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miku 44号 2016年春号

子どもの習い事をどう考える?

過度な期待は禁物!?親子で「楽しむ」感覚で向き合おう

春は、子どもの習い事をスタートさせるママパパも多いのではないでしょうか。「そもそも習い事って、何のためにするもの?」「始める場合、教室を選ぶ時はどんなことに注意したらいいの?」など、子どもの習い事についての親の心構えや関わり方について、共立女子大学准教授の西坂小百合先生に伺いました。

 

西坂小百合先生


共立女子大学家政学部児童学科准教授。博士(教育学)。臨床発達心理士。発達心理学、教育心理学を研究し、幼稚園教諭の職場環境の調査や保育の専門書の執筆を行う。2 児の母。

子どもの新たな一面を発見できる場と捉えてみる

子どもの習い事は、多くのママやパパの関心事のひとつ。わが子が習い事を始めると、「せっかく始めたからには上達してほしい」「子どもの将来に結びついてほしい」など、親はどうしても、その成果を期待してしまうものです。しかし、心身の発達途中である乳幼児期は、子どもの習い事に過度の期待や無理強いは禁物です。
 
親があまりに期待しすぎると、わが子のちょっとしたつまづきを受け入れられずにきつく叱ってしまったり、「こんなはずじゃなかった」などの気持ちを抱いたりして親自身が苦痛になるでしょう。

子どもも習い事への興味関心より、そんな親の姿を目にすることで自分への自信をなくし、萎縮してしまいます。子どもが習い事を始めたら、親は「上達しているか」の前に「子どもが習い事を“楽しい”と感じているか」という視点で見守りましょう。
 
子どもが取り組む姿を見ながら、「家ではおっとりしているけど意外と負けず嫌いのところがあるな」「こんなに集中力があったんだ」「周りのお友だちにすぐにとけ込めるのね」など、習い事を「子どもの新たな一面を発見できるチャンスの場」として捉えてみましょう。

子どもの社会性を育むという観点からの習い事選びを

好奇心旺盛な就学前の子どもは、毎日の生活の中で、自分の興味や関心から遊びを次々に見つけて過ごします。習い事という“時間で区切られた枠”の中で過ごすよりも、とことん外遊びしたり、家の中で自分のペースで過ごす時間から、発想が豊かになったり友だちとのコミュニケーション力を育んでいきます。親子で毎日楽しく快適に過ごせているのであれば、乳幼児期は「習い事をしない」という選択があってもいいと思います。
 
その上で、「子どもと一緒に外に出るきっかけづくりとして習い事を始めたい」「絵が好きだから、いろいろなものを使って思い切り描かせてあげたい」などの思いから、習い事を探すのはおすすめです。

 

習い事を選ぶ際の一番の視点は、子どもたちがいきいきと取り組んでいるかどうか。先生が威圧的にやらせていたり、ミスばかりを指摘するような習い事では、子どものいい部分が伸びていかないばかりか、自分に自信をなくしてしまいます。そのためにも見学や体験レッスンを利用し、雰囲気を肌で感じることも大切です。
 
例えばスポーツ教室の場合、そのスポーツだけでなく体を使う簡単な遊びも取り入れているか、あいさつなど礼儀にも力を入れているか、準備や片付けはどのようにさせているか……など、先生が指導する時に「何を大切にしているのか」を確認しましょう。教室が無理なく通える距離か、月謝は予算の範囲内か、子どもの生活リズムに組み込める時間帯かなども習い事選びのポイントになります。

遊びやリラックスの時間が取れているか確認

乳幼児期は、家族以外の大人や同年齢の子どもと接することを通して、子ども自身の社会性を育む時期でもあります。習い事の中身に加え、「子どもが楽しく通えそう」「親も無理なく関われそう」と思えるような、わが子に合う習い事を選びましょう。
 
注意したいのは、習い事の予定を詰め込みすぎること。幼児期は何も予定がなく、遊びや空想に没頭できるゆとりある時間が必要です。習い事は、区切られた時間の中で、一つの技能を伸ばすものですが、子どもが「こうしてみよう」と枠にとらわれず自分の興味をふくらませて、自分で遊びを作り出していくことができる遊び時間はとても大切です。習い事を始めても、生活リズムや体力、家での遊びの時間、リラックスする時間が十分取れているかを時折確認しましょう。

