スタイルトップ  >  育児情報誌miku   >   miku53号 2018年秋冬号   >   ひといちばい敏感な子の育て方、接し方
miku53号 2018年秋冬号

ひといちばい敏感な子の育て方、接し方

子どもの個性として尊重しよう!

5人に1人が、生まれつき「ひといちばい敏感な子」だといわれているそうです。すぐに泣く、相手の気持ちを考えすぎてしまうなど、ひといちばい敏感であるために生きにくさを感じ、自己肯定感を持ちにくい子も少なくありません。
どのように接して育んでいったらいいのでしょうか。心療内科医の明橋大二先生にお話を伺いました。

明橋大二先生 Daiji Akehashi

 

真生会富山病院(富山県)心療内科部長、スクールカウンセラー、児童相談所嘱託医。NPO法人子どもの権利支援センターぱれっと理事長。子育て講演会や、雑誌などでも親に対してメッセージを発信。著書は『HSCの子育てハッピーアドバイス』『子育てハッピーアドバイス』(1万年堂出版)ほか。

理由がわからなかった繊細な子どもたちの反応

些細なことで驚いたり、気になったり、とても感受性が高い、子どもがいます。親自身もそのようなタイプの方がいるでしょう。
 
ひといちばい敏感な子ども( H S C = H i g h l y S e n s i t i v eChild)、ひといちばい敏感な人( H S P = H i g h l y S e n s i t i v ePerson)、は、アメリカの心理学者であるエレイン・N・アーロン氏が提唱した概念。この考え方が示されたことで、「今まで何が原因なのかと悩んでいたけれど、理由がわかってほっとした」という方も多くいらっしゃいます。アメリカでは少しずつ知られるようになってきましたが、日本ではまだこの概念が浸透していません。そのために生きづらさを感じている子どもや大人も多いでしょう。

 

心療内科医として、今までたくさんの子を診てきました。たとえば不登校などの場合に、いじめがあったり、先生との相性が良くないというなら原因が見えていますが、いじめではない、先生との相性もさほど悪くないなのに……ということもあるのです。いざ園や学校に行くときになって、おなかが痛い、園や学校にいけないという子どもがいます。教室の空気に息苦しさを感じたり、先生がほかの子を叱る声が怖かったり、その子自身が持っている敏感が関係していることが多くあります。今まで理解されにくかったこのような子どもの反応は、「ひといちばい敏感な子ども」という考え方をすることで理解できるようになります。

敏感な子は、わがままで扱いにくい子に見える?

乳幼児期のひといちばい敏感な子は、すごくよく泣く、こだわりが強い、人見知りが激しい、肌触りに敏感(タグが肌に触れるとぐずる、素材による差を感じて泣く)、ちょっとした音ですぐに目を覚ます、相手の気持ちを強く感じるなどの反応をします。また、子どもによって、敏感に感じるものが違います。

 

時として、発達障がいを疑うような反応をすることもありますが、発達障がいとHSCは異なります。「発達障がいがある人は、コミュニケーションや対人関係をつくるのが苦手です。」(政府広報オンラインより)

 

ひといちばい敏感な子は、病気や障がいではありません。ある特定の物事に対して、敏感な感覚を強く持っているという、持って生まれた個性なのですが、時として子ども自身がとても生きづらさを感じ、苦しんでいることがあります。

 

敏感な子は、素直に自分の気持ちを表現することが難しかったり、自分の気持ちを表現するのに時間がかかります。ひといちばい敏感な子は、困った子ではなく、困っている子なのです。

 

そして、ひといちばい敏感な子を育てているママやパパは、「しつけがなっていない」「子どもを甘やかしすぎ」とみられてしまうことがあります。子どもの特徴を知って、丁寧に対応しているのに、周囲からそんな風にみられるととてもつらいもの。そして周囲からそのようにみられることによって、自分の子どもへの対応が子どもの敏感さを助長しているのではないかと、子育ての仕方に自信がなくなってしまう方も少なくありません。

 

敏感な子どもの行動は、子育ての方法が原因ということではないのです。子育ての仕方はあくまで結果。親が「子どもに接する→ほかの子どもと違う反応や行動をする→子どもの気持ちに寄り添いながら対応する」という経過を経て、結果、現在のような子育ての仕方になっているのに、その親の育て方が「原因だ」と考えられて、「甘やかしている」から「臆病なんだ」ととらえられてしまうことがあります。その上、親が周囲の言葉に左右されて「もっと厳しくしつけなければ」と思って接すると、敏感な子は余計に戸惑い、混乱してしまいます。パパママは、周囲のアドバイスに振り回されないことも大切です。

ひといちばい敏感な子(HSC)とは

生まれつきよく考えてから行動します。
体の内外のことに敏感です。
よく気づく得意分野は、人それぞれです。
 (雰囲気や表情、におい、ユーモア、動物とのコミュニケーションなど)
悲しみや喜びを、ほかの子よりも強く感じています。
感受性が強く、豊かな想像力があります。

リフレーミングしてみよう!

パッと見た印象はマイナスの見方になりがちですが、プラス方向の見方を心がけてみましょう。

子どもの言葉を信じて子どもを尊重

「あなたが叱られているんじゃないのに、なんで泣いてるの!」と、言ってしまうかもしれませんが、敏感な子は、自分のことのように感じています。

 

子どもの自己肯定感を育むためにも、否定しないことが大切です。「そんな風に感じる自分は、ダメな子なんだ」と思ってしまいます。パパやママはそう感じなくても、「子どもはそう感じているんだ」と受け止めましょう。受け止められることで、子どもの自己肯定感が育まれます。

 

ひといちばい敏感なことは、いけないことではありません。人の気持ちに寄り添うことが上手だったり、違いを敏感に感じることで危険を察知することもあります。

 

親としては、その都度対応したり、気持ちを汲み取ることにパワーがかかりますが、敏感さも素晴らしい個性です。ポジティブワードに置き換えて、子どもを伸ばしていきましょう。


 

ひといちばい敏感な子に接する3つのポイント

子どもの言うことを信じる
「普通そんな風には感じない」と否定せず、子どもはそのように感じたと受け止めましょう。


子どものペースを尊重
慎重に考えすぎて、時間がかかったり、行動が遅れることがあります。急かしたり否定せず、可能な範囲で子どものペースに付き合いましょう。

 

大丈夫ならそっと背中を押す
必要以上に心配をして一歩踏み出せない子もいますが、親が見て大丈夫そうなら、そっと背中を押すことも大切です。


 

 

 

※コラムなどは『HSCの子育てハッピーアドバイス』を参考に編集部で一部改変。

2018 AUTUMN-WINTER
イラスト/犬塚円香 取材・文/高祖常子

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
この記事の関連キーワード
人気連載
JavaScriptをOnにしてください