを知って、子どもを守ろう。」の会によるもっとも早期に免疫をつけるための提案です。お子さまの予防接種に関しては、地域ごとの接種方法やVPDの流行状況に応じてかかりつけ医とご相談のうえスケジュールを立てましょう。
 

 

※下の図をクリックするとPDFでダウンロードが可能です

 


 

最新の予防接種スケジュール・詳細はホームページ『KNOW★VPD!』 
 

重大な病気から子どもを守る安全で確実なワクチン接種

細菌やウイルスによって引き起こされるさまざまな感染症。抵抗力の弱い赤ちゃんが病気にかかると、短時間で症状が悪化したり、命にかかわることもあります。赤ちゃんを病気から守るために、最も安全で確実な方法がワクチン接種です。
  
私たちの体は、病気に自然にかかって治ると、体内にその病気に対する免疫が作られます。ワクチンは、感染症の原因となるウイルスや細菌の毒性を弱め、精製・加工して安全な状態にしたもの。ワクチンの接種によって、人間の免疫力を上手に利用して、自然感染と同じように体内に免疫ができるため、その病気にかかりにくい体になり、感染しても重症化を避けられます。
  
国が接種すべきと法律で定めているのが「定期接種」(定められた年齢なら無料)、希望者が接種できて費用は自己負担(※)なのが「任意接種」です。
  
WHO(世界保健機関)は、ワクチンで防ぐことができ、確実な治療法がなくて深刻な合併症や後遺症を起こしたり、命を落とす危険が高い病気(VPD )に関してワクチン接種を勧めています。

任意接種も考えに入れてベストな接種スケジュールを

任意接種は、接種が親の判断に任せられており、自己負担なので「必要ない」と考える方もいるようですが、WHOの言うように命に関わる重い病気を防ぐワクチンなのです。副反応を心配する方もいますが、ほとんどは接種した箇所が赤くなったり少し熱が出る程度で、深刻な副反応はごくまれ。
健康や命が危ぶまれるリスクは、副反応が起こるより、ワクチンを受けないで病気に感染した時の方がはるかに大きいのです。
  
実際、接種率が高い欧米では、子どものVPD が大幅に減少していますが、接種率が低い日本では、ワクチンで守れるはずの命が失われたり、重い後遺症を残してしまうケースが後を絶ちません。
  
ワクチンで防げる病気はしっかりと予防して、子どもの命と健康を守ってあげたいもの。それには、お父さん、お母さんが予防接種の情報に関心を寄せ、正しい理解や知識を持つことが大切です。
  
同時接種が可能なものもありますから、かかりつけ医に相談のうえ接種スケジュールを立て、最適な時期の接種を心がけましょう。

注目! 「ヒブワクチン」 と 「小児用肺炎球菌ワクチン」接種を受けよう!

普段、鼻やのどにいる細菌が、血液の中から脳を包む髄膜に入り込んで炎症を起こすのが細菌性髄膜炎。主な原因はヒブ菌と肺炎球菌。日本で年間約1000人が感染していますが、ヒブ菌による髄膜炎は約6割、肺炎球菌による髄膜炎は約2割。2つの菌による髄膜炎で50人近くの子どもが亡くなっています。

 

細菌性髄膜炎とは

症状と経過: 発熱やおう吐など風邪と変わらず、血液検査でも変化が出ないため早期診断が難しく、症状が進み、けいれんや意識障害が出てきた時点で診断がつくことが多い。薬の効かない耐性菌も多く、高い割合で重症化し、発熱から1日で死亡することもある。
  

予防: ヒブワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンの両方の接種が必要なので、同時接種がおすすめ。0歳児が最もかかりやすいので、生後2カ月になったらできるだけ早く1回目を、できれば生後6カ月までに合計3回接種し、1歳過ぎで4回目(詳しくは上記のスケジュールを参照)を受けると、早く免疫ができるので望ましい。他のワクチンとの同時接種も可能なので、かかりつけ医に相談し、接種スケジュールを立てよう。

