スタイルトップ  >  育児情報誌miku   >   miku 45号 2016年夏号   >   家族時間を大切にしたいから~働き方を変えよう
miku 45号 2016年夏号

家族時間を大切にしたいから~働き方を変えよう

夫婦でじっくりコミュニケーション

2016年4月から「女性活躍推進法」がスタート。「保育園に入れないから仕事に復帰できない」と、待機児童問題も話題になりました。ママだけでなく、パパはもちろん社会全体で働き方を見直すことが必要となってきた今、働き方をどうとらえ、どう変えていったらいいのでしょうか。これからの時代の働き方や家族時間の過ごし方について、日本女子大学現代女性キャリア研究所所所長の大沢真知子先生に伺いました。

大沢真知子先生


日本女子大学人間社会学部現在社会学科教授、現代女性キャリア研究所所長。労働経済学が専門。『女性がなぜ活躍できないか』(東洋経済新報社)、『妻が再就職するときーセカンドチャンス社会へ』(共著、エヌティティ出版)など著書多数。

日本の発展のためにも働く女性の活躍を

2016年4月からスタートし、女性が仕事において十分に能力を発揮し活躍できる環境を整備した「女性活躍推進法」。この法律は、日本の女性のこれまでの働き方や、企業における女性管理職の比率などを他の先進国と比較しながら調査してきた結果をふまえ、制定されました。これからの日本経済の発展のためには、働く女性を増やしていくだけでなく、組織の中心メンバーとして経営の意思決定に直接かかわる女性管理職を増やす。すなわち、働く女性が活躍し、生産性の向上をめざすことが大切であると認識されたのです。
 
このような流れの中で、記憶に新しいのが「資生堂ショック」の問題です。資生堂が、子育てを理由とした短時間勤務中の美容職の社員に対し、遅番や土日勤務を求めたのです。他の企業に先がけて育児休暇や短時間勤務を導入し“子育て中の女性にやさしい会社”だった同社が、これまでと一転し、女性に厳しく思える施策を打ち出したことで、大きな話題となりました。

女性が活躍する社会のためには男性の家事、育児分担が必要

「時短勤務中の社員に冷たいのではないか」などといった批判の声も上がりましたが、そもそもこの施策は、「時短勤務社員にもフルタイム勤務者と同様の成果を求めるかわりに、活躍のチャンスを与える」という、まさに“女性活躍推進”が目的で作られたものです。女性が活躍する社会を実現するためには、女性の活躍を推進するだけでなく、男性が働く妻を支え、保育園の送迎をはじめとする育児や家事を担うことが求められます。

 

しかし実際は、「男性は仕事、女性は家庭」といったこれまでの日本の古い価値観が残っている部分が多いのも事実。「女性活躍推進への流れ」と「日本における女性と男性の働き方の現状」のアンバランスが、このような社会問題につながったと考えられています。

パパ達に聞きました! わが家の働き方と家族時間


出産や育児などをきっかけに夫婦の働き方を見直し、新たな家族時間を過ごしているパパたちの声を紹介します。

「朝型生活」にシフトし子ども達と向き合う時間を確保

 

白勢さん

 


建設系
家族構成: 妻、長男7歳、次男4歳、長女1歳
 

長男の誕生により、これまでのやり方では家事や育児をしていくことが困難に。夫婦で働きながら、試行錯誤していく中で「朝型生活」に出会いました。
 
以前は、子どもを寝かしつけた後23時に就寝し6時に起床していましたが、現在は子ども達と一緒に21時までに就寝。朝は4時くらいに起きます。たっぷり時間があるので、子ども達と一緒に朝の支度をしたり、ゆっくり朝ご飯を食べたり、時間がある時には少し遊んだりもしています。
 
「朝型生活」に変えることで、子どもと向き合える時間が増えました。これからも、夫婦共に働きながら、家族それぞれが成長し続けられるように働き、学び、暮らしていきたいと思います。
 

夏休みは週1で在宅勤務。妻や子ども達の笑顔が増えて

 

猿山治邦さん

 

 

IT 系
家族構成: 妻、長女6歳、長男3歳

妻も仕事をしていますが、長女の小学校の夏休みに託児所に預けられない日が出てしまいました。そこで、夏休みの期間、会社に週1で在宅勤務を申請。成果を残すことを条件に許可をいただき在宅勤務を行いました。
 
