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miku35号 2014年冬号

冬の病気と室内事故の予防と対策

日頃の心がけと環境づくりが子どもを守る

寒い季節になると、かぜ(かぜ症候群)をはじめインフルエンザなど、さまざまな感染症が心配になるもの。また、家の中で過ごす時間が多くなり、誤飲などの事故にも注意が必要です。病気や室内事故から乳幼児を守るには、どうしたらいいのでしょうか?小児科医の萩原温久先生にお話しを伺いました。
 

萩原温久先生


萩原医院(東京都板橋区)。日本小児科学会専門医。長年地域に根ざした萩原医院の小児科医として、地元の人々の健康に貢献。お母さんや子どもの気持ちが少しでも軽くなるよう、会話を大切にした診療を重視。何でも話せる頼れるドクターと、お母さんたちの信頼も厚い。

免疫力が低下し始める月齢では重症化しやすい感染症に注意

さまざまなウイルスが流行しやすいこの時期、お母さんからもらった免疫が低下し始める生後3カ月以降の乳幼児では重症化しやすい病気もあり、注意が必要です。かぜの症状はくしゃみ、鼻水・鼻づまり、せきですが、しだいにたんが増えたり、息苦しさなどの症状を伴う気管支炎、呕吐や下痢が主体の感染性胃腸炎(おなかのかぜ)、急な高熱で発症するインフルエンザなどが多くなります。
 
かぜや気管支炎の原因はウイルスがほとんどです。中でもRSウイルス感染症は、2歳までにほとんどの子どもがかかる病気ですが、生後6カ月未満の乳児では、鼻水・鼻づまりに喘鳴(ゼイゼイ、ヒューヒューという呼吸音)や息苦しさを伴う細気管支炎をときに発症し、哺乳力低下や急激な呼吸困難を起すことがあるので要注意です。
 
感染性胃腸炎の主な原因はロタウイルス、ノロウイルスです。どちらも感染力が強く、保育園、幼稚園や家庭でも広がります。ノロウイルス感染症は、すべての年齢でみられますが、ロタウイルス感染症は生後半年から3歳未満に多く、白っぽい便が特徴です。おう吐や下痢がひどいと、脱水症を起こします。また、ときには脳炎など重い全身症状を起こすので、油断は禁物です。

熱の有無で病状を判断せず「いつもと様子が違う」と感じたら受診を

病気の発症や進行を「発熱」で判断しがちですが、熱の有無や高さは病気の重症度を現すとは限りません。体温計の数値にとらわれず、顔つき・顔色、機嫌、おっぱいの飲み具合や息づかいなどをできるだけ落ち着いてチェックしてください。

 

発熱があっても、おっぱいの飲みが良く、機嫌もさほど悪くなく比較的元気でよく眠れるようならば、急いで受診する必要はありません。自宅での様子や病気の経過は診断に役立ちます。できるだけ具体的にメモして持参しましょう。

 

ただし、お母さんからの免疫が残っている生後3カ月未満の乳児の場合、38度以上の発熱は単なるかぜと判断せず、ずい膜炎、尿路感染症、中耳炎などの細菌による感染症を疑います。発熱に気づいた時点で受診してください。

 

いつもお世話をしている人の観察・気づきは大切です。「何となくいつもと様子が違う」と感じたら、早めの受診がおすすめです。子どもの急な病気に困ったら、悩んだら、小児救急電話相談#8000に相談するのもいいですね。

熱がなくてもこんな様子が見られたら受診を! 症状チェックポイント

発熱や体温計の数値だけで、病気を判断しないこと。健康な時との違いを感じ取りましょう。

 

□息が苦しそう
□呼吸が早い
□小鼻がピクピクふくらむ
□咳がひどく眠れない
□顔色が悪い、笑顔が出ない
□呼吸が異常(ゼイゼイ、ヒューヒュー音がする、ウーウーうなる)
□吐き気がある、何度も吐く
□元気がない、泣き声が弱い
□ぐったりしている
□元気にミルクを飲まない

病気の経過を具体的に記録しておこう! 受診チェックリスト

受診する際に、以下のポイントをメモしていきましょう。咳がひどい様子や息づかい、便の状態などは、携帯電話に録音・録画しておくと、一目瞭然で医師に伝わります。

 

□気になる症状はどんなこと?
□始まったのはいつ頃?
□飲んだおっぱいやミルクの量は?
□おしっこの量や回数は?
□便の状態は?
□咳の状態、息づかいは?

予防は病原体への接触を避ける予防接種で免疫をつけておく

乳幼児への感染を防ぐ一番の対策は、原因となるウイルスや細菌に接触させないこと。病気が流行しているときは、できるだけ人混みへの外出は控えたり、予定を変更する方がいいでしょう。お母さんはじめ周囲の家族は手洗いやうがいの徹底と、マスクの着用など、心がけてあげましょう。
 
ロタウイルスによる胃腸炎は、経口生ワクチンで予防できます。生後2か月からのヒブや肺炎球菌ワクチンとの同時接種も可能です。かかりつけ医と相談してください。インフルエンザワクチンもありますが、生後6カ月未満児は接種対象ではありません。流行前の11月中に家族が接種する方がいいでしょう。

子どもの平熱をチェックしておこう!