子どもの習い事、親の心得5カ条

 子どもが「楽しい」と思える習い事を

 過度な期待や無理強い、比較をしない

 がんばりを認め、励ます

 親子の共通の話題に

 練習は、親も子も無理のない範囲で楽しく

できないことを責めず、できたことに目を向けほめる

子どもが習い事を始めたら、ママやパパは、できたことを認めて励ましていくことが大切。習い事の内容に興味を持たず、先生にまかせっぱなしはNGです。見学できる場合は、温かく見守り、言葉がしゃべれるようになった子どもには「今日はこんなことしていたね?」「何が楽しかった?」などと話しかけてみましょう。習い事を親子のコミュニケーションの一貫として日々の生活に取り入れ、子どもがせっかくふれた習い事の世界を楽しんで継続できるよう、支えていきましょう。
 
習い事に慣れ、少しずつ進歩が見られるようになると、親はどうしても、子どもの「できる」「できない」に目がいってしまいがち。進級試験がある場合など、なかなか結果が出ないとつい「どうしてできないの?」「お友だちの◯◯ちゃんは○級なのに……」などと言葉をかけてしまうこともあります。
 
2、3歳の子どもの場合「できないことはいけないこと」という理解はまだなく、逆に子どもなりに頑張っているのに「できないことはダメなことなんだ」という印象を植え付けてしまうことにもなりかねません。

 

周りが見えるようになる4、5歳の子どもの場合は、比べられること、できない自分に自信をなくし、やる気を失ったり、「どうせできないから」と自分からチャレンジしたくなくなってしまう場合もあります。
 
できないことを責めるのではなく、「○○できるようになったね」「今日の△△は難しかったね。ママと一緒に練習してみる?」など、できるようになったことに目を向けてほめたり、共感し、できるようになるためのアドバイスを伝えましょう。子どもを励まし、ヒントを与えると子ども自身、「がんばってみよう」と思えるでしょう。

 

がんばるわが子を応援し、親子で無理のない範囲で一緒に練習する。習い事を通して親子でコミュニケーションを育み、楽しみながら、新しい世界との出会いを体験していきましょう。

習い事 Q&A

Q: 体験させたら楽しそうだったけど、いざ始めたら毎回楽しくなさそう。どうしたらいい?

 この時期の子どもは、習い事の内容よりも、その時の自分の興味や関心ごとが優先。体験した時、仲良しの友だちが一緒だった、レッスン中に好きな歌が流れたなどの理由から、たまたま楽しく過ごせただけなのかもしれません。「体験の時楽しそうだったから始めたのにどうして今は違うの?」などと責め立てず、子どもが前向きに参加できるような働きかけを。子どもに合わなそうなら辞めるのも選択肢の一つ。

Q: 子どもに「行きたくない」と言われたらどうしたらいいの?

 「行きたくない」と言う場合、「習い事そのものがつまらなくなってきた」という理由以外にも、「もう少し家で遊んでいたかった」「新しい先生にまだ慣れない」などさまざまな要因が考えられます。原因が具体的にわかれば、対処法もみえてくるものです。「行きたくない」と言ってきたことを責めず、どうして行きたくないのかの理由を聞いてみましょう。まだ説明できない年齢なら習い事の様子を見て親が感じ取り、「○○だからイヤなのかな?」と言語化して確認しましょう。

Q: 少人数制の習い事に行っています。レッスンの時間中に子どもが動き回ってばかりなのが気になります。

 教室の雰囲気にもよりますが、子どもが楽しく参加し、回りのお友だちに迷惑をかけたり、動き回ることでレッスンが中断したりするのでなければ先生にも相談しながらしばらく様子をみましょう。レッスン前、ママから回りのママに「子どもが動き回るかもしれません」とひと言伝えておくのもよいでしょう。

Q: 習い事を辞めさせると、子どもが将来何事も長続きしない人間にならないか心配です。

 せっかく始めた習い事を辞めさせるのは、親としても勇気がいるものです。しかし、「簡単にあきらめる子になって欲しくないから」という理由だけで、子どもがいやがっているのにだらだら続けさせるのはNG。「あと1カ月続けてみて、それでも辞めたかったら辞めよう」など期限を決めて結論を出しましょう。結果的に辞めたとしても、子どもの将来に影響を及ぼすことはありませんし、無理に続けさせることの方が子どもの心に悪影響です。子どもの意思を尊重することも大切です。

 

イラスト/犬塚円香 取材・文/長島ともこ
 

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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