在宅勤務の日は、朝食、昼食、夕食作りを担当。休憩時間は子どもとお菓子を食べて雑談したりしています。家族全員で夕食を作るなどの機会も増え、妻や子ども達がよく笑うようになり、家族時間を作る大切さを実感しています。
 
仕事は大切ですが、家族で過ごす時間も大切だと思っていますので、これからも効率よく仕事を行い家族時間を増やしていきたいです。

自宅ベースの働き方に切り替え育児や家事を主に担う

 

坪井博一さん

 

 

個人事業主
家族構成: 妻、長女7歳、次女4歳

大手通信会社の派遣社員として、休日出勤や残業は当たり前の環境で働いていましたが、東日本大震災を機に「家族を守る」働き方を考えるように。

 

妻が正社員だったので、会社を辞め自宅でできる仕事を模索し、インターネット通販と副業でコンサルタントの仕事を始めました。一人で行うため時間の融通がきき、仕事以外の時間は食事作りや次女の保育園の送迎、買い物などにあてています。育児や家事を私が主に担うことで家族それぞれの時間を有効に使え、旅行など家族の予定もたてやすくなりました。妻が仕事を楽しみながら続けられるよう配慮しながら、夫婦それぞれが人生を楽しみ、頑張り、笑顔で生きる姿を子ども達に見せていきたいと思っています。

「働くこと」や「働き方」を夫婦で話し合おう

北欧諸国やフランス、アメリカ、イギリスなど、働く女性が活躍し出生率も回復させた国は、男性と女性両方で仕事、育児、介護などを“共に担う”男女平等の社会の実現へと踏み出しています。本来、子育ては女性だけの役割ではありません。女性が活躍できる社会を実現させていくためには、夫が妻とともに家事や育児を分担したり、長時間労働を見直したり、男性管理職の意識改革を進めるなどの必要があるのです。
 
これらの必要性に気づき、具体的な取り組みに着手し始めている企業や団体が日本でもみられる中、今大切なのは、「働くこと」や「働き方」について、夫婦でじっくり話し合うこと。

夫婦二人で子どもを育てていくわけですから、労働時間や勤務体系、賃金、社内制度をはじめお互いの働く環境を改めて知ることが必要です。そして、妻と夫両方が長時間労働にならないようにするにはどうしたらよいか、作戦を立てることが大切です。
 
今は専業主婦の場合でも、いずれ働きたいのか、働くとしたらどのように働きたいのかを夫と共有し、プランを練っておきましょう。

夫の家事• 育児時間別 妻の就業継続状況

これからの時代、仕事と家庭の両立は男女問わず求められ、推進していく必要があると考えられています。データからもわかる通り、妻の出産後、夫の家事•育児時間が長くなればなるほど妻の離職の割合は低下しています。妻が出産後も仕事と育児を両立させるためには、夫が家事•育児に積極的に参加することが不可欠です。

 

厚生労働省「第13回21世紀成年者縦断調査の概況」(調査年月:2014年11月)より作成

夫や周りの人に相談したり、発信していく姿勢も大切

子育て中の女性が社会で働くには、勤務時間や勤務体制など、さまざまな制約があるのが現実です。日々の仕事において「こんなことが気になった」などの疑問や不満があったら心にためこまず、夫や同僚、上司にどんどん相談しましょう。働くママが多い会社に勤めている場合はママ同士のネットワークを常にもちましょう。「会社にこんな制度があったらもっと働きやすくなる」などのアイデアは、皆で上司に相談をもちかけ、「自ら発信&提案」していく姿勢も大切です。
 
働き方の改善を会社にもちかけても状況が変わらない場合は、共働きで夫婦どちらかの仕事が安定していればどちらかが思い切って仕事を変えるのも、選択肢のひとつ。

 

次のステップへの準備期間と考え、資格取得などスキルアップを図るのもいいでしょう。
 
日本の働き方は、大きな転換期を迎えています。妻と夫が共に今の働き方と向き合い、改善できる部分は改善し、これまでより働きやすい環境を実現する。そして、お互いに仕事を持ちながらも、夫婦で家事や育児をシェアし、PTAなど地域活動の役割を少しでも果たしていく。そうすれば、夫婦の関係もよりよくなり、以前よりも幸せな家族の時間を過ごせるようになるでしょう。子どもがいるからこそ、家族時間を大切にし、楽しむにはどうしたらいいかを改めて考え、柔軟な発想で働き方を見直していきましょう。

 

取材・文/長島ともこ

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
人気連載
JavaScriptをOnにしてください