平熱よりも1度以上高い状態は、発熱と考えられます。体温は、朝は低くて夕方は高いのが自然な変化。子どもの場合、授乳後や食後、泣いた後、動いた後、暖房や厚着による影響でも高めになります。健康なときの体温を測って、平熱を知っておきましょう。

意外に多い家庭内での不慮の事故室内を安全に整えることが大切

年間を通して後を絶たない、乳幼児の不慮の事故。家庭内での事故が全体の7割を占めます。吐物による窒息、たばこや小さな物の誤飲、ピーナッツやあめ玉による気道異物、転落・転倒、熱い飲み物やアイロンによる熱傷(やけど)など、日常生活には危険が潜んでいます。
 
これらの事故が起こるのは、乳幼児の運動発達に伴う行動範囲の広がりです。

 

手を口に持っていくようになる生後4~7カ月頃、ハイハイやつかまり立ちが可能になる8カ月~1歳頃に増えてきます。誤飲は、体に無害なものも含めれば、すべての乳児が経験する可能性が高く、つねに「誤飲するもの」との認識が必要です。お子さんの手の届く場所や行動を予測して、日常を過ごす室内環境を整えることが、事故予防の大原則です。日本中毒情報センターHPの家庭内の危険ポイントも参考になります。

赤ちゃんが誤飲する可能性があれば隠して取り出せないように

赤ちゃんが口を開けた最大口径は39㎜とされ、これより小さい物は誤飲の恐れがあります。母子手帳の中の”チャイルド・マウス”や、トイレットペーパーの芯の中に入る物は飲み込む可能性が高いので、大きさをチェックしてみましょう。誤飲する物の約半数がタバコです。親が口にくわえている様子をみて、口に入れようとするのは当たり前。水分に溶けたニコチンを誤飲すると、より吸収されやすく中毒を起こす可能性が高くなります。空き缶などを灰皿代わりに使うのは危険です。
 
ボタン電池、おもちゃのパーツ、硬貨、化粧品、薬などは、手の届かない床から1m以上の高さに置くか、引出しに入れ開けられないような工夫をしてください。乳幼児の目線で室内を見まわし、誤飲の恐れがある物は、すべて取り除くことが一番の対策です。

 

また、毎年約50人が、食物などによる窒息で亡くなっています。誤飲しやすい物がのど・気管・気管支につまる気道異物です。救命できても呼吸困難による低酸素性脳症で重大な後遺症を残す可能性があります。3歳未満の乳幼児にはピーナッツなどの豆類、あめ玉を与えないようにしましょう。

誤飲以外の室内事故を防ぐ ポイントは?

●窒息/柔らかくふかふかの布団は使わない、顔が塞がれる大きさの布やタオルを手の届く範囲に置かないようにしましょう。ナイロンやビニール袋なども危険です。

 

●お風呂の溺水/10cmの深さの水でも、赤ちゃんは溺れてしまいます。水を溜めたままにしないか、お風呂に鍵をかけて、浴室に入れないようにしましょう。親がシャンプーしている間の溺水事故もあります。浴室に一緒に入り、湯船に入れているときは、決して目を離さないことが大切です。

 

●熱傷/赤ちゃんは熱いことがわからず、無防備に触って事故になります。テーブル上にみそ汁、お茶などを置くときは、手の届かない位置に置く、テーブルクロスは使わない、抱っこしたまま珈琲などを飲まないなど、注意しましょう。ポットや炊飯器、加湿器は手の届かない高さへ移動を。また、電源コードに足を引っかけないように工夫しましょう。熱くて危ないことを教えることも大切です。

 

●転落・転倒/階段に柵を作り、滑り止めの工夫を。ベランダに踏み台になる物を置かないこと。お風呂の洗い場の床は、敷物を敷いて滑らないようにしましょう。

子どもの誤飲事故が起こった時の連絡先

たばこや医薬品、洗剤などを誤飲してしまい、どう対処していいかわからないときは、以下に電話で問い合わせましょう。誤飲したものの名称、飲んだ量、子どもの年齢、体重などを伝えると、対処方法などをアドバイスしてもらえます。

 

◎中毒110番一般専用電話(情報提供料:無料)
大阪 072-727-2499(365日24時間対応)
つくば 029-852-9999(365日 9:00~21:00)
◎たばこ誤飲事故専用電話
(情報提供料:無料、テープによる情報提供)
072-726-9922(365日24時間対応)

 

イラスト/犬塚円香 取材・文/中野洋子

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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