後遺症: 脳が壊される脳梗塞や脳萎縮、髄液が増える水頭症などの他、難聴になることもある。一見後遺症がない子どもでも、成長するにつれ知能や運動の障害がはっきりしてくることもある。

「ヒブ」ワクチン

ヒブ(ヘモフィルスインフルエンザ菌b型)が原因の細菌性髄膜炎や喉頭蓋炎などを予防。
  
対象: 生後2カ月~4歳。
接種時期と回数:生後2~6カ月に開始し、3~8週の間隔で3回、その1年後4回目を接種するのが標準。1回目の接種年齢によって、間隔と回数が異なる。

 

副反応: 接種した部分の赤み、腫れ、しこりなど。

 

費用: 1回あたり7000円~8000円程度

「小児用肺炎球菌」ワクチン

肺炎球菌が原因の細菌性髄膜炎や菌血症、肺炎などを予防。
  
対象: 生後2カ月~9歳。

 

接種時期と回数:生後2カ月から、4週以上の間隔で3回、1歳過ぎ(12~15カ月)で4回目を接種するのが標準。1回目の接種年齢によって、間隔と回数が異なる。

 

副反応: 接種した部分の赤み、腫れ、しこりなど。

 

費用: 1回あたり9000円~1万円程度

お母さんになってからでも、予防接種を!「子宮頸がん予防」 ワクチン

山田正興先生


山田医院(中野区)院長。産婦人科・小児科・内科・皮膚科の診療に務めるほか、中学・高校などの性教育指導を行うなど、地域の人々の健康に貢献。定期的に読み聞かせや情報交換の場を開き、子育ての悩みの相 談にも応じている。

子宮頸がんは、女性特有のがんの中で乳がんに次いで発症率が高く、20代~30代の女性に急増している子宮の入口付近にできるがん。
痛みや出血などの自覚症状がほとんどないため発見が遅れやすく、年間約1万5000人が発症し約2500人が亡くなっています。その主な原因は発がん性ヒトパピローマウイルス(HPV)。HPVはありふれたウイルスで、性交渉によって約8割の女性は感染すると考えられ、多くの場合は
免疫力で自然消滅しますが、感染が持続して子宮頸がん発症の危険性があります。

 

子宮頸がん予防ワクチンを接種することで、頸がん発症の6~7割を予防。さらに定期的な子宮頸がん検診によって、がんになる前の状態が発見でき、ほぼ確実な予防につながります。子宮頸がん予防ワクチンは、11歳~14歳が最優先対象とされていますが、出産後の女性にも有効とされ、接種者も増えています。

「子宮頸がん予防」ワクチン

子宮頸がんの原因である発がん性HPVの中で、その原因の7割を占める16型と18型のウイルスに対する免疫を作るのが、子宮頸がん予防ワクチン。

 

対象: 感染前の接種が最も効果的として11歳~14歳が最優先対象。性行為があれば何度でも感染の可能性があるため、発症の多い20~30代の女性もワクチン接種により体を守ることが可能。

 

接種方法と回数: 肩に近い腕の筋肉に注射。十分な抗体を作るために半年の間に3回の接種が必要。接種期間の途中で妊娠した際、その後の接種については医師と相談を。

 

副反応: 接種した部分の痛み、赤み、腫れ、胃腸症状(吐き気、下痢、腹痛など)、筋肉、関節の痛みなど。

 

費用: 1回あたり1万7000~2万5000円程度。任意接種のため原則として自己負担だが、一部の自治体で助成がある。

 
 

※予防接種の実施は市区町村に任されていて、費用の全額または一部を補助する自治体もある。

 

※この記事は2010年に取材、掲載されたものです。 
予防接種・ワクチンに関する最新の情報は http://www.know-vpd.jp/ でご確認ください。 

 

イラスト/犬塚円香 取材・文/中野洋子